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第161話:ローレライ
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嶺山紗弓、結城雪奈両名がマグナス魔法国の母港を発って――しばらく
マグナス魔法国――遠洋
船団を組んで進む帆船の甲板上で嶺山紗弓は艶々のたおやかな黒髪を潮風に靡かせながら頬にやんわりと優しく当たる風を感じていた
この世界でもオセロのようなボードゲームくらいはあり船内では結城雪奈と共にボードゲームに興じていたが案の定――飽きてしまい...
これなら外の景色を見ていた方がマシだと思い甲板に出たが見渡す限りの海で景色は変わり映えしないため気分転換にはならなかった
そんな嶺山が甲板にいると甲板と船の中を行き来する床扉から結城雪奈が姿を現す
「サユミちゃん、さっき使節団の人に聞いたんだけど・・・もうすぐソリスの海に入るらしいよ」
どうやら彼女によると彼女達はまもなく――西の海洋国家ソリスの海域に入るであろうと言う所にまで差し掛かっているようだ。雪菜の発言に嶺山は『そうなんだ・・・わざわざ聞いてきてくれたんだ。ありがとう雪ちゃん』と礼を述べる
ちなみに彼女達の乗っているのは聖アリュレイン王国の軍船などではない...
そもそも海洋国でもないアリュレインでは遠洋を航海できる外洋船など持っていないからだ
彼女達が乗っているのはアリュレインから随伴した護衛の騎士や使節団の面々が長い説得を経てマグナス魔法国に品物を運び終え滞在していた遠洋航海が可能なソリスの商船である
船を操舵できる人間が必要と言う事で急遽――船員ごと徴発されたので、この運の悪い哀れな商船と――その船乗り達とは当然、少なからず揉めたが揉めたのは金銭の額ではない
彼らと揉めたのは...
彼らに【船に女を乗せると船は必ず海難事故に巻き込まれ戻って来れず――その船に乗る船乗り達も決して生きて戻って来る事は出来ないのだ】と言う迷信めいた伝承が昔から言い伝えられてきたからだ。
彼らは言った・・・
「勇者と言えども――船に女を乗っけるなんて冗談じゃねぇ!災いに巻き込まれちまう!」
「女を船に乗っけねぇのが俺たちの掟だ!他をあたりな」
これには元の世界の道徳的倫理感を持つ嶺山紗弓も思わず『伝承や職業による風習で女性に不当な扱いをするなんて💢』と反発したが船の船員たちの怯える様子は尋常ではなかったため...
もしかすれば(自分達にもら本当に災いが降りかかるのだろうか?)と思わず懸念したほどだ
現に――ここに来るまでに海、空からは魔物が・・・そして島影に隠れた海賊船が現れ既に3回ほど襲撃されており彼女達のせいでないにも拘わらず船乗り達からは『ほら見たことか...』『疫病神めっ...』と陰口を叩かれるほど船は険悪なムードである
勿論そのような悪口を言おうモノなら一緒に来た護衛の騎士たちが『なんだと・・・勇者様の御陰で五体満足でいられるだぞ💢ソリス人』『先ほどの戦闘は誰のおかげで生き残れたと思っているんだ💢撤回しろ💢』と擁護してくれるが――やはり雰囲気が悪いのは変わりない...
(今にも船内で反乱が起きそうな雰囲気ね...)
嶺山紗弓が――そんな心配をしていた時だった...
突然ドーン!っと船が何かに当たったような音と共に急停止したのだ!
同時に異変に気付いたソリスの船乗り達が船の状況を確認しているのであろう・・・緊迫した様子でスペイン語に似たソリス語を使っての会話が飛び交った!
何事かと思い状況を確認する為に冷静に辺りを見回すと――ある違和感に気付く!
何かの障害物に当たり座礁したのなら前方の船は何故?何にも衝突しなかったのか?!
一方、船に起きた異変に再び床扉から飛び出して来た結城雪菜も――咄嗟にある事に気が付く!
雪奈が『さゆみちゃん!』っと緊迫した声で肩を叩いたので見てみると・・・いつの間にか――ソリスの船乗り達が遙か海の彼方であるハズの左舷左前を驚愕した表情で指指していた!
彼らの示している方向を見ると――その方向には・・・
先ほどまでは雲一つない晴天であったハズだが――いつの間に現れたのだろうか?!
濃く大きな霧が発生していた!
しかも、まるで何者かに導かれているかのように――みるみるとコチラに迫って来ているではないか?!
まるで、このまま船団を飲み込んで視界を塞ぐ事が目的かのような・・・あまり明確な悪意を感じる霧だ...
そんな不自然で不吉な霧に全員が驚いていると誰かの悲鳴が響いた!!
何事かと思い悲鳴の方向を見ると――そこには...
これはタコかイカか?!!巨大な頭足類だと思われる吸盤の付いた足が海から現れ船乗りを絡め取って海に引きずり込んでいったではないか?!!
あまりの突然の出来事に全員が青ざめ呆然としている!!
目の前で起きた凄惨な出来事で――ふっと他の船の無事が気になったサユミは急いで周りの船を確認した!
気づけば既に船団は濃い霧に吞まれていたが辛うじて他の船の姿が確認出来る...
どうやら他の船は霧に乗じて船によじ登って来る何かと交戦中のようだ!
(あれは・・・まさか半魚人?!)
そうこうしている内にコチラの船にも半魚人がよじ登ってきた!
随伴してきた騎士たちに加勢する形でソリスの船乗り達も銛やカットラスを手に襲いかかってくる半魚人に抵抗する!
当然、嶺山や結城も攻撃に参加し次々に奴らを斬り伏せていく...
だが驚くべき事に襲ってきた敵にも作戦があるようだ
なんと!彼らは出来る限り船上での戦いは避けて味方を海に叩き落とすという組織だった戦法に打って出て来たのだ
海に落ちれば最後――半魚人に随伴してきたのであろう人魚達によって瞬く間に襲われ海面は落ちた者の血で染まった...
野性的で本能に従い攻撃してくるハズの魔物が徒党を組んで戦術的に襲ってくるなど本来、有り得ない事だ!
明らかに今回の攻撃を指揮している者が居る!
良くない事に嶺山、結城には異なる種族の魔物が徒党を組んで攻撃を仕掛けてくる――このような状況に思い当たる節があった
そう・・・本来なら意思疎通すら困難であるハズの魔物や魔獣をまとめ上げ、こんな組織だった事を唯一できる組織など一つしかない...
(魔王軍?!そんな!まさか?!海にまで!)
そんな考えが過ぎった瞬間――
血生臭い空間には不自然な童女と思われる不気味な笑い声が所構わず響いた...
空間にではない・・・脳内に直接、伝えられている!
気がおかしくなりそうな笑い声だ...
『ねぇ?お姉ちゃん。こっち・・・一緒に遊ぼうよ』
『淋しいの...ねぇ?こっちに来て』
何かがおかしい・・・混濁する意識の中で可憐な童女が話しかけて来る...
彼女を淋しがらせてはイケない・・・行かなければ...
何を思ったのか?嶺山が船のテラスに片足をかけ今にも海に飛び込もうとしていた――その時!!
『駄目!サユミちゃん!危ない!!』
雪奈に首根っこ掴まれ船内に引き戻された嶺山は自身の行動に唖然とした!
結城雪奈に止めて貰わなければ・・・あと――もう少しで他の操られた者達と同様の運命を辿っていた事だろう
嶺山が雪奈に助けられた事への礼を述べ立ち上がった瞬間――
「あ~あ、後もう少しでお姉ちゃんを殺せたのに・・・残念。」
愛らしい声でサイコで猟奇的な発言が聞こえた!
声の聞こえた方に振り返ると――唐突に海水の一部が宙に浮き、その海水の塊は――やがて可憐な童女へと変化する...
「わたしはローレライ。お姉ちゃん遊ぼう?すぐに他の人間みたいに殺して・・・」
ローレライは嶺山達への明確な殺意を述べていると突然、攻撃を受けた彼女は姿を崩し再び海水へと戻されてしまう!
ご託に付き合うつもりなどない結城雪奈の氷結攻撃が炸裂したのだ!
しかしローレライは健在のようで直ぐに――どこからともなく『も~ぉ💢攻撃的だなぁ~ こうなったら銀髪のお姉ちゃんから殺してやるんだからー!!』と不機嫌な彼女の声が聞こえてきた
こうして怒り狂ったローレライとの戦端が開かれた!!
先制したのはローレライである!
反響するローレライの美しい鼻歌が周囲に聞こえ出すと海面から渦を巻いた長細い海水が浮き上がり槍のような海水のドリルが雪奈と嶺山めがけて襲いかかって来たのだ
当然ふたりの勇者は攻撃を避けながらも果敢に童女に立ち向かうが攻撃は刺突のような原始的な方法だけでない...
同じく海面から生え出た海水のドリルのようなモノから高速で撃ち出されるウォーターアローが船上に次々と投射してくるのだ!!
しかもローレライは攻撃が当たらないと判断するや否や更に海水のドリルのような触手を増やして対応してきた!!
船の両側から攻撃され徐々に戦いは追い詰められゆく...
もちろん船上では船が破壊される恐れがあるため強力なウエポンズスキルが使えないと言うのも苦戦の一因だ
そうこうしている内に船上に散らばった帆を張る縄に足を捕られた嶺山が跪く!
「きゃ!!」
「サユミちゃん!!」
このままでは格好の標的になるのは明白!!
嶺山のピンチに結城雪奈はイチかバチかの賭けに打って出る!
「やぁあああああ!!!」
何を思ったのか?!突然――船外へと走り出した雪奈を見て『雪ちゃん?!』と嶺山紗弓は驚く!!船外には人食い人魚たちがいるのに――
「駄目ぇ!!雪ちゃん!!!」
嶺山の制止にも構わず雪奈は走り抜けると彼女は自身のウエポンズスキルの光を纏いながら海面に剣を突き立てる!!
雪奈が海面に剣を突き立てた瞬間――眩い青白い光と共に海面が一気に凍りついてゆき人食い人魚たちは全滅。
雪奈の突然の思い切った行動に焦ったローレライは急いで潜んでいた海面から飛び出すが少し遅かったようだ!
「ぁぁああああ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」
ローレライの悲痛に耐える悲鳴が聞こえると同時にローレライは姿を現した――見る限り彼女の両足は凍りついている!それなり深手だったようでローレライは可憐な、その顔を苦痛に顔を歪めている
「お姉ちゃん達💢ソリスの大艦隊が近づいて来ているみたいだから💢今日はコレくらいにしておいてあげる💢でも覚えていて💢」
『今度、遭ったら必ず殺してあげるんだから・・・』彼女は、そう殺意を露わにしながら濃い霧が飛散していった...
ローレライとの死闘のすえ辛勝を勝ち取った後に残ったのは敵と味方の亡骸と血溜まり・・・そして海の彼方に見えるソリスの大艦隊に歓喜する生き残った者達の歓声であった...
彼らの歓声は大空にまで響くだろう...
もちろん魔力の過剰放出で立てない所か意識が朦朧とする雪奈を心配する嶺山を除いてはだが...
マグナス魔法国――遠洋
船団を組んで進む帆船の甲板上で嶺山紗弓は艶々のたおやかな黒髪を潮風に靡かせながら頬にやんわりと優しく当たる風を感じていた
この世界でもオセロのようなボードゲームくらいはあり船内では結城雪奈と共にボードゲームに興じていたが案の定――飽きてしまい...
これなら外の景色を見ていた方がマシだと思い甲板に出たが見渡す限りの海で景色は変わり映えしないため気分転換にはならなかった
そんな嶺山が甲板にいると甲板と船の中を行き来する床扉から結城雪奈が姿を現す
「サユミちゃん、さっき使節団の人に聞いたんだけど・・・もうすぐソリスの海に入るらしいよ」
どうやら彼女によると彼女達はまもなく――西の海洋国家ソリスの海域に入るであろうと言う所にまで差し掛かっているようだ。雪菜の発言に嶺山は『そうなんだ・・・わざわざ聞いてきてくれたんだ。ありがとう雪ちゃん』と礼を述べる
ちなみに彼女達の乗っているのは聖アリュレイン王国の軍船などではない...
そもそも海洋国でもないアリュレインでは遠洋を航海できる外洋船など持っていないからだ
彼女達が乗っているのはアリュレインから随伴した護衛の騎士や使節団の面々が長い説得を経てマグナス魔法国に品物を運び終え滞在していた遠洋航海が可能なソリスの商船である
船を操舵できる人間が必要と言う事で急遽――船員ごと徴発されたので、この運の悪い哀れな商船と――その船乗り達とは当然、少なからず揉めたが揉めたのは金銭の額ではない
彼らと揉めたのは...
彼らに【船に女を乗せると船は必ず海難事故に巻き込まれ戻って来れず――その船に乗る船乗り達も決して生きて戻って来る事は出来ないのだ】と言う迷信めいた伝承が昔から言い伝えられてきたからだ。
彼らは言った・・・
「勇者と言えども――船に女を乗っけるなんて冗談じゃねぇ!災いに巻き込まれちまう!」
「女を船に乗っけねぇのが俺たちの掟だ!他をあたりな」
これには元の世界の道徳的倫理感を持つ嶺山紗弓も思わず『伝承や職業による風習で女性に不当な扱いをするなんて💢』と反発したが船の船員たちの怯える様子は尋常ではなかったため...
もしかすれば(自分達にもら本当に災いが降りかかるのだろうか?)と思わず懸念したほどだ
現に――ここに来るまでに海、空からは魔物が・・・そして島影に隠れた海賊船が現れ既に3回ほど襲撃されており彼女達のせいでないにも拘わらず船乗り達からは『ほら見たことか...』『疫病神めっ...』と陰口を叩かれるほど船は険悪なムードである
勿論そのような悪口を言おうモノなら一緒に来た護衛の騎士たちが『なんだと・・・勇者様の御陰で五体満足でいられるだぞ💢ソリス人』『先ほどの戦闘は誰のおかげで生き残れたと思っているんだ💢撤回しろ💢』と擁護してくれるが――やはり雰囲気が悪いのは変わりない...
(今にも船内で反乱が起きそうな雰囲気ね...)
嶺山紗弓が――そんな心配をしていた時だった...
突然ドーン!っと船が何かに当たったような音と共に急停止したのだ!
同時に異変に気付いたソリスの船乗り達が船の状況を確認しているのであろう・・・緊迫した様子でスペイン語に似たソリス語を使っての会話が飛び交った!
何事かと思い状況を確認する為に冷静に辺りを見回すと――ある違和感に気付く!
何かの障害物に当たり座礁したのなら前方の船は何故?何にも衝突しなかったのか?!
一方、船に起きた異変に再び床扉から飛び出して来た結城雪菜も――咄嗟にある事に気が付く!
雪奈が『さゆみちゃん!』っと緊迫した声で肩を叩いたので見てみると・・・いつの間にか――ソリスの船乗り達が遙か海の彼方であるハズの左舷左前を驚愕した表情で指指していた!
彼らの示している方向を見ると――その方向には・・・
先ほどまでは雲一つない晴天であったハズだが――いつの間に現れたのだろうか?!
濃く大きな霧が発生していた!
しかも、まるで何者かに導かれているかのように――みるみるとコチラに迫って来ているではないか?!
まるで、このまま船団を飲み込んで視界を塞ぐ事が目的かのような・・・あまり明確な悪意を感じる霧だ...
そんな不自然で不吉な霧に全員が驚いていると誰かの悲鳴が響いた!!
何事かと思い悲鳴の方向を見ると――そこには...
これはタコかイカか?!!巨大な頭足類だと思われる吸盤の付いた足が海から現れ船乗りを絡め取って海に引きずり込んでいったではないか?!!
あまりの突然の出来事に全員が青ざめ呆然としている!!
目の前で起きた凄惨な出来事で――ふっと他の船の無事が気になったサユミは急いで周りの船を確認した!
気づけば既に船団は濃い霧に吞まれていたが辛うじて他の船の姿が確認出来る...
どうやら他の船は霧に乗じて船によじ登って来る何かと交戦中のようだ!
(あれは・・・まさか半魚人?!)
そうこうしている内にコチラの船にも半魚人がよじ登ってきた!
随伴してきた騎士たちに加勢する形でソリスの船乗り達も銛やカットラスを手に襲いかかってくる半魚人に抵抗する!
当然、嶺山や結城も攻撃に参加し次々に奴らを斬り伏せていく...
だが驚くべき事に襲ってきた敵にも作戦があるようだ
なんと!彼らは出来る限り船上での戦いは避けて味方を海に叩き落とすという組織だった戦法に打って出て来たのだ
海に落ちれば最後――半魚人に随伴してきたのであろう人魚達によって瞬く間に襲われ海面は落ちた者の血で染まった...
野性的で本能に従い攻撃してくるハズの魔物が徒党を組んで戦術的に襲ってくるなど本来、有り得ない事だ!
明らかに今回の攻撃を指揮している者が居る!
良くない事に嶺山、結城には異なる種族の魔物が徒党を組んで攻撃を仕掛けてくる――このような状況に思い当たる節があった
そう・・・本来なら意思疎通すら困難であるハズの魔物や魔獣をまとめ上げ、こんな組織だった事を唯一できる組織など一つしかない...
(魔王軍?!そんな!まさか?!海にまで!)
そんな考えが過ぎった瞬間――
血生臭い空間には不自然な童女と思われる不気味な笑い声が所構わず響いた...
空間にではない・・・脳内に直接、伝えられている!
気がおかしくなりそうな笑い声だ...
『ねぇ?お姉ちゃん。こっち・・・一緒に遊ぼうよ』
『淋しいの...ねぇ?こっちに来て』
何かがおかしい・・・混濁する意識の中で可憐な童女が話しかけて来る...
彼女を淋しがらせてはイケない・・・行かなければ...
何を思ったのか?嶺山が船のテラスに片足をかけ今にも海に飛び込もうとしていた――その時!!
『駄目!サユミちゃん!危ない!!』
雪奈に首根っこ掴まれ船内に引き戻された嶺山は自身の行動に唖然とした!
結城雪奈に止めて貰わなければ・・・あと――もう少しで他の操られた者達と同様の運命を辿っていた事だろう
嶺山が雪奈に助けられた事への礼を述べ立ち上がった瞬間――
「あ~あ、後もう少しでお姉ちゃんを殺せたのに・・・残念。」
愛らしい声でサイコで猟奇的な発言が聞こえた!
声の聞こえた方に振り返ると――唐突に海水の一部が宙に浮き、その海水の塊は――やがて可憐な童女へと変化する...
「わたしはローレライ。お姉ちゃん遊ぼう?すぐに他の人間みたいに殺して・・・」
ローレライは嶺山達への明確な殺意を述べていると突然、攻撃を受けた彼女は姿を崩し再び海水へと戻されてしまう!
ご託に付き合うつもりなどない結城雪奈の氷結攻撃が炸裂したのだ!
しかしローレライは健在のようで直ぐに――どこからともなく『も~ぉ💢攻撃的だなぁ~ こうなったら銀髪のお姉ちゃんから殺してやるんだからー!!』と不機嫌な彼女の声が聞こえてきた
こうして怒り狂ったローレライとの戦端が開かれた!!
先制したのはローレライである!
反響するローレライの美しい鼻歌が周囲に聞こえ出すと海面から渦を巻いた長細い海水が浮き上がり槍のような海水のドリルが雪奈と嶺山めがけて襲いかかって来たのだ
当然ふたりの勇者は攻撃を避けながらも果敢に童女に立ち向かうが攻撃は刺突のような原始的な方法だけでない...
同じく海面から生え出た海水のドリルのようなモノから高速で撃ち出されるウォーターアローが船上に次々と投射してくるのだ!!
しかもローレライは攻撃が当たらないと判断するや否や更に海水のドリルのような触手を増やして対応してきた!!
船の両側から攻撃され徐々に戦いは追い詰められゆく...
もちろん船上では船が破壊される恐れがあるため強力なウエポンズスキルが使えないと言うのも苦戦の一因だ
そうこうしている内に船上に散らばった帆を張る縄に足を捕られた嶺山が跪く!
「きゃ!!」
「サユミちゃん!!」
このままでは格好の標的になるのは明白!!
嶺山のピンチに結城雪奈はイチかバチかの賭けに打って出る!
「やぁあああああ!!!」
何を思ったのか?!突然――船外へと走り出した雪奈を見て『雪ちゃん?!』と嶺山紗弓は驚く!!船外には人食い人魚たちがいるのに――
「駄目ぇ!!雪ちゃん!!!」
嶺山の制止にも構わず雪奈は走り抜けると彼女は自身のウエポンズスキルの光を纏いながら海面に剣を突き立てる!!
雪奈が海面に剣を突き立てた瞬間――眩い青白い光と共に海面が一気に凍りついてゆき人食い人魚たちは全滅。
雪奈の突然の思い切った行動に焦ったローレライは急いで潜んでいた海面から飛び出すが少し遅かったようだ!
「ぁぁああああ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」
ローレライの悲痛に耐える悲鳴が聞こえると同時にローレライは姿を現した――見る限り彼女の両足は凍りついている!それなり深手だったようでローレライは可憐な、その顔を苦痛に顔を歪めている
「お姉ちゃん達💢ソリスの大艦隊が近づいて来ているみたいだから💢今日はコレくらいにしておいてあげる💢でも覚えていて💢」
『今度、遭ったら必ず殺してあげるんだから・・・』彼女は、そう殺意を露わにしながら濃い霧が飛散していった...
ローレライとの死闘のすえ辛勝を勝ち取った後に残ったのは敵と味方の亡骸と血溜まり・・・そして海の彼方に見えるソリスの大艦隊に歓喜する生き残った者達の歓声であった...
彼らの歓声は大空にまで響くだろう...
もちろん魔力の過剰放出で立てない所か意識が朦朧とする雪奈を心配する嶺山を除いてはだが...
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