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第198話:金を借りてやるぞ!
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アユムは巡礼者の服に身を包み旅の準備をしている。
領主を休職が――いつ解かれるのかも分からないので、せっかく機会だし諸外国を巡って巡礼の旅に出るのも良いかも知れないと考えたからだ
もちろんラーイ帝の許可も既に取ってあり彼にはアーレ皇太子の病を根治させる有用な知見や知識がないか巡礼をしながら他国を巡りたいこと...
そして、この国の――いや・・・この亜人大陸の事実上の国教とも言うべき女神アリアへの理解を深める為にルクルサ神権国へ渡り神学を学びたいと話した
彼は『なるほど』と頷きアユムが――アリア教に深く感心を寄せた事を褒め『おぉ・・・そうか!確かに良い機会だな!見識を深めて参るが良いぞ。サナイ』と快く言ってくれ喜んで快く送り出してくれそうであった
ついでに元の世界に、すぐ帰れる手段があるのであれば手がかりを見つけるつもりだ。・・・えっ?元の世界に帰りたいのかって?そりゃーそうだろう...
ケ○タッキーやコカ○ーラがフレーバー恋しいし何より元の世界の方がコンビニもインターネットもあるし便利が良いからなぁ~
あぁ・・・もちろん簡単に――直ぐに――元の時間帯に戻れる場合の話である。
単純に考えたとしても・・・仮に元の世界に戻れたとして――同じ時間帯に近い場所に戻れないと意味がないし、こっちと向こうの時間――どちらか一方が進みすぎていたら戻れても俺たちは単なる何の特技もない無職のおっさん、おばさんだ。
正直――就職先があるかどうかも分からない...
ついでに天恵を受けた連中が戻るか――どうかも分からないが、その天恵とやらの力が元の世界で使えるかも不明だし使えたら使えたで元の世界の人類を脅かす存在として殺されるか、政府の管理下に置かれるだろうし何なら解剖されたり・・・便利に使い潰されるかも知れない事を考えると俺たちの未来は明るくない...
いずれにしても――この異世界で骨を埋めるべきかどうかの判断をつける為にも調べておく必要があるだろう...
ちなみに巡礼の旅に出る前にメリザエフ公爵の所へ赴く予定だ。
どうやら経済派の主催の狩猟会が開催されたのに触発されたようで主戦派も狩猟会を開催して結束を高めようと言う事らしい...
何でも・・・メリザエフ公爵率いる北部軍区の皆様方からは俺が積極的に軍備を整えて軍拡路線を歩んでいる事や先の小貴族連中を一族郎党皆殺しにした残虐性を高く評価してくれているようで彼らからはお仲間と見なされているようだ
一応・・・両派閥の性格を持ったケルダンは経済派からも元の世界の技術を取り入れ急激に利益幅を上げている事と経済を活発にする制度や交通網を整えていると言う理由で――お仲間認定されてるのに良いだろうか?
まあ両者から何か言われている訳でもないし良いのだろう。
それに味方は多いに越した事はない。
小貴族連合みたいに何か実害を受けない限り敵対する必要もないだろう。
それに・・・家畜に食べさせられるだけの穀物がない――この異世界で高価な肉が食えるかも知れないので断る理由もない!『喜んで行かせてもらう』と返事をした!!
***
そんな真の目的を露わにしたアユムに来訪者が、やって来る。
「大変です!旦那様!ご来客です!その・・・なんと言うべきか...」
なんと!!!隣国エレンダ王国の王子であるエリク王子であった!
エリク王子と言えばエレンダの上級王カール・ユアン・ベルナッへ上王の嫡子でありながら、その愚鈍さで悪名を遠方にまで轟かせているロクでナシとして有名な人物だ!!
もちろん「?!! 追い返せ!!」と――つい最近、家令として雇った老紳士である家令のワトキンスに言ったが時既に遅し・・・俺に用があるらしく既に屋敷へと入ってきたらしいのだ?!!とても嫌な予感がする!!!
今は文官が足りない為に雇われた中年、中太りのドミトリー君が応対してくれているらしい!!
(嫌だな・・・会いたくないなぁ~)と思いながらも例えご本人の評判のよろしくなくても隣国の王子様なので会わない訳にもいかない...
本当に渋々――会うことに...
「これは、これは!噂に名高い(良い評判とは言っていない!)ヨハン殿下!遠路遙々――よくぞお越し下さいました!貴方様のような高貴なお方のお目にかかれて大変、光栄です!私めがサナイめでございますぅ~ 以後お見知り置きを!(出来ればおかないで...忘れてくれメンス!)ところで本日は、どのような御用向きでございましょう?」
既に――ふてぶてしい、横柄な態度で広いソファーに腰を落としているエリク王子に取りあえず持ち前の大仰な感じの明るさで仕方なく挨拶し要件を伺う...
すると彼は『金を借りてやる』と上から目線で金を借すように要求してきた。
浪費家として悪名高いエリク王子の事だ。
恐らく飛ぶ鳥を落とす勢いで儲けている噂を聞きつけ――たかりに来たと言う所か...
これが相手が普通の王族なら本当、喜んで金を貸す所だが相手は王族だ。
貸しても王族の権威を使って金を踏み倒されるに違いない...
ある程度まとまった金を――手切れ金として提供して損切するか。
「それは・・・光栄な事でございます。しかし申し訳ありません殿下。御存知ないかも知れませんが私めは現在、領主としての任を一時的に解かれているので――あまりお役に立てないのです。」
とりあえず――いつものように嘘と本当の事を交えつつ...
「しかも殿下の父君で、あらせられるエレンダの上級王カール・ユアン・ベルナッへ陛下から何の言付けもお伺いしておりませんでしたので――まとまったお金を用意するのには恐縮ですが少々ハードルが・・・」
やんわりとお断りを入れて意図的に一度あえて貸し付けを渋る態度を示し『なんだと・・・王族の私、自ら――こんな辺鄙な田舎へと出向いてやったと言うのに金を貸さないと申すのかꐦ 』とエリク王子を怒らせ彼の正常な判断を鈍らせると...
「まあ、まあ・・・最後まで私めの話を聞いて下さい」と彼が、よほど金に困っているのも確認しつつ激昂した王子を制し相手から話しの主導権を――ちゃっかり奪い...
「勿論――貴方様が、おっしゃられるように御自らが出向かれた事も考え合わせればコチラもお金を二度とお金を無心しないと言う事でしたら40万金貨ほどなら融通できるのですが...」
と言い――あたかもコチラ側が交渉に折れ彼自身が折衷案を引き出させたと誤認させた。手切れ金を提示すると彼は『フン!それで良い』と顔に不満を滲ませながらも言い放ったので...
さらにコチラから金を借りるのは面倒だと思わせる為に『大金なので時間が掛かっております!』とワザと時間を引き延ばし――貸した金を出す前に渋る王子に『書かないと館から出れませんし、お金もご用意できませんよ?それとも――ご宿泊のご用意を致しましょうか?』とキレさせ借用書を書かせる事に成功した!
エリク王子は顔を真っ赤にしながら『こんな所!二度と借りに来るかꐦ 』と帰っていたので無事目標達成である!!やったね!
これで心置きなく巡礼の旅に出れそうだ!
ニッコリとした表情で『またのお越しをお待ちしております王太子殿下!』とエリクの背中を見送りつつ――そう思ったアユムなのであった...
領主を休職が――いつ解かれるのかも分からないので、せっかく機会だし諸外国を巡って巡礼の旅に出るのも良いかも知れないと考えたからだ
もちろんラーイ帝の許可も既に取ってあり彼にはアーレ皇太子の病を根治させる有用な知見や知識がないか巡礼をしながら他国を巡りたいこと...
そして、この国の――いや・・・この亜人大陸の事実上の国教とも言うべき女神アリアへの理解を深める為にルクルサ神権国へ渡り神学を学びたいと話した
彼は『なるほど』と頷きアユムが――アリア教に深く感心を寄せた事を褒め『おぉ・・・そうか!確かに良い機会だな!見識を深めて参るが良いぞ。サナイ』と快く言ってくれ喜んで快く送り出してくれそうであった
ついでに元の世界に、すぐ帰れる手段があるのであれば手がかりを見つけるつもりだ。・・・えっ?元の世界に帰りたいのかって?そりゃーそうだろう...
ケ○タッキーやコカ○ーラがフレーバー恋しいし何より元の世界の方がコンビニもインターネットもあるし便利が良いからなぁ~
あぁ・・・もちろん簡単に――直ぐに――元の時間帯に戻れる場合の話である。
単純に考えたとしても・・・仮に元の世界に戻れたとして――同じ時間帯に近い場所に戻れないと意味がないし、こっちと向こうの時間――どちらか一方が進みすぎていたら戻れても俺たちは単なる何の特技もない無職のおっさん、おばさんだ。
正直――就職先があるかどうかも分からない...
ついでに天恵を受けた連中が戻るか――どうかも分からないが、その天恵とやらの力が元の世界で使えるかも不明だし使えたら使えたで元の世界の人類を脅かす存在として殺されるか、政府の管理下に置かれるだろうし何なら解剖されたり・・・便利に使い潰されるかも知れない事を考えると俺たちの未来は明るくない...
いずれにしても――この異世界で骨を埋めるべきかどうかの判断をつける為にも調べておく必要があるだろう...
ちなみに巡礼の旅に出る前にメリザエフ公爵の所へ赴く予定だ。
どうやら経済派の主催の狩猟会が開催されたのに触発されたようで主戦派も狩猟会を開催して結束を高めようと言う事らしい...
何でも・・・メリザエフ公爵率いる北部軍区の皆様方からは俺が積極的に軍備を整えて軍拡路線を歩んでいる事や先の小貴族連中を一族郎党皆殺しにした残虐性を高く評価してくれているようで彼らからはお仲間と見なされているようだ
一応・・・両派閥の性格を持ったケルダンは経済派からも元の世界の技術を取り入れ急激に利益幅を上げている事と経済を活発にする制度や交通網を整えていると言う理由で――お仲間認定されてるのに良いだろうか?
まあ両者から何か言われている訳でもないし良いのだろう。
それに味方は多いに越した事はない。
小貴族連合みたいに何か実害を受けない限り敵対する必要もないだろう。
それに・・・家畜に食べさせられるだけの穀物がない――この異世界で高価な肉が食えるかも知れないので断る理由もない!『喜んで行かせてもらう』と返事をした!!
***
そんな真の目的を露わにしたアユムに来訪者が、やって来る。
「大変です!旦那様!ご来客です!その・・・なんと言うべきか...」
なんと!!!隣国エレンダ王国の王子であるエリク王子であった!
エリク王子と言えばエレンダの上級王カール・ユアン・ベルナッへ上王の嫡子でありながら、その愚鈍さで悪名を遠方にまで轟かせているロクでナシとして有名な人物だ!!
もちろん「?!! 追い返せ!!」と――つい最近、家令として雇った老紳士である家令のワトキンスに言ったが時既に遅し・・・俺に用があるらしく既に屋敷へと入ってきたらしいのだ?!!とても嫌な予感がする!!!
今は文官が足りない為に雇われた中年、中太りのドミトリー君が応対してくれているらしい!!
(嫌だな・・・会いたくないなぁ~)と思いながらも例えご本人の評判のよろしくなくても隣国の王子様なので会わない訳にもいかない...
本当に渋々――会うことに...
「これは、これは!噂に名高い(良い評判とは言っていない!)ヨハン殿下!遠路遙々――よくぞお越し下さいました!貴方様のような高貴なお方のお目にかかれて大変、光栄です!私めがサナイめでございますぅ~ 以後お見知り置きを!(出来ればおかないで...忘れてくれメンス!)ところで本日は、どのような御用向きでございましょう?」
既に――ふてぶてしい、横柄な態度で広いソファーに腰を落としているエリク王子に取りあえず持ち前の大仰な感じの明るさで仕方なく挨拶し要件を伺う...
すると彼は『金を借りてやる』と上から目線で金を借すように要求してきた。
浪費家として悪名高いエリク王子の事だ。
恐らく飛ぶ鳥を落とす勢いで儲けている噂を聞きつけ――たかりに来たと言う所か...
これが相手が普通の王族なら本当、喜んで金を貸す所だが相手は王族だ。
貸しても王族の権威を使って金を踏み倒されるに違いない...
ある程度まとまった金を――手切れ金として提供して損切するか。
「それは・・・光栄な事でございます。しかし申し訳ありません殿下。御存知ないかも知れませんが私めは現在、領主としての任を一時的に解かれているので――あまりお役に立てないのです。」
とりあえず――いつものように嘘と本当の事を交えつつ...
「しかも殿下の父君で、あらせられるエレンダの上級王カール・ユアン・ベルナッへ陛下から何の言付けもお伺いしておりませんでしたので――まとまったお金を用意するのには恐縮ですが少々ハードルが・・・」
やんわりとお断りを入れて意図的に一度あえて貸し付けを渋る態度を示し『なんだと・・・王族の私、自ら――こんな辺鄙な田舎へと出向いてやったと言うのに金を貸さないと申すのかꐦ 』とエリク王子を怒らせ彼の正常な判断を鈍らせると...
「まあ、まあ・・・最後まで私めの話を聞いて下さい」と彼が、よほど金に困っているのも確認しつつ激昂した王子を制し相手から話しの主導権を――ちゃっかり奪い...
「勿論――貴方様が、おっしゃられるように御自らが出向かれた事も考え合わせればコチラもお金を二度とお金を無心しないと言う事でしたら40万金貨ほどなら融通できるのですが...」
と言い――あたかもコチラ側が交渉に折れ彼自身が折衷案を引き出させたと誤認させた。手切れ金を提示すると彼は『フン!それで良い』と顔に不満を滲ませながらも言い放ったので...
さらにコチラから金を借りるのは面倒だと思わせる為に『大金なので時間が掛かっております!』とワザと時間を引き延ばし――貸した金を出す前に渋る王子に『書かないと館から出れませんし、お金もご用意できませんよ?それとも――ご宿泊のご用意を致しましょうか?』とキレさせ借用書を書かせる事に成功した!
エリク王子は顔を真っ赤にしながら『こんな所!二度と借りに来るかꐦ 』と帰っていたので無事目標達成である!!やったね!
これで心置きなく巡礼の旅に出れそうだ!
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