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第83話;閑話ブラックボックス
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ヴァレンドのトリグ王との謁見を済ませた、その日の夜――アユムは割り当てられた自室でドワーフの設計を学ぶ為にヴァレンドで販売されている物品を自ら自費《じひ》で購入して分解していた...
いわゆる元の世界で云う所の分解解析作業である...
解からない人向けにリバースエンジニアリングの概要を簡潔に説明するならば――
分解した状態で物品の動作を観察する事でその製品の原理や構造を分析し、そこから製品の製造方法の予想や動作の原理、設計図などの仕様を書き起こしながら学ぶ事を指すのだが...
「おっと?!・・・危なかった...」
当然、作った側も技術流出を防ぐ目的で――このように分解した途端に構成パーツがバラバラになったり一部構成パーツが飛び出すようワザと作ってみたりするワケだ...
無論――アユムは分解してマヌケにも戻せなくなる・・・なんて事が起きないよう、どの順番で分解していったか?などの分解の過程記録や分解パーツの番号付けなどをしながら慎重に作業をしているが時間だけが無情にも過ぎていく...
『なぜドワーフに直接、教えて貰わないのか?』と多くの人が疑問に思うだろうが、あくまでヴァレンドのドワーフたちは鉱物や鉱石の加工過程を見せてくれるだけで普通の国は軍事技術に関わる事は教えてくれないのだ...
ゆえに市販されているドワーフの武器だけでも、どうにか解析できないか?と思って根気よく頑張って見ているのだが、やはり素人のアユムでは、どうにも上手くいかない...
中でも一番やっかいなのが元の世界で云うところのブラックボックスであった...
「うわぁ~ 出てきたわぁ~ やっぱ、そうなってるよなー」
ブラックボックスとは重要な部品の内部構造及び機構の動作確認をされないよう、機密保持する目的で核となる装置を覆い隠す工夫を言うのだが――
初めて、異世界でブラックボックスを見たアユムは⦅まさか異世界で、そのような一手間を加えた創意工夫を遭遇する事になろうとは...⦆とアユムは感心すると同時に落胆もしたのだった...
「やはりドワーフの人たちもバカじゃないよな・・・いずれにしても一筋縄ではいかないか...」
ビデオカメラや音響エコー・磁気・X線などのような機材や設備があれば分解せずに内部を確認する事が出来るかもしれないが生憎と――そのような機材はココにはない...
豊富な資金と国家レベルの技術力があれば、それらの代用が利くモノも製作できるかも知れないが・・・残念ながら、いま――現在アユムは一人単身赴任中である...
しかもユガンの予算というモノは――そう簡単に下りるモノでもないし優秀な助手を確保しようと思うなら尚更だった...
アユムは優秀であっても万能ではないのだ...
「うん!仕方ない・・・諦めるか!」
アユムは潔く自身の敗北を認めるとキッチリと分解した武器を元に戻さざるをえなかったのだった...
いわゆる元の世界で云う所の分解解析作業である...
解からない人向けにリバースエンジニアリングの概要を簡潔に説明するならば――
分解した状態で物品の動作を観察する事でその製品の原理や構造を分析し、そこから製品の製造方法の予想や動作の原理、設計図などの仕様を書き起こしながら学ぶ事を指すのだが...
「おっと?!・・・危なかった...」
当然、作った側も技術流出を防ぐ目的で――このように分解した途端に構成パーツがバラバラになったり一部構成パーツが飛び出すようワザと作ってみたりするワケだ...
無論――アユムは分解してマヌケにも戻せなくなる・・・なんて事が起きないよう、どの順番で分解していったか?などの分解の過程記録や分解パーツの番号付けなどをしながら慎重に作業をしているが時間だけが無情にも過ぎていく...
『なぜドワーフに直接、教えて貰わないのか?』と多くの人が疑問に思うだろうが、あくまでヴァレンドのドワーフたちは鉱物や鉱石の加工過程を見せてくれるだけで普通の国は軍事技術に関わる事は教えてくれないのだ...
ゆえに市販されているドワーフの武器だけでも、どうにか解析できないか?と思って根気よく頑張って見ているのだが、やはり素人のアユムでは、どうにも上手くいかない...
中でも一番やっかいなのが元の世界で云うところのブラックボックスであった...
「うわぁ~ 出てきたわぁ~ やっぱ、そうなってるよなー」
ブラックボックスとは重要な部品の内部構造及び機構の動作確認をされないよう、機密保持する目的で核となる装置を覆い隠す工夫を言うのだが――
初めて、異世界でブラックボックスを見たアユムは⦅まさか異世界で、そのような一手間を加えた創意工夫を遭遇する事になろうとは...⦆とアユムは感心すると同時に落胆もしたのだった...
「やはりドワーフの人たちもバカじゃないよな・・・いずれにしても一筋縄ではいかないか...」
ビデオカメラや音響エコー・磁気・X線などのような機材や設備があれば分解せずに内部を確認する事が出来るかもしれないが生憎と――そのような機材はココにはない...
豊富な資金と国家レベルの技術力があれば、それらの代用が利くモノも製作できるかも知れないが・・・残念ながら、いま――現在アユムは一人単身赴任中である...
しかもユガンの予算というモノは――そう簡単に下りるモノでもないし優秀な助手を確保しようと思うなら尚更だった...
アユムは優秀であっても万能ではないのだ...
「うん!仕方ない・・・諦めるか!」
アユムは潔く自身の敗北を認めるとキッチリと分解した武器を元に戻さざるをえなかったのだった...
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