クラス転移したけどリセマラされる前にバックレる

シューニャ

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第130話:ひとまずの勝利

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※一応、万全を期してあらかじめ表記しておきます。肢体欠損表現などが駄目な方はブラウザバックをお願いします。今回は人によって不愉快な表現がございます。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「フハァ!ハァ!ハァ!やっぱり人間の子どもの躍り食いが一番だ!」

そう言いながら今まで豚が餌を貪るかのように食していたオーガは肢体の欠損した子どもの死体を放り投げ捨てる...小さな身体で今まで生き伸びてきた子どもであったが連合軍の反抗作戦直前、とうとう彼らに捕まり――ついには助からなかった...

「人の子どもの悲鳴が一番のスパイスだからな!」

もう一人のオーガが同意すると彼らの元に先ほど食していた子どもサイズのハーピーが駆け込んで来て『て、敵の大軍だ!アレだけ先手打つべしと言ったのに、どうして攻撃に同意しなかった?!』と文句をつけてきた

ムカついたのでハーピーの頭蓋を砕き無言で殺す...

「騒がしい奴らめ!」「次の肉が来た」

彼らこそ魔王軍の先遣隊指揮官ゴムルとソゴグだ。彼らにオーガに敵襲と言う概念はない。彼らの認識では、これは人間対魔族の戦争ではない・・・人間は肉だからだ...

「さて・・・楽しい狩りの時間だぁ~」

彼らの不気味な言動がユニオンの地に響いた...

***

一方その頃、坂下さかしたまりか 柚希優香ゆずきゆうか 三宅由華みやけゆうか の三人は橋頭堡を築く為の先遣隊に組み込まれユニオン奪還部隊と共に国境線を越え馬車で移動していた...

敵の防衛陣地を北東の大国ナイナスの龍騎兵が火炎ブレスと球体状の火炎弾で焼き払うたびに熱さに耐えかねた全身火だるまのゴブリン達が防御陣地を這い出て、のたうち回りながら絶命していく――その凄惨な光景に柚希優香も敵ながら思わず――『ひどい...』と漏らしてしまうほどだ...


「先行している偵察班より報告!稜線より魔王軍の戦闘部隊!」
「増援か?竜騎兵でも殲滅しきれなかったか・・・ただちに総員降車しろ!」

そんな光景を眺めていると魔王軍の増援が襲来して来たので馬車に乗っていた全員が降車し素早く迎撃態勢を整えていく...


「砲撃魔法兵及び弓隊!攻撃準備!猛攻の雨を降らせよ!」

「重歩兵!亀甲隊形をとれ!軽歩兵部隊は重歩兵と共に騎兵隊と援護するのだ!」

各部隊長が適切な指示を飛ばしていき人間側による魔法砲撃と弓兵の先制攻撃が決まると、いよいよ戦端が開かれた...

弓矢と魔法兵達の中に混じっていた砲撃型魔砲士の砲撃術式で――ある程度の敵が肉片となったが、それでも魔王軍は速度を弱めないどころか仲間の骸を踏み越えてコチラに迫ってくる!
間もなく先頭と敵軍がぶつかり、すぐに剣戟と怒号。そして魔法兵達による魔法攻撃による乱戦がその場で繰り広げられた!

混乱の中――両軍とも戦闘が経過する中で損耗していったが人間側には聖女として有難がたられている柚希優香《ゆずきゆうか》がおり彼女が最低限の自衛しながらもエリアヒールを連発しているお陰で兵士達は次々に回復し今のところ人間側の損耗は少なく魔王軍との死傷者数は加速度的に開いていった...

もちろん魔王軍側も黙って見ていた訳ではない。勘の良い優秀な魔王軍の指揮官は直ぐに柚希優香の価値に気づき彼女を殺害しようと戦力を集中させたが彼女に近づこうにも自身や装備を魔法で強化できる坂下まりかに加え弓の勇者として天恵を得た三宅由華の精密な射撃に阻まれた挙げ句...

「ユズキに近づくなぁぁああ!!!」という三宅かのじょの怒声と共に飛んでくるレーザーのような攻撃のウエポンズスキルが飛んできて彼らの魔王軍攻勢は頓挫とんざしてしまった...

形勢不利を悟った魔王軍が逃亡すると人間側から『勝ったぞぉぉおおお!!』という歓声が挙がり連合軍は、ひとまず当初の予定の通り緩やかな丘陵きゅうりょうが広がる丘陵陣地の占領に成功した...

その後――野営地建設の為の嶺山紗弓ら勇者パーティーを伴った後続の部隊が到着。野戦陣地と補給の為の橋頭堡の構築に成功した。今後この陣地を拠点に対魔王軍戦を戦い抜く事になるだろう...

ただし、形勢不利を悟り戦力の温存する為に撤退を決断した冷静な魔王軍の現場司令官と敵の主力部隊は今だ健在であり連合軍人類がユニオン全土を掌握しょうあくできるのか?不安要素は残ったままだ...
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