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第127話:清濁併せ呑む
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まず俺が財源を確保するためにやった事は徴兵だった...
皇帝の威を借りる狐として布告を出し賦役として兵役が課される年齢の若者を集めさせた。彼らなら税金の代わりに兵役に就いているので給料を払う必要がないからだ...
無論――どこかへ戦争を仕掛けに行く訳ではない...
・・・っと言うか士気も練度も低い徴集兵なんか前線に連れて行った日には敵前逃亡しかねない...
徴兵をおこなった目的は別にある...
スラムと化した旧帝都市街ケルダンには多数の娼婦達がいる
しかし職業柄――彼女達の多くは個人で売春業を営んでいるがゆえに様々なトラブルに巻き込まれる事が多い
ここまで話せば、もう解るだろう...
そう――真っ先に取り組む事は売春している人間の保護である...
売春制度を公認とする事で財源を確保するのだ...
今やスラムと化したケルダンから税収得るなど不可能である...
現在ケルダンに住んでいる人間の多くが、この国では不法移民のビレネー人だ。
当然、彼らに金銭的な支払い能力などないし明日食べる野菜クズにも困る有り様の連中に『税金を払え』なんて言おうものなら暴動モノだ...
だが財源を確保しない限りケルダンの復興など出来ない...
そこで目をつけたのがアングラな地下経済だ...
大変嬉しくない事実だが現在のケルダンにはビレネー人マフィアに加えエレンダ人の元戦士で構成される匪賊やユガンの元騎手で構成される馬賊までもがいて、そいつらの勢力は強大だ...
連中はみかじめ料を始め――売春・人身売買、違法賭博、密漁品や通貨の偽造、武器密売、麻薬ポーションの製造及び販売などで莫大な利益を得ており州都リヴォニアでも奴らの犯罪行為は問題視されている...
だが、それは今日までの話だ・・・奴らの食い扶持を乗っ取るからな...
この話をした際、官僚のニニムは明らかに挙動不審になった為――ニニムを問い詰めるとビレネー人同士の横の繋がりは強く・・・彼女自身もビレネー人犯罪組織に知り合いがおり同胞を傷つけたくないとの事だったので俺は彼女に犯罪組織との太いパイプを持っているのであれば彼らをコチラに取り込むよう説得を頼んだ...
当然――ビレネー人の犯罪組織を取り込むなど言語道断だと騎士の出であるヨルミネイトは強く反対したが、この地に赴任してきたばかりの俺にはケルダンでの基盤がない事に加え...
領主としての権威だけでは、この地を纏める事は出来ないのは明白であり...
我々には商品を生産し補給を整え領軍を編成する財源が必要だと
今は清濁併せ呑む必要があるのだとヨルミネイトに対し辛抱強く説得した...
最初は非常に興奮していた様子のヨルミネイトだったが俺の話を聞くにつれ不満は顔に表れているものの納得した様子で大人しくなり次第に話を聞く態度に変わっていくのが見て取れた...
俺は言葉を続け・・・
ヨルミネイトに『心配するな』伝え、賊たちが運営している違法賭博や売春業は簡単に莫大な収益をあげているハズだがケルダン中を集めた徴集兵たちが巡回を始め...
これらの資金源をコチラ側に取り込む事ができれば、他のリスクの高い商売だけで強大な犯罪組織を維持していく事は容易ではないハズなので資金源を失った犯罪組織は徐々に凋落していくであろうと説得すると...
説得は功を奏しヨルミネイトは身を引いてくれた...
そうと決まれば話は早い方がいい...
早速、俺とニニムは白昼堂々おこなわれている違法賭博の取り締まりと売春婦を保護する布告を出したのだった...
皇帝の威を借りる狐として布告を出し賦役として兵役が課される年齢の若者を集めさせた。彼らなら税金の代わりに兵役に就いているので給料を払う必要がないからだ...
無論――どこかへ戦争を仕掛けに行く訳ではない...
・・・っと言うか士気も練度も低い徴集兵なんか前線に連れて行った日には敵前逃亡しかねない...
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しかし職業柄――彼女達の多くは個人で売春業を営んでいるがゆえに様々なトラブルに巻き込まれる事が多い
ここまで話せば、もう解るだろう...
そう――真っ先に取り組む事は売春している人間の保護である...
売春制度を公認とする事で財源を確保するのだ...
今やスラムと化したケルダンから税収得るなど不可能である...
現在ケルダンに住んでいる人間の多くが、この国では不法移民のビレネー人だ。
当然、彼らに金銭的な支払い能力などないし明日食べる野菜クズにも困る有り様の連中に『税金を払え』なんて言おうものなら暴動モノだ...
だが財源を確保しない限りケルダンの復興など出来ない...
そこで目をつけたのがアングラな地下経済だ...
大変嬉しくない事実だが現在のケルダンにはビレネー人マフィアに加えエレンダ人の元戦士で構成される匪賊やユガンの元騎手で構成される馬賊までもがいて、そいつらの勢力は強大だ...
連中はみかじめ料を始め――売春・人身売買、違法賭博、密漁品や通貨の偽造、武器密売、麻薬ポーションの製造及び販売などで莫大な利益を得ており州都リヴォニアでも奴らの犯罪行為は問題視されている...
だが、それは今日までの話だ・・・奴らの食い扶持を乗っ取るからな...
この話をした際、官僚のニニムは明らかに挙動不審になった為――ニニムを問い詰めるとビレネー人同士の横の繋がりは強く・・・彼女自身もビレネー人犯罪組織に知り合いがおり同胞を傷つけたくないとの事だったので俺は彼女に犯罪組織との太いパイプを持っているのであれば彼らをコチラに取り込むよう説得を頼んだ...
当然――ビレネー人の犯罪組織を取り込むなど言語道断だと騎士の出であるヨルミネイトは強く反対したが、この地に赴任してきたばかりの俺にはケルダンでの基盤がない事に加え...
領主としての権威だけでは、この地を纏める事は出来ないのは明白であり...
我々には商品を生産し補給を整え領軍を編成する財源が必要だと
今は清濁併せ呑む必要があるのだとヨルミネイトに対し辛抱強く説得した...
最初は非常に興奮していた様子のヨルミネイトだったが俺の話を聞くにつれ不満は顔に表れているものの納得した様子で大人しくなり次第に話を聞く態度に変わっていくのが見て取れた...
俺は言葉を続け・・・
ヨルミネイトに『心配するな』伝え、賊たちが運営している違法賭博や売春業は簡単に莫大な収益をあげているハズだがケルダン中を集めた徴集兵たちが巡回を始め...
これらの資金源をコチラ側に取り込む事ができれば、他のリスクの高い商売だけで強大な犯罪組織を維持していく事は容易ではないハズなので資金源を失った犯罪組織は徐々に凋落していくであろうと説得すると...
説得は功を奏しヨルミネイトは身を引いてくれた...
そうと決まれば話は早い方がいい...
早速、俺とニニムは白昼堂々おこなわれている違法賭博の取り締まりと売春婦を保護する布告を出したのだった...
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