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第8話逃げろ!!
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一悶着あったせいで、まだ混乱の余韻が残っているが「おい!早くしろよ!疲れてんだよー!」という声が複数の生徒から挙がり最後の一人である俺の儀式が早急におこなわれる運びとなった
「では、最後の勇者さま宝玉へ」とヒョロガリのおっさんに呼ばれたので国宝だという赤い宝玉に進み今までのみんなと同じように手を翳《かざ》す・・・
(さて・・・俺はどんな能力なんだ?)
手を翳すとポワンと赤い宝玉に光が灯った...
すると今までは、いちいち「おおお!!」とか「おお!」とか「素晴らしい!!」とかオーバーなリアクションをとっていたヒョロガリのおっさん顔が、みるみる曇っていくのがわかった
(あ、あれ?なんか様子がおかしい・・・)
「・・・・・・ 司祭よ。どうしたのじゃ? はよ その者の能力を申してみよ 」
王が問いかけるとヒョロガリのおっさんは困惑した顔で答えた
「誠に信じられませんが・・・この者の能力は一般人と同じ平均10でございます 陛下。しかも現時点では魔法も使えないどころかスキルもございません こんな事は・・・過去に前例がございません...恐らく歴代最弱ではないかと...」
「・・・・・・なんじゃと・・・・・・」
ヒョロガリのおっさんの言葉に俺を含めた全員が、どよめき現地の人間のあからさまに落胆が広がっていくのがわかる
「馬鹿な?!そのものは異界の者なのだろう?!」
「あああ!神はわたしたちをお見限りなされた!」
「主よ!どうか私たちをお見捨てにならないで下さい!どうか私たちを邪悪な使徒たちから、私たちをお助け下さい...」
阿鼻叫喚している異世界人とは対照的に一緒に召喚された一部のクラスメイトたちは自分より劣っている落ちこぼれが同じクラスから出てきて嬉しそうか、もしくは楽しそうな雰囲気である
「ブッ!クックック! クソ味噌っカスじゃねぇか!!ゴミだよゴミ。 いや!ゴミはまだ役に立つか!ゴミ以下だな!」
「プッ! くそダサ! 無能・不能の真井だな・・・俺たちでパシってやろうぜ!」
「ざまぁー クソ受けるんだけどー マジ、陰キャラに相応しいわー 」
(ああ!うん!よかったね!自分よりも劣っている奴がいて!)イラッときたがコイツらは元の世界の時から性根の腐った連中なので、そう考えて見れば腹が立たないどころか――割とどうでもいい。
なには、ともあれ一番の懸念は自身の処遇だ...
想像の域をでないが『何もない所から何かを生み出せるハズがない』いくらこの世界が想像通りの剣と魔法の世界でも何かをやろうとすれば材料はいるし加工するためのエネルギーが必要な筈だ。そのため勇者召喚をおこなおうとするのであれば大量の時間と何らかの犠牲や代償を必要とする可能性は大いにある。そんな中40人は戦力化できるが都合の悪い事に一人不良品が混じっていたワケだ
普通、工業製品なら不良品はスクラップにされるか溶鉱炉で鋳潰される。ブランド品ならその製品のブランド力を守るために焼却処分される・・・もっと言えば課金を前提とするスマホ・ウェブゲームの一般人ですら良いデッキが出るまでリセマラをやる。なら、それが人権意識があるかどうかも疑わしい剣と魔法の世界なら?いったい俺はどうなる・・・?
もし俺が王の立場として判断を下すなら以下のようにするだろう・・・
一.役立たずはこうなると他の勇者に示すため見せしめに殺す
二.戦意高揚の神輿として最前線で使い潰す、もしくは戦死させプロパガンダで勇者や軍の士気を高める
三.不良品を生贄に新たな勇者を召喚する
ジャックセロン王が仮にどの選択肢をとったとしても俺の破滅する未来しか見えない
この世界の人権意識がどの程度かどうかわからない以上、運命は自分で掴まなければいけない
と、なれば取るべき手段は一つだろう……
現在、幸いなことに異世界人は上下含め『俺をどう扱うのか』困惑しているか、迷っている。クラスメイトたちは俺を笑うか、もしくは今日一日で色々な事が起き過ぎた事で混乱して疲れた様子だ。
(今しかない!このチャンスを逃したら俺は死ぬ!)
俺の命を永《なが》らえる為に、この場の混乱に乗じて突然走り出した!
「では、最後の勇者さま宝玉へ」とヒョロガリのおっさんに呼ばれたので国宝だという赤い宝玉に進み今までのみんなと同じように手を翳《かざ》す・・・
(さて・・・俺はどんな能力なんだ?)
手を翳すとポワンと赤い宝玉に光が灯った...
すると今までは、いちいち「おおお!!」とか「おお!」とか「素晴らしい!!」とかオーバーなリアクションをとっていたヒョロガリのおっさん顔が、みるみる曇っていくのがわかった
(あ、あれ?なんか様子がおかしい・・・)
「・・・・・・ 司祭よ。どうしたのじゃ? はよ その者の能力を申してみよ 」
王が問いかけるとヒョロガリのおっさんは困惑した顔で答えた
「誠に信じられませんが・・・この者の能力は一般人と同じ平均10でございます 陛下。しかも現時点では魔法も使えないどころかスキルもございません こんな事は・・・過去に前例がございません...恐らく歴代最弱ではないかと...」
「・・・・・・なんじゃと・・・・・・」
ヒョロガリのおっさんの言葉に俺を含めた全員が、どよめき現地の人間のあからさまに落胆が広がっていくのがわかる
「馬鹿な?!そのものは異界の者なのだろう?!」
「あああ!神はわたしたちをお見限りなされた!」
「主よ!どうか私たちをお見捨てにならないで下さい!どうか私たちを邪悪な使徒たちから、私たちをお助け下さい...」
阿鼻叫喚している異世界人とは対照的に一緒に召喚された一部のクラスメイトたちは自分より劣っている落ちこぼれが同じクラスから出てきて嬉しそうか、もしくは楽しそうな雰囲気である
「ブッ!クックック! クソ味噌っカスじゃねぇか!!ゴミだよゴミ。 いや!ゴミはまだ役に立つか!ゴミ以下だな!」
「プッ! くそダサ! 無能・不能の真井だな・・・俺たちでパシってやろうぜ!」
「ざまぁー クソ受けるんだけどー マジ、陰キャラに相応しいわー 」
(ああ!うん!よかったね!自分よりも劣っている奴がいて!)イラッときたがコイツらは元の世界の時から性根の腐った連中なので、そう考えて見れば腹が立たないどころか――割とどうでもいい。
なには、ともあれ一番の懸念は自身の処遇だ...
想像の域をでないが『何もない所から何かを生み出せるハズがない』いくらこの世界が想像通りの剣と魔法の世界でも何かをやろうとすれば材料はいるし加工するためのエネルギーが必要な筈だ。そのため勇者召喚をおこなおうとするのであれば大量の時間と何らかの犠牲や代償を必要とする可能性は大いにある。そんな中40人は戦力化できるが都合の悪い事に一人不良品が混じっていたワケだ
普通、工業製品なら不良品はスクラップにされるか溶鉱炉で鋳潰される。ブランド品ならその製品のブランド力を守るために焼却処分される・・・もっと言えば課金を前提とするスマホ・ウェブゲームの一般人ですら良いデッキが出るまでリセマラをやる。なら、それが人権意識があるかどうかも疑わしい剣と魔法の世界なら?いったい俺はどうなる・・・?
もし俺が王の立場として判断を下すなら以下のようにするだろう・・・
一.役立たずはこうなると他の勇者に示すため見せしめに殺す
二.戦意高揚の神輿として最前線で使い潰す、もしくは戦死させプロパガンダで勇者や軍の士気を高める
三.不良品を生贄に新たな勇者を召喚する
ジャックセロン王が仮にどの選択肢をとったとしても俺の破滅する未来しか見えない
この世界の人権意識がどの程度かどうかわからない以上、運命は自分で掴まなければいけない
と、なれば取るべき手段は一つだろう……
現在、幸いなことに異世界人は上下含め『俺をどう扱うのか』困惑しているか、迷っている。クラスメイトたちは俺を笑うか、もしくは今日一日で色々な事が起き過ぎた事で混乱して疲れた様子だ。
(今しかない!このチャンスを逃したら俺は死ぬ!)
俺の命を永《なが》らえる為に、この場の混乱に乗じて突然走り出した!
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