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第70話書庫にて
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ロナフェミア皇女との邂逅は予想外だったが不興を買わなかったので御の字だ。まぁ・・・代わりに議事堂での一件で一部の貴族に恨みを買ったりロナフェミア皇女の女官に面白くないと思われたので後ろに誰か立っていないか?気が気でないのだが・・・
まぁ...そんな事は気にしても仕方がないと言えるだろう。
何故なら万人に好かれるなど到底無理だからだ...
現に今、宮殿の書庫にある長テーブルに座っているが、もう一人の嫌われ者を除いて誰も俺の座っている長テーブルに座らない...
いや、まあ・・・元々そんなに人もいないんだけどね・・・?
まさか異世界にも来てもボッチの能力を発揮するとは思っても見なかった。だからこそ苦々しく思うだけども!いや!もしかして、もう一人の嫌われ者の方が【ボッチ】スキルを持っている可能性も・・・
「あの~天啓のスキルで【ボッチ】でも持ってるですか?ニニムさん。我々に人が寄ってこないですけど...」と恐る恐る、もう一人の嫌われ者であるビレネー人のニニムと言う人に聞いてみた
問われた少女は訝しげに、その赤みがかった琥珀色の双眸で睨見つけながら「はい?そんな天啓は聞いた事がないのだけど・・・と、いうか・・・人のせいにしないでくれる?嫌われているのは、あなたも一緒でしょう?」
と言外に『お前が言うな!』と元もこうもない事を言われてしまった...何ともヒドイ人である...
「さーせん……」
彼女は見た感じ俺より年下に見えるが自由ユガン都市同盟の官僚として恐らく修羅場をくぐり抜けてきたのだろう...歳不相応の気迫で怒られたので小心者の俺は、おずおずと下がっていかざる負えなかった...マジで恐ろしいです...ニニムさん
ちなみに彼女のようなビレネー人は元々シーザー帝国領のビレネー山脈に住んでいたらしい・・・らしいのだが...
シーザー帝国に土着の土地を追い出された後に迫害されバラバラに逃げ出したすえ40年ほど様々な土地で放浪したのちに100年ほど前に新都市――州都リヴォニアが建設され用済みのゴーストタウンと化していた旧帝都市街である帝都ケルダンに勝手に住み着いたらしい・・・
大きな声では言えないが、つまりはビレネー人は不法移民だ...
(この周りにそんな都市あったか?)と思ったが聞いて見たが、なんと俺がサナイ薬包店を開いた近くにあった、あのスラム街が旧帝都市街ケルダンだったらしい・・・
思い返してみればスラム街に住む人間は確かに目の前のニニムのように白髪が多かったし俺の店にみかじめ料を要求した連中の中にもビレネー人らしい容姿をしていた奴がいた。もっと言えば――ここリヴァニア州に、たどり着くまでに襲ってきた野盗の中にもビレネー人らしき白髪の奴がいたのを・・・つい最近思い出した。
人種には疎かったため、やたらと若いのに白髪の奴が多いなと疑問には思っていたのだが異世界人はそういうモノなのだと思い込んでいたが、その事実を知って(そうか・・・ビレネー人は元の世界でいう不法移民だったのか。)とようやく合点がいったのが――まあ、これも・・・つい最近の出来事だ。
恐らく不法移民がゆえにマトモな職につけず野盗や賊になって生計を立てざるおえなかったのだろう。だとしたら悪い事をした・・・彼らも家族に食べさせようと仕方なく悪事を働いていたのかもしれない。コチラも降りかかる火の粉を振り払っただけとはいえ俺が彼らを返り討ちして殺めたせいで飢えて死んだ家族もいるのではないか・・・?
(・・・・・・・・・・・・・・・・・いや、まあ…同情してやる必要もないか!)
困窮者の中には困窮から抜け出す為に(悪事を働いてでも――この地獄から抜け出したい...)と考える人間は確かにいるかもしれないが世の中には、どれだけ惨めで恵まれていなくても踏みとどまる人間も五万といるはずだ。
賊の家族が犯罪収益が無くなったせいで仮に飢えて死んでも――借金のせいで賊の家族が奴隷商に捕まったりしても、よくよく考えてみれば俺に非があるわけではない。
現に俺の目の前には(彼女は恐らく、かなり優秀な部類の人間なんだと思うが・・・)不法移民という境遇にも負けず官僚にまで成り上がったビレネー人のニニムがいるではないか?
だが――そんな彼女も、ここでは被差別の対象だ...
あれは数日前だったか...
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「道を開けろ!この色なしネズミが!!」
宮殿内を歩いていると怒号《どごう》が響《ひび》いたので驚いた俺は廊下を支えている支柱に素早く隠れた...よく見るとビレネー人のニニムと騎士の集団らしき連中が一触即発の状況に陥っているではないか?!
「この広い廊下で道を開けろとは、どういう事ですか・・・そんなことは問題にならないくらい広いだから通ればいいでしょう!」
「はい、はい」と言って、とっとと去ればいいものを彼女は反論していた!たぶん【色なしネズミ】というビレネー人に対する差別用語が彼女は許せなかったのだろう。ちなみに【色なしネズミ】という言葉の意味は色素の薄いビレネー人を指す侮辱用語で白いビレネー人がネズミのように群れているという...なかなか酷い表現の言葉だ...
「フン!ネズミ程度の知能しか持ち合わせていないなら説明してやろう。本来なら貴様のような色なしネズミが皇帝陛下の住まいでもある宮殿内を歩いているだけでも烏滸《おこが》がましいのに、貴様がまるで人間のように――のうのうと歩いていたのを俺たちが注意してやったのだ!にも、拘わらず大変に逆切れとは不愉快だ!せめてネズミらしく隅に歩け!!色なしが!」
彼女は「くっ...」と悔しそうに睨みつけるが――(これ以上は反論は許さない暴力を伴うぞ)とでも言いたげな騎士たちに負け不本意そうに隅に避けるのだった...
彼女を打ち負かした騎士たちは満足そうに「初めからおとなしく、そうしておけばいいのだ。我々の視界に二度と入るな!薄汚い色なしが・・・」とブツブツ言いながら立ち去って行った...
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
これが漫画やアニメの主人公ならカッコよく撃退するのだろうが...
しかも俺が漫画やアニメみたいに惚れられるイメージが湧いてこない...
うん、俺には無理...だって、殴られるのとか怖いから!
彼女を、じっーと見つめてみる...
色素が薄い・・・いや、ない・・・?雪のように白い肌と髪...
あどけない14歳くらいにしか見えない童顔...
オマケに官僚になれる頭脳明晰さな聡明さに加え騎士にも臆せずに
自身の意見をいう胆力...
うん、なかなか美少女の優良物件だ。
正直、差別される意味が分からない...
「ジッーと見ているけど何か?」
「いや、なんでも・・・」と言いつつアユムは目的だった
【魔導士による戦闘】を開き読み耽るのだった...
まぁ...そんな事は気にしても仕方がないと言えるだろう。
何故なら万人に好かれるなど到底無理だからだ...
現に今、宮殿の書庫にある長テーブルに座っているが、もう一人の嫌われ者を除いて誰も俺の座っている長テーブルに座らない...
いや、まあ・・・元々そんなに人もいないんだけどね・・・?
まさか異世界にも来てもボッチの能力を発揮するとは思っても見なかった。だからこそ苦々しく思うだけども!いや!もしかして、もう一人の嫌われ者の方が【ボッチ】スキルを持っている可能性も・・・
「あの~天啓のスキルで【ボッチ】でも持ってるですか?ニニムさん。我々に人が寄ってこないですけど...」と恐る恐る、もう一人の嫌われ者であるビレネー人のニニムと言う人に聞いてみた
問われた少女は訝しげに、その赤みがかった琥珀色の双眸で睨見つけながら「はい?そんな天啓は聞いた事がないのだけど・・・と、いうか・・・人のせいにしないでくれる?嫌われているのは、あなたも一緒でしょう?」
と言外に『お前が言うな!』と元もこうもない事を言われてしまった...何ともヒドイ人である...
「さーせん……」
彼女は見た感じ俺より年下に見えるが自由ユガン都市同盟の官僚として恐らく修羅場をくぐり抜けてきたのだろう...歳不相応の気迫で怒られたので小心者の俺は、おずおずと下がっていかざる負えなかった...マジで恐ろしいです...ニニムさん
ちなみに彼女のようなビレネー人は元々シーザー帝国領のビレネー山脈に住んでいたらしい・・・らしいのだが...
シーザー帝国に土着の土地を追い出された後に迫害されバラバラに逃げ出したすえ40年ほど様々な土地で放浪したのちに100年ほど前に新都市――州都リヴォニアが建設され用済みのゴーストタウンと化していた旧帝都市街である帝都ケルダンに勝手に住み着いたらしい・・・
大きな声では言えないが、つまりはビレネー人は不法移民だ...
(この周りにそんな都市あったか?)と思ったが聞いて見たが、なんと俺がサナイ薬包店を開いた近くにあった、あのスラム街が旧帝都市街ケルダンだったらしい・・・
思い返してみればスラム街に住む人間は確かに目の前のニニムのように白髪が多かったし俺の店にみかじめ料を要求した連中の中にもビレネー人らしい容姿をしていた奴がいた。もっと言えば――ここリヴァニア州に、たどり着くまでに襲ってきた野盗の中にもビレネー人らしき白髪の奴がいたのを・・・つい最近思い出した。
人種には疎かったため、やたらと若いのに白髪の奴が多いなと疑問には思っていたのだが異世界人はそういうモノなのだと思い込んでいたが、その事実を知って(そうか・・・ビレネー人は元の世界でいう不法移民だったのか。)とようやく合点がいったのが――まあ、これも・・・つい最近の出来事だ。
恐らく不法移民がゆえにマトモな職につけず野盗や賊になって生計を立てざるおえなかったのだろう。だとしたら悪い事をした・・・彼らも家族に食べさせようと仕方なく悪事を働いていたのかもしれない。コチラも降りかかる火の粉を振り払っただけとはいえ俺が彼らを返り討ちして殺めたせいで飢えて死んだ家族もいるのではないか・・・?
(・・・・・・・・・・・・・・・・・いや、まあ…同情してやる必要もないか!)
困窮者の中には困窮から抜け出す為に(悪事を働いてでも――この地獄から抜け出したい...)と考える人間は確かにいるかもしれないが世の中には、どれだけ惨めで恵まれていなくても踏みとどまる人間も五万といるはずだ。
賊の家族が犯罪収益が無くなったせいで仮に飢えて死んでも――借金のせいで賊の家族が奴隷商に捕まったりしても、よくよく考えてみれば俺に非があるわけではない。
現に俺の目の前には(彼女は恐らく、かなり優秀な部類の人間なんだと思うが・・・)不法移民という境遇にも負けず官僚にまで成り上がったビレネー人のニニムがいるではないか?
だが――そんな彼女も、ここでは被差別の対象だ...
あれは数日前だったか...
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「道を開けろ!この色なしネズミが!!」
宮殿内を歩いていると怒号《どごう》が響《ひび》いたので驚いた俺は廊下を支えている支柱に素早く隠れた...よく見るとビレネー人のニニムと騎士の集団らしき連中が一触即発の状況に陥っているではないか?!
「この広い廊下で道を開けろとは、どういう事ですか・・・そんなことは問題にならないくらい広いだから通ればいいでしょう!」
「はい、はい」と言って、とっとと去ればいいものを彼女は反論していた!たぶん【色なしネズミ】というビレネー人に対する差別用語が彼女は許せなかったのだろう。ちなみに【色なしネズミ】という言葉の意味は色素の薄いビレネー人を指す侮辱用語で白いビレネー人がネズミのように群れているという...なかなか酷い表現の言葉だ...
「フン!ネズミ程度の知能しか持ち合わせていないなら説明してやろう。本来なら貴様のような色なしネズミが皇帝陛下の住まいでもある宮殿内を歩いているだけでも烏滸《おこが》がましいのに、貴様がまるで人間のように――のうのうと歩いていたのを俺たちが注意してやったのだ!にも、拘わらず大変に逆切れとは不愉快だ!せめてネズミらしく隅に歩け!!色なしが!」
彼女は「くっ...」と悔しそうに睨みつけるが――(これ以上は反論は許さない暴力を伴うぞ)とでも言いたげな騎士たちに負け不本意そうに隅に避けるのだった...
彼女を打ち負かした騎士たちは満足そうに「初めからおとなしく、そうしておけばいいのだ。我々の視界に二度と入るな!薄汚い色なしが・・・」とブツブツ言いながら立ち去って行った...
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これが漫画やアニメの主人公ならカッコよく撃退するのだろうが...
しかも俺が漫画やアニメみたいに惚れられるイメージが湧いてこない...
うん、俺には無理...だって、殴られるのとか怖いから!
彼女を、じっーと見つめてみる...
色素が薄い・・・いや、ない・・・?雪のように白い肌と髪...
あどけない14歳くらいにしか見えない童顔...
オマケに官僚になれる頭脳明晰さな聡明さに加え騎士にも臆せずに
自身の意見をいう胆力...
うん、なかなか美少女の優良物件だ。
正直、差別される意味が分からない...
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