クラス転移したけどリセマラされる前にバックレる

シューニャ

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第163話:遅すぎたシュークリーム

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アユムはケルダンの幹部や幹部候補生たちを集めた・・・っと言うのもケルダンの規模が少しづつ大きくなるにつれお互い顔も知らない者が増えているからだ
なので彼ら彼女らの歓迎会と顔合わせを含めて集めた訳だが...

「ん"ん~♡ハーフエルフのわたしが――こんな贅沢なモノを頂いていんでしょうか~♡」

「良い訳ないだろう💢只でさえ混ざり物の雑種風情が同じテーブルで食事を共にしている事が不愉快だ💢黙っていろ💢」

「どうして――そんな酷い事を言うんですか💢ミュセルさんが可哀想です💢」

美味しいものを食べれば雰囲気も良くなるだろうと思い厚切りステーキを出したのだがハーフエルフが気に食わない騎士のユユスがミュセルをdisる――とダン!っと長テーブルを叩きサラサが代わりに怒る一方で...

ヨルミネイトと同じエレンダ人の騎士のホイットニーとネルレイア人のアリーゼも出されたシュークリームやショートケーキを巡り剣を抜く事があり歓迎会は大変――剣呑な雰囲気である!!!

【どうしてこうなった!】と思いながらもクリクリの目で左右を見回すアユム!
こんな事ならパーティーで厚切りステーキが出る事をサラサに言わなければ良かった!そもそも彼女は幹部ではないから招いていないのに!

『ステーキ?!そんな高級なモノが出るですか?!はい!サナイ主任!!わたしも食べたいです!私も、ついて行っても良いですか?!』

折角のパーティーだし良いかと思ったが――まさか普段は温厚な二人がバチバチの関係になるとは思わなかったのだ!!!

ヤヤハに続いて男性の護衛も欲しかったので領軍で頭角を顕したユユスを騎士に任命したのは――つい最近でサラサと同じ16歳だから話しが合うだろうと思って連れて来たのに、まさか美人揃いのハーフエルフが嫌いなんて思わなかった!
この完璧なイケメン騎士に性欲はないのか?!!

な、なんとかして問題を一つ片付けねば!!

「ま、まあ。まあ・・・ゆ、ユユス。そんなに悪く言わなくても良いじゃないか?ミュセルは私が呼んだんだ。この私の騎士になった以上――彼女も、このケルダンの大切な仲間だ。ハーフエルフとも仲良くしてくれると私はとても嬉しい...」

直属の上官であるアユムに諭さるとユユスは苦々しい顔をしながらも『はい!卿、申し訳ありません。場の空気を悪くするつもりはなかったのですが...』と釈明し矛を収めた。

一方、アユムに大切な仲間と言われた事が嬉しかったのだろう...
怒鳴られ怯えたミュセルは再び笑顔を取り戻したので『気を悪くさせて悪かったね...ユユスは忠誠心の厚い子で悪い奴じゃないんだ...何か言われたら、また私に言いなさい...』と小声で、すかさずユユスとミュセルをフォローしておく...

するとミュセルは「はい!怒鳴られるのは馴れているので大丈夫です!お気遣いありがとうございます!領主様!」小声ではあるが元気一杯に応えてきた

二回目に彼女に会った時はアユムが領主である事が分かったのでウザいくらい『偉大な領主様!』『今日もかっこいいですね!』っと甘辞を弄されて――(もしかして裏表のある性格なのか?)とショックを受けたアユムであったが、今にして思えばアレは恐らくハーフエルフという出自を不安に感じての事だったのだろうと思う

野郎はどうでも良いが彼女は大切にしてあげたい...

そんな保護欲に駆られていると最後に残ったシュークリームを誰が食べるかで女性陣が揉め始めていた

特にヨルミネイトと偵察隊を率いているエブリの争いが激しい!『シュークリームは今世紀一番の発明!先輩の顔を立てて譲れ!』とヨルミネイトは言いエブリは『先輩なら後輩に譲るべき!貴女の要求は不当!』と主張しているようだ!

し、仕方がない・・・ここはホイットニーの親友であり弓兵隊を率いていて一番しっかり者のセーラに場を収めて貰おう...

そう考えたアユムがセーラに目で合図すると彼女は...

ハッ?!と目を輝かせると突然――背中に掛けていた弓を引き『そのシュークリームは名誉伯の信任を得た、この私が貰い受ける!!』と争いを拡大させたではないか?!!

ち、ちがーーーーーーうぅぅぅううう!!!そうじゃない!!!
どうして、そんな解釈になった!!とアユムは頭を抱える!!

しかもセーラが争いに参加した事により言い争いから乱闘騒ぎに発展してしまったのだ!!

だが、こんな時の為に衛兵隊長を任せているヴェルマがいる!!出番だぞ!!
そう思いヴェルマの方を見る!!

「おい!きしゃま!ハーフエルフー!もしケルにゃんで悪さをしていみぃろ!ヒック!わたひぃが相手になってひゃるからな!ヒック!」

ぎゃぁぁあああーーー!!!
泥酔してミュセルに絡み酒をしているぅぅぅるるる!!!
と言うか!!この世界での乱闘が珍しくないからって――さぞ何事かもないように振る舞うなんてあんがい君たち図太いねぇー?!!

アユム身を屈めながら、そんな風に突っ込んでいる誰が投げたのか?!!
ミュセルの頭上めがけて酒瓶が飛んできた!!
すると「危ない!」と言うのも束の間――酒瓶にミュセルが後頭部に当たり『何するんですか💢』っと当然ミュセルは切れ...

「ウインドミル!!💢」と、ひと言唱えるっと!

突然、彼女の周りに旋風が怒り、うっすらと衝撃波らしき二本の線が奔った!!!
それと同時にアユムは『うわぁぁあああーーー!!!』と悲鳴も奔る!
それもその筈――衝撃波らしきモノが室内の色々な調度品を裁断していったのだ!!

「新調したばかりの長テーブルがぁぁあ"あ"あ"!!高かったのにぃぃいー!!!」

しかも最悪な事に最後はヨルミネイトに穴を開けられ直したばかりの外壁の内壁に乗用車が通りそうな大きな穴まで開いたではないか?!!

「ぎゃぁぁあああああ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!!!!直したばかりの壁ががぁっぁぁあああああ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!!!!!!」

これには流石に若くて美人な女の子たちに弱いアユムも...

「うわぁぁぁあ"あ"あ"んん~(泣)次回から各自武器の持ち込みは禁止だぁぁあああぁぁ~!!!給金も今月は出してやらないからなぁ~(泣)」

・・・っと彼女らがドン引きするくらいに17歳の男子と思えないくらい大泣きしたほどだ!

もちろん幹部や幹部候補生たちは今月の給金が出ない事に『そんな?!』と絶望した様子だったが、それでも今月分の給金が出ないだけでクビにならないだけマシであった

何故なら彼女らが壊した物の値段と彼女ら全員の今月分の給金を比べても足しにもならない値段だからである

むしろ――このくらいの処罰で済ませたアユムは優しかったくらいだ

ちなみに――のちに新しく作ったシュークリームを食事用カートで運んできたヴァーニャがパーティー会場に続く部屋を開けると――いつの間にパーティー会場が散らかった吹き抜けの部屋になっていた惨状になっていた為...
彼女が『なにごとぉ~?!!』と驚いた声を挙げたのは言うまでもないである

さぞかし彼女の驚愕の声はアユムの泣き声に混じりユガンの寒空に良く響いた事だろう
願わくば主人公のアユムに幸あらん事を...
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