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第42話ソース作り
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――メシがマズい!!――
恐らく口にせずとも この世界の誰もが、そう思っているだろう・・・
異世界の食事は味の薄い塩味のスープにハーブを入れて誤魔化しているのが大半だ。その味を誤魔化したスープに日の経ったクソ硬いパンをつけて柔らかくして食べるので元の世界の食生活が豊かだったぶん耐え難い・・・
はっきり言って――この世界で美味しいのはチーズくらいである。だがチーズだけ食べる訳にもいかない・・・さすがにチーズだけでは死んでしまう・・・だが、いくら栄養満点とはいえ豆や麦粥の薄い味のスープは、もうヤダ・・・なんとかしなければならない。
そこでオレ――真井歩は、ソース作りに取り組む事にした。
魚醤 醸造酢 料理酒の製造を従業員に指示したのも、その為だ・・・
これらは、オレが作ろうとしているウスターソースや野菜ドレッシングに不可欠だし、何より元の世界のヨーロッパに類似している この世界の異世界人連中の味覚にも合うだろうと考えたからだ。
それに、魚醤 醸造酢 料理酒だったら、最悪 商品化に失敗しても、これらを単品で売ればいいので、ある程度つぶしが利くハズだ。
なにより、この世界の技術力や生産設備でも生産できるという点が非常に大きい。
お酒なら元の世界と違って教会だけではなく、なぜか、そこら中でエールらしきモノを作っているし魚醤に関していえば元の世界では古代ローマの時代から作られていたので、異世界にあってもおかしくないと思っていたら 案の定、彼らの中にも作り方を知っている者が存在した。
さらに、ここは貿易港だ。魚醤に必要な魚や貴重な砂糖 内地では高価な塩が、それなりに値が張るとはいえ手が出せない値段で販売されている訳ではないので他所と比べると安価に入手可能なのだ。
もっと言えば、元の世界の醸造酢は紀元前まえから作られていたほど歴史が古い。なれば――異世界と言えども作れない道理ではないか・・・
本音を言えば 出来れば醤油や味噌を作りたかったが、元の世界の麹菌は長い年月をかけて人体に有害ではないよう品種改良された事実を考えると、素人の俺が作るのは憚られる・・・
と、ゆうか――なによりアオカビとコウジカビの区別なんて・・・ド素人の俺にはつかない!
それに、いくら麦やパンに生えたカビから味噌や醤油が作れるかも知れないとはいえ 素人のオレが作った味噌や醤油なんて食中毒を起こしそうなので、怖くて食べられたモノではない!
いずれにせよ・・・異世界連中の味覚に合うかも分からないし、商品化出来るかも怪しいモノに大金をかけるのはリスクが大きすぎる・・・
それでなくとも、現在――販売ルートの確保は難航中だ・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「まだ、現物は出来ていませんが味には自信があります。商品が出来た暁には――」
「ウチは間に合っていると言っているだろうがーー!!帰れ!!このペテン野郎!!」という声と共に また店を叩き出される・・・
「ひぃいいいーーーーー!!!!」
バタンと無情にもドアが閉まる音が大通りに鳴り響くと同時に道行く人々に笑われる
俺はこのパターンを、もう67回ほど繰り返していた・・・・・・
思わず「ハァァァ・・・・」と大きな溜息が出る・・・
「世知辛え・・・・・・」
だが、諦める訳にもいかない。既に、この事業には多額の金を注ぎ込んでいる。
ここで諦めると言う選択肢など端から存在しない!
かの有名なカーネルおじさんこと カーネル・サンダースは行政の身勝手な幹線道路計画のせいで60歳でホームレスになったが、彼は自分の境遇を恨み絶望することなく 自分に出来ることは何か?と考え ゆいいつ手元に残った車と少額の年金、そして自身のチキンのノウハウ集大成である特製スパイスを入れた袋 片手に10年間、全米中をまわり居酒屋などで、みずから実演営業をしながら飲食店の店主たちに自分の唯一の財産であるオリジナルチキンのブランドを売り込み続けたのだ・・・
のちにカーネル・サンダースの、この行動が世界で初めてのフランチャイズ契約の原型になるのは、あまりにも有名だ。オレは異世界で、このアイデアをパクろうと思う!どうだ?!セコイだろう!!
はなしは戻るが――当然、店の店主たちからすれば怪しい老人が突然、営業に来るのだから門前払いをするのが普通だろう・・・
一説によればカーネル・サンダースは【1009軒の店に門前払いされ1010軒で、やっと契約してくれた店にこぎつけた!】という話しまであるのだ。
そう考えればカーネル・サンダースのした努力や苦労に比べれば俺のした苦労など大した事ではないので、やる気が出てくる!!
(俺はまだ、やれるぞ!)
俺は、その後も諦めずに売り込みをかけていった・・・
恐らく口にせずとも この世界の誰もが、そう思っているだろう・・・
異世界の食事は味の薄い塩味のスープにハーブを入れて誤魔化しているのが大半だ。その味を誤魔化したスープに日の経ったクソ硬いパンをつけて柔らかくして食べるので元の世界の食生活が豊かだったぶん耐え難い・・・
はっきり言って――この世界で美味しいのはチーズくらいである。だがチーズだけ食べる訳にもいかない・・・さすがにチーズだけでは死んでしまう・・・だが、いくら栄養満点とはいえ豆や麦粥の薄い味のスープは、もうヤダ・・・なんとかしなければならない。
そこでオレ――真井歩は、ソース作りに取り組む事にした。
魚醤 醸造酢 料理酒の製造を従業員に指示したのも、その為だ・・・
これらは、オレが作ろうとしているウスターソースや野菜ドレッシングに不可欠だし、何より元の世界のヨーロッパに類似している この世界の異世界人連中の味覚にも合うだろうと考えたからだ。
それに、魚醤 醸造酢 料理酒だったら、最悪 商品化に失敗しても、これらを単品で売ればいいので、ある程度つぶしが利くハズだ。
なにより、この世界の技術力や生産設備でも生産できるという点が非常に大きい。
お酒なら元の世界と違って教会だけではなく、なぜか、そこら中でエールらしきモノを作っているし魚醤に関していえば元の世界では古代ローマの時代から作られていたので、異世界にあってもおかしくないと思っていたら 案の定、彼らの中にも作り方を知っている者が存在した。
さらに、ここは貿易港だ。魚醤に必要な魚や貴重な砂糖 内地では高価な塩が、それなりに値が張るとはいえ手が出せない値段で販売されている訳ではないので他所と比べると安価に入手可能なのだ。
もっと言えば、元の世界の醸造酢は紀元前まえから作られていたほど歴史が古い。なれば――異世界と言えども作れない道理ではないか・・・
本音を言えば 出来れば醤油や味噌を作りたかったが、元の世界の麹菌は長い年月をかけて人体に有害ではないよう品種改良された事実を考えると、素人の俺が作るのは憚られる・・・
と、ゆうか――なによりアオカビとコウジカビの区別なんて・・・ド素人の俺にはつかない!
それに、いくら麦やパンに生えたカビから味噌や醤油が作れるかも知れないとはいえ 素人のオレが作った味噌や醤油なんて食中毒を起こしそうなので、怖くて食べられたモノではない!
いずれにせよ・・・異世界連中の味覚に合うかも分からないし、商品化出来るかも怪しいモノに大金をかけるのはリスクが大きすぎる・・・
それでなくとも、現在――販売ルートの確保は難航中だ・・・
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「まだ、現物は出来ていませんが味には自信があります。商品が出来た暁には――」
「ウチは間に合っていると言っているだろうがーー!!帰れ!!このペテン野郎!!」という声と共に また店を叩き出される・・・
「ひぃいいいーーーーー!!!!」
バタンと無情にもドアが閉まる音が大通りに鳴り響くと同時に道行く人々に笑われる
俺はこのパターンを、もう67回ほど繰り返していた・・・・・・
思わず「ハァァァ・・・・」と大きな溜息が出る・・・
「世知辛え・・・・・・」
だが、諦める訳にもいかない。既に、この事業には多額の金を注ぎ込んでいる。
ここで諦めると言う選択肢など端から存在しない!
かの有名なカーネルおじさんこと カーネル・サンダースは行政の身勝手な幹線道路計画のせいで60歳でホームレスになったが、彼は自分の境遇を恨み絶望することなく 自分に出来ることは何か?と考え ゆいいつ手元に残った車と少額の年金、そして自身のチキンのノウハウ集大成である特製スパイスを入れた袋 片手に10年間、全米中をまわり居酒屋などで、みずから実演営業をしながら飲食店の店主たちに自分の唯一の財産であるオリジナルチキンのブランドを売り込み続けたのだ・・・
のちにカーネル・サンダースの、この行動が世界で初めてのフランチャイズ契約の原型になるのは、あまりにも有名だ。オレは異世界で、このアイデアをパクろうと思う!どうだ?!セコイだろう!!
はなしは戻るが――当然、店の店主たちからすれば怪しい老人が突然、営業に来るのだから門前払いをするのが普通だろう・・・
一説によればカーネル・サンダースは【1009軒の店に門前払いされ1010軒で、やっと契約してくれた店にこぎつけた!】という話しまであるのだ。
そう考えればカーネル・サンダースのした努力や苦労に比べれば俺のした苦労など大した事ではないので、やる気が出てくる!!
(俺はまだ、やれるぞ!)
俺は、その後も諦めずに売り込みをかけていった・・・
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