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11 紫焔
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「わあ。素敵。たくさん咲いているんですね」
「この時期に花見ができるように植えられているんだよ。あちらに座ろう」
紫焔が誘ってくれたのは、庭園のお花見だ。
何種類も色がある、花びらの大きな花。サザンカや椿が立ち並び、花を咲かせていた。
真っ白にピンク色が混じる可愛らしい色から、真っ赤な花。それらを咲かせた木が何本も植えられており、その下で花見が行われていた。
どうやら恒例の宴会のようで、宗主や灰家の紅音、尉家の和子も呼ばれているようだ。いくつかの場所に敷物が敷かれ、テーブルの上には食べ物や飲み物が広げられている。お重箱に入った食べ物は豪華に飾られ、見目も美しい。
楽器を持ったモノたちもおり、すでに演奏が始まっていた。
空いていた席に座れば、その演奏もよく見える。
笛や太鼓などのしらべに乗せて、木々の枝を伝うリスまで集まってきた。
「何もしなければ大人しいよ。でも、触れない方がいいかな。今は繁殖期で、メスの匂いに敏感だから、間違って噛み付いたら困る。舌がヤスリのように鋭いしね」
リスを見上げていた華鈴に、紫焔が説明する。眼鏡はかけていないので、リスはよく見えた。紫焔が胡桃を摘んで高く上げる。リスがそれに気付き、近寄ってくる。枝を伝い葉の上で餌を欲しがるリスに紫焔が胡桃を渡すと、ささっと手にして木に戻っていく。すると長い舌を出してざりざりと舐めてしまった。噛んで食べるわけではないらしい。
「動きは可愛いかもしれないけれどね。スゼリというんだ」
「リス、じゃないんですね」
もふもふの毛皮を着ているが、顔にある目は一つだった。小さな鼻をひくひくさせ、尻尾を振っている様は、遠目ならば愛らしく見えたが、その尻尾はハリネズミのように棘でできている。撫でて機嫌でも損ねれば、その尻尾で攻撃されそうだ。
(触らないでおこう)
こちらにいる生物が、あちらと同じであるとは限らなかった。
手を出さなければ襲ってこないというが、空にいたタチリュウは襲ってきた。それを思い出すと、近寄るのも怖くなる。
華鈴を襲ってきたタチリュウは、匂いに集まってきたと後で聞いた。かけられたジュースの匂いに誘われたのだろう。
こちらの生物は肉食が多い。弱きモノを襲う習性がある。大人しい生物もいるが、手を出すと襲ってくるので、触れないことが基本だ。先ほどのスゼリもそうなのだろう。
「その帯、とても素敵ですわ。紅音様にお似合いです」
食事をしていると賑やかな声が届いて、華鈴はそちらに視線を向けた。紅音が女性たちに囲まれている。着物を着ている女性は紅音や和子以外にもいて、その女性たちが紅音の帯を誉めていた。
真っ赤な帯で、白の花が描かれている。着物は薄い色なので、帯がやけに目立った。紅音の雰囲気によく似合っており、たしかに美しい。じっと見ていれば、挑発するかのように口端を上げた。
「贈り物なのよ。わたくしのために、贈ってくださったの」
それはいかにも、紫焔が紅音に贈ったかのような言い方で、華鈴はつい紫焔をちらりと見遣る。紫焔は何事もないように、杯を手にしてそれを寄越してくる。
「これも美味しいから飲んでみる? 他に欲しい物があれば、なんでも言ってね。着物は苦しくない? ああ、そうだ。今度はあちらにあわせた装いにしようか。ドレスなんてどう?」
「いえ、大丈夫です。間に合ってます」
「そんなこと言わないでほしいな。着る物だけではつまらないから、今度は別なものを贈るよ」
「本当に十分です」
杯を受け取りながら、大きく首を振った。贈り物はもう十分だ。むしろこれ以上もらったら困る。着物や履物など、紫焔は前から色々用意してくれていたが、朝起きたらさらに増えていた。しかも髪飾りや耳飾りなどの装飾品。扇や傘などの小物。珍しいお菓子や果物。なんなら、贈り物を入れる箪笥まで増やしてきたのだ。
(たくさんの贈り物に囲まれて目覚めたんだから、驚いちゃうわ)
朝食に紫焔はやってきて、一緒に食事をしながら、何がほしいかも聞かれた。その時にも十分だと伝えたのだが。
紫焔はにこにこ笑うだけ。紅音の声に反応したかのように言うので、今の声は聞こえていただろう。
紅音の言葉を打ち消すかのように、贈り物を増やすつもりなのだろうか。
紅音は紫焔の相手に選ばれるために、まだ燐家に留まっている。紫焔は宗主にも紅音にも断りを入れているが、それはまだ通らない。
(家のこともあるようだから、簡単にはいかないのだろうけど)
彼女たちを追い出して、ではその後どうなるのか。と考えると、勝手に頬が赤くなる気がした。
(紫焔さんは、結婚、本気なのかな)
思って、ぶるぶると首を振る。
「どうしたの。はい、あーん」
「むぐ。ん。おいしいです」
マスカットのような甘く少しだけ酸っぱい味が口の中に広がる。一口サイズのゼリーか、紫焔がもう一度口元に運んできた。
ぱくりと食べれば、美味しくてニコニコしてしまう。
しかし、その様を憎々しげに睨み付けている視線と合ってしまった。
時折、恐怖を感じるあの瞳。遠くからでもその迫力は消えない。代わりに紫焔がその姿を見せないように、視線の先に座ると、別の方向にある花を見るよう促した。
今の視線で手が震えたのか、その指もギュッと握る。
紫焔は華鈴の手を握ったまま、花の形の練り物を口に運んでくる。
「おいしいよ。お食べ」
「ありがとうございます」
視線が混じることがなくなっただけで、ほっと安堵した。
花を愛でるために来たのだからと、華鈴はゆっくりとその花々を見つめては、紫焔の運ぶ食事や飲み物を口にした。
「あの娘、性懲りも無く」
紅音は歯を食いしばる。周りにいた侍女たちはお互い目を合わせながら、別の食事を持ってこいと命じ、酒を差し出してくる。甘い紅音の好む酒だ。
「ですが、素敵な帯ですわ。さすが睦火様ですわね」
「当然よ。睦火様からの贈り物ですもの」
大声で言い退けたが、華鈴は睦火の背に隠れて良く見えない。今の声が聞こえたかどうか。睦火はそこを退く気はないのか、しかし、チラリとこちらを横目で見て、ふっと微笑む。
「まあ」
侍女たちが驚いたように顔を見合わせた。睦火が優しく微笑んだからだ。
(ほら見なさい。やはり源蔵のひ孫だからと相手をしているだけだわ)
灰家は燐家の後継者争いに混じり失敗したとしても、元は大きな家だ。紅音の兄は力があり、従う家々は多い。ただ、燐家の長男を睦火が殺したため、立場が揺れてしまったが。
それでも、兄の力は強い。親族も同じく。傾いているのは従う家が減ってしまったから。その家々が戻れば、すぐに再興できる。その力は尉家の比ではない。集まる力の差があった。
(そう、当然よ。あの娘が戻ってきたことで、何か言われるかと思ったけれど、贈り物をくださったもの)
紅音に似合う、美しい赤の帯。かなり鮮やかな赤で血のような緋色だが、高価な生地に模様が染められていた。
和子を確認したが、普段から変わらない衣装をまとっており、贈られたものは見受けられない。だとしたら、紅音だけに贈られたのだろう。
「怯えて損したわ」
「紅音様、今何かおっしゃいました?」
「なんでもないわよ。ちょっと、睦火様が立たれたわ。またあの娘、睦火様を唆してるのかしら」
睦火が華鈴を抱き上げて運んでいく。倒れたふりでもしているのか、後ろに半端モノも付いていっていた。
源蔵のひ孫は、前にも睦火に運ばれていたらしい。腹立たしくて仕方がない。源蔵のひ孫だからと、特別扱いされているのがわかっているとしか思えなかった。
「どこへ行くんでしょう。誰か、後をつけ、ひっ!」
「なによ。変な声出さないで」
侍女が振り向きざま、おかしな声を上げた。青ざめながら、紅音の頭上を見上げている。
「なんなの、一体」
侍女の視線の先、振り向けば、木の枝に集まっていたスゼリが集まって、目を光らせている。今にも紅音に飛び付かんとしていた。
「誰か、なんとかしなさい!」
「し、刺激してはなりません」
侍女が震えてたしなめた。しかし、次の瞬間、スゼリが一気に飛びかかってきた。
「きゃあああっ!」
「この時期に花見ができるように植えられているんだよ。あちらに座ろう」
紫焔が誘ってくれたのは、庭園のお花見だ。
何種類も色がある、花びらの大きな花。サザンカや椿が立ち並び、花を咲かせていた。
真っ白にピンク色が混じる可愛らしい色から、真っ赤な花。それらを咲かせた木が何本も植えられており、その下で花見が行われていた。
どうやら恒例の宴会のようで、宗主や灰家の紅音、尉家の和子も呼ばれているようだ。いくつかの場所に敷物が敷かれ、テーブルの上には食べ物や飲み物が広げられている。お重箱に入った食べ物は豪華に飾られ、見目も美しい。
楽器を持ったモノたちもおり、すでに演奏が始まっていた。
空いていた席に座れば、その演奏もよく見える。
笛や太鼓などのしらべに乗せて、木々の枝を伝うリスまで集まってきた。
「何もしなければ大人しいよ。でも、触れない方がいいかな。今は繁殖期で、メスの匂いに敏感だから、間違って噛み付いたら困る。舌がヤスリのように鋭いしね」
リスを見上げていた華鈴に、紫焔が説明する。眼鏡はかけていないので、リスはよく見えた。紫焔が胡桃を摘んで高く上げる。リスがそれに気付き、近寄ってくる。枝を伝い葉の上で餌を欲しがるリスに紫焔が胡桃を渡すと、ささっと手にして木に戻っていく。すると長い舌を出してざりざりと舐めてしまった。噛んで食べるわけではないらしい。
「動きは可愛いかもしれないけれどね。スゼリというんだ」
「リス、じゃないんですね」
もふもふの毛皮を着ているが、顔にある目は一つだった。小さな鼻をひくひくさせ、尻尾を振っている様は、遠目ならば愛らしく見えたが、その尻尾はハリネズミのように棘でできている。撫でて機嫌でも損ねれば、その尻尾で攻撃されそうだ。
(触らないでおこう)
こちらにいる生物が、あちらと同じであるとは限らなかった。
手を出さなければ襲ってこないというが、空にいたタチリュウは襲ってきた。それを思い出すと、近寄るのも怖くなる。
華鈴を襲ってきたタチリュウは、匂いに集まってきたと後で聞いた。かけられたジュースの匂いに誘われたのだろう。
こちらの生物は肉食が多い。弱きモノを襲う習性がある。大人しい生物もいるが、手を出すと襲ってくるので、触れないことが基本だ。先ほどのスゼリもそうなのだろう。
「その帯、とても素敵ですわ。紅音様にお似合いです」
食事をしていると賑やかな声が届いて、華鈴はそちらに視線を向けた。紅音が女性たちに囲まれている。着物を着ている女性は紅音や和子以外にもいて、その女性たちが紅音の帯を誉めていた。
真っ赤な帯で、白の花が描かれている。着物は薄い色なので、帯がやけに目立った。紅音の雰囲気によく似合っており、たしかに美しい。じっと見ていれば、挑発するかのように口端を上げた。
「贈り物なのよ。わたくしのために、贈ってくださったの」
それはいかにも、紫焔が紅音に贈ったかのような言い方で、華鈴はつい紫焔をちらりと見遣る。紫焔は何事もないように、杯を手にしてそれを寄越してくる。
「これも美味しいから飲んでみる? 他に欲しい物があれば、なんでも言ってね。着物は苦しくない? ああ、そうだ。今度はあちらにあわせた装いにしようか。ドレスなんてどう?」
「いえ、大丈夫です。間に合ってます」
「そんなこと言わないでほしいな。着る物だけではつまらないから、今度は別なものを贈るよ」
「本当に十分です」
杯を受け取りながら、大きく首を振った。贈り物はもう十分だ。むしろこれ以上もらったら困る。着物や履物など、紫焔は前から色々用意してくれていたが、朝起きたらさらに増えていた。しかも髪飾りや耳飾りなどの装飾品。扇や傘などの小物。珍しいお菓子や果物。なんなら、贈り物を入れる箪笥まで増やしてきたのだ。
(たくさんの贈り物に囲まれて目覚めたんだから、驚いちゃうわ)
朝食に紫焔はやってきて、一緒に食事をしながら、何がほしいかも聞かれた。その時にも十分だと伝えたのだが。
紫焔はにこにこ笑うだけ。紅音の声に反応したかのように言うので、今の声は聞こえていただろう。
紅音の言葉を打ち消すかのように、贈り物を増やすつもりなのだろうか。
紅音は紫焔の相手に選ばれるために、まだ燐家に留まっている。紫焔は宗主にも紅音にも断りを入れているが、それはまだ通らない。
(家のこともあるようだから、簡単にはいかないのだろうけど)
彼女たちを追い出して、ではその後どうなるのか。と考えると、勝手に頬が赤くなる気がした。
(紫焔さんは、結婚、本気なのかな)
思って、ぶるぶると首を振る。
「どうしたの。はい、あーん」
「むぐ。ん。おいしいです」
マスカットのような甘く少しだけ酸っぱい味が口の中に広がる。一口サイズのゼリーか、紫焔がもう一度口元に運んできた。
ぱくりと食べれば、美味しくてニコニコしてしまう。
しかし、その様を憎々しげに睨み付けている視線と合ってしまった。
時折、恐怖を感じるあの瞳。遠くからでもその迫力は消えない。代わりに紫焔がその姿を見せないように、視線の先に座ると、別の方向にある花を見るよう促した。
今の視線で手が震えたのか、その指もギュッと握る。
紫焔は華鈴の手を握ったまま、花の形の練り物を口に運んでくる。
「おいしいよ。お食べ」
「ありがとうございます」
視線が混じることがなくなっただけで、ほっと安堵した。
花を愛でるために来たのだからと、華鈴はゆっくりとその花々を見つめては、紫焔の運ぶ食事や飲み物を口にした。
「あの娘、性懲りも無く」
紅音は歯を食いしばる。周りにいた侍女たちはお互い目を合わせながら、別の食事を持ってこいと命じ、酒を差し出してくる。甘い紅音の好む酒だ。
「ですが、素敵な帯ですわ。さすが睦火様ですわね」
「当然よ。睦火様からの贈り物ですもの」
大声で言い退けたが、華鈴は睦火の背に隠れて良く見えない。今の声が聞こえたかどうか。睦火はそこを退く気はないのか、しかし、チラリとこちらを横目で見て、ふっと微笑む。
「まあ」
侍女たちが驚いたように顔を見合わせた。睦火が優しく微笑んだからだ。
(ほら見なさい。やはり源蔵のひ孫だからと相手をしているだけだわ)
灰家は燐家の後継者争いに混じり失敗したとしても、元は大きな家だ。紅音の兄は力があり、従う家々は多い。ただ、燐家の長男を睦火が殺したため、立場が揺れてしまったが。
それでも、兄の力は強い。親族も同じく。傾いているのは従う家が減ってしまったから。その家々が戻れば、すぐに再興できる。その力は尉家の比ではない。集まる力の差があった。
(そう、当然よ。あの娘が戻ってきたことで、何か言われるかと思ったけれど、贈り物をくださったもの)
紅音に似合う、美しい赤の帯。かなり鮮やかな赤で血のような緋色だが、高価な生地に模様が染められていた。
和子を確認したが、普段から変わらない衣装をまとっており、贈られたものは見受けられない。だとしたら、紅音だけに贈られたのだろう。
「怯えて損したわ」
「紅音様、今何かおっしゃいました?」
「なんでもないわよ。ちょっと、睦火様が立たれたわ。またあの娘、睦火様を唆してるのかしら」
睦火が華鈴を抱き上げて運んでいく。倒れたふりでもしているのか、後ろに半端モノも付いていっていた。
源蔵のひ孫は、前にも睦火に運ばれていたらしい。腹立たしくて仕方がない。源蔵のひ孫だからと、特別扱いされているのがわかっているとしか思えなかった。
「どこへ行くんでしょう。誰か、後をつけ、ひっ!」
「なによ。変な声出さないで」
侍女が振り向きざま、おかしな声を上げた。青ざめながら、紅音の頭上を見上げている。
「なんなの、一体」
侍女の視線の先、振り向けば、木の枝に集まっていたスゼリが集まって、目を光らせている。今にも紅音に飛び付かんとしていた。
「誰か、なんとかしなさい!」
「し、刺激してはなりません」
侍女が震えてたしなめた。しかし、次の瞬間、スゼリが一気に飛びかかってきた。
「きゃあああっ!」
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