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第35話;side:嶺山紗弓
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「なんてこと・・・いったい何の騒ぎ?...」
宿屋で朝一番に起きて外に出ると立ち寄った街の様子が騒がしいかったので、私は「何かあったんですか?」と街の人を止めて聞く
「まだ詳しい事は分からないだけど、どうやら昨日の真夜中に婦女暴行と殺しが遭ったらしい。可哀想に、まだ破瓜も迎えていない少女と若い衛兵が犠牲になったんだと...遺族は気の毒に・・・」
「なんですって?!」と思わず声を上げてしまった・・・凶悪犯罪ではないか?正義感の強い私は「犯人は?!犯人は捕まったんですか?!」と詰め寄った!
「ちょ、ちょっと!落ち着きなって、おねえさん!」
気がついたら町人の首元を掴んでいた!
「す、すいません!わたしったら・・・」
町人の首元から手を放すと別の人が話に割り込んできた。
「犯人は、まだ捕まっていないらしいぜ?目撃者がいないんだと、何ともおっかない話しだぜぇ・・・」
それを皮切りに街の人達が次々と話の輪に入って来る・・・
「恐ろしいね~!娘をオチオチ歩かせられないよ!」
「大丈夫だ!きっと衛兵隊や騎士隊が犯人を捕まえてくれる!」
「そう?...そうよね・・・」
街の人々は、みな口々に「大丈夫だ」と自分たちに言い聞かせているが不安を拭いきれない様子だ。本来なら勇者である私が何とかしたいが私達は警察ではない・・・歯がゆいが余計な事をして捜査を混乱させない方が良いだろう
私は感情をグッと堪えて宿屋へ戻ると宿屋の入り口で二階の階段から降りてくる親友とパッタリ出会った
「おはよう。紗弓ちゃん。どうしたの?何かあったの?」とクラスメイトのひとりである結城雪奈が話しかけてきる・・・ボーイッシュなボブカットの銀髪で美しい青い目を持つ彼女は東欧人とのハーフらしいが不思議と入学当初から私とウマがよくあった。私がクラスの副委員長として立候補した時に学校の生徒会・会計委員として後援・サポートしてくれたのも彼女だ。
「雪ちゃん・・・」
私は親友の雪ちゃんに、街で凄惨な事件起きたらしいと言う事を話した。
「それは酷い出来事だね・・・それで紗弓ちゃんはどうしたいの?もし、何とかしたいんなら僕も手伝うよ?」
ユキちゃんは私の心情を察したのだろう。心配そうな顔でどうするのか聞いてきた・・・
「私は...いや、私達は警察じゃない。チームとして動く以上、私は勝手な行動はしないわ!それに私達が動くことで、この街の治安組織の邪魔になったらイケないもの。今回は異世界の人たちの法と正義を信じて見よう思うわ。」
ユキちゃんは少し頬に手を当てて考えたあと・・・
「そう、紗弓ちゃんが、そう決めたなら僕の出る幕じゃないね・・・ありがとう、紗弓ちゃん。紗弓ちゃんが遠慮せずに一人で抱え込まないで僕に教えてくれたのは僕を信頼してくれているからだよね?素直に嬉しいよ...ぼくは僕たちの事を、そこまで考えてくれている君は本当にリーダーに相応しいと思ってる、だから君に付いて来てよかったと心から僕は思うよ。でも本当に手助けがいる時は言ってね?僕と君は無二の親友だから。」
ユキちゃんは朗らかで人懐っこい笑顔を浮かべながら私にそう言い残し食堂に消えていった・・・
「ユキちゃん・・・ありがとう。」
私は、とても良い親友を持ったと思う。ユキちゃんだって本当は異世界なんかに来たくなかったハズなのだ・・・実は彼女はサッカー部の岩屋君と清い交際している事を私は知っている。本来なら唯一安全で朝の一時しかない、この憩いの時間を恋人と過ごしたいハズなのに、彼女は私の話に時間を割いて真剣に聞いてくれたばかりではなく励ましてくれたのだ...
ユキちゃんが、こんなに良くしてくれるのも元の世界に帰りたい期待の裏返しだと私は思うのだ...
そんな親友の期待に私は答える事が出来るだろうか?無事に元の世界に帰してあげられるだろうか?
そんな事を心の中で自問しながら私はまだ開いていた宿屋の玄関のノブに手を伸ばしドア閉じた・・・
宿屋で朝一番に起きて外に出ると立ち寄った街の様子が騒がしいかったので、私は「何かあったんですか?」と街の人を止めて聞く
「まだ詳しい事は分からないだけど、どうやら昨日の真夜中に婦女暴行と殺しが遭ったらしい。可哀想に、まだ破瓜も迎えていない少女と若い衛兵が犠牲になったんだと...遺族は気の毒に・・・」
「なんですって?!」と思わず声を上げてしまった・・・凶悪犯罪ではないか?正義感の強い私は「犯人は?!犯人は捕まったんですか?!」と詰め寄った!
「ちょ、ちょっと!落ち着きなって、おねえさん!」
気がついたら町人の首元を掴んでいた!
「す、すいません!わたしったら・・・」
町人の首元から手を放すと別の人が話に割り込んできた。
「犯人は、まだ捕まっていないらしいぜ?目撃者がいないんだと、何ともおっかない話しだぜぇ・・・」
それを皮切りに街の人達が次々と話の輪に入って来る・・・
「恐ろしいね~!娘をオチオチ歩かせられないよ!」
「大丈夫だ!きっと衛兵隊や騎士隊が犯人を捕まえてくれる!」
「そう?...そうよね・・・」
街の人々は、みな口々に「大丈夫だ」と自分たちに言い聞かせているが不安を拭いきれない様子だ。本来なら勇者である私が何とかしたいが私達は警察ではない・・・歯がゆいが余計な事をして捜査を混乱させない方が良いだろう
私は感情をグッと堪えて宿屋へ戻ると宿屋の入り口で二階の階段から降りてくる親友とパッタリ出会った
「おはよう。紗弓ちゃん。どうしたの?何かあったの?」とクラスメイトのひとりである結城雪奈が話しかけてきる・・・ボーイッシュなボブカットの銀髪で美しい青い目を持つ彼女は東欧人とのハーフらしいが不思議と入学当初から私とウマがよくあった。私がクラスの副委員長として立候補した時に学校の生徒会・会計委員として後援・サポートしてくれたのも彼女だ。
「雪ちゃん・・・」
私は親友の雪ちゃんに、街で凄惨な事件起きたらしいと言う事を話した。
「それは酷い出来事だね・・・それで紗弓ちゃんはどうしたいの?もし、何とかしたいんなら僕も手伝うよ?」
ユキちゃんは私の心情を察したのだろう。心配そうな顔でどうするのか聞いてきた・・・
「私は...いや、私達は警察じゃない。チームとして動く以上、私は勝手な行動はしないわ!それに私達が動くことで、この街の治安組織の邪魔になったらイケないもの。今回は異世界の人たちの法と正義を信じて見よう思うわ。」
ユキちゃんは少し頬に手を当てて考えたあと・・・
「そう、紗弓ちゃんが、そう決めたなら僕の出る幕じゃないね・・・ありがとう、紗弓ちゃん。紗弓ちゃんが遠慮せずに一人で抱え込まないで僕に教えてくれたのは僕を信頼してくれているからだよね?素直に嬉しいよ...ぼくは僕たちの事を、そこまで考えてくれている君は本当にリーダーに相応しいと思ってる、だから君に付いて来てよかったと心から僕は思うよ。でも本当に手助けがいる時は言ってね?僕と君は無二の親友だから。」
ユキちゃんは朗らかで人懐っこい笑顔を浮かべながら私にそう言い残し食堂に消えていった・・・
「ユキちゃん・・・ありがとう。」
私は、とても良い親友を持ったと思う。ユキちゃんだって本当は異世界なんかに来たくなかったハズなのだ・・・実は彼女はサッカー部の岩屋君と清い交際している事を私は知っている。本来なら唯一安全で朝の一時しかない、この憩いの時間を恋人と過ごしたいハズなのに、彼女は私の話に時間を割いて真剣に聞いてくれたばかりではなく励ましてくれたのだ...
ユキちゃんが、こんなに良くしてくれるのも元の世界に帰りたい期待の裏返しだと私は思うのだ...
そんな親友の期待に私は答える事が出来るだろうか?無事に元の世界に帰してあげられるだろうか?
そんな事を心の中で自問しながら私はまだ開いていた宿屋の玄関のノブに手を伸ばしドア閉じた・・・
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