クラス転移したけどリセマラされる前にバックレる

シューニャ

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第195話:経済派からのお誘い

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今日はラルカ公爵を中心とした経済派の諸侯から狩りをしようお誘いがあったのでラルカ公爵の資産である森で狩りを楽しんでいる。

なんでも停職を喰らった俺の気分が落ち込んでいないかと誘ってくれたようで慰労してくれているらしい・・・ありがたいことだ...

今まで休みなく働いてこさせらてきた訳だが、こうして狩りを楽しめるのも魔導技術部門の主任研究員や領主としての職を停職させられているからなので停職も悪い事ばかりじゃない...

それにしても流石、公爵の森番が管理している森林だ。民間人如きがヨダレを垂らしながら羨む鹿のような生き物が――そこら中に群棲している。

「どうだ?サナイ。ワシの資産である――この森林は」

公爵もご機嫌でシベリアン・ハスキーのような猟犬と森番に獲物を追い立てさせているようだ。

「いや・・・どうと言われましても・・・驚きました!さすが公爵殿下の森林ですね・・・これほど大規模な森番と広大な森林を有している貴族も――そうも、いませんでしょう?」

「ハッハッハッ♪ 大げさな奴め♪」

もちろん、いつも通りおべっかも忘れない...
公爵からは――俺の慰労なんだから、どんな大物でも狩って良いと言われているが、ここは当たり障りのないように適当な大きさの雄鹿でも狩っておこう...

そう思っていると――どうやら森番と狩猟犬が公爵の獲物を追い詰めたらしい!
獲物を追い詰める犬の鳴き声が――段々と近づいてくる!!

ラルカ公爵は持っていた弓を静かに絞ると飛び出して来た大鹿の脳天――目がけ一発で仕留めて見せた!

獲物を苦しめる事もなく一発で仕留めた公爵の腕前に俺も含め自然と歓声と拍手をしてしまうほどの見事な腕前だ!!

「すごい! なんと立派な?!! 一トンはあるかと思われる巨大な大鹿だ! 何かコツでもあるなら是非とも教えて頂きたいです!殿下!」

これは!――ラルカ卿が、もっと気分が良くなるように透かさずヨイショしておかねば!!

「そ、そうか・・・いや~ コツがあれば教えてやりたい所だが コツなどないぞ! それにしても悪かったな、サナイ。お主の慰労の為に狩猟を会を催したのに主役をとってしまって♪」

ラルカ公爵も――満更ではないようだ...

「いえいえ!私めは殿下に――このような賑やかな場に誘って頂けた優しい心遣いが何より嬉しかったのです!しかし――このような大鹿! 一体どのようにして持って帰れば良いのでしょう! このサイズともなれば持ち運ぶのも一苦労でしょう?」

結局――公爵が大物を仕留めた事で気の毒に・・・30人ほどの兵士が動員させられて滑車と木々に縄をかける要領で獲物を吊り上げ...

馬8頭が引く馬車に乗せる大仕事へと発展していたが公爵は終始、大変にご機嫌だった。

余程、機嫌が良かったのだろう・・・俺に先ほどまで自分で愛用していたオス鹿の大角で出来た立派な大弓を『仕留めた大物で新しいのを作らせるから・・・』と言って譲ってくれたほどだ...

ラルカ卿も中々に太っ腹ではないか?
俺も自分で仕留めた雄鹿を自身の所有する馬車に乗せさせて――ルルナの父がやっている精肉工場へと送らせておいた・・・ちなみに――鹿肉は野性味を感じさせて中々に美味しかった。

梨島達にも好評で――ササミも余程気に入ったのか!
硬いパンで出来た皿ごと食べそうな勢いである!!

そんなに気に入ったのであれば領主の仕事も、しばらく休みだし――ササミも、しばらく実家に返そうと思い鹿のモモ肉で出来たジャーキーやハムを、お土産に持たせてやると――彼女は以前では考えられないほど素直に俺にお礼を言って喜んで俺が自身の金で雇ってやった貸し馬車代行サービスの便を使って実家へと帰っていった。

これで――しばらくはブチ切れたヨルミネイト達が真剣を抜いてササミを追いかけ回す光景に頭を悩ませる事も無くなるだろう...

いや・・・そう言えば・・・日常の光景と化しているから悩む事もなかったか...

非日常が日常となりつつある自分の認識に、しばらく頭を悩ませたアユムなのでした...
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