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第20話宿屋

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錬金術ギルドを出た俺は先ほどエレンダ商会傘下の店へ支店長のバールハイト氏の名前を出しながら自身の作ったポーションを売り払った。手元には現在銀貨200枚とこの街にたどり着くまでに返り討ちにした賊から奪った銀貨50枚と銅貨130枚ほどある。現在、俺は乗ってきた馬と共に道行く人に道を聞きながら宿屋を探して移動中だ

街中を見渡すと様々な服装の人が忙しそうにせっせと働いている。旅の人も多く俺のような護身用の短剣を腰に下げている者も珍しくない。治安より商業の方を優先しているのだろう・・・たまに犯罪者らしき額に傷のある荒くれが武器を引き下げ普通に街中を歩いており、ここが商業の町だと肌で感じる事が出来た

そのお陰で窃盗の前科一犯に付け加え賊を何人か切り殺している俺も街に入れているので何とも妙な気分になってきた・・・巡り合わせが悪かったので仕方ない部分もあるが既に自分は彼らと犯罪者同類だと思う。

(教会の免罪符とかで・・・犯罪歴は消えないだろうか?)

虫がいいかも知れないが出来れば治安の良い所に居を構えたいと割と真面目に思っていると宿屋に到着した。馬小屋に馬を止め宿屋に入る・・・

「ごめんください~ もし...」

呼びかけると宿屋の主人らしき男性が反応し、こちらに歩みよって来た。中年ほどの主人に「お食事ですか?お泊りですか?」と質問されたので「泊まりで。料金は如何ほどで?」と主人に聞く。

主人に一泊「今夜の晩飯と明日の朝食で50銅貨でどうか?」と尋ねられたのでオレは続けざまに今夜、身体を清潔にするお湯と布・馬小屋に馬を止めているので干し草を売って欲しいと提案すると主人はそれならば「それならば今夜の宿代や食事代も込こみで二泊で1銀貨でどうか」と逆提案された。

既に泊まる事にしていたのでオレは二つ返事で宿屋の提案に承諾《しょうだく》した

前払いで主人の主人に銀貨一枚を払うと宿泊する部屋に案内された。残念ながら個室ではないらしく、少し広い部屋に二段ベッドが所狭しに9個敷き詰めてあり、盗難防止用の鍵付きトランクに貴重品を入れる事が出来ると説明をされトランクの鍵を渡された!あ然としたが野宿や雑魚寝でないだけマシと思うしかない。

とはいえ今まで野宿だったので、それに比べれば幾分《いくぶん》か文明的になった。メシもベリーや賊から奪ったマズい干し肉ではなく薄い塩味の具の入ったスープとパンに替わり、干し草に清潔なシーツを敷いただけの簡易なベットにも寝れたのだ。

おまけに、もう野糞を垂れる必要もない!プライバシーが保護されたボットン便所で、いつでも用も足せるようになったのだ!

ただ個人的にビックリしたのはロウソクや燃料用の油を節約する為に就寝が、かなり早かった事だ。

長く濃密な一日を終え、ようやくオレは床についたのだった...

(元の快適な世界に帰りたい...割とマジで...)
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