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第92話;ビレネー坑道:あゆむ
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「はぁ...やっと行ったか...」
結城雪奈たちが去った後、上部にあった岩陰から真井歩は、ため息をつきながら下へと降りた...
「に、しても岩屋が死んだとか、マジか...」
以前クスねた梱包魔焔爆薬を警戒して予め設置して置き鉱石のサンプルを採掘していると何やら聞えるハズのない日本語の悲鳴が迫って来るのが聞こえてきたのでビビった俺は得意のパルクールで岩をよじ登り上部から様子を伺っていると
何故だが知らないがクラスメイトの結城雪奈達が化け物の大群を引き連れて現れたのでタイミングを見計らって発破装置を使い有線で爆破したのだった...
念のために発破装置と爆薬を結ぶ導線は岩や石ころでカモフラージュしてあったとはいえ⦅暗がりだし、まあ気が付かないか?⦆とアユムも適当に隠していたが結城たちの焦りっぷりから察するに恐らく隠さなくても気付かなかっただろうと思う
それくらい緊迫していた...
「しかし、なんだこりゃ...ダイオウグソクムシ?」
元の世界の深海生物によく似ているが見るとエビのような尻尾を持っているではないか?
ビビりながら詳しく見てみると各体節から足である付属肢が16本あるのが見て取れた速く動けるのは、この為だろう...
目は複眼となっているがパッと見て目の数が少ない事から、あまり目は良くないようだ...他にもメスらしき個体は腹の部分には大量の幼体と思われる小さな化け物が薄い膜に覆われ匿われている恐らく保育嚢だろう...
表面の甲殻は硬いと言えば硬いが人間の爪と、さほど変わらないような気がする...
もっとも目を引くのは、咬まれたらタダでは済みそうにない凶悪な顎だ...襲われたら人間など一溜まりもないだろう...
これ以上、見ていても気持ち悪いだけだと感じたアユムは、その場を立ち去ろうとすると背後から懐かしき日本語が聞こえた!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「おっ?誰かと思えば無能不能の真井じゃないか?」
「おっと?もう、とっくにくたばってたと思ってたんだが・・・」
しかし、その久しぶりの日本語は残念ながら友好的な言葉ではなかった...
「(げっ...)坂上くんと水谷くん...」
誰かと思えばユニオンに召喚された時に俺をボロカスに言っていてくれた坂上と水谷だった...よりにもよって性格の悪い、この二人に見つかるとは俺もつくづく運がない...
「何やら爆発音が聞こえたから来て見に来たが・・・なんだこの気色わりぃー魔物は?お前がやった訳でもなさそうだな・・・」
「へぇーお前に似つかわしくない良さげな武器だな?寄こせよ。」
?! コイツら!クラスメイトから装備を盗るか?!
「いや...これは借り物な・・・」と拒否しようとすると「ア"ぁ?テメェがもってても宝の持ち腐れだろう!!」とブチ切れたあげく「装備だけじゃなく金も全部置いて行けよ。俺たちが有効に使ってやるから。」と更に要求が酷くなった...
「わ、わかった!分かったよ!」
俺は内心で(うわぁぁ~マジか...コイツら...)と大人しく武器と持ち金を差し出し二人の気が緩んだ瞬間を見計らうと右腕の袖から出した特殊警棒で襲い掛かった!!
まず俺の右側にいた水谷の顔の左側こめかみを強打すると、ついでに両腕を使って奴の顎に特殊警棒を強烈な刺突攻撃で張り倒す!!
俺に水谷が襲われのが一瞬の事だったので反応が遅れた坂上は右手で腰の剣を抜こうとするが水谷が倒れるより速く俺に自身の右腕を掴まれ反撃を抑え込むことに成功した
(残念...遅かったね...)
俺は両腕使い特殊警棒で坂上の右腕を固定した状態だったので俺は背を曲げた状態で棒立ちしていた坂上のガラ空きとなった鳩尾に思い切り左ひざで蹴り入れると苦しんでいる坂上に追い打ちをかけるように固定していた右腕を一気に!
そして素早く!坂上の顔の位置まで持っていく勢いを利用してテコの原理で足を引っかけ坂上を引き倒すついでに自分の右ひじで坂上の顎を強打した!!
たった6秒もない出来事だったが既に二人は痛みで、「ぁぁああ"あ"あ"ー」「う"う"ぅぅ」――と言いながら、のたうち回っている...
「よっと...無理しない方がいいよ...二人とも...」
「さない"...なに・・・しやがった...」
どうやら二人は自身に起こっている事が理解できていない様子なので安心させる為に説明してやる事にした...
「大丈夫。心配する事はないよ。水谷くんは気を失わない程度に、こめかみを強打して三半規管の平衡感覚が一時的に失われているだけ、坂上くんは――みぞおちに膝がキレイに入ったから横隔膜の動きが一瞬だけ止まって呼吸困難になったんだ。」
「あと二人とも顎を強打させて貰ったから軽い脳震盪を起こしているハズだよ?まあ、なんにしても命には別条ないから安心して」
そう言い残すと二人に盗られそうだった装備を回収し――そうそうに立ち去る事にした...
余談ではあるが二人に仕掛けたのは昔、親父にやられた沿岸警備隊の特殊部隊で使用された近接格闘術だ...
普通、一般人に殺傷を目的とした軍事格闘などかけるバカはいなのだが俺は気性の荒い親父に何回か本気で殺されかけたので自身で身を守る為に俺も必死で自然と覚えた訳だ...
まさか、親父に身をもって教わった軍事格闘に異世界で何度も命を救われるとは思っても見ていなかったが...
(まぁ...元の世界で普通の生活をしていれば使う事なんてなかったけどね...)
軍事格闘は相手を効率的に行動不能にする目的がゆえに危険度が、とても高い...
だから元の世界では例えイジメられていても相手に掛けるなんてしなかった...
なにせ元の世界には『先に手を出した方が悪い』という謎の法律があるからだ...
一方――コチラの異世界は法的な担保などない為、反撃しないと命に関わる...
状況が違うからこそ躊躇なく使えるのだ...これが元の世界だったら怪我をさせた相手の弁護士が乗り込んでくるか書面で最悪――裁判所から法廷開始日の通知が来るだろう...どんなに相手が悪くても、コチラに責任が生じ保障や賠償問題に発展しうるしね?
それに比べて異世界のルールは非常に分かりやすい...
法的な担保がないがゆえに相手に危害を与えられたら反撃しても衛兵が駆けつけるまで反撃し放題だからだ...
もちろん衛兵が駆けつけてくれるまでコチラもやられ放題だが...
なんにせよ...ここに町にいるような衛兵はいない...
装備と金銭を回収し終えると水谷と坂上を残し俺は早々に立ち去った...
結城雪奈たちが去った後、上部にあった岩陰から真井歩は、ため息をつきながら下へと降りた...
「に、しても岩屋が死んだとか、マジか...」
以前クスねた梱包魔焔爆薬を警戒して予め設置して置き鉱石のサンプルを採掘していると何やら聞えるハズのない日本語の悲鳴が迫って来るのが聞こえてきたのでビビった俺は得意のパルクールで岩をよじ登り上部から様子を伺っていると
何故だが知らないがクラスメイトの結城雪奈達が化け物の大群を引き連れて現れたのでタイミングを見計らって発破装置を使い有線で爆破したのだった...
念のために発破装置と爆薬を結ぶ導線は岩や石ころでカモフラージュしてあったとはいえ⦅暗がりだし、まあ気が付かないか?⦆とアユムも適当に隠していたが結城たちの焦りっぷりから察するに恐らく隠さなくても気付かなかっただろうと思う
それくらい緊迫していた...
「しかし、なんだこりゃ...ダイオウグソクムシ?」
元の世界の深海生物によく似ているが見るとエビのような尻尾を持っているではないか?
ビビりながら詳しく見てみると各体節から足である付属肢が16本あるのが見て取れた速く動けるのは、この為だろう...
目は複眼となっているがパッと見て目の数が少ない事から、あまり目は良くないようだ...他にもメスらしき個体は腹の部分には大量の幼体と思われる小さな化け物が薄い膜に覆われ匿われている恐らく保育嚢だろう...
表面の甲殻は硬いと言えば硬いが人間の爪と、さほど変わらないような気がする...
もっとも目を引くのは、咬まれたらタダでは済みそうにない凶悪な顎だ...襲われたら人間など一溜まりもないだろう...
これ以上、見ていても気持ち悪いだけだと感じたアユムは、その場を立ち去ろうとすると背後から懐かしき日本語が聞こえた!
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「おっ?誰かと思えば無能不能の真井じゃないか?」
「おっと?もう、とっくにくたばってたと思ってたんだが・・・」
しかし、その久しぶりの日本語は残念ながら友好的な言葉ではなかった...
「(げっ...)坂上くんと水谷くん...」
誰かと思えばユニオンに召喚された時に俺をボロカスに言っていてくれた坂上と水谷だった...よりにもよって性格の悪い、この二人に見つかるとは俺もつくづく運がない...
「何やら爆発音が聞こえたから来て見に来たが・・・なんだこの気色わりぃー魔物は?お前がやった訳でもなさそうだな・・・」
「へぇーお前に似つかわしくない良さげな武器だな?寄こせよ。」
?! コイツら!クラスメイトから装備を盗るか?!
「いや...これは借り物な・・・」と拒否しようとすると「ア"ぁ?テメェがもってても宝の持ち腐れだろう!!」とブチ切れたあげく「装備だけじゃなく金も全部置いて行けよ。俺たちが有効に使ってやるから。」と更に要求が酷くなった...
「わ、わかった!分かったよ!」
俺は内心で(うわぁぁ~マジか...コイツら...)と大人しく武器と持ち金を差し出し二人の気が緩んだ瞬間を見計らうと右腕の袖から出した特殊警棒で襲い掛かった!!
まず俺の右側にいた水谷の顔の左側こめかみを強打すると、ついでに両腕を使って奴の顎に特殊警棒を強烈な刺突攻撃で張り倒す!!
俺に水谷が襲われのが一瞬の事だったので反応が遅れた坂上は右手で腰の剣を抜こうとするが水谷が倒れるより速く俺に自身の右腕を掴まれ反撃を抑え込むことに成功した
(残念...遅かったね...)
俺は両腕使い特殊警棒で坂上の右腕を固定した状態だったので俺は背を曲げた状態で棒立ちしていた坂上のガラ空きとなった鳩尾に思い切り左ひざで蹴り入れると苦しんでいる坂上に追い打ちをかけるように固定していた右腕を一気に!
そして素早く!坂上の顔の位置まで持っていく勢いを利用してテコの原理で足を引っかけ坂上を引き倒すついでに自分の右ひじで坂上の顎を強打した!!
たった6秒もない出来事だったが既に二人は痛みで、「ぁぁああ"あ"あ"ー」「う"う"ぅぅ」――と言いながら、のたうち回っている...
「よっと...無理しない方がいいよ...二人とも...」
「さない"...なに・・・しやがった...」
どうやら二人は自身に起こっている事が理解できていない様子なので安心させる為に説明してやる事にした...
「大丈夫。心配する事はないよ。水谷くんは気を失わない程度に、こめかみを強打して三半規管の平衡感覚が一時的に失われているだけ、坂上くんは――みぞおちに膝がキレイに入ったから横隔膜の動きが一瞬だけ止まって呼吸困難になったんだ。」
「あと二人とも顎を強打させて貰ったから軽い脳震盪を起こしているハズだよ?まあ、なんにしても命には別条ないから安心して」
そう言い残すと二人に盗られそうだった装備を回収し――そうそうに立ち去る事にした...
余談ではあるが二人に仕掛けたのは昔、親父にやられた沿岸警備隊の特殊部隊で使用された近接格闘術だ...
普通、一般人に殺傷を目的とした軍事格闘などかけるバカはいなのだが俺は気性の荒い親父に何回か本気で殺されかけたので自身で身を守る為に俺も必死で自然と覚えた訳だ...
まさか、親父に身をもって教わった軍事格闘に異世界で何度も命を救われるとは思っても見ていなかったが...
(まぁ...元の世界で普通の生活をしていれば使う事なんてなかったけどね...)
軍事格闘は相手を効率的に行動不能にする目的がゆえに危険度が、とても高い...
だから元の世界では例えイジメられていても相手に掛けるなんてしなかった...
なにせ元の世界には『先に手を出した方が悪い』という謎の法律があるからだ...
一方――コチラの異世界は法的な担保などない為、反撃しないと命に関わる...
状況が違うからこそ躊躇なく使えるのだ...これが元の世界だったら怪我をさせた相手の弁護士が乗り込んでくるか書面で最悪――裁判所から法廷開始日の通知が来るだろう...どんなに相手が悪くても、コチラに責任が生じ保障や賠償問題に発展しうるしね?
それに比べて異世界のルールは非常に分かりやすい...
法的な担保がないがゆえに相手に危害を与えられたら反撃しても衛兵が駆けつけるまで反撃し放題だからだ...
もちろん衛兵が駆けつけてくれるまでコチラもやられ放題だが...
なんにせよ...ここに町にいるような衛兵はいない...
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