クラス転移したけどリセマラされる前にバックレる

シューニャ

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第66話;謁見と師匠の死・・・

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ラーイ・エル・ユガン・・・
第二三代皇帝にして、先代ユーリ・エル・ユガン皇の正当な嫡出子ちゃくしゅつし・・・
現、自由ユガン同盟都市の象徴が、なぜ俺の目の前に・・・?

アユムの頭の中はパニックになっている・・・過失とはいえ失言したにも関わらず思わぬ形で皇帝に謁見する事になるとは思わなかった...

「ふ~ん・・・サナイ・アユム・・・おぬし・・・風変わりで奇抜な名前をしおるな~?何処いずこの出身か?」

ラーイ帝に問われアユムは(どう説明すべきか?)と迷ったが後ろの怖い騎士達に『正直に答えねば死ぬ事になるぞ!!』と脅されたので仕方なく正直に話す事にした

「私めは・・・その...異世界の日本と言う国から無理やり連れて来られた勇者候補のひとりでございました...」

アユムは事の経緯を事細かに説明した・・・
滅びゆくユニオン王国で突然、召喚された事・・・
自身には天恵がもたらされなかった事・・・
自身の価値が客観的に俯瞰ふかんした時に『このままでは自身の命が危ない!』と認識し川へ身を投げた事・・・

シーザー帝国に入国しようとしたが怪しまれ牢に繋がれ奴隷兵に落ちぶれた、あげく戦場の混乱を利用してどさくさ紛れに脱走した事・・・
命からがらビレネー山脈越えて職を見つけようと思い立ち、仲良くなったエレンダ王国の商人に『ポーション作りを生業《せいぎょう》にしたら良いのではないか?』と進められ錬金術師ギルドに向かい下積みをした事・・・

ウソは言わずに不都合な事実は伏せて真実を洗いざらい話した。ユニオン王国での話をし始めると後ろにいる騎士から『なに!貴様・・・あの邪神ヴィネスの尖兵か?!この邪神ヴィネスのスパイめ!!今すぐ処断してやる!!』と言い出し鞘から剣を抜く冷たい金属音が聞こえたので非常に焦ったがラーイ帝が『止めよ!まず、この者の話を聞こうではないか?それから判断しても遅くあるまい。』と静止してくれたので助かった・・・ラーイ皇帝陛下万歳...

「なるほど・・・妙な知識は【エヴァ・ラインス】から学んだとばかり思うていたがこちらの世界より文明が高度な異世界の知識だったのか...」

とラーイ帝は妙に納得して・・・うん? おかしくないか・・・?
俺の記憶が正しければ【エヴァ・ラインス】と言う人物は・・・?うん?

そこで俺は、ひとつの確信を得た。
何せそうと考えないと説明がつかないからだ・・・

(ファ?!ラインス師匠と【エヴァ・ラインス】は同一人物?!えっえええー!!)

衝撃の事実だ!あんなのが・・・いや、失礼・・・ただのキレやすい老人じゃなかったんですね?!ラインス師匠!!

「あの~皇帝陛下・・・大変申し上げにくいのですが...アーレ皇太子殿下の治療はラインス師匠に治療してもらう訳には・・・その...いかなかったんですか?」

俺は取り敢えず凄い偉人だと分かったので【ラインス師匠に全て押し付けてやろう!!散々扱き使われたし!!】と思い至り遠回しにラーイ帝をけしかけたが...

「???――なにを言うておる。エヴァ・ラインス殿がから公爵家の者たちが、お主が連れて来られたのであろう・・・」

皇帝に言葉を理解するのに一刻ほどかかった・・・

(ふぁ?!えええ!ラインス師匠が死んだ・・・?)

いや!俺が追い出されるように錬金術師ギルドを後にした時はピンピンしてたよ?!
えー・・・びっくりなんだけど...

まったく、今日は驚きの連続だ!
サレンドラ皇后にはブチ倒れられるし、皇帝に突然会わされるし・・・オマケにラインス師匠は死んだと聞かされるし!

「そのラインス師匠の・・・死にざまは...どのようなモノだったでしょうか?陛下...」

短い時間しか共に過ごしていないがショックだ...受け入れるしかない...

「ソナタは...そうか...知らなかったのだな...うむ...」

ラーイ帝は一息入れるとラインス師匠の死にざまを語り始めた...

「ラインス殿は揺り椅子で、健やかな【おおよそ充実した人生を送った者にしか出来ない最高に朗らかで満足した顔】で死んでいたそうだ...彼女の日誌には【最後に人生で最高の弟子を育てた】と記されていたそうだ...」

ラインス師匠...
そうか・・・いちお・・・そんな素振りは見えなかったけど・・・
認めてくれていたんだな...

アユムは心から、この異世界で生きるすべを教えてくれた師匠に感謝し彼女の冥福を祈った...
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