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第166話:領主様へ...

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同胞と一緒に楽しそうに学校へと通う我が子を見て女性は感動の涙を流した...
孤児院では笑顔がなかった、あの子が今は幸せそうな笑顔で領主様と過ごしている

当時は理由があって手放さざるを得なかった我が子。
――ひとときたりとも、あの子を忘れた事などなかった...
当然、親心としては今すぐにでも、あの子の近くに行って抱きしめたいが――いったい、どんな顔をして捨てたあの子に遭えようか...

何としてでもアユムに感謝を伝えたかった女性は手紙を書き自分のお腹を痛めた我が子に話しかけ手紙を託したのだった

***

おれ宛てに差出人不明の手紙が届いた...
受け取ったココアによれば知らないおばちゃんに手渡されたらしい...

怪しいので手紙の開封を躊躇ったが重要な陳情だったら可哀想なので防護服に着替え防弾ガラス越しに鋼鉄製の箱の中でアームを使い手紙を開封すると手紙には非常に拙いビレネー語で以下のような文が書かれていた...

『突然の手紙を高貴な貴方様へ出す御無礼を、どうかお許しください。ケルダン伯。
わたしは只あなた様が寛大な思いやりの心で子ども達にして下さった事に・・・居ても立ってもいられずに、ただ感謝の言葉を伝えたかっただけなのです...』

『ほん少し前のケルダンでは貧しい家庭や身寄り無い子ども達は物心つく前から厳しい労働をさせられるのが当然で子どもを仕事に送り出す必要がなかったのは一部の裕福な富裕層の人たちだけでした。』

『しかし今、貴方様が創り上げて下さった新しく生まれ変わったケルダンは他の貴族の方が支配する――どの地域のよりも色々な事が違うという事がわかります。ありがとう!!親愛なる領主様へ心からの感謝を込めて...一人の母親より』

手紙を読み終えると――この世界に来て初めて感謝された事に唖然とすると同時に涙が出るほど嬉しさが込み上げた!

「正しい決断だった」

思わず、そう独り言つと俺は大切に手紙を机の引き出しにしまい――後日、買ってきた額縁に、その手紙を飾ったのだった...
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