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第21話金銭の奴隷

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この世界の人々は寝るのも早ければ朝も早い。

(こいつら、もう働き始めていやがる!)

昔の人間は皆んな勤勉だったと聞いたが、それは生きるのに必死だったからである。恐らくこの世界の住民も同様なのだろう・・・そう言えば現代の日本人もよくよく考えればそうだ...そういう意味では人は皆、金銭という鎖で繋がれた奴隷であると言えるのかも知れない・・・

そして悲しいかな...オレもその金銭の奴隷となったが故に朝早くから徒歩で錬金術師ギルドに向かっている。なにせ今日から産業スパイ!もとい・・・下働きをしなければいけないのだ。

オレは錬金術師ギルドの前に着くと思いっきし明るい声で「おはようございます!」と挨拶をかましながら扉を開けた!

「うるさいぃいいい!!!なんだい!!朝ぱらから大声を出すじゃないよ!!」

どうやらラインス師匠のお気に触ったようだ・・・しょぱなからキレられてしまった。

(なんと理不尽な事か・・・)

その後、終業時間まで延々と任された雑用や建物内の掃除をしながらラインスのの調合作業や置かれている錬金の本を盗み見れたので、とても大変だが充実した一日を過ごした。

(休みが出たらユラギ草・オアシツツジ・あとサレノシダとゲノキノコやインクラゴケとかも採りに行かないと・・・)

どうやらポーションの製造には基本となる薬草と添加物となる材料が必要となるようだ...

今は幸い少しばかりの金と短剣が手元にはある。当面は何とかなるだろう・・・問題はそこから先だ。

オレは一日働いてみて早々に、このババアの下働きを卒業して自分の店を構えなければいけないという結論に達した。今のオレは言ってみれば無給のバイトだ。ここで生きる為の技術を吸収出来なければ野垂れ死ぬ未来しか見えない!

残念ながらラインス師匠はくまでオレの無理をきいて弟子にしてくれたに過ぎないのだろう。ゆえにラインスから積極的に教えてくれる事はない。だからこそ自分から能動的に学んでいくべきだろう・・・

何とかしてラインス師匠から技術を吸収する必要があったオレは次の日から終業時間を過ぎても錬金術師ギルドで勉強した。だがラインスにとっては予想外だったのだろう・・・彼女に「いい加減!もう!!帰んなーぁああ!!!」と怒られてしまった。

そんな事が何日か続いたある日ラインスが「明日はギルドを閉める!絶対に休みにする!!来ても叩き出すからね!!」と念を押されたので、「そうですか・・・休みですか。では材料の調達がてら自分の調合用の材料を採ってきます」と言うとなんと休日が空けたら昼休みと業務終了の数時間だけなら有料で錬金部屋を使ってもいいと許可が出た。

オレは明日の休みを楽しみに泊まっている宿へ帰った・・・
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