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第1話:さないあゆむ
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午前中の授業が終わりを告げるチャイムが鳴ると同時に真井歩は机に持参した弁当を広げ食事を摂っていた。
時を同じくして五丹波翔吾たち不良グループが購買部に走り、持参している弁当を広げた女生徒たちは机を寄せ先に談笑しながら弁当をつついている。
イケメンフェイスの桐谷拓哉は取り巻きの女子達に囲まれお得意の笑顔を振りまく。
教室の隅っこでは真井歩と同じスクールカースト下位のオタクグループが昨晩の深夜アニメの話題で盛り上がっている。
教室の中央を外れたあたりではギャル女のグループがコンビニ弁当を食しながら化粧品や彼氏自慢大会を開催しているようだ。
普通の高校のありふれた日常だ。
(このまま何も起きませんように・・・)アユムは心からそう思った。
アユムは決して幸せではなかった、これまでの人生を振り返る。
家はあまり裕福ではなかった。
毎日、金がない事に腹を立てた両親の言い争いは絶えることはないし小学校から中学校まで、それなりに酷いイジメにも遭った。
トイレをしている途中、水をブッかけられたり、カバンで殴られたり、椅子や学校靴に画鋲を入られたり、ノートや教科書をカッターでズタズタにされたなど散々な思い出しかない。
(割ってもない窓ガラスを割った犯人にもされたこともあったっけ・・・)
だがアユムは高校になって平和な学生生活を手に入れた。
イジメっ子たちは新しい玩具を見つけたのだ。
今は、そこで暗い顔をして蹲っている安琢磨さだたくまがイビられている。
まぁ、強い者には媚び弱い者は自分より見下す小心者なので同情する気になれないのだが...
「そんなことはどうでもいいか...」
いまやアユムは周りからは存在していても存在していないも同然の存在。
アユムは漸く、いじめられっ子からモブになれたのだ。彼はこれ以上は望まない・・・
彼にとって一番重要なのは自身が苦労しない日々なのだ。
その為には他人が犠牲になってもいいとさえ思っていた。
そう・・・教室の床に六芒星の魔法陣が現れ集団転移するまでは...
時を同じくして五丹波翔吾たち不良グループが購買部に走り、持参している弁当を広げた女生徒たちは机を寄せ先に談笑しながら弁当をつついている。
イケメンフェイスの桐谷拓哉は取り巻きの女子達に囲まれお得意の笑顔を振りまく。
教室の隅っこでは真井歩と同じスクールカースト下位のオタクグループが昨晩の深夜アニメの話題で盛り上がっている。
教室の中央を外れたあたりではギャル女のグループがコンビニ弁当を食しながら化粧品や彼氏自慢大会を開催しているようだ。
普通の高校のありふれた日常だ。
(このまま何も起きませんように・・・)アユムは心からそう思った。
アユムは決して幸せではなかった、これまでの人生を振り返る。
家はあまり裕福ではなかった。
毎日、金がない事に腹を立てた両親の言い争いは絶えることはないし小学校から中学校まで、それなりに酷いイジメにも遭った。
トイレをしている途中、水をブッかけられたり、カバンで殴られたり、椅子や学校靴に画鋲を入られたり、ノートや教科書をカッターでズタズタにされたなど散々な思い出しかない。
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