クラス転移したけどリセマラされる前にバックレる

シューニャ

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第25話;自信過剰な勇者:桐谷拓哉と油断ならない冷静な不良

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柚希優香が三宅由華に連れ出されたあと・・・「僕らのアイドルが・・・」と落胆する者と「ちぃ!三宅のヤツ・・・勝手に回復要員の柚希を連れて行きやがった!」といきどおる者・・・ふたつの意見に別れた。“柚希優香が自分のパーティーに来てくれれば戦闘が楽”という考えを持つ者は多少なりとも存在していたからだ

他の男子生徒が柚希優香の件で一喜一憂している中・・・“自分は他の劣等なヤツらとは違う”と思いながら、いつものイケメンフェイスで桐谷拓哉きりたにたくやは取り巻き女子に囲まれながら彼らを見下していた・・・たしかに柚希優香の件は残念だったが桐谷からすれば・・・

“回復要員が一人だけでもいるだけでも、だいぶ回復薬にかける金が節約できる”

という程度の利点しかない。勿論、男子である以上…他の男子生徒と同じように柚希優香の優れた容姿に多少ひかれするし、お陰で自分を含め他の生徒は回復薬代を支度金の中から出さなければならくなったが、他の男子生徒と違って桐谷はモテるがゆえに別に女子に飢えていなかったため彼には他の男子生徒よりも合理的な考え持てるだけの余裕があった

だから彼は“オレは他人より合理的な判断が出来る優れた人間だ!”という自負を持っていた…だが一方で少し冷静に考えれば“おれは合理的な判断が出来る”と彼自身が思うほど……“自らの思考を狭めている”という危惧すべき事実も見えてくるのだが周囲も人間も含め今まで誰もその事に気が付いた者はいなかった

なぜ周囲の人間も含め誰もその様な考えを持つ事がないのか・・・?

その理由は彼が“華麗なる一族”の次男坊だからだとという事実が大きいだろう。彼の祖父は大物の国会議員・・・父は大手企業を手掛けた大株主・母は女優、兄は国立医大の名誉教授。そして桐谷自身は地元でも有名な進学校の生徒で成績は三位と上々じょうじょう・・・

故に彼自身も含め“誰もが桐谷一族は全員優秀”とゆう点にばかり目を奪われてしまい“彼自身の欠点に目がいかぬ”というのも無理からぬことであった

(フン!軽薄けいはく滑稽こっけいな連中だ・・・女一人に実にバカバカしい・・・)

「ねぇ~?桐谷くん♡わたしも桐谷くんのパーティーに入っていいよねぇ♡」

桐谷がバカにしていると、また取り巻きの女の子が撓垂しなだれ掛かって来た

「ちょっと!アミ?!私の桐谷くんに勝手に近づかないで!」

「うぅ~ 違うもん...私の桐谷君だもん...」

「あっ・・・なら私も・・・」

「なに?!それ!ズルい!なら、わたしも入るぅ! 」

同じく取り巻きの女たちが“聞き捨てならない”“なら自分も同じパーティーに入りたい”と騒ぎ始める...

「おいおい・・・落ち着けよ。心配しなくても誰も仲間はずれにしたりしないって。」

桐谷は仕方なく取り持つと女子たちは頬を赤らめながら「桐谷くん優しい♡」「やっぱり桐谷君はふところが深くて甲斐性かいしょうがあるよね!」「他の男とは違うよねぇ~♡」と上機嫌になった。

そんな桐谷の行動が気に障ったのだろうか?不良グループの五丹波翔吾ごたんばしょうごたちが一行いっこうに近づいてくる・・・

「お~ キ・リ・タ・ニぃ― なに調子ブッこいてるんだよ― テメェーこの間はよくもぶん殴ってくれたなぁ~?」

「なんだ?わざわざお仲間連れてカラミに来たのか?五丹波。まぁ、このクラスで一番強いオレの所にひとり来るのが怖いのも無理はないか。」と馬鹿にした笑顔で応じてやる

「おいおい 五丹波さんにそんな口を聞いて大丈夫か~ キリタニ~ 五丹波さん狂戦士だってチョつぇーだぜぇ~?」

耳障りな声で五丹波の取り巻きの不良連中が問いかけてきた。目障りな連中だ

「だから、どうした? お前らが束になってかかて来ても俺には勝てないぞ」

桐谷のあおりに不良の一人が掴みかかろうとしたが一発触発をマズいと思ったのだろう。意外と思われるかも知れないが五丹波が「おい 落ち着けよー 今日は別に喧嘩しに来たわけじゃねぇだろう」と手で制し仲間を止めた。それも当然だろう・・・五丹波は腐っても進学校に入学するだけの知能を持った生徒の一人だ。相手との力関係くらい図れる頭脳くらいは持ち合わせている。

桐谷にも五丹波の冷静な判断力には一目置くと同時に警戒もしていた。五丹波という男はバカそうに見えて油断ならない男なのだ

「チィ!せいぜい慢心で足元を救われないようにするんだな。桐谷...」

五丹波は吐き捨てるように言い捨てると取り巻きを連れて去っていった

「フ!三下《さんした》が...」

「桐谷くん。すご~い♡」「桐谷くん♥すごく怖かったの...抱きついていい?」と女子たちから称賛の声と戦わずして勝ったという高揚感を抑えつつ桐谷は自分の得物である聖剣を握りながら三宅チーム五丹波チームに続いて取り巻きの女子というお供を連れて、まだ見ぬ異世界への旅への一歩を踏み出して行った・・・
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