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第160話:円卓の会議3
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「勇者が、また死んだらしいな?ヴィネス・・・」
桐谷の取り巻き女子たちが死んだと報告を受けたアッパス一六世が威厳のある声で女神ヴィネスに問うとヴィネスは『ええ、それはもう御遺体も残らない程に・・・本当に困りましたわ~』と応えながらワザとらしく頬に手を当てて困ったアピールをした
「戦力が減っている・・・先の戦いで戦意を喪失した勇者達の方は?」
「洗脳魔法の応用で恐怖心と戦いの記憶を和らげましたから――もう少し時間を頂ければ戦えます。」
『それは朗報だな』と応えながらアッパスの顔は冴えない...
以前から彼ら彼女らの了承を得ずに秘密裏に恐怖心や痛覚が鈍くなる魔法や戦意が高揚する魔術を加護と称して、かけていたが女子の方は自己主張が強くなり男子の方は凶暴性が増したからだ
まだ自国なら良いが他国では――どうしても隠蔽しにくい。
他の勇者がまた前のシーザーの時のように民草の反感を煽る事件を起こしたら面倒だ
だが副作用のない魔法や魔術などない・・・残念ながら問題は起きるだろう...
まあ勇者が問題を起こしたとしても『アリュレインは今まで勇者を召喚する重責を一挙に背負ってきた』と人類に対する献身を盾に言い訳するだけだが...
「勇者キリタニを支える同行者の手配は――どうなっている?」
「勇者キリタニの活躍を聞き及んだ多くの者が志願してきたので一線級の冒険者の中から特に有望な冒険者を見繕っている最中です。すぐに見つかるでしょう」
「冒険者か・・・」
冒険者・・・元の世界でゲームかアニメにしか出てこない謎の職業だが――ナーロッパ風の剣と魔法の世界と言う世界という事もあり、この不思議な世界では冒険者という制度が実際に存在する...
当然――そのような制度が存在するのには理由があった
この世界では食糧生産が追いついていないにも拘わらず性行為以外の娯楽が極端に少ない事に加え生地魔法なんて言う便利なモノがあるせいで元から死ぬ人間が少なかったのだ
なら魔法で性行為以外の娯楽や食料生産に直結するテクノロジーを開発すれば良いのではないか?っと指摘したくなるだろうが残念ながら話を聞く限り――そう上手くはいかないのが現状である
当然――以前から魔法は病気の克服など命を守ったり人間に害を成す危険生物を排除する武器や防具などの実用性の高いモノが優先せざる負えない訳だが元の世界と違って積極的に人を食べる魔物や魔獣が存在する事に加え...
今回の魔王の復活と魔王軍の影響で軍備の生産が優先された結果――只でさえ少ない食料の生産やそれら魔法を使用する生産設備の開発計画が止まってしまっている状況なのだ
更にオマケと言わんばかりに脅威は此度の魔王軍だけでなく悪魔に魔人それらが信奉する魔神も存在するので、それらへの対処も必要なる
しかも、この世界は社会自体が極端に魔法に依存するインフラの構造なので設備を一度でも破壊されれば少ない生産が更に少なくなるうえ設備自体が大変高度で高価なのでの一度でも破壊されてしまえば復旧するのは絶望的だ
そこで平時でも軍事組織以外で戦える人間をある程度――用意しておく必要がある
ここで冒険者制度と冒険者が必要となってくる訳だ
言うまでも無く戦いにおいて数を揃えるというのは重要な事で...
元の世界でも昔の戦争などで普段から銃の腕前が巧みであるという理由で猟師や狩人が――的確に海流や潮風を捉え船を操舵できる技術があると言う理由で水夫や漁師たちが強制的に軍に登用されたように有事には冒険者を戦力として徴兵するのは言うまでもない事だろう
当然――冒険者の中には行軍に必要な野営や野宿、サバイバルや応急手当などの知見を持った専門のスキルを持ったプロフェッショナル者が居て...
これは非常に重要な事で一から教育する必要がないうえ冒険者制度があれば戦う為の装備や携行食糧は各々が用意してくれるため維持費用が掛からないので常設の軍隊を持てる経済力のない都市や町にとっては有事の際はありがたい...
つまり有事には貴重な戦力となりうると言う訳だ
もちろん冒険者と言っても戦える技術を持っていない一般人と変わらない者から盗賊すれすれの素行の良くない傭兵まがいの仕事をしている者までいるので戦力としての質はピンキリだが少なくとも頭数は揃えられる
最悪――冒険者同士で連携がとれなくても肉壁として使えるし戦死しても口減らしになるので人道的観点を除けばと良くも悪くも合理的な考えと言えるだろう
そして何よりも重要なのは魔物や魔獣との戦いに勝利すれば貴重な食肉や武器の材料――この世界で石油に代わるエネルギー源として消費される魔石を採掘する以外で入手できる事だ
このようにして採れる魔物や魔獣から得られた魔石は採掘される魔石よりも生物濃縮でもされているのか?討伐の難しい巨大か強力な魔物や魔獣ほどエネルギーの質が良く、使った際のエネルギー効率も良い事が多いのだ
もちろん採掘される魔石は魔物や魔獣と戦う必要がないぶん――比較的、安全に採れるハズ・・・なのだが...
有望な鉱脈は大抵――魔素や餌を求めていると思われる強力な魔物や魔獣が生息している事が多く・・・ゆえに安全に採掘出来る場所は各国で常に取り合いになっており魔石が――この世界における主要な争いの一因になる・・・っと言う事も珍しくない...
このように只でさえ苦しい情勢なので当然ながら例え勇者の生きた死んだなど――いちいち調べるヒマなどない...
それこそ他の世界から学生を召喚しなければならないほどに...
「なるほど・・・勇者キリタニの件は了承した。それで?・・・対岸の出来事だと今まで態度を保留していた西の海洋国家のソリスには?」
「その件には勇者ミネヤマと勇者ユイジョウが志願して下さいましたので既に護衛の者達と使節団と共に・・・今頃、洋上でしょう」
『色好い返事が貰えると良いが・・・』
問題山積の現状にアッパスは頭を抱えるようにして天を仰ぐのであった
桐谷の取り巻き女子たちが死んだと報告を受けたアッパス一六世が威厳のある声で女神ヴィネスに問うとヴィネスは『ええ、それはもう御遺体も残らない程に・・・本当に困りましたわ~』と応えながらワザとらしく頬に手を当てて困ったアピールをした
「戦力が減っている・・・先の戦いで戦意を喪失した勇者達の方は?」
「洗脳魔法の応用で恐怖心と戦いの記憶を和らげましたから――もう少し時間を頂ければ戦えます。」
『それは朗報だな』と応えながらアッパスの顔は冴えない...
以前から彼ら彼女らの了承を得ずに秘密裏に恐怖心や痛覚が鈍くなる魔法や戦意が高揚する魔術を加護と称して、かけていたが女子の方は自己主張が強くなり男子の方は凶暴性が増したからだ
まだ自国なら良いが他国では――どうしても隠蔽しにくい。
他の勇者がまた前のシーザーの時のように民草の反感を煽る事件を起こしたら面倒だ
だが副作用のない魔法や魔術などない・・・残念ながら問題は起きるだろう...
まあ勇者が問題を起こしたとしても『アリュレインは今まで勇者を召喚する重責を一挙に背負ってきた』と人類に対する献身を盾に言い訳するだけだが...
「勇者キリタニを支える同行者の手配は――どうなっている?」
「勇者キリタニの活躍を聞き及んだ多くの者が志願してきたので一線級の冒険者の中から特に有望な冒険者を見繕っている最中です。すぐに見つかるでしょう」
「冒険者か・・・」
冒険者・・・元の世界でゲームかアニメにしか出てこない謎の職業だが――ナーロッパ風の剣と魔法の世界と言う世界という事もあり、この不思議な世界では冒険者という制度が実際に存在する...
当然――そのような制度が存在するのには理由があった
この世界では食糧生産が追いついていないにも拘わらず性行為以外の娯楽が極端に少ない事に加え生地魔法なんて言う便利なモノがあるせいで元から死ぬ人間が少なかったのだ
なら魔法で性行為以外の娯楽や食料生産に直結するテクノロジーを開発すれば良いのではないか?っと指摘したくなるだろうが残念ながら話を聞く限り――そう上手くはいかないのが現状である
当然――以前から魔法は病気の克服など命を守ったり人間に害を成す危険生物を排除する武器や防具などの実用性の高いモノが優先せざる負えない訳だが元の世界と違って積極的に人を食べる魔物や魔獣が存在する事に加え...
今回の魔王の復活と魔王軍の影響で軍備の生産が優先された結果――只でさえ少ない食料の生産やそれら魔法を使用する生産設備の開発計画が止まってしまっている状況なのだ
更にオマケと言わんばかりに脅威は此度の魔王軍だけでなく悪魔に魔人それらが信奉する魔神も存在するので、それらへの対処も必要なる
しかも、この世界は社会自体が極端に魔法に依存するインフラの構造なので設備を一度でも破壊されれば少ない生産が更に少なくなるうえ設備自体が大変高度で高価なのでの一度でも破壊されてしまえば復旧するのは絶望的だ
そこで平時でも軍事組織以外で戦える人間をある程度――用意しておく必要がある
ここで冒険者制度と冒険者が必要となってくる訳だ
言うまでも無く戦いにおいて数を揃えるというのは重要な事で...
元の世界でも昔の戦争などで普段から銃の腕前が巧みであるという理由で猟師や狩人が――的確に海流や潮風を捉え船を操舵できる技術があると言う理由で水夫や漁師たちが強制的に軍に登用されたように有事には冒険者を戦力として徴兵するのは言うまでもない事だろう
当然――冒険者の中には行軍に必要な野営や野宿、サバイバルや応急手当などの知見を持った専門のスキルを持ったプロフェッショナル者が居て...
これは非常に重要な事で一から教育する必要がないうえ冒険者制度があれば戦う為の装備や携行食糧は各々が用意してくれるため維持費用が掛からないので常設の軍隊を持てる経済力のない都市や町にとっては有事の際はありがたい...
つまり有事には貴重な戦力となりうると言う訳だ
もちろん冒険者と言っても戦える技術を持っていない一般人と変わらない者から盗賊すれすれの素行の良くない傭兵まがいの仕事をしている者までいるので戦力としての質はピンキリだが少なくとも頭数は揃えられる
最悪――冒険者同士で連携がとれなくても肉壁として使えるし戦死しても口減らしになるので人道的観点を除けばと良くも悪くも合理的な考えと言えるだろう
そして何よりも重要なのは魔物や魔獣との戦いに勝利すれば貴重な食肉や武器の材料――この世界で石油に代わるエネルギー源として消費される魔石を採掘する以外で入手できる事だ
このようにして採れる魔物や魔獣から得られた魔石は採掘される魔石よりも生物濃縮でもされているのか?討伐の難しい巨大か強力な魔物や魔獣ほどエネルギーの質が良く、使った際のエネルギー効率も良い事が多いのだ
もちろん採掘される魔石は魔物や魔獣と戦う必要がないぶん――比較的、安全に採れるハズ・・・なのだが...
有望な鉱脈は大抵――魔素や餌を求めていると思われる強力な魔物や魔獣が生息している事が多く・・・ゆえに安全に採掘出来る場所は各国で常に取り合いになっており魔石が――この世界における主要な争いの一因になる・・・っと言う事も珍しくない...
このように只でさえ苦しい情勢なので当然ながら例え勇者の生きた死んだなど――いちいち調べるヒマなどない...
それこそ他の世界から学生を召喚しなければならないほどに...
「なるほど・・・勇者キリタニの件は了承した。それで?・・・対岸の出来事だと今まで態度を保留していた西の海洋国家のソリスには?」
「その件には勇者ミネヤマと勇者ユイジョウが志願して下さいましたので既に護衛の者達と使節団と共に・・・今頃、洋上でしょう」
『色好い返事が貰えると良いが・・・』
問題山積の現状にアッパスは頭を抱えるようにして天を仰ぐのであった
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