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第一章
34 紙作り
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さて、本日は、ハンドチョッパーが手に入ったので、紙作りに専念したい。
「そう、紙作り!」
なぜここで、急遽紙作りを急ぐことになったのか。元々紙は欲しかった。心の底から欲しかった。余裕も出てきたので、早めに作りたいな。とは思っていたのだ。なぜなら、拭けるから。なんでも拭けるからだ。
それでも、紙を作るには材料が必要で、現実的には難しいところがあった。
紙を繋げる粘り気のあるものと、紙を入れる桶やそれをすくう木枠、網など、揃えるものがたくさんある。
一つでもかけたら、紙は作れないかもしれない。そのため、後回しにしていたが。
気付いたのだ。紙は、いる。まじで、いる。
「布でもいいけど、布だけじゃ、心許ない。私には、紙が必要だ!」
紙ならば、材料によって早めに大量生産できる。ちまちま布を織っても、たかが、数枚。何がとは言わない。数枚できる程度。だったら、下着を早く作りたい。
つまり、何かというと。
「生理が来るかもしれない!」
ドン、と玲那は机に握り拳を叩き付ける。
気付けば何日経っただろうか。正確な日にちを確認するため、思い出して、カレンダーを作っておいた方が良さそうだ。もし一ヶ月経てば、もしかしなくても、生理が来る。
「お、おそろしい。この状況で、生理だと? 布、紙、下着。まともになければ、寝る時どうすると言うの!? 毎日洗濯どころか、血まみれの死体みたいになるでしょ!?」
これは、死活問題である! 何度目?
この体はどうかわからないが、生前はあまり生理が来なかった。体調が悪いとまともに来ないからだ。そして、来た時に量が少なかったり、べらぼうに多かったりと、想定ができない体だった。
だが、この体はどうだろう。健康そのものだ。
普通に、当然に、月一に、当たり前に、生理が来れば、
「一週間、血まみれだと? 恐ろしい。一週間どこにも行けないとしても、誰かが訪れたらどうするの。そういう時に限って、誰か来るのよ。来たら、どうするの!」
ダン、と拳を叩きつける。
死活問題である!!
そういうわけで、紙作りだ。
「ハンドチョッパー、最高! 繊維をミキサーで細切れにしてやる。私には時間がない。適当でも、血を拭えるものがあれば良いのであるよ。なんなら、細かくした繊維だけを袋状の布に入れるだけでもいいし」
ナプキンはそれでいい。布を袋上にし、そこに繊維を突っ込み、下着に当てる。長さも調節できるように、長めのものを作ろう。夜は長い。中身は捨てて、布だけ洗えばいい。何枚も作った方が安全だ。
トイレ問題では紙の方が楽だった。布作りがそこまではかどらない可能性が高いこともある。糸は常に作っているが、それでも足りないかもしれない。清潔なものが必要なので、紙は必要だ。
「紙の材料であるコウゾとかは見つからないので、適当に作ります。ボロボロだろうが、形が悪かろうが、どうでもいいのよ。紙ができれば。染み込むのならば、なんでもいい!」
紙を作るには、繊維をとって柔らかくし、細かくし、どろどろになるものを混ぜて、云々であるが、綺麗に作る必要はない。
「とりあえず、拭ければいいのよ!」
ということで、紙である。紙があれば、なんでも拭ける。なんでもだ。
「はい。本日、使いますのは、藁ですー!」
藁は、いただいたものが大量にある。倉庫にごっそり。虫が出てきたらどうしようと心配するレベルで、ごっそりある。
そして、追加でもらいに行っていいとも言われている。ありがたい。今度料理をして交換してもらうのだ。
こちらでは、藁を農業に使わない。家畜の餌にも使わない。布団や衣服などに使い、何かの下敷きに使ったりすることはあるそうだが、一番使用する農業や畜産に不要なのだ。農業は肥料を使わない世界であるし、畜産に至っては、その辺で餌を食べろが主流で、与える必要がないからである。そんなことあるのか? と思うが、この世界は時折常識が通じない。それが助かった。
この藁を、どう紙にするか。藁に繊維があるの? と思うが、あるらしい。
「再生紙で、藁使ってるって聞いたことあるんだよね」
繊維なんて、どこにでもあるのだから、混ぜて細かくしてどろどろにすれば、なんでもできるだろう。その程度で考えているので、今回も実験である。なにせ、糸のように原型をとどめていなくていい。
藁を、とにかく細かくするのだ。
「ここで出てきました、ハンドチョッパー!」
とにかく細かくする。ぐるぐるハンドルを回し、藁を細かくする。作って正解だった。こんなもの、ナイフで切っていられない。ハサミでチョキチョキ、していられない。
断裁した藁を、今度は灰汁と一緒に煮る。
薪を焼いた灰を取っておいてあるので、それにお湯を入れ、沈澱するまで待つのだが、待っていられないので、鍋で煮て、こす。こすための布がないので、いつものかぎ編みした一枚物を敷いて、こす。
「もう、永遠にかぎ編みしてるよね。夜はずっとかぎ編み。本、読んでる暇ないなあ」
使徒からもらった、新しい本。薬に関する本だが、軽く眺めていても面白い。一般的な薬について書いてあるかと思えば、魔法などでおかしくなった場合の治療薬が載っている。それだけでなく、よくある媚薬であったり、意識を奪う薬であったり、治療薬ではなく、毒薬のようなものまで載っていた。使う理由のない怪しげな薬たちだが、材料は興味深い。
魔物の目玉を焼いて煮て、エキスを取り出し、やら、臓物を使うやら、なんやら。物語を読んでいるような気がして面白い。もっと読みたいが、暇がないのが実情で、今の所お預けなのが残念である。
「作りたい物が多いのに、材料を作るところから大変だからな。自動化に夢持ちたくなっちゃうよね」
川に水車でも作りたいところだ。作り方など知らないが、石臼を勝手に回してほしい。
「そう、紙作り!」
なぜここで、急遽紙作りを急ぐことになったのか。元々紙は欲しかった。心の底から欲しかった。余裕も出てきたので、早めに作りたいな。とは思っていたのだ。なぜなら、拭けるから。なんでも拭けるからだ。
それでも、紙を作るには材料が必要で、現実的には難しいところがあった。
紙を繋げる粘り気のあるものと、紙を入れる桶やそれをすくう木枠、網など、揃えるものがたくさんある。
一つでもかけたら、紙は作れないかもしれない。そのため、後回しにしていたが。
気付いたのだ。紙は、いる。まじで、いる。
「布でもいいけど、布だけじゃ、心許ない。私には、紙が必要だ!」
紙ならば、材料によって早めに大量生産できる。ちまちま布を織っても、たかが、数枚。何がとは言わない。数枚できる程度。だったら、下着を早く作りたい。
つまり、何かというと。
「生理が来るかもしれない!」
ドン、と玲那は机に握り拳を叩き付ける。
気付けば何日経っただろうか。正確な日にちを確認するため、思い出して、カレンダーを作っておいた方が良さそうだ。もし一ヶ月経てば、もしかしなくても、生理が来る。
「お、おそろしい。この状況で、生理だと? 布、紙、下着。まともになければ、寝る時どうすると言うの!? 毎日洗濯どころか、血まみれの死体みたいになるでしょ!?」
これは、死活問題である! 何度目?
この体はどうかわからないが、生前はあまり生理が来なかった。体調が悪いとまともに来ないからだ。そして、来た時に量が少なかったり、べらぼうに多かったりと、想定ができない体だった。
だが、この体はどうだろう。健康そのものだ。
普通に、当然に、月一に、当たり前に、生理が来れば、
「一週間、血まみれだと? 恐ろしい。一週間どこにも行けないとしても、誰かが訪れたらどうするの。そういう時に限って、誰か来るのよ。来たら、どうするの!」
ダン、と拳を叩きつける。
死活問題である!!
そういうわけで、紙作りだ。
「ハンドチョッパー、最高! 繊維をミキサーで細切れにしてやる。私には時間がない。適当でも、血を拭えるものがあれば良いのであるよ。なんなら、細かくした繊維だけを袋状の布に入れるだけでもいいし」
ナプキンはそれでいい。布を袋上にし、そこに繊維を突っ込み、下着に当てる。長さも調節できるように、長めのものを作ろう。夜は長い。中身は捨てて、布だけ洗えばいい。何枚も作った方が安全だ。
トイレ問題では紙の方が楽だった。布作りがそこまではかどらない可能性が高いこともある。糸は常に作っているが、それでも足りないかもしれない。清潔なものが必要なので、紙は必要だ。
「紙の材料であるコウゾとかは見つからないので、適当に作ります。ボロボロだろうが、形が悪かろうが、どうでもいいのよ。紙ができれば。染み込むのならば、なんでもいい!」
紙を作るには、繊維をとって柔らかくし、細かくし、どろどろになるものを混ぜて、云々であるが、綺麗に作る必要はない。
「とりあえず、拭ければいいのよ!」
ということで、紙である。紙があれば、なんでも拭ける。なんでもだ。
「はい。本日、使いますのは、藁ですー!」
藁は、いただいたものが大量にある。倉庫にごっそり。虫が出てきたらどうしようと心配するレベルで、ごっそりある。
そして、追加でもらいに行っていいとも言われている。ありがたい。今度料理をして交換してもらうのだ。
こちらでは、藁を農業に使わない。家畜の餌にも使わない。布団や衣服などに使い、何かの下敷きに使ったりすることはあるそうだが、一番使用する農業や畜産に不要なのだ。農業は肥料を使わない世界であるし、畜産に至っては、その辺で餌を食べろが主流で、与える必要がないからである。そんなことあるのか? と思うが、この世界は時折常識が通じない。それが助かった。
この藁を、どう紙にするか。藁に繊維があるの? と思うが、あるらしい。
「再生紙で、藁使ってるって聞いたことあるんだよね」
繊維なんて、どこにでもあるのだから、混ぜて細かくしてどろどろにすれば、なんでもできるだろう。その程度で考えているので、今回も実験である。なにせ、糸のように原型をとどめていなくていい。
藁を、とにかく細かくするのだ。
「ここで出てきました、ハンドチョッパー!」
とにかく細かくする。ぐるぐるハンドルを回し、藁を細かくする。作って正解だった。こんなもの、ナイフで切っていられない。ハサミでチョキチョキ、していられない。
断裁した藁を、今度は灰汁と一緒に煮る。
薪を焼いた灰を取っておいてあるので、それにお湯を入れ、沈澱するまで待つのだが、待っていられないので、鍋で煮て、こす。こすための布がないので、いつものかぎ編みした一枚物を敷いて、こす。
「もう、永遠にかぎ編みしてるよね。夜はずっとかぎ編み。本、読んでる暇ないなあ」
使徒からもらった、新しい本。薬に関する本だが、軽く眺めていても面白い。一般的な薬について書いてあるかと思えば、魔法などでおかしくなった場合の治療薬が載っている。それだけでなく、よくある媚薬であったり、意識を奪う薬であったり、治療薬ではなく、毒薬のようなものまで載っていた。使う理由のない怪しげな薬たちだが、材料は興味深い。
魔物の目玉を焼いて煮て、エキスを取り出し、やら、臓物を使うやら、なんやら。物語を読んでいるような気がして面白い。もっと読みたいが、暇がないのが実情で、今の所お預けなのが残念である。
「作りたい物が多いのに、材料を作るところから大変だからな。自動化に夢持ちたくなっちゃうよね」
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