クラス転移したけどリセマラされる前にバックレる

シューニャ

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第103話:親友たち...

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雪奈は必死で先頭を駆ける...雪奈の氷結属性を現すかのような白い斬撃が彼女たちを足止めしようとするアンツサウロイドたちを図体をバラバラにしていく...

(サユミちゃんの為に!!)

雪奈が先陣を切るのはクラスメイトの為でもあると同時に後に続く嶺山紗弓の為であった...だからこそ雪奈は足を停めない!雪奈たち女子グループの先行が早ければ早いほど、しんがりを務める嶺山の負担は減るからだ...

「どけぇえええ!アリもどき!!」

雪奈の息は既にあがって随分と時が経ったがお陰で、だいぶ距離を進んだ...

「はあ・・・はあ・・・」

そのせいか注意力が切れつつあったのか?雪奈は道の角で何かに引き倒された!!

***

(ッツ!なんなんだよ・・・いきなりアリンコの活動が活発になってきたぞ?ちょっと、ヤバいいんじゃないか?これ...)

先ほどからアンツサウロイドと戦ったり戦わず――やり過ごしたりしていると何かが急速に近づいてくるのを感知した俺は手で(俺がると言わんばかりに)朱鷺原たちを静止した...

足音が近づいてきたタイミングで角からを足を引っ掛けて引き倒し登山用ピッケルを振り下ろそうとすると...

「?! 結城・・・さん?」

驚くべき事に、それはクラスカースト上位の結城雪奈だった...
結城の方も驚愕の表情で「なっ?!真井!・・・くん?!本当に生きていたの...」と驚いている様子から察するに恐らく坂上たちが伝えたのだろうと推測した...

俺が組み伏せた結城から即座に退いていると朱鷺原たちが駆け寄ってくる...

「ゆ、結城さん?!大丈夫?!」「たいぶ息があがっているみたいだけど他の人達は?!」

結城に会ったという事は他の面々も直に来る可能性が高い...坂上と水谷の性格からして悪いように伝えられているのは明白なので俺は「よし・・・もう、俺の道案内は必要ないね。一回しか言わないから良く聞いて・・・君たちの来たルートから察するに――この道を道なりに右へ2回左へ1回、もう一度右へ3回行けば見知った道へ出るハズだよ。」と言い残し俺は来た道を強引に戻ろうとすると...

「ちょっと!真井君!君ひとりで、どうする気?!」「どこへ行く気?!あなた正気?!」

やはりと言うべきか...案の定――朱鷺原と結城に呼び止められた...

「はあ~ あのなぁ~ お前たちみたいにチートじみた天恵のない俺がアレと戦える訳ないだろう...」

俺が彼女たちに呆れ気味にいうと朱鷺原は「力が無いなら尚更じゃない!貴方死にたいの?!」と反論してきたが俺に言わせれば「何も敵は外だけとは限らないだろう?ほら?よく物語でもあるだろう?身内に裏切られて囮にされるなんてね?」

とあえて直接的に言わず言外げんがいに匂わせる

無論おれの言い草を聞いた結城は「なっ?!ボクたちが仲間を囮に使うと思っているのかい?!心外だ!」と激怒したが「ほぉ~?それは何かのジョークかな?結城さん。君が坂上や水谷になんて聞いたかなんて俺は知らないが朱鷺原たちに再会する前に奴らは俺の身ぐるみを剥がそうとしてきたぞ!!」と言ってやり「それだけじゃない!!」と俺は声を荒げると続けて...

さだは、お前の親友である嶺山に性的な乱暴を働こうとしていたぞ!!それで“よく仲間は囮には使いません”と言えたな?!」と両手を広げてアピールしつつ「ともかく、お前たちは一切信用ならん!天恵をもってないんだから勇者の使命とやらもないだろうしな!!」

吐き捨てるように言い放つとズカズカと俺は来た道を戻るのだった...

***

「待って!真井くん!」

俺が朱鷺原たちと喧嘩別れをし離れると梨島が俺の後を追ってきた...
「うん?な、なんだ?梨島さん。戻らないよ!」と返事すると梨島日和は「そうじゃないの...」と言いにくそうに口を開いた...

「その・・・ねぇ...真井くんに付いて行ってもいい・・・かな...」

突然の随伴の申し出に思考が固まる...

「( ^ω^)・・・うん?」

いや・・・普通に困るんですが?ヴァレンド洞窟国に連れてけと?・・・・・・君を?

(ふぁ?・・・ダメだって!!突然、人が増えた事をヴァレンド側に、どう説明しろって言うんだ?!)

だが俺が内心で焦りまくっているのも、お構いなしに梨島はナチュラルに話を進めていく...

「その・・・ねぇ?・・・他の男子たちは皆、喧嘩っぽくなちゃったし・・・女子のグループも戦闘系の天恵を持ってない私みたいな娘や強い天恵を持ってない娘は仲間に入れて貰えないんだ...」

「?・・・話を聞いている限りでは人間関係が不協和だと?う~ん...」

「だから・・・ね?真井君に付いて行っていい?今のままじゃ、わたしも・・・いつか囮として使われちゃうかも...」

梨島の語るクラスメイト達の話しを聞く限りでは本人にとっては切実な問題のようだ...確かに強力な攻撃が出来る朱鷺原ときはらや魔法が使える鳳 おおとりと違って梨島は戦闘職ではなく支援職...

確かに今のクラスの雰囲気なら、いつの日か囮に使わてもおかしくないかも知れない...

『平和だった頃の関係性は関係ない・・・人間つーのは追い詰められたら必要な事をするものだ。それが例え残酷な事でもな...』

職業柄よくカリブ海や大西洋側から押し寄せてくる難民船の対応に当たっていたDV親父の口癖が――ふと脳裏をよぎる...

たしか難民同士が殺し合い人肉を食べていたとか国内に家畜を持ち込むなと難民の女に言ったら逆上した女が自分の赤ん坊を海に投げ捨てたとか――おおよそ子どもに聞かせるべき話ではないエピソードをよく飲んだくれた父親に聞かされたっけ...

まあ、そんなエピソードしか思い出せない異常な親子関係は、ひとまず置いておいて
ここでダメというのは簡単だが、そのせいで梨島に何かあったら目覚めが悪い...

「わかった...いいよ。付いて来ても...」

他のクラスメイトが来る前に別れを済ませてもらう為に俺は5分間だけ待つ事にするのだった...

***

「なっちゃん...本当に行っちゃうの?」

ひよりが『もう必要ないから朱鷺原さん達に、これを渡しておいて...』と真井 歩さないあゆむから渡されたファーストエイドキット容器を渡すと鳳風花おおとり ふうかは心配そうな表情で日和ひよりに、そう述べる...
続けて朱鷺原美咲ときはら みさきも同じく心配そうな表情で口を開く...

「なっちゃん。いくら頭の回転も運動神経も学年トップといっても真井くん一人について行くなんて無謀すぎるんじゃ・・・」

朱鷺原は、そう言うが日和からすれば同じくらいクラスメイト達の戦列に加わるのは無謀であると思っていた...
本音で言えば親友である朱鷺原たちに心配をかける事には日和ひよりにとっても心苦しかったが――しかし魔王軍との戦争で今のクラスメイト達と一緒に戦い抜く未来ビジョンが日和には想像出来なかったのだ...

「ごめんね...ミサちゃん、ふうちゃん...二人とも」

日和が申し訳なさそうに言うと朱鷺原たちは「気にしないで・・・死なないでね...なっちゃん」と、もう何も云うまいと暖かく日和を抱擁した...

日和も「ふたりこそ...また必ず生きて会おうね...絶対だよ。」と返事を返しながら抱擁する...

「そろそろ行かないと...じゃ...行くね...」

名残惜しさを感じながらも作った笑顔で日和は二人の親友と涙ながら別れると真井 歩さないあゆむと新たな道へと進んでいくのだった...
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