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第17話自由都市同盟ユガン
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馬で数え切れない山や谷を超え移動すること2週間・・・昨日オレは自由都市同盟ユガンに流れ着いた。自由都市という名前から想像するに元の世界の中世ドイツに存在したとされるハンザ同盟と概念に近いのだろう。現に街の東側と西側の港から商品らしき物資が搬入・搬出を繰り返しているせいで遠目からでも人でごった返しているのがわかる。
「にしても、この鎧と剣・・・凄かったな~」
道中、何回か盗賊らしき奴や青虫らしき生物に襲いかかられたが傷一つ負っていないどころか剣で反撃したら弱いハズのアユムでもアッサリ返り討ちに出来たので思うに、この剣と鎧は相当な業物なのだろう。お陰で路銀と短剣、この世界の服が手に入ったのでこの都市に流れ着いたさい鎧から着替る事が出来た。
「えーと・・・エレンダ商館の方角は・・・」
という訳で、こんな業物を持っていてもトラブルに巻き込まれるだけなのが目に見えているので鎧に刻まれている紋章を頼りに道中の人間に聞いて回り、紋章がエレンダ王国のファナック伯爵家のモノだということがわかった。ユガンにエレンダ王国の商館があると言う事なので彼らの商売ついでに元の持ち主に返して貰おうと考え、ようやくエレンダの商館を見つけた次第だ。
「ごめんください。」
窃盗犯対策?だろうか?檻越しにいる男性に声を掛ける
「当商会に何かご用向きですか?」と応対されたので話を続ける・・・
「はい。実はこのユガンの地に来る途中で瀕死のエレンダの騎士様にあったのです。賊は既に死んでおりましたが騎士様は、どうやらカネ目当ての落ち武者狩りにあったご様子でして、その騎士様がお亡くなりになる間際に遺品の鎧と剣をご家族に届け欲しいと仰せなり彼の遺品を預かった私めがユガンにあるエレンダの商会を訪ねに来た次第です。」
嘘も方便・・・ここまで考えてきた、それっぽい作り話をでっち上げてみた
「それはなんとご足労を・・・どうぞ中へお上がり下さい。すぐに旦那様に取次ぎ申し上げます。」
オレは厳重な商会の中に入る事を許され男性の後に続き中庭を抜けると客間に通された。しばらくすると男性の話を聞いたのだろう。高級そうな服に身を包んだ主人らしき人物がやって来た。
「こんにちは。私は支店長のバールハイトと申します。貴方様は?」
「私めはサナイと申し上げます。バールハイト様。まず、このような小汚いなりで栄えあるエレンダの商会の門戸と敷居を跨またいだ非礼をお詫びしたい。なにせ長い旅路だったもので・・・早速ですが、こちらがエレンダの騎士様からお預かりした遺品でございます。下賤な私めの貧相な足では、ここまで運ぶのが限界でした。代わりにそちらの商会でご遺族にお返し願いたい。」
そう言いながらボロ布に丁寧に包んであった鎧と剣を支店長だというバールハイトに見せる
「おお・・・確かにコレはエレンダ王国のファナック伯爵配下の軍旗が刻印されておりますな... 間違いなく、この家紋はバイロン家のモノでしょう。承知しました。当方でファナック卿の元へ送りまししょう。」
(うん。確かにそんな名前だった。)
「ありがとうございます。バールハイト様。肩の荷が降りた気分でございます。それでは、私めはこれで失礼させていただきます。」と言いオレは早々と商会を後にする事にした
「お疲れさまでございました。貴殿のご厚意にエレンダを代表して感謝を。」
支店長のバールハイト氏は商会の玄関まで送ってくれた。流石は商売人だ。人当たりがとてもいい。
「そうだ。一つ質問があるのですが宜しいでしょうか?」
親切ついでに今後とるべき方針を聞いておこうと思いバールハイト氏に質問する事にした。
「何でしょう?」
「いえ、なに。簡単な事ですよ――もしあなたが初めてこの街に来たとして商売を始めようと思ったら何をしますか?・・・いえ、質問が悪いですね・・・原価が安くて需要がある商売は?」
今後は自身で生計を立てなくてはいけない。よく考えれば商人に聞いておく絶好の機会ではないか。
「あなたはとても面白い質問をなされるお方だ。初めてお会いした時の謙った丁寧な言葉遣いといい・・・実に面白い・・・そうですね~」とバールハイト氏は口元のヒゲを撫でながら、しばらく考えると「もし私があなたほど若くて右も左も分からない状態でこの街に放り出されたなら薬師に弟子入りしてポーション作りを学ぶでしょう。ポーション作りの原価となる薬草は非常に安価で比較的高額で売れますから。加えて需要が絶えません。」
(薬か~なるほど・・・)
「良いことを聞きました。お見送りありがとうございました。それでは...」
バールハイト氏に頭を下げ商会を後にした。
「にしても、この鎧と剣・・・凄かったな~」
道中、何回か盗賊らしき奴や青虫らしき生物に襲いかかられたが傷一つ負っていないどころか剣で反撃したら弱いハズのアユムでもアッサリ返り討ちに出来たので思うに、この剣と鎧は相当な業物なのだろう。お陰で路銀と短剣、この世界の服が手に入ったのでこの都市に流れ着いたさい鎧から着替る事が出来た。
「えーと・・・エレンダ商館の方角は・・・」
という訳で、こんな業物を持っていてもトラブルに巻き込まれるだけなのが目に見えているので鎧に刻まれている紋章を頼りに道中の人間に聞いて回り、紋章がエレンダ王国のファナック伯爵家のモノだということがわかった。ユガンにエレンダ王国の商館があると言う事なので彼らの商売ついでに元の持ち主に返して貰おうと考え、ようやくエレンダの商館を見つけた次第だ。
「ごめんください。」
窃盗犯対策?だろうか?檻越しにいる男性に声を掛ける
「当商会に何かご用向きですか?」と応対されたので話を続ける・・・
「はい。実はこのユガンの地に来る途中で瀕死のエレンダの騎士様にあったのです。賊は既に死んでおりましたが騎士様は、どうやらカネ目当ての落ち武者狩りにあったご様子でして、その騎士様がお亡くなりになる間際に遺品の鎧と剣をご家族に届け欲しいと仰せなり彼の遺品を預かった私めがユガンにあるエレンダの商会を訪ねに来た次第です。」
嘘も方便・・・ここまで考えてきた、それっぽい作り話をでっち上げてみた
「それはなんとご足労を・・・どうぞ中へお上がり下さい。すぐに旦那様に取次ぎ申し上げます。」
オレは厳重な商会の中に入る事を許され男性の後に続き中庭を抜けると客間に通された。しばらくすると男性の話を聞いたのだろう。高級そうな服に身を包んだ主人らしき人物がやって来た。
「こんにちは。私は支店長のバールハイトと申します。貴方様は?」
「私めはサナイと申し上げます。バールハイト様。まず、このような小汚いなりで栄えあるエレンダの商会の門戸と敷居を跨またいだ非礼をお詫びしたい。なにせ長い旅路だったもので・・・早速ですが、こちらがエレンダの騎士様からお預かりした遺品でございます。下賤な私めの貧相な足では、ここまで運ぶのが限界でした。代わりにそちらの商会でご遺族にお返し願いたい。」
そう言いながらボロ布に丁寧に包んであった鎧と剣を支店長だというバールハイトに見せる
「おお・・・確かにコレはエレンダ王国のファナック伯爵配下の軍旗が刻印されておりますな... 間違いなく、この家紋はバイロン家のモノでしょう。承知しました。当方でファナック卿の元へ送りまししょう。」
(うん。確かにそんな名前だった。)
「ありがとうございます。バールハイト様。肩の荷が降りた気分でございます。それでは、私めはこれで失礼させていただきます。」と言いオレは早々と商会を後にする事にした
「お疲れさまでございました。貴殿のご厚意にエレンダを代表して感謝を。」
支店長のバールハイト氏は商会の玄関まで送ってくれた。流石は商売人だ。人当たりがとてもいい。
「そうだ。一つ質問があるのですが宜しいでしょうか?」
親切ついでに今後とるべき方針を聞いておこうと思いバールハイト氏に質問する事にした。
「何でしょう?」
「いえ、なに。簡単な事ですよ――もしあなたが初めてこの街に来たとして商売を始めようと思ったら何をしますか?・・・いえ、質問が悪いですね・・・原価が安くて需要がある商売は?」
今後は自身で生計を立てなくてはいけない。よく考えれば商人に聞いておく絶好の機会ではないか。
「あなたはとても面白い質問をなされるお方だ。初めてお会いした時の謙った丁寧な言葉遣いといい・・・実に面白い・・・そうですね~」とバールハイト氏は口元のヒゲを撫でながら、しばらく考えると「もし私があなたほど若くて右も左も分からない状態でこの街に放り出されたなら薬師に弟子入りしてポーション作りを学ぶでしょう。ポーション作りの原価となる薬草は非常に安価で比較的高額で売れますから。加えて需要が絶えません。」
(薬か~なるほど・・・)
「良いことを聞きました。お見送りありがとうございました。それでは...」
バールハイト氏に頭を下げ商会を後にした。
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