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第41話:錬金術
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次の日、アユムは届いたアルミとマグネシウムを自分の店の作業台で加工していた・・・
錬金術士は『分解』『合成』『再構成』で錬金するのだが、やり方は至って簡単。なんと術式の彫り込んだ作業台に加工したいモノを置いてを魔力を込めながら念じてイメージするだけだ!
すると、(あら!不思議!)未加工の物品が光を放つとあっという間に加工された物品の出来上がった!
「すげぇ・・・ほんとに出来た...」
魔力がなかったので今までは出来なかったが賊から入手した高価な【マジックシーダー】という種子らしき形をしたマジックアイテムを服用したお陰で魔法が使える様になり、ようやく俺も魔力を帯びた人間になれたのだ。
「しかも、凄い加工精度だ・・・この世界に工作機械がないのも、この技術力のお陰か・・・」
加工した閃光音響手榴弾の殻用の容器はイメージ通りだ。これならばセンチ単位どころかミリ単位の加工も出来るだろう。しかも手作業より安全だ。
どのような経緯で、このような高価な物品を賊が入手したかは不明だが服用した時点で効果は一生続くらしいので今は大した魔力量ではないが一緒に入手した文献によれば練習で、ある程度の事はできる様になるらしい...
「次はこれだな・・・」
賊から勝ち取った物は【マジックシーダー】や大量の金貨だけではない・・・
折り畳まれた【大量の使い捨て用スクロール】と、その製造に関する【スクロール製造文献】だ。これで個人戦闘での火力が更に増すことが出来るだろう・・・
試しに【使い捨て用スクロール】を一枚使い【スクロール製造文献】の通り電撃魔法の簡易術式を丁寧に書いていく・・・書き終わったら後は魔力を封入するだけだ!
「よし!試しに使ってみよう!」
と、勇んで使ってみたが・・・なんと静電気レベルだった・・・
残念ながら俺のレベルでは、こんなものだろう・・・これなら、そこら辺の棒切れで戦った方がマシだ!
「ひ、火起こしに使おう...」
ひとまず、水を飲んで落ち着いた後 つい最近、廃業したという町外れの醸造所に向かった。実は俺が一週間前に公証人を通じて施設や土地、醸造設備・従業員を元金で買い取っていたのだ。
公証人によればオーナー借金で差し押さえになった醸造所を元金で買った物好きがいたので元金が戻って来て大喜びだったとか・・・
定額で利用できる公用厩舎に停めてある馬をとり行く・・・考えてみれば戦場で拾った馬とも付き合いが長い。そろそろ名前を付けてあげるべきだろう・・・
公用厩舎に着くと調教師が笑顔で手を振って近寄って来た。
「やぁ、あんちゃん。出かけるのかい?」
「ええ、そうです。今日は町外れの買い取った物件の準備が整っているハズなので、従業員たちに指示を出しに行くんです。」
「へぇー その若さで大したもんだ!世の中には一生下働きの奴もいるのに。」と調教師は関心したのか深く頷いている。
「で、なんです?わざわざ営業スマイルで・・・何か用があって話しかけたのでは?」
「いや~ ははは。やっぱ実業家には敵わないな~ 実は新しい蹄鉄の営業しろって御上に責付かれてるんだ。ほら、あんちゃんの馬って随分となげーこと、あの蹄鉄を履いてるだろう?どうかな~って・・・」
しばらく考え込む・・・
「なぁー 頼むよ、あんちゃん。ノルマを達成出来なかったら嫁と娘が路頭に迷っちまう・・・今なら蹄鉄を履かせるサービスも付けるよ?」
「・・・・・・買った。すぐに履かせられるか?」
「よし!毎度あり!料金は銀貨7枚だ。すぐに準備するよ。」
調教師が去っていったので適当に馬の名前を考える・・・
「メスだったよな~ う~ん・・・ よし・・・ベスにしよう」
30分後、調教師が相棒を連れて厩舎《きゅうしゃ》から出てきた。
「お待たせ、あんちゃん。待たせたな。」
「構わないよ。ほら、銀貨7枚だ。さて、行こう。今日からお前の名前はベスだ」
ベスに、またがり町の郊外に向かった...
-------------------------------------
馬の足は本当に早い――目的地の郊外の醸造所に着いた
家畜化された馬はヒヅメを保護しないとヒヅメがヒビ割れ壊死したり、そこから病原菌が入り死んでしまうがキチンと保守・点検してコンディションを保ってやれば機械と同じで、しっかりコチラの期待に応えてくれる。
ゆえにアユムは動物や機械が好きである。対して人間は脆いうえに文句や要求が多い。もしかしたら彼らは動物や機械より繊細なのかも知れない。
そんな事を考えているうちに目的地の郊外の醸造所に着いた――
この一週間で、ようやく施設の運用の準備が整った。みな、発酵・醸造の専門家たちや職人だ。
「こんにちは――旦那さま。この度は私どもを雇って頂きありがとうございます。いつでも仕事を始められますが何を作れば宜しいでしょうか?ご指示を・・・」
この醸造所の頭がゴマすりをしながら話しかけてくる・・・
「うん、ご苦労さま。君たちには醸造所の設備で醸造酢と料理酒、それと
魚醤を製造してもらいたい。」
「かしこまりました。旦那さま。発酵食品の製造には一ヶ月くらいかかると思いますが、よろしいでしょうか?」
「うん、それでいいよ。それじゃ、オレは販売ルートを開拓してくるから。それとマメに訪れるから驚かない様に・・・」
そう言い残し再びオレは街に向かってベスを走らせた・・・
錬金術士は『分解』『合成』『再構成』で錬金するのだが、やり方は至って簡単。なんと術式の彫り込んだ作業台に加工したいモノを置いてを魔力を込めながら念じてイメージするだけだ!
すると、(あら!不思議!)未加工の物品が光を放つとあっという間に加工された物品の出来上がった!
「すげぇ・・・ほんとに出来た...」
魔力がなかったので今までは出来なかったが賊から入手した高価な【マジックシーダー】という種子らしき形をしたマジックアイテムを服用したお陰で魔法が使える様になり、ようやく俺も魔力を帯びた人間になれたのだ。
「しかも、凄い加工精度だ・・・この世界に工作機械がないのも、この技術力のお陰か・・・」
加工した閃光音響手榴弾の殻用の容器はイメージ通りだ。これならばセンチ単位どころかミリ単位の加工も出来るだろう。しかも手作業より安全だ。
どのような経緯で、このような高価な物品を賊が入手したかは不明だが服用した時点で効果は一生続くらしいので今は大した魔力量ではないが一緒に入手した文献によれば練習で、ある程度の事はできる様になるらしい...
「次はこれだな・・・」
賊から勝ち取った物は【マジックシーダー】や大量の金貨だけではない・・・
折り畳まれた【大量の使い捨て用スクロール】と、その製造に関する【スクロール製造文献】だ。これで個人戦闘での火力が更に増すことが出来るだろう・・・
試しに【使い捨て用スクロール】を一枚使い【スクロール製造文献】の通り電撃魔法の簡易術式を丁寧に書いていく・・・書き終わったら後は魔力を封入するだけだ!
「よし!試しに使ってみよう!」
と、勇んで使ってみたが・・・なんと静電気レベルだった・・・
残念ながら俺のレベルでは、こんなものだろう・・・これなら、そこら辺の棒切れで戦った方がマシだ!
「ひ、火起こしに使おう...」
ひとまず、水を飲んで落ち着いた後 つい最近、廃業したという町外れの醸造所に向かった。実は俺が一週間前に公証人を通じて施設や土地、醸造設備・従業員を元金で買い取っていたのだ。
公証人によればオーナー借金で差し押さえになった醸造所を元金で買った物好きがいたので元金が戻って来て大喜びだったとか・・・
定額で利用できる公用厩舎に停めてある馬をとり行く・・・考えてみれば戦場で拾った馬とも付き合いが長い。そろそろ名前を付けてあげるべきだろう・・・
公用厩舎に着くと調教師が笑顔で手を振って近寄って来た。
「やぁ、あんちゃん。出かけるのかい?」
「ええ、そうです。今日は町外れの買い取った物件の準備が整っているハズなので、従業員たちに指示を出しに行くんです。」
「へぇー その若さで大したもんだ!世の中には一生下働きの奴もいるのに。」と調教師は関心したのか深く頷いている。
「で、なんです?わざわざ営業スマイルで・・・何か用があって話しかけたのでは?」
「いや~ ははは。やっぱ実業家には敵わないな~ 実は新しい蹄鉄の営業しろって御上に責付かれてるんだ。ほら、あんちゃんの馬って随分となげーこと、あの蹄鉄を履いてるだろう?どうかな~って・・・」
しばらく考え込む・・・
「なぁー 頼むよ、あんちゃん。ノルマを達成出来なかったら嫁と娘が路頭に迷っちまう・・・今なら蹄鉄を履かせるサービスも付けるよ?」
「・・・・・・買った。すぐに履かせられるか?」
「よし!毎度あり!料金は銀貨7枚だ。すぐに準備するよ。」
調教師が去っていったので適当に馬の名前を考える・・・
「メスだったよな~ う~ん・・・ よし・・・ベスにしよう」
30分後、調教師が相棒を連れて厩舎《きゅうしゃ》から出てきた。
「お待たせ、あんちゃん。待たせたな。」
「構わないよ。ほら、銀貨7枚だ。さて、行こう。今日からお前の名前はベスだ」
ベスに、またがり町の郊外に向かった...
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馬の足は本当に早い――目的地の郊外の醸造所に着いた
家畜化された馬はヒヅメを保護しないとヒヅメがヒビ割れ壊死したり、そこから病原菌が入り死んでしまうがキチンと保守・点検してコンディションを保ってやれば機械と同じで、しっかりコチラの期待に応えてくれる。
ゆえにアユムは動物や機械が好きである。対して人間は脆いうえに文句や要求が多い。もしかしたら彼らは動物や機械より繊細なのかも知れない。
そんな事を考えているうちに目的地の郊外の醸造所に着いた――
この一週間で、ようやく施設の運用の準備が整った。みな、発酵・醸造の専門家たちや職人だ。
「こんにちは――旦那さま。この度は私どもを雇って頂きありがとうございます。いつでも仕事を始められますが何を作れば宜しいでしょうか?ご指示を・・・」
この醸造所の頭がゴマすりをしながら話しかけてくる・・・
「うん、ご苦労さま。君たちには醸造所の設備で醸造酢と料理酒、それと
魚醤を製造してもらいたい。」
「かしこまりました。旦那さま。発酵食品の製造には一ヶ月くらいかかると思いますが、よろしいでしょうか?」
「うん、それでいいよ。それじゃ、オレは販売ルートを開拓してくるから。それとマメに訪れるから驚かない様に・・・」
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