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第129話:開戦前夜

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「これは・・・凄い数の軍隊ですね・・・」

アユムが亜人大陸にて特別名誉伯に任命される直前――聖アリュレイン王国に所属の副官の一人が息を吞みながら呟くように、そう述べた...

彼の言葉通り・・・彼らの眼前には現住大陸の各国からなる軍隊で構成された圧倒的数の連合軍がユニオン王国と聖アリュレイン王国の国境沿いに集結しており実に頼もしいといった感想を抱かせるに相応ふさわしい印象を受ける...

無論――これほどの規模の軍勢が一斉に会する事が出来たのは現住大陸の食料庫と呼ばれる南東の農業国家ルモーネ農業国の食料支援が大きい・・・でなければ、大量の兵糧を必要とする北東の大国ナイナスの龍騎士団が連合軍に加わる事も出来なかった...

彼らの最初の戦略目標は魔王軍に占領されたユニオン王国への橋頭堡を築く地上部隊の援護である...

その地上部隊には聖アリュレイン王国聖騎士団にユニオン王国軍の残党を筆頭として南の大国マグナス魔法国の魔法部隊・北南の法国サラネ法国の救護部隊。

さらに東の大公国カラナス公国のから援軍もあり、加えて中央部南側ライネ連合国の財政支援や中央部東側ゲレネ工業国からの武器・兵器などを始めとした工業製品の支援まである

どの部隊も各国とも粒ぞろいの精鋭から構成されるエリート部隊だ。例え南西の軍事大国サイラス強国が援軍を見送ったとしても最早もはや負ける要素がない...

これは間違いなく勝てる戦争であり、しかも昨日の内に戦闘経験を積む為に向かった勇者一行と共にシーザー帝国の援軍も到着した。
何より彼らを勇気づけたのは各国の精鋭部隊の中でも現行最強と噂され遠方まで、その名を轟《とどろ》かせるシーザー帝の剣と名高い『双大剣そうたいけんのフリューゲル』まで参戦と言うのだ!

大規模な戦力に魔王軍に占領されたユニオン王国の開放という大義名分。
そしてフリューゲルのような高名な戦士の参戦の話題もあり、これから戦争と言うにも関わらず将兵達の表情は明るく士気も悪くない・・・開戦時だ...


「もはやうれう事など何も無い!我らは必ずや魔軍をはいしユニオン王国の地を取り戻す!」

アリュレインの侵攻部隊を任された将軍が誓うかのように号令をかけると兵士達は将軍に答えるかのように――そのいさましい雄叫びを灰色の空に響かせるのだった...
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