クラス転移したけどリセマラされる前にバックレる

シューニャ

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第58話下々の諸君!!必要な物を用意したまえ!!

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「なんです・・・これ?」

「あ゛? 見ての通り魔道具だが・・・必要な物があれば出来る限り取り寄せるように言われてる。」

皇太子を救うために俺の目の前に使用の用途が分からない魔道具が集められた
その中に...

「おっ・・・これは・・・」

初めてラインス師匠に会った時に使っていた【使い捨て用?のレンズ】があった

「このレンズは、どういう効果があるんです?」

目の前にいる高圧的な宮廷魔術師に質問する

「フッ、そんな事も知らないのか?貴様?」

この偉そうな態度の中年男性は魔道具部門のお偉い方らしい・・・控えめに言って嫌な奴だ・・・だが、出来る限り表情や態度に出ないよう気を付けよう。こういう奴に限って自分の気に入らない事があると相手をおとしれるために失態しったいをでっち上げるのだ。ここはコチラが下手に出る方が懸命だろう...

「申し訳ありません。わたくしめは学がない人間なので貴方様のように高貴なお方の教え必要なのです。教えて頂けますか?」

「フン"!どうやら、そのようだな?精々せいぜいそうやって私の手を煩わせぬよう精進しょうじんするのだな。詐欺師くん」

素直に教えろよ?!面倒くさい奴だな?!!おい!

「その魔道具は既に自分が知っている物事や概念を垣間見る事が出来る簡易魔道具だ。魔物並みの知識しか持たないお前にも分かりやすく説明するなら、既に自分の分かっている事項に基づいた情報しか知ることが出来ぬ、取るに足らないシロモノだ。つまり君には必要のないものだ。わかったかね?」

いや、それメチャクチャ便利じゃん?!元の世界のアニメや漫画でいう所の鑑定スキルや某オレンジ色のドラ○ンのボールに出てくるスカ○ターみたいなもんだろう?!
元の世界の概念や事象を知ってる俺に明らかに必要不可欠なモノじゃねぇか?!

早速、レンズを目の前の偉そうな奴に使ってみる・・・

「はぁ~ おいおい。人に使っても、その人物と親しくないと意味ないぞ?ハッ、これだから貴様のような馬鹿の相手は・・・聞いてるのか?」

身長や体重・・・役職などが表示されている!

これは!!使い方次第で化けそうだ!

「すいません!!この魔道具あるだけ下さい!!」

「おまえ・・・はなし・・・聞いてたか?」

「聞いてました!!お願いします!!どうしても必要なんです!!」

土下座をした俺のあまりの勢いにドン引きしたのだろうか?偉そうな・・・もとい魔導技術部門の主任研究員と表示された中年男性は引き攣った顔で――

「いや・・・え~・・・お、おう・・・まあ、いいだろう...お前には出来る限り協力するように御上からお達しが来ているから・・・なぁ~?」と素直に応じてくれたが、よほど俺が変人・変態の類いだと思ったのだったのだろう・・・
その後――常時、奇っ怪な顔で首を捻る様子だった...

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

それにしても、なんと幸運な事だろう!どうやら幸運な事に必要な物はユガンの連中がなんとか揃えてくれるらしい...もし、失敗すれば俺も殺されるだろうが前向きに考えれば、これは皇帝に恩を売るチャンスだ!

皇太子の血友病は根治は出来ないだろうが幸いな事に俺には皇太子の慢性的な出血症状を劇的に改善する算段が既についている・・・

と、なれば後は前進するのみだ!

「はい。みなさん――これからアーレ皇太子殿下が罹患りかんしている血友病の治療方法について説明します。」

俺はユガンのサレンドラ皇后やお偉方、それと宮廷魔術師や宮廷医に血友病の治療方法を説明ために講演を開いた!

「それでは・・・まず宮廷医のみなさん・・常識的な質問をします。人間の本来の血の色は、なに色でしょうか?」

「き、貴様!馬鹿しているのか!赤色に決まっているだろうが!!」

ファ?!答えた連中だけでなく周りの他の宮廷医たちも深く頷いている...
異世界とはいえ、この世界で最高峰であるハズの宮廷医から血液の色は赤だと返ってくるとは思わなかった!!

「・・・マジで言ってます?」

騒がしかった宮廷医たちが『えっ?!違うの?!血の色は赤だよな?そうだよな?』という様子で周りの連中と目を合わせながら静まり返っていく・・・

「え~っとですね...」

まさか、大怪我もポーションで治るような世界にいる宮廷医たちの知識が俺のいた世界のより浅いとは...俺は血が赤く見えるのは血液に含まれる赤血球という酸素などを運ぶタンパク質によるもので人間の血の色は本来黄色なのだと説明するが、なかなか信じてもらえない・・・

「黙れ!この詐欺師め!!」

「し、信じられん!人間の血は赤だ!黄色ではない!!」

「はぁ~」とため息をつく・・・埒が明かない・・・

「まぁ・・・とりあえずアナタ方は、信じなくてもいいです・・・と、ゆーう訳でですね・・・さて、なぜ我々が皇太子さまと違って血が固まるか説明しますから、よーくお聞き下さい!宜しいですね!」

ひとまず宮廷医たちの説得は諦めて強引に話を進める事にする。血中には血小板という因子があり血管が破れると、まず血管の収縮が起こり傷口を小さくした上で血小板が一時的に止血の役割を果たす。これを一次止血という

次に血液凝固因子というタンパク質の働きにより血が固まる。これが二次止血だ。
だがアーレ皇太子の場合『その血液凝固因子が少ない――又は、ないが為に血が固まりにくいのだ』と懇切丁寧に説明した。

「え~ つまりですね。アーレ皇太子には、その血液凝固因子を補填する。補充療法という治療をおこなうのが今、我々にできる事です。なにか質問はございますか?」

ようやく知っておくべき予備知識について説明を終えた...
はぁ~・・・やっと本題の治療方法について入れそうだ...本当に疲れる...

「仮に・・・百歩譲ってお前の言う通りだったと仮定して、その血液凝固因子とやらを、どうやって補充するというのだ?!」

「いい質問です。血友病を治療するには血液製剤という健康な人間の血液を加工した薬が必要です」

「な!なな!なんだと?!皇太子殿下のお体に下賤な他人の血液を入れるのいうのか?!」

「か、神への冒涜だ!!地獄へ落ちろ!!背教者めが!!」「やはり、貴様は詐欺師だ!!他人の血液を入れらた者は死んでしまう!」などと当然そのような治療など聞いた事も試そうとした事もない彼らからは異論があがった。

俺も眼の前の彼らの立場ならそう思うだろうし、仕方がない事だとも思うだろう。

いずれにせよ・・・目の前の連中が有効性が理解出来ないというのなら、それならそれでいい・・・どのみち、俺の選べる選択肢は少なく、出来ることなど限られているのだから・・・

「宗教的な事は知りませんが、他人の血液を入れた人間が死ぬのは体の免疫機能である抗体が自身と違う型の抗原を細菌やウイルスとして誤認して大量の赤血球を急激に破壊してしまう急性溶血性ショックを起こすからです。輸血前に白血球を取り除かないと同じ血液型でも重篤化する事があるんですから、そりゃー死ぬに決まってますよ」

『宮廷医たちは、なに何言ってるんだ?こいつ・・・』状態だが治療の有効性なら皇太子の身体自身が証明してくれるハズだ...俺はおれの出来る事をするまでだ

「ともかく、手遅れになる前に電気で動く強力なモーターという物が必要です。血液製剤の生産には遠心分離機を製作する必要がありますから貴方方は、わたくしめが昨日の内にメモしておいたモノを渡すので用意して下さい」

必要なモノは沢山ある・・・
モーターと遠心分離機に関しては設計図・部品の仕様書、輸血・採血用道具・・・採血した血液を濾過する多重構造の濾過装置 採血した血を保管する為のパック、
血液製剤であるクリオ製剤から加熱製剤にする60℃で保たれる保温容器 これらを稼働するための非常に高価な魔石 
そして採血用ドナーとして皇太子と同じ年齢の子どものリスト(肝炎やウイルス性の病気に罹っていない者)

どれが欠けても皇太子は助からないから必須だ・・・

「ちょ!いや!ちょっと待て!多すぎるぞ?!メモなんてもんじゃない!これじゃ要求事項を書いた書類だ!」

「だから、どうしたんです・・・?わたしめは不本意ながら皇太子殿下が死んだら殺されるリスクを背負っているんですよ?貴方様も、まだ言いたい事は沢山おありでしょうが――ここは飲み込んで、なんとか通して用意して下さいませ。お互い泣き言はナシにしましょう」

「それでは私めは昨晩から寝ておりませんので仮眠をとらせて頂きます。サレンドラ皇后陛下、失礼させていただきます。あっ!なにか仕様や設計の変更をするんでしたら必ず私の部屋を訪れて確認して下さい。細かい指示も出しますので。」

俺は唖然とする連中を残して一人退室した...
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