クラス転移したけどリセマラされる前にバックレる

シューニャ

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第106話;陰から見る者

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「なるほど...これらの貴金属を添加物として加える事で金属の表面に不動態皮膜ふどうたいひまくが形成される事でサビが生じにくく頑丈になるのか...」

アユムは熱心にヴァレンド洞窟国の機械的な製鉄工程を眺め口にした...その内容を梨島日和が綺麗な字で書き留める。二度手間かも知れないがアユムの汚い走り書きの文字よりは綺麗な梨島の字の方が後で纏めやすいは間違いなかった...

何故かって?アユムが亜人大陸で使用されている共通言語に書き換えるからだ...

砂状さじょうの鉄鉱石と石炭は熱が伝わりにくいと言うのは人間の職人の間でも良く知られているだろうがドワーフ達は材料を溶鉱炉に投入する前に、あらかじめ熱を加え塊にして焼結させているようである...」

「なお前頭で述べたように事前に処理した鉄鉱石と石炭は適切な割合で混ぜられると巨大な溶鉱炉上部から投入されており溶鉱炉下部からは熱せられた空気が常に供給されていて摂氏1200から1500度の高温を維持しているようだ。以上がヴァレンド洞窟国における銑鉄の生産工程である」

読み上げを終えると梨島が「お疲れ様。真井君」と労ってくれたので少し疲れが和らいだ気がした...

「ありがとう。梨島さん。」


***


そんな二人を陰から見守る陰が一つ二つ三つ・・・他でもない。ラウラ王女と、その取り巻きである...ラウラ王女はアユムの隣にいるモデルのように背の高い女性の姿に気づくと思わず岩陰に隠れた!

「はわわ!!いったい誰ですか?!真井様の隣に立つ、あの背の高い子は?!」

ショックのあまり仰け反ったラウラ王女の重量感たっぷりの爆乳と彼女を支えた侍女じじょの爆乳が揺れる...

「ラウラ様!お気を確かに。あの者は真井殿が、つい最近――連れて来られた。お付きの者でございます。」

ラウラ王女の傍に控えていた侍女の一人が、そう述べるがラウラ王女のパニックは、まるで収まる様子がない...

「そんな!浮気!浮気です!真井様!」

そう言うラウラ王女に同じく傍に控えていた。もう一人の侍女が冷静に「しかし、お言葉ですが王女殿下。殿下は――まだ手を握るどころか、お付き合いすらしておられないではありませんか?」と冷静に指摘すると...

するとラウラ王女は「そんな事は些細な問題です!私と真井様は既に結婚する運命にあるのですから!未来の妻である私が浮気と思えば浮気なのです!」とビシィ!と指摘する!

おかげで二人の侍女も⦅えええ...⦆と言う感じで困り顔だ...

・・・とはいえ相手は恋に熱をあげている『蝶よ花よ』と育てられたヴァレンドの王女...二人もいちお、位の高いの上流階級の貴族の娘なので王女の気持ちも分からないでもない...ここは臣下としてフォローしておくべきだろう...

「そうです!真井殿はヴァレンドに来て、まだ間もない筈...」

侍女が、そう述べると――もうひとりの意図に気付いた侍女も話を繋げた!

「なるほど・・・王女殿下――御自らが、ここヴァレンド案内するチャンスという事ですね?」

「ええ。さすれば、あの者が恋人でも何でもないと殿下も解るでしょうし――ふたりきりならばラウラ様と真井殿の仲も深まるのでは?」

侍女の提案に「そ、それは・・・いい考えですね。」とラウラもまんざらでもない様子で返事を返す...それを成功と見た侍女の目がキラーン☆っと光った気がしたのは恐らく気のせいではないだろう...そして以前――王女が『どうしたらパパは真井様との関係を認めてくれるのかな...』と言っていた事を思い出した侍女達は興奮気味に更なる上申をする!
 
「ついでに殿下!どさくさ紛れに既成事実も作ってしまえば宜しいではないですか?!」

もう一人の侍女もその手があったか!と『はっ!』とした表情でもう一人の意見に賛同する!

「?! そうです!殿下!お腹に真井様のお子がいるとなれば陛下も真井様の関係を認めざるを得ないでしょう!」

だが奥手なラウラ王女は赤らめた頬に手を添えながら「えっ?!で、でも・・・私は初めてだし・・・そ、その...真井様に誰とでも・・・え、エッチする娘だと思われるのはショックだわ!なにより、そう言う事をするのは、ま、まだ――は、早いと思うの!!」と恥ずかしさを隠したいのか添えていた手をブンブンと振り回す!

(め、面倒くせぇー)と思いながらも面倒見の良い侍女たちはラウラの為に梨島を足止めする作戦を立案するのだった...
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