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第209話:戻っとるやんけ...
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ケルダンに帰還する途中で――妙なモノを見た・・・郊外に住み着いたウサギの獣人がウチの領軍が使っているのと、そっくりの天幕を使っていたのだ。
(妙な事もあるモノだなぁ~~)と思いつつケルダンの入り口に差し掛かると更に不思議な事が続いた...
郊外で開いていたハズの露天マーケットが無くなっていて守衛達がいないのか?
市街地の中心地へと続く旧帝国時代から都市を守ってきた立派な正面が閉まっていたり跳ね橋が架かっていなかったりしたのだ。
嫌な胸騒ぎを覚えつつラーイ帝に帰還の報告をする為に皇居へ到着すると――玉座の間に、すぐに通され...
「サナイィイ"イ"~~!!よう帰って来てくれた~~!」
・・・と泣き付かれ俺が領主の任を解かれている間に行政能力だけでなく人格面でも秀でる代官を三人も交代させてもケルダンからの上納金が、みるみる減って行くばかりか...
治安もドンドン悪くなっていき――つい最近はスラムだった頃に戻ったかの如く州都リヴォニアを行き来する行商隊が戻って来た馬賊や山賊に襲われる始末だと言うのだ!
しかも――賊達が戻って来たせいで州都の州都リヴォニアの税金収支も悪化して俺が一時的とは言え領主の任を解かれたと聞いて地下に潜って息を潜めていた窃盗団までリヴォニアに出没し治安にまで影響しているらしい。
(何やってるんだ・・・戻っとるやんけ...)と内心、呆れながら『旅の結果報告は良いから――いち早く領主の仕事を再開するように...』とラーイ帝に要請され、小さく「は、はい...」としか言いようがなかった。
どうやらケルダンとリヴォニアからの上納金が減った事で気品を保つ名目である皇室費が減りサレンドラ皇后と浪費家であるロナフェミア第二皇女のイライラ、カリカリが止まらないらしい...
皇帝も――なかなか大変のようだ...
一家の父親と言う役目も皇帝と言う役目も楽じゃないらしい...
なんだかんだ言ってラーイ帝自身は良い人だし拒否する必要もないだろう。
仕方がないので領主の復職するしてやる事にした。
***
郊外の館に戻ると「旦那様?!」と文官のドミトリーに驚かれ――その後、家令のワトキンスに「お疲れ様でございます、旦那様。」と出迎えられたので着ていた外套を渡す。
状況を確認する為に領主の館に戻ったら、ひとつ笑った事がある。
ニニムが領主の館の地下にある地下牢に放り込まれていた事だ!www
どうも国から派遣された潔癖な代官様は事あるごとに同胞に便宜を図るニニムが気に食わなかったのだろう♪
まあ――それが原因で高い政務能力を持つニニムが本来、担っていた膨大な仕事が処理できず、更に悪い事に派遣されてきた代官は憎まれ口を叩くカルティエとも反り合わなかったらしく...
まず工場で働く人々の給料や守衛、衛兵の給金まで滞り賃金が払われない人々は就業に就く事を拒否、工場は生産を停止。ここから治安も悪化。
商品が供給されなくなり市場に既に出ていた物の価値が上がり物価が上昇。
人々の生活は苦しくなった...
それに加えて俺の不在の間に民族の坩堝《るつぼ》であるケルダンで常時――燻り続けている民族対立の現状を派遣されていた代官達は十分に把握していなかったようで...
俺が領主をしていた以前から各民族間での軋轢はあったが領主と言う立場を上手く使い各民族の代表者や有力者を自身の所へ招いたり彼らの元へ小まめに訪れ丸く治めてくれるように調整していたが代官達は各代表者の元を自身の地位の高さから傲慢にも軽んじたり訪問しなかったが為に地元の協力を得られず...
それまで各民族の代表者や有力者が制動してくれていた各民族の民族感情も悪化。
公然と他民族に対する差別的な応対が世間で行なわれ始め只でさえ商品が生産が止まっているのに関わらず金銭を持っていても生活に必要な物まで手に入れられなくなり――これにより物流と経済まで死んだ
ここで武力を使ってでも事態を収集出来れば代官も最低限の体裁を保てたかも知れないが...
前出の問題から芋づる式に守衛隊と衛兵隊に給金が支払われていないのでネルレイアやルスリス出身の衛兵や守衛は命令を無視し就業を拒否。
他の衛兵も守衛も各民族の隊員で構成されている為に帰属意識のある者は自分の民族の味方をして抗争に加わる有り様で...
ケルダンで最大の権威と権限を持っている領軍も似たような状況であり一番厳しく管理している武器庫や兵器庫の物品は大丈夫だったが、それ以外の軍用品・・・つまり糧食や行軍に必要な炊き出し用の調理器具にカトラリー、天幕や馬車、馬に各兵士達に支給される外套、靴下と靴、ステンレス製の飯盒などは売り払われたり横領され行方不明になっているようだ。
・・・と言う事は帰る時に見かけた天幕はウチの天幕やん!!
久しぶりにグレイビーソースが、たっぷりとかかったレアステーキを口にしながら事の経緯の説明を受けると部下を含めた関係者全員を領主の館に呼ぶように指示を下すアユムなのであった...
(妙な事もあるモノだなぁ~~)と思いつつケルダンの入り口に差し掛かると更に不思議な事が続いた...
郊外で開いていたハズの露天マーケットが無くなっていて守衛達がいないのか?
市街地の中心地へと続く旧帝国時代から都市を守ってきた立派な正面が閉まっていたり跳ね橋が架かっていなかったりしたのだ。
嫌な胸騒ぎを覚えつつラーイ帝に帰還の報告をする為に皇居へ到着すると――玉座の間に、すぐに通され...
「サナイィイ"イ"~~!!よう帰って来てくれた~~!」
・・・と泣き付かれ俺が領主の任を解かれている間に行政能力だけでなく人格面でも秀でる代官を三人も交代させてもケルダンからの上納金が、みるみる減って行くばかりか...
治安もドンドン悪くなっていき――つい最近はスラムだった頃に戻ったかの如く州都リヴォニアを行き来する行商隊が戻って来た馬賊や山賊に襲われる始末だと言うのだ!
しかも――賊達が戻って来たせいで州都の州都リヴォニアの税金収支も悪化して俺が一時的とは言え領主の任を解かれたと聞いて地下に潜って息を潜めていた窃盗団までリヴォニアに出没し治安にまで影響しているらしい。
(何やってるんだ・・・戻っとるやんけ...)と内心、呆れながら『旅の結果報告は良いから――いち早く領主の仕事を再開するように...』とラーイ帝に要請され、小さく「は、はい...」としか言いようがなかった。
どうやらケルダンとリヴォニアからの上納金が減った事で気品を保つ名目である皇室費が減りサレンドラ皇后と浪費家であるロナフェミア第二皇女のイライラ、カリカリが止まらないらしい...
皇帝も――なかなか大変のようだ...
一家の父親と言う役目も皇帝と言う役目も楽じゃないらしい...
なんだかんだ言ってラーイ帝自身は良い人だし拒否する必要もないだろう。
仕方がないので領主の復職するしてやる事にした。
***
郊外の館に戻ると「旦那様?!」と文官のドミトリーに驚かれ――その後、家令のワトキンスに「お疲れ様でございます、旦那様。」と出迎えられたので着ていた外套を渡す。
状況を確認する為に領主の館に戻ったら、ひとつ笑った事がある。
ニニムが領主の館の地下にある地下牢に放り込まれていた事だ!www
どうも国から派遣された潔癖な代官様は事あるごとに同胞に便宜を図るニニムが気に食わなかったのだろう♪
まあ――それが原因で高い政務能力を持つニニムが本来、担っていた膨大な仕事が処理できず、更に悪い事に派遣されてきた代官は憎まれ口を叩くカルティエとも反り合わなかったらしく...
まず工場で働く人々の給料や守衛、衛兵の給金まで滞り賃金が払われない人々は就業に就く事を拒否、工場は生産を停止。ここから治安も悪化。
商品が供給されなくなり市場に既に出ていた物の価値が上がり物価が上昇。
人々の生活は苦しくなった...
それに加えて俺の不在の間に民族の坩堝《るつぼ》であるケルダンで常時――燻り続けている民族対立の現状を派遣されていた代官達は十分に把握していなかったようで...
俺が領主をしていた以前から各民族間での軋轢はあったが領主と言う立場を上手く使い各民族の代表者や有力者を自身の所へ招いたり彼らの元へ小まめに訪れ丸く治めてくれるように調整していたが代官達は各代表者の元を自身の地位の高さから傲慢にも軽んじたり訪問しなかったが為に地元の協力を得られず...
それまで各民族の代表者や有力者が制動してくれていた各民族の民族感情も悪化。
公然と他民族に対する差別的な応対が世間で行なわれ始め只でさえ商品が生産が止まっているのに関わらず金銭を持っていても生活に必要な物まで手に入れられなくなり――これにより物流と経済まで死んだ
ここで武力を使ってでも事態を収集出来れば代官も最低限の体裁を保てたかも知れないが...
前出の問題から芋づる式に守衛隊と衛兵隊に給金が支払われていないのでネルレイアやルスリス出身の衛兵や守衛は命令を無視し就業を拒否。
他の衛兵も守衛も各民族の隊員で構成されている為に帰属意識のある者は自分の民族の味方をして抗争に加わる有り様で...
ケルダンで最大の権威と権限を持っている領軍も似たような状況であり一番厳しく管理している武器庫や兵器庫の物品は大丈夫だったが、それ以外の軍用品・・・つまり糧食や行軍に必要な炊き出し用の調理器具にカトラリー、天幕や馬車、馬に各兵士達に支給される外套、靴下と靴、ステンレス製の飯盒などは売り払われたり横領され行方不明になっているようだ。
・・・と言う事は帰る時に見かけた天幕はウチの天幕やん!!
久しぶりにグレイビーソースが、たっぷりとかかったレアステーキを口にしながら事の経緯の説明を受けると部下を含めた関係者全員を領主の館に呼ぶように指示を下すアユムなのであった...
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