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第182話:狙われた名誉伯
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今日はラーイ帝にジュースの販売をする許可を貰う為に午後から宮廷へとやって来ていた!
もちろん(たかがジュースを販売する許可を得る為に、わざわざ皇帝の許可を得なきゃならんなんて封建制は面倒だな~)と思っているのは内緒である!
***
「うむ、このラムネと言うモノは美味いな~」
懐かしきニッポンの味がするレモネード風清涼飲料――通称ラムネを試飲したラーイ帝が感心したように――そう述べると彼は次にラムネの横に並んだ黒っぽい液体に興味を示す...
「これは?なんと言う飲み物か?サナイ?」
「E150カラメルと微生物の出す二酸化炭素を閉じ込めて作った砂糖入り炭酸水とを希釈して作ったコーラと言う飲み物でございます、陛下。ちなみに香料としてシトラスオイルや柑橘果汁が数パーセントほど入っておりますのでビタミンC不足からくる壊血病の予防対策になるのではないかと期待している所でございます、陛下。」
当然、流れてきにコーラを試飲したラーイ帝は『おおー・・・なんと爽やかな味わいだ!』と述べ『このコーラと言う飲み物・・・気に入ったぞ!』っとジュースの販売権を認める代わりに定期的に皇室に税の一部として献上するように命じられた...
既に皇室には上納金を始め色々と献上させられているが・・・比較的安い原料で作れるコーラでラーイ帝の評価が良くなるなら安いモノだ
何より――ここで(色々と献上させられている事を理由に・・・)献上を拒否してラーイ帝の機嫌を損ねるのは賢い者のする事でもない...
『畏まりました。陛下...』っと従順に振る舞っておくのが得策だろう
そんなアユムの従順な態度に機嫌を良くしたのか?
「ふむ・・・それにしても色々な色の飲み物があるな...全部、試飲するほど喉が渇いていないのが残念なくらいだ・・・その紫色のと黄色い飲み物は何か?サナイ」
世辞なのか、本心なのか?は知らないがラーイ帝が他の飲み物にも興味を示すとアユムは説明を続けた
「紫はブドウ風味――黄色い方はオレンジ味のジュースになります、陛下。」
それに対しラーイ帝は『うむ・・・そう言えば、お主の果樹園では――つい最近、品種改良したとかいう果物を栽培してブランドの果物を栽培しておるのであったな...その本物のブドウやオレンジを使用しておるのか?』と疑問を口したのでアユムは咳払いすると『いいえ、陛下。』と補足すると...
「このジュースは下々の者達にも手に入りやすいよう――安価な値段で大量に製造可能な砂糖水に果物の香り付けがしてあるだけでジュース自体は無果汁です。」
っと説明したので皇帝は『無果汁?うむ・・・下々の者達が飲むとは言え、しかし――それでは果物の味がしないとクレームが来るのでは無いか?』と心配された
しかしラーイ帝の心配をよそに笑みを崩さずにアユムは『ご心労には及びません、陛下。何故なら貴方様に民からの陳情が来るような事はないからです』と述べ...
「面白い事に人間の頭の中にある脳と言う臓器は例え単なる砂糖水でも果物で香り付けさえしてあれば脳が勝手に情報を補完し――果物ジュースを飲んでいると錯覚してしまうのです。」
「それにケルダン賤貨10枚と言う、とても安い値段で販売するので例え無果汁だと知っても下々の者達から文句は出ないでしょう。量産効果が出れば更に安い値段で作れますし民からすれば毎日安い値段で普段、口に出来ないような果物風味の甘い飲み物を飲めるですから...」
・・・と言い『陛下にはお気に召して頂けたようですので――お疑いなら今日持ってきた大量のジュースは置いていくので喉の渇いた時に、いつでも召し上がって下さい。持って帰るのも大変なので...』っと確かめられるように全てのジュースと置いて行く旨を伝えた
『それは気前のよい事だな~』とラーイ帝が和やかに述べるとアユムはジュースのフレーバーの説明をする
「ちなみに青緑色の飲み物はメロンソーダ味になります」
「ほう・・・それはロナが喜びそうな味だな...」
ラーイ帝の言葉にアユムは「はあ?・・・ロナフェミア第二皇女殿下がですか?」っと思わず聞き返してしまう...当然、近くにいた近衛騎士には無礼な態度だと睨まれた!・・・怖っ!!
「うむ、ロナはルクルサ神権国産の【沼地の高級メロン】が好物なのだ」
ラーイ帝から――せっかく問いに答えて貰ったが近衛騎士たちが怖くて、それどころではない!!『さ、左様でございますか...で、では・・・説明は終えたので私めはコレにて下がらせて頂きます!!』と彼は脱兎の如く皇帝の玉座の間から逃げ出した
後に残ったラーイ帝の『うむ・・・せわしい奴よの...』とアユムの居なくなった玉座に響いた...
***
その後、皇帝の玉座の間から逃げ出した俺は――案の定どこかで待ち構えてでも居たのか...
乳母のマリーのコーヒーの招待を受けるハメになった!・・・ストーカーかよ!!!
だが今回は一人ではないようだ・・・先客がいる。
席に座りながら『ご機嫌いかがですかな?――セセリア嬢、オレアナ嬢。』と定例に沿った紳士の挨拶を終えるとコーヒーが出されるまで他の犠牲者たちと歓談することにする
「ご機嫌麗しゅうございます、ケルダン伯」
「あら?ご機嫌よう、ケルダン伯。貴方も乳母のマリーから招待を?」
すると金髪慧眼の侯爵令嬢のセセリア嬢が――そのように反応してくれたので『ええ・・・コーヒーの匂いに釣られましてね...』っと俺は平然と社交辞令に則った――大嘘を吐く...
「そう言えば貴方の所へ赴任なさったヨミちゃんは上手くやっておりますの、伯?」
「ヨミちゃん?」
誰の事だが分からなかったが『騎士ヨルミネイトのことです、伯。』と補足されて――ようやく部下である騎士ヨルミネイト愛称だったのかと理解した...
当然なぜ?――ヨルミネイトの事を侯爵令嬢が知っているのか?っと思い『うん・・・彼女なら領軍で、よくやってくれているけど...貴女と面識が?』と自然の流れで問い正す
するとセセリア嬢は『ええ、私たちが――まだ子どもの頃にエレンダに住んでいた頃は家柄の関係で、よく彼女と遊んだんです♪』と笑顔で答えた
その後も彼女はベラベラと訊いてもない事を話し始め...
それによると――もともとヨルミネイトはエレンダの伯爵家のご令嬢だったらしいのだ?!!
「ええーーー?!伯爵令嬢って上級貴族じゃーん?!!」
前々から(えらく所作が上品だなぁ~)とは思っていたが・・・「それが何で、命がけの騎士なんぞに?!」
当然の疑問にセセリア嬢から返って来た答えはゴリゴリにありがちな話しだった!!それによると...
我が娘を行き遅れにすまいとヨルミネイトの両親は早くから結婚相手を探したが伯爵という家柄上――相手の血統や財力なんかを、なんか色々と考慮した結果――
ヨルミネイトの見合い相手は汚っさんばかりだったらしい!!!
当然――ヨルミネイトは結婚する事を嫌がり...
両親と喧嘩別れすると家を出奔。
騎士への道へと進んだと言うのが経緯だと言うのだ
他人から訊いた話しなので――この話しを鵜呑みにしても良いのか?正直分からないが俺を思った事は、ただ一つ・・・
(アイツも苦労してとるんやなぁ~ ( ¯-¯ ))
そんな事を思っていると客間のドアを開いたので見ると侍女を引き連れたサレンドラ皇后が入ってきたので直ぐに席を立ち『これは皇后陛下!――まさか陛下御自らが、いらっしゃるとは...』と畏まりながら出迎える...
サレンドラ皇后に付き従っていた侍女のエクリア嬢、リエアナ嬢のようだ。
サレンドラ皇后の為に椅子を引いたりしてテキパキと準備を整えている様子が窺えた。
どうやらコーヒー茶会に彼女達も強制参加するようだ・・・大変だな...
やがて主催者である乳母マリーも加わり、しばしばの歓談に付き合わされる
「まったく!サリー 昨日は大変だったのよ?」
「ロナ様ってば木登りなんてなされて本当にお転婆なんだから・・・」
「まあ?!まったく・・・それにしても――ロナってば、あんなにお転婆に育って...いったい誰に似たのかしら!」
話し半分に聞いていたので、あまり真面目に聞いていなかったが二人とも昔話に花が咲いたようでサレンドラ皇后が嘆くと『ロスティックに、まだいらした頃に貴女様もお登りになされていたではありませんか・・・貴女に似たんですよ?サリー』っとサレンドラ皇后にマリーがツッコミを入れているのが辛うじて聞き取れる
ちなみにサリーとはサレンドラ皇后がユガンに嫁ぐ前にロスティック王女だった頃の名前らしい...
皇后陛下がユガンに、お嫁ぎなる際にアリア教の洗礼を受けて今の名前に改名なさったとの事だった
もちろん――この話しを初めて聞かされた時は(えええーー?!仮に美少女だったとしても今は見る影もないのに?!!そんな美少女みたいな可愛らしい名前だったんですか?!!皇后さまーーーぁぁあ"あ"あ"?!!)と、わりと失礼な・・・っというか打ち首――確実だと思われるような事を内心で思っていたのは内緒である...
「ああ・・・私も昔はロナのように美しい女の子だったのに...昔が懐かしい」
それにしても・・・うん?ロナ様?ロナ様とはロナフェミア第二皇女殿下のだろうか?・・・いや、でも二回程度しかお目にかかったくらいしかないが――如何にも気位の高い気品溢れるお淑やかな雰囲気の方だったし――正直あの方が木に登るなんて想像が付かない...
(皇族ではない他の人の事だろう...)っと思い俺は気に留めるのを止めた...
余談だが――どうやら彼女は昔の話を聞いて欲しかったらしく...
その後もロスティック王国から付き人としてサレンドラ皇后に付いて行った自身の境遇を延々と聞かされた正直ウンザリである...
***
そして――ようやく主催者の乳母のマリーが話し疲れ茶会が、とうとうお開きになるかと期待していると...
サレンドラ皇后が『そう言えばサナイ。貴方も良い年頃だし・・・そろそろ結婚相手を選んで見るのも良いとは思わない?ここには貴方の地位と家格に見合った侍女が4人もいる事だし...』っと思わぬ事を言い出したではないか?!!
キラーン☆とセセリア、エクリア 、オレアナ、リエアナの目が光った気がした!!
イカーーーン!!つい最近――飛ぶ鳥を落とす勢いで儲けすぎたせいか?!
気づけば若くて、それなりの地位と財力のある貴族なんて俺くらいじゃないか?!!
・・・っと先ほどのセセリア嬢の話しは、もしかしてフラグだったのか?!!
どうりで、おかしいと思ったよ!!!
・・・嫌である!!異世界に来てまでATM扱いは嫌である!!!
いや・・・っと言うか!
そう言えば思い出して見ればササミ達にはATM扱いされていたんだ💢
所詮――俺は女の子たちの財布か?!!財布なのか!!!
その後アーレ皇太子の為に――どうしても俺を結婚させてユガンに縛り付けておきたい皇后と俺の財産目当てを隠そうともしない彼女達との静かな攻防が繰り広げられたのは言うまでも無い...
もちろん(たかがジュースを販売する許可を得る為に、わざわざ皇帝の許可を得なきゃならんなんて封建制は面倒だな~)と思っているのは内緒である!
***
「うむ、このラムネと言うモノは美味いな~」
懐かしきニッポンの味がするレモネード風清涼飲料――通称ラムネを試飲したラーイ帝が感心したように――そう述べると彼は次にラムネの横に並んだ黒っぽい液体に興味を示す...
「これは?なんと言う飲み物か?サナイ?」
「E150カラメルと微生物の出す二酸化炭素を閉じ込めて作った砂糖入り炭酸水とを希釈して作ったコーラと言う飲み物でございます、陛下。ちなみに香料としてシトラスオイルや柑橘果汁が数パーセントほど入っておりますのでビタミンC不足からくる壊血病の予防対策になるのではないかと期待している所でございます、陛下。」
当然、流れてきにコーラを試飲したラーイ帝は『おおー・・・なんと爽やかな味わいだ!』と述べ『このコーラと言う飲み物・・・気に入ったぞ!』っとジュースの販売権を認める代わりに定期的に皇室に税の一部として献上するように命じられた...
既に皇室には上納金を始め色々と献上させられているが・・・比較的安い原料で作れるコーラでラーイ帝の評価が良くなるなら安いモノだ
何より――ここで(色々と献上させられている事を理由に・・・)献上を拒否してラーイ帝の機嫌を損ねるのは賢い者のする事でもない...
『畏まりました。陛下...』っと従順に振る舞っておくのが得策だろう
そんなアユムの従順な態度に機嫌を良くしたのか?
「ふむ・・・それにしても色々な色の飲み物があるな...全部、試飲するほど喉が渇いていないのが残念なくらいだ・・・その紫色のと黄色い飲み物は何か?サナイ」
世辞なのか、本心なのか?は知らないがラーイ帝が他の飲み物にも興味を示すとアユムは説明を続けた
「紫はブドウ風味――黄色い方はオレンジ味のジュースになります、陛下。」
それに対しラーイ帝は『うむ・・・そう言えば、お主の果樹園では――つい最近、品種改良したとかいう果物を栽培してブランドの果物を栽培しておるのであったな...その本物のブドウやオレンジを使用しておるのか?』と疑問を口したのでアユムは咳払いすると『いいえ、陛下。』と補足すると...
「このジュースは下々の者達にも手に入りやすいよう――安価な値段で大量に製造可能な砂糖水に果物の香り付けがしてあるだけでジュース自体は無果汁です。」
っと説明したので皇帝は『無果汁?うむ・・・下々の者達が飲むとは言え、しかし――それでは果物の味がしないとクレームが来るのでは無いか?』と心配された
しかしラーイ帝の心配をよそに笑みを崩さずにアユムは『ご心労には及びません、陛下。何故なら貴方様に民からの陳情が来るような事はないからです』と述べ...
「面白い事に人間の頭の中にある脳と言う臓器は例え単なる砂糖水でも果物で香り付けさえしてあれば脳が勝手に情報を補完し――果物ジュースを飲んでいると錯覚してしまうのです。」
「それにケルダン賤貨10枚と言う、とても安い値段で販売するので例え無果汁だと知っても下々の者達から文句は出ないでしょう。量産効果が出れば更に安い値段で作れますし民からすれば毎日安い値段で普段、口に出来ないような果物風味の甘い飲み物を飲めるですから...」
・・・と言い『陛下にはお気に召して頂けたようですので――お疑いなら今日持ってきた大量のジュースは置いていくので喉の渇いた時に、いつでも召し上がって下さい。持って帰るのも大変なので...』っと確かめられるように全てのジュースと置いて行く旨を伝えた
『それは気前のよい事だな~』とラーイ帝が和やかに述べるとアユムはジュースのフレーバーの説明をする
「ちなみに青緑色の飲み物はメロンソーダ味になります」
「ほう・・・それはロナが喜びそうな味だな...」
ラーイ帝の言葉にアユムは「はあ?・・・ロナフェミア第二皇女殿下がですか?」っと思わず聞き返してしまう...当然、近くにいた近衛騎士には無礼な態度だと睨まれた!・・・怖っ!!
「うむ、ロナはルクルサ神権国産の【沼地の高級メロン】が好物なのだ」
ラーイ帝から――せっかく問いに答えて貰ったが近衛騎士たちが怖くて、それどころではない!!『さ、左様でございますか...で、では・・・説明は終えたので私めはコレにて下がらせて頂きます!!』と彼は脱兎の如く皇帝の玉座の間から逃げ出した
後に残ったラーイ帝の『うむ・・・せわしい奴よの...』とアユムの居なくなった玉座に響いた...
***
その後、皇帝の玉座の間から逃げ出した俺は――案の定どこかで待ち構えてでも居たのか...
乳母のマリーのコーヒーの招待を受けるハメになった!・・・ストーカーかよ!!!
だが今回は一人ではないようだ・・・先客がいる。
席に座りながら『ご機嫌いかがですかな?――セセリア嬢、オレアナ嬢。』と定例に沿った紳士の挨拶を終えるとコーヒーが出されるまで他の犠牲者たちと歓談することにする
「ご機嫌麗しゅうございます、ケルダン伯」
「あら?ご機嫌よう、ケルダン伯。貴方も乳母のマリーから招待を?」
すると金髪慧眼の侯爵令嬢のセセリア嬢が――そのように反応してくれたので『ええ・・・コーヒーの匂いに釣られましてね...』っと俺は平然と社交辞令に則った――大嘘を吐く...
「そう言えば貴方の所へ赴任なさったヨミちゃんは上手くやっておりますの、伯?」
「ヨミちゃん?」
誰の事だが分からなかったが『騎士ヨルミネイトのことです、伯。』と補足されて――ようやく部下である騎士ヨルミネイト愛称だったのかと理解した...
当然なぜ?――ヨルミネイトの事を侯爵令嬢が知っているのか?っと思い『うん・・・彼女なら領軍で、よくやってくれているけど...貴女と面識が?』と自然の流れで問い正す
するとセセリア嬢は『ええ、私たちが――まだ子どもの頃にエレンダに住んでいた頃は家柄の関係で、よく彼女と遊んだんです♪』と笑顔で答えた
その後も彼女はベラベラと訊いてもない事を話し始め...
それによると――もともとヨルミネイトはエレンダの伯爵家のご令嬢だったらしいのだ?!!
「ええーーー?!伯爵令嬢って上級貴族じゃーん?!!」
前々から(えらく所作が上品だなぁ~)とは思っていたが・・・「それが何で、命がけの騎士なんぞに?!」
当然の疑問にセセリア嬢から返って来た答えはゴリゴリにありがちな話しだった!!それによると...
我が娘を行き遅れにすまいとヨルミネイトの両親は早くから結婚相手を探したが伯爵という家柄上――相手の血統や財力なんかを、なんか色々と考慮した結果――
ヨルミネイトの見合い相手は汚っさんばかりだったらしい!!!
当然――ヨルミネイトは結婚する事を嫌がり...
両親と喧嘩別れすると家を出奔。
騎士への道へと進んだと言うのが経緯だと言うのだ
他人から訊いた話しなので――この話しを鵜呑みにしても良いのか?正直分からないが俺を思った事は、ただ一つ・・・
(アイツも苦労してとるんやなぁ~ ( ¯-¯ ))
そんな事を思っていると客間のドアを開いたので見ると侍女を引き連れたサレンドラ皇后が入ってきたので直ぐに席を立ち『これは皇后陛下!――まさか陛下御自らが、いらっしゃるとは...』と畏まりながら出迎える...
サレンドラ皇后に付き従っていた侍女のエクリア嬢、リエアナ嬢のようだ。
サレンドラ皇后の為に椅子を引いたりしてテキパキと準備を整えている様子が窺えた。
どうやらコーヒー茶会に彼女達も強制参加するようだ・・・大変だな...
やがて主催者である乳母マリーも加わり、しばしばの歓談に付き合わされる
「まったく!サリー 昨日は大変だったのよ?」
「ロナ様ってば木登りなんてなされて本当にお転婆なんだから・・・」
「まあ?!まったく・・・それにしても――ロナってば、あんなにお転婆に育って...いったい誰に似たのかしら!」
話し半分に聞いていたので、あまり真面目に聞いていなかったが二人とも昔話に花が咲いたようでサレンドラ皇后が嘆くと『ロスティックに、まだいらした頃に貴女様もお登りになされていたではありませんか・・・貴女に似たんですよ?サリー』っとサレンドラ皇后にマリーがツッコミを入れているのが辛うじて聞き取れる
ちなみにサリーとはサレンドラ皇后がユガンに嫁ぐ前にロスティック王女だった頃の名前らしい...
皇后陛下がユガンに、お嫁ぎなる際にアリア教の洗礼を受けて今の名前に改名なさったとの事だった
もちろん――この話しを初めて聞かされた時は(えええーー?!仮に美少女だったとしても今は見る影もないのに?!!そんな美少女みたいな可愛らしい名前だったんですか?!!皇后さまーーーぁぁあ"あ"あ"?!!)と、わりと失礼な・・・っというか打ち首――確実だと思われるような事を内心で思っていたのは内緒である...
「ああ・・・私も昔はロナのように美しい女の子だったのに...昔が懐かしい」
それにしても・・・うん?ロナ様?ロナ様とはロナフェミア第二皇女殿下のだろうか?・・・いや、でも二回程度しかお目にかかったくらいしかないが――如何にも気位の高い気品溢れるお淑やかな雰囲気の方だったし――正直あの方が木に登るなんて想像が付かない...
(皇族ではない他の人の事だろう...)っと思い俺は気に留めるのを止めた...
余談だが――どうやら彼女は昔の話を聞いて欲しかったらしく...
その後もロスティック王国から付き人としてサレンドラ皇后に付いて行った自身の境遇を延々と聞かされた正直ウンザリである...
***
そして――ようやく主催者の乳母のマリーが話し疲れ茶会が、とうとうお開きになるかと期待していると...
サレンドラ皇后が『そう言えばサナイ。貴方も良い年頃だし・・・そろそろ結婚相手を選んで見るのも良いとは思わない?ここには貴方の地位と家格に見合った侍女が4人もいる事だし...』っと思わぬ事を言い出したではないか?!!
キラーン☆とセセリア、エクリア 、オレアナ、リエアナの目が光った気がした!!
イカーーーン!!つい最近――飛ぶ鳥を落とす勢いで儲けすぎたせいか?!
気づけば若くて、それなりの地位と財力のある貴族なんて俺くらいじゃないか?!!
・・・っと先ほどのセセリア嬢の話しは、もしかしてフラグだったのか?!!
どうりで、おかしいと思ったよ!!!
・・・嫌である!!異世界に来てまでATM扱いは嫌である!!!
いや・・・っと言うか!
そう言えば思い出して見ればササミ達にはATM扱いされていたんだ💢
所詮――俺は女の子たちの財布か?!!財布なのか!!!
その後アーレ皇太子の為に――どうしても俺を結婚させてユガンに縛り付けておきたい皇后と俺の財産目当てを隠そうともしない彼女達との静かな攻防が繰り広げられたのは言うまでも無い...
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