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第108話;取り越し苦労
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ラウラ王女の工場地帯案内の件――以来、俺はマジメに仕事に取り組んでいた
「よし、これで石油精製に関する資料は終わったな...」
背伸びをしながら俺は独り言ちるとタウ○ページや六法全書にも引けをとらない厚さになった製本を乾かす為に乾燥台に置いた。
ちなみに内容は原油を貯蔵する石油タンクや石油精製施設に関する考察...図で解りやすく表した予想断面図・設計図などの資料などだ...
本来なら帰るまでに成果を纏めて置けばいいのだが先日ユガンから届いた手紙で、そうもいかなくなってしまった...手紙の内容は要約すると、こんな感じだ。
『真井殿。先日ヴァレンドの方から、あなたが人間の女性を連れ込んだと聞き及びましたが...ちゃんと仕事をしておられますか?皇后陛下は、それは・・・もう心配の様子で...』
(ひぃいいい!!!ご心配おかけしました!!本当に遊んでません!!ちゃんと朝から晩まで働いてます!!だから処刑執行人など不要ですぅうう!!!)
・・・っと言う事があったのだ...恐らく連れ込んだ女と言うのは梨島の事だろう
(どうにか働いている事を信じてもらわねば首よりも命が危ない!!)
そう思い立ち、今に至る訳である...本当に勘弁して欲しい...
そもそもビレネー坑道に行ったのだってユガンの国益に有利になる素材がないか調べるに為に行ったのだから結果は、ともかくとして遊びに行っていた訳でない処されでもしたら堪らない...
(あの髭面共め~ もし死刑にされたりしたら枕元に立ってやる...)
そう恨み節を内心で吐きながらアユムは郵送する袋を調達するのだった...
***
「何じゃ・・・この断面図の正確さは...まるで本当に両断して見て来たようではないか...」
ヴァレンド洞窟国の洞窟王トリグ王は玉座に座りながら自然と右手で自身の頭に触れた...それもこれも例のユガンから、やって来たアユムとかいう技能修学実習生のせいであった。
先日あれだけ『ヴァレンドの重要施設に修学生を近づけてはならない』と言っていたにも関わらず臣下から目に入れても痛くない自身の娘――王女であるラウラがヴァレンドの心臓部といっても過言ではないエネルギー供給区画を修学生に、わざわざ案内したと聞いた時は玉座から横転しそうになった...
恐る恐る修学生の出した郵便袋を検閲してみれば案の定...
『事態は我々の想像以上に深刻ですぞ!陛下!』『このままでは我が国のエネルギー供給に関する機密が・・・』
『この資料ごと若造を握り潰すというのは?』『馬鹿を申すな!ユガンが弱体化したとは言え、かの国の経済は好調だ!いくら今は友好国でも皇帝の送ってきた人間を始末すれば戦争になるぞ!金のある軍隊と戦争する気か?!貴殿は!』
臣下から様々な意見が飛び出したが・・・さて、どうするべきか...
こうなったら――いっそうの事、あの有能な人材を取り込むべきか?
幸い娘であるラウラは、あの青年を好いておるが...
いや、いや!ウチのmyエンジェルであるラウラは渡したくないぞ!
う~ん、どうすれば良いのだろうか?臣下に頼むか...
「そう言えば、おぬしの娘は結婚できる年頃だろう?どうだろうか?人間の婿を言うのは・・・」
『な、なにをおっしゃいます!!!陛下!ラウラ殿下を差し置いてウチの娘を引っ付けるなど・・・』
他の臣下にも目線を配るが『同じく・・・』と皆、一様に目線をあわせまいと顔を背ける...確かに王女であるラウラを差し置いて自身の姉妹や娘が、あの人間と恋仲になるというのは憚られると言うのはあったが、それは建前であった。
実は――みんな足の長い人間の女が好きだが・・・自分の妻や娘、姉妹が背の高い割に貧弱な人間の男に羨望の眼差しを向けのは、なんか許せないのだ!!
特に人間の男にキャー♡キャー♡と黄色い声をあげ媚びる女性陣を見ると、とても腹立たしい!!
下半身は親人間だが感情的には反人間である!!!
⦅おのれ・・・不忠者共めぇ~💢潔くヴァレンドを守る為に自分の娘を差し出さぬか💢⦆
自分の事は棚に置き内心そう思ったが王としても娘を持つ父親としても強制など出来ない...
『そもそも、あの青年は態々取り込むに値する人材ですかな?』
察しの良い部下が、そう言うと『確かに...』と同調する声が多数響いた...
考えてもみれば人間の技術力でドワーフの高度な技術を再現できるのだろうか?
出来たとしても粗悪なコピーだろう...
そう考えても見れば――なんか、そう深刻でもないような気がしてきた...
「荷物は、そのまま送ってもよい。とりあえず、このまま様子を見ることにする。」
***
数日後――ドワーフ達の考えた通りアユムの元には『お前が何を言っているのか さっぱり解らん!コチラも君が帰ってくるまで、ひとまず色々と試行錯誤しながら待って見ます...』と言う旨の手紙が送られてきたという...
「よし、これで石油精製に関する資料は終わったな...」
背伸びをしながら俺は独り言ちるとタウ○ページや六法全書にも引けをとらない厚さになった製本を乾かす為に乾燥台に置いた。
ちなみに内容は原油を貯蔵する石油タンクや石油精製施設に関する考察...図で解りやすく表した予想断面図・設計図などの資料などだ...
本来なら帰るまでに成果を纏めて置けばいいのだが先日ユガンから届いた手紙で、そうもいかなくなってしまった...手紙の内容は要約すると、こんな感じだ。
『真井殿。先日ヴァレンドの方から、あなたが人間の女性を連れ込んだと聞き及びましたが...ちゃんと仕事をしておられますか?皇后陛下は、それは・・・もう心配の様子で...』
(ひぃいいい!!!ご心配おかけしました!!本当に遊んでません!!ちゃんと朝から晩まで働いてます!!だから処刑執行人など不要ですぅうう!!!)
・・・っと言う事があったのだ...恐らく連れ込んだ女と言うのは梨島の事だろう
(どうにか働いている事を信じてもらわねば首よりも命が危ない!!)
そう思い立ち、今に至る訳である...本当に勘弁して欲しい...
そもそもビレネー坑道に行ったのだってユガンの国益に有利になる素材がないか調べるに為に行ったのだから結果は、ともかくとして遊びに行っていた訳でない処されでもしたら堪らない...
(あの髭面共め~ もし死刑にされたりしたら枕元に立ってやる...)
そう恨み節を内心で吐きながらアユムは郵送する袋を調達するのだった...
***
「何じゃ・・・この断面図の正確さは...まるで本当に両断して見て来たようではないか...」
ヴァレンド洞窟国の洞窟王トリグ王は玉座に座りながら自然と右手で自身の頭に触れた...それもこれも例のユガンから、やって来たアユムとかいう技能修学実習生のせいであった。
先日あれだけ『ヴァレンドの重要施設に修学生を近づけてはならない』と言っていたにも関わらず臣下から目に入れても痛くない自身の娘――王女であるラウラがヴァレンドの心臓部といっても過言ではないエネルギー供給区画を修学生に、わざわざ案内したと聞いた時は玉座から横転しそうになった...
恐る恐る修学生の出した郵便袋を検閲してみれば案の定...
『事態は我々の想像以上に深刻ですぞ!陛下!』『このままでは我が国のエネルギー供給に関する機密が・・・』
『この資料ごと若造を握り潰すというのは?』『馬鹿を申すな!ユガンが弱体化したとは言え、かの国の経済は好調だ!いくら今は友好国でも皇帝の送ってきた人間を始末すれば戦争になるぞ!金のある軍隊と戦争する気か?!貴殿は!』
臣下から様々な意見が飛び出したが・・・さて、どうするべきか...
こうなったら――いっそうの事、あの有能な人材を取り込むべきか?
幸い娘であるラウラは、あの青年を好いておるが...
いや、いや!ウチのmyエンジェルであるラウラは渡したくないぞ!
う~ん、どうすれば良いのだろうか?臣下に頼むか...
「そう言えば、おぬしの娘は結婚できる年頃だろう?どうだろうか?人間の婿を言うのは・・・」
『な、なにをおっしゃいます!!!陛下!ラウラ殿下を差し置いてウチの娘を引っ付けるなど・・・』
他の臣下にも目線を配るが『同じく・・・』と皆、一様に目線をあわせまいと顔を背ける...確かに王女であるラウラを差し置いて自身の姉妹や娘が、あの人間と恋仲になるというのは憚られると言うのはあったが、それは建前であった。
実は――みんな足の長い人間の女が好きだが・・・自分の妻や娘、姉妹が背の高い割に貧弱な人間の男に羨望の眼差しを向けのは、なんか許せないのだ!!
特に人間の男にキャー♡キャー♡と黄色い声をあげ媚びる女性陣を見ると、とても腹立たしい!!
下半身は親人間だが感情的には反人間である!!!
⦅おのれ・・・不忠者共めぇ~💢潔くヴァレンドを守る為に自分の娘を差し出さぬか💢⦆
自分の事は棚に置き内心そう思ったが王としても娘を持つ父親としても強制など出来ない...
『そもそも、あの青年は態々取り込むに値する人材ですかな?』
察しの良い部下が、そう言うと『確かに...』と同調する声が多数響いた...
考えてもみれば人間の技術力でドワーフの高度な技術を再現できるのだろうか?
出来たとしても粗悪なコピーだろう...
そう考えても見れば――なんか、そう深刻でもないような気がしてきた...
「荷物は、そのまま送ってもよい。とりあえず、このまま様子を見ることにする。」
***
数日後――ドワーフ達の考えた通りアユムの元には『お前が何を言っているのか さっぱり解らん!コチラも君が帰ってくるまで、ひとまず色々と試行錯誤しながら待って見ます...』と言う旨の手紙が送られてきたという...
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