上 下
14 / 31

第13話 紙装甲過ぎるだろ!

しおりを挟む
クラルスの修行って言っても修行の仕方何て僕は知らない。
僕は願石で忍者になっただけだし、村人達はヘーパイストスさんに鍛えられただけだし特にスキルや魔力に関しては僕はスキルの恩恵が無いから使い方もわからない。

「エネミーさんスキルって普通はどうやって覚えるの?」

「元々の資質と、資質に合わせた鍛錬をすると覚えたりするわね。
後はジョブが関係あると言われてるわ。でもそれも感覚的な話よん?旦那様はスキルが欲しいのん?」

「いや僕はスキルや魔法を使えなくてさ。僕の忍術は特殊過ぎてクラルスに教えようがなくてさ」

「あらん?じゃあ村人のニンジャさん達はどうなってるのん?」

「あーあいつらはヘーパイストスさんが鍛えたから正直僕にはわからないんだよね」

「神様直々の修行何て羨ましいわん!」

「頼んだら多分修行してくれんじゃない?エネミーさんは信仰してる神様いないの?」

「旦那様一択よん!元々神様を信仰した事はないわん」

バチコーンとウィンクすると、僕は慣れたがかなり踏ん張らないと吹き飛ばされる。

「うっうん、ありがとう。村人の修行は神界ありきだろうしなあ、ヘーパイストスさんに手紙でも出すかな」

「・・・・チビだけずるい」

「ずるい?」

「・・・・私も強くなりたい」

ふんすと鼻息を荒くし僕とエネミーを見てくる。

「うーん?クラルスは忍者になりたいだけど、忍者になりたいの?」

「・・・・おとーたん見たくなる!」

「えっ?忍者に?」

キョトンとした顔をしていたので、忍びライダーに変身した姿を見せる

「・・・・それ!なる!」

「いやそれはどうだろうな・・」

「・・・・おとーたんだめ?」

うっこれは辛い、父親がついつい子供を甘やかしてしまう気持ちがわかる。
だけどゴットローブもないしなあ。

「ヘーパイストスさんに頼んでみよう」

へーパイストスさんにゴットローブの様に変身できる物を2つお願いするのと、2人の修行について相談したい旨を手紙にしたためバックに入れる。

「後はヘーパイストスさんを待つだけだなあ」

「神様が来るのじゃ!?すごいのじゃ!ヒャッハーなのじゃ!」

今まで静かにしてたクラルスが急に騒ぎ出した。

空から光が落ちてくる

「あっ割と早く来た」

『ガハハ本当に子供が2人できとる!小僧やるじゃないか!見聞通り面白い事になっておるわ!』

「いっいや出来たと言うか1人は修行したいと着いてきただけで・・」

『おー!!御主が小僧の奥方か!小僧は手がかかるけど宜しく頼むぞ!!』

ヘーパイストスさんに跪くエネミー

「はっはい!お任せ下さい!」

『神気にあてられてなお、言葉を出せるとは剛毅なご婦人だな』

エネミーは冷や汗だらだらになっている。
子供達がやけに静かだ。ん?静か?静か?あれ?2人共倒れてる?

「えっ!?ルナ!?クラルス!?」

急いで2人の側に行く

『小娘達には厳しかったか!小僧の手下や奥方が無事だったから失念してたわ』

いや、何笑ってんだこの老人!2人して泡吹いて気絶してるじゃないか!クラルスはお漏らししてるし、僕回復魔法何て使えないし、どうすんだこれ!この状態じゃポーションも飲めないぞ!

『この小娘達の修行だろ?預かってくぞ!ゴットローブはそれしかないが変身用の服も作ってやるぞ!』

ルナを脇に抱えてクラルスは片手でつまんでいる、いくら神とは言えお漏らしマンには触りたくないのであろう

「2人は大丈夫なんですよね!?」

『大丈夫じゃろ、やばかったらイシスかトートにでも頼むわいそれと小僧頼んでおった武器できたぞ!刀の銘はアマノハバキリ、それとキツネから渡された小狐丸じゃ』

「キツネから渡された?あっ後デュランダル何ですが・・」

『キツネはそのうち会いにくるじゃろ!ではさらばだガハハ』

2人を担いで光の中に消えていく

「何か隠してそうだなあ」

と呑気に考えていたら

「ダッダッダ旦那様!?ルナとクラルスが拐われた!?どっどうしたら?!」

「あっあーエネミーさん大丈夫だから、修行したら帰ってくるはずだから」

「修行!?修行て何年もかかるでしょ!?」

物凄く狼狽えるエネミー、唾も鼻水も涙も撒き散らしていている。
母と慕うルナを拐われたからか、母性にでも目覚めたのか?いやオカマだから父性か?
クラルスはお漏らしマンだしおまけだろうけど

「ねえ!聞いてるのん!?ちょっと!?」

「かっかみのせかいとこっちじゃ進む時間が違うから!向こうの一年がこっちじゃ半日だから!だから2日で4年分の修行が出来るみたいです!だからゆすらないでええええおえええ」

あまりの速さでエネミーにシェイクされて嘔吐してしまった。

「ハアハア、本当に本当に2人は直ぐ戻るのねん!?」

「はっはい、仮に僕らが移動してても向こうで多分こっちの事見てますから大丈夫ですよ!」

「そう」言いやっと落ち着くエネミー。心無しか元気がない。

「1つ聞いて良いかしら?普通勇者なら異世界から召喚する際に神様に会ったりするみたいじゃない?聖職や勇者じゃないのに神に見守られてて神と知己なのよね?それなのに勇者じゃないのん?」  

「ハハハ、これが違うんですよ。駄女神に巻き込まれただけの忍者何です。だから僕はスキルが使えないし、魔力も無いんです。忍者絡みのスキルなら練習すれば使えるんですけど」

「ニンジャ絡み?」

「ええ、例えば暗殺術は修行して使える様になりましたが、意識してスキルを発動させてる訳では無いしさっきのヘーパイストスさんから魔力も無いから魔法は使えないって言われましたし」

「魔法が使え無いのは不便ねえ。そうすると回復はポーション頼りになるわねえ」

そう鑑定スキルも無いから僕はどんなスキルがこの世界にあり、どんな作用をするかが正確にはわからない。
忍術として思い描いた術は使えるけど、身体を使う術はきちんと修行がいる。
駄女神がスキルをちゃんとくれていたらもっとマシになったはずだ。
チート武器やチートな忍術が使えるからまだ生き延びられたが、本来僕みたいな雑魚は盗賊やモンスターに殺されるのが落ちだろう。

「後はこの刀、僕が思ってる刀ならデュランダルとそう変わらないんだよねえ。多分一振りしたらえらい事になる、デュランダルがそうだったし。ピンチにならない限り鞘から抜けないなあ」

「神様がくれた武器ですものねえ。もしかして魔王にも勝てるんじゃないかしらん?」

「いやーハハハそういうのは勇者に任せますよ、脇役の僕には向いてないですよ」

物陰からガタっと音がする、僕はすぐさま気配を辿る。非常にわかりづらいが物陰に何かいる。

「エネミーさんそこの陰になんかいます」

「本当?私じゃ全然わからないわん」  

「僕捕まえてきます」

僕は陰移動し音の方へと行く。
僕には見慣れた存在である紙製の箱を発見する。
日本語でみかんって書いてあるその箱を持ち上げると、小柄で学ランを着た男がいた。

「あっあの勇者さんですよね?」

話しかけてみたらめちゃくちゃ怯え出した。

「ヒイイ!オタコ○!オタ○ン!応答せよ!拙者ピンチでござる!応答せよ!怪物が!怪物が!ヒイイ!」

「あっあのー」

「生欲を持て余す!生欲を持て余す!」

「あの話を・・」

「ふんっ!」

エネミーさんの正拳突きが勇者の急所を貫く。うわあっ痛そう、死んだんじゃないかな?
ピクピクしながら泡吹いてるし。

「誰が怪物よ!失礼しちゃうわん!」

「あっあのエネミーさん?それ多分勇者」

「え?この弱っちい子が?まさかー?」

「ほらあのダンボールの勇者ですよ逃げ出して行方不明になってた奴!」

「え?じゃあ私勇者を殴っちゃったのかしらん?」

「えっええそうなりますね」

まさに紙装甲の勇者だった。ダンボールなだけに。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い異世界転生。何も成し遂げることなく35年……、ついに前世の年齢を超えた。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

迷い人 ~異世界で成り上がる。大器晩成型とは知らずに無難な商人になっちゃった。~

飛燕 つばさ
ファンタジー
孤独な中年、坂本零。ある日、彼は目を覚ますと、まったく知らない異世界に立っていた。彼は現地の兵士たちに捕まり、不審人物とされて牢獄に投獄されてしまう。 彼は異世界から迷い込んだ『迷い人』と呼ばれる存在だと告げられる。その『迷い人』には、世界を救う勇者としての可能性も、世界を滅ぼす魔王としての可能性も秘められているそうだ。しかし、零は自分がそんな使命を担う存在だと受け入れることができなかった。 独房から零を救ったのは、昔この世界を救った勇者の末裔である老婆だった。老婆は零の力を探るが、彼は戦闘や魔法に関する特別な力を持っていなかった。零はそのことに絶望するが、自身の日本での知識を駆使し、『商人』として新たな一歩を踏み出す決意をする…。 この物語は、異世界に迷い込んだ日本のサラリーマンが主人公です。彼は潜在的に秘められた能力に気づかずに、無難な商人を選びます。次々に目覚める力でこの世界に起こる問題を解決していく姿を描いていきます。 ※当作品は、過去に私が創作した作品『異世界で商人になっちゃった。』を一から徹底的に文章校正し、新たな作品として再構築したものです。文章表現だけでなく、ストーリー展開の修正や、新ストーリーの追加、新キャラクターの登場など、変更点が多くございます。

俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜

平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。 『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。 この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。 その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。 一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。

処理中です...