127 / 316
砦2
しおりを挟む
「進むつもりですか?」
「そうですね。興味がありますから」
フィリィが問えば、当然のように答える。にっこり笑顔が余裕だ。
魔導士として腕はいい、モストフも剣の技がある。王の手でない場合どんな輩なのか。反王派ならば、大抵の者たちは知っているつもりだが、まだ隠れている者たちがいてもおかしくない。
ここは、ついて行った方が良さそうだ。彼らが何をするか、知っておいた方がいい。
「地下にいる者たちと、戦う気はありません」
「僕たちも同じ気持ちですよ」
見付からないように調べるだけだと念を押して、フィリィはモストフを見上げた。身長が高く、がたいがいいので、地下への道を歩んだら気付かれる気がする。
「出来るだけ使うつもりはありませんが、もしもの時は、幻術を使います」
フィリィの視線に、シェラが神妙に言った。地下にいる者が、魔導力のある者でなければいいのだが。シェラの言葉に返事はせず、フィリィは足音を立てないように、地下へと進んだ。
地下への階段は、螺旋階段で幅が狭い。足元も綺麗に成形されたものではなく、ごつごつとして歩きにくい。
ここで、足音を消すのは難しいか。
困ったね。一人ならば魔導でも使うが、今ここで自分が何をできるか、シェラたちに知られたくない。
エレディナの案内で、進むしかないだろう。
『さっきの男は奥へ入ったわよ。別の通路に入りましょ。直接行くより、回って行った方が安全だわ』
そうだね。ここの地下は入り組んでいるわけだし、見つかりにくい道から行こうか。
フィリィはシェラたちを振り返りつつ、音を立てないように階段を降りると、壁に背をつけながら周囲を確認する。すると、奥から魔獣の悲鳴が聞こえた。つんざくような響きが、通路にこだまする。
「魔獣が出たのでしょうか」
「倒したような悲鳴でしたね……」
断末魔の叫びのように、魔獣の鳴き声が通路にこだまし、しんと静まりかえる。何かを引きずるような金属音がすると、再び魔獣の唸り声や、吠える声が聞こえた。
「とにかく、進みましょう」
地下の通路は、洞窟を利用しているだけあって岩場があり、地面や天井から、石が飛び出したままになっている。削るのが面倒だったのか、岩がせり出た状態の通路だ。通路の幅も統一されておらず、広がった通路に扉を作り、部屋にしている場所もあった。
道はいくつか分岐されているが、全て同じ道に戻るようになっているようだ。どの道を進んでも、奥の広場には繋がるようで、進み続けると、暗がりに小さな明かりが見えた。
通路が途切れる先、広間になっているか、男たちの話し声が響く。その中に、獣の鳴き声も混じった。
洞窟を削った広間で、天井が高い。そこに、仕切られた檻がいくつも並んだ。その中に一匹ずつ、小型の魔獣が閉じ込められている。
シェラが隣で、フィリィの頭の上から覗いた。一瞬、フィリィの手の甲が滲んだが、すぐにそれをマントで隠す。
「戦わせているんでしょうか」
光には気付かなかっただろう、シェラがぽそりと呟いた。
視線の先には、魔導士らしき男がおり、魔導士はただ立って、様子を見ているだけ。動いているのは兵士だ。檻と檻を移動させて、魔獣同士を戦わせている。
ぎゃんっ、と首元を掻き切られた魔獣が、地面に飛ばされた。魔獣の種類は同じで、倒した方の魔獣が、倒れた魔獣を餌にしている。
「随分と、殺気立った魔獣たちですね」
魔獣は檻の中をうろうろし、檻に体でぶつかっては、檻に噛み付いている。空の檻もいくつかあったが、檻の中にいる魔獣は、種類別に並べられていた。
「共食いを、させているようですが」
シェラの言葉に、フィリィも頷く。魔導士は何かを紙に書いて、その様子を眺めた。
男たちは、何度か檻と檻を繋いで、魔獣同士を戦わせた。檻は動きやすいように滑車がついており、最初から移動させやすくされたものになっている。どこから連れてきたのか、この辺りでは見ない魔獣もいた。
しばらくして戦いも飽きたのか、殺気立っていた魔獣たちが大人しくなる。男たちは何か相談しながら、やることは終えたのか、何も持たず、広場を後にした。
残ったのは、檻に入った魔獣だけ。燃やした明かりはそのままで、男たちは出て行ってしまった。
『確認するわ』
エレディナが男たちの跡を追う。このまま戻って来ないのか、確認するのだ。
シェラは男たちの足音が消えるのを確認して、広場へと入っていく。お腹いっぱいになったのか、魔獣たちは寝転がって、ゆっくりとしていた。先ほどの殺伐とした雰囲気は、まるでない。
「何の、匂いでしょうか」
シェラが鼻をすんすん鳴らしながら言った。廊下にいた時には気付かなかったが、仄かに甘い香りがする。血生臭さすぎて分かりにくいが、別の匂いがどこからか漂ってきていた。
どこから漂っているのか、シェラの隣で、モストフも匂いの元を探そうとする。しかし、血生臭さに混じって、辿れないようだ。
匂いを感じながら、フィリィは檻に近付いた。中にいる魔獣は、すやすやと眠っている。
「魔鉱石?」
檻の一部に、青白く鈍い光を放っている箇所がある。魔獣の檻は魔導で強化されているか、一つの檻に一つの魔鉱石がはめられていた。
魔獣を留めるために、随分と手の凝った真似をしている。シェラも同じことを思ったか、檻の下の隅にはめられた魔鉱石を見遣って、顔を上げた。
「魔鉱石など使わなくても、この檻ならば、逃げたりしないでしょうに」
檻は頑丈に作られていて、中で暴れても簡単に壊れそうにない。わざわざ魔鉱石を使ってまで、強化するほどではなかった。小さな魔鉱石一粒だが、全ての檻に使えば、結構な大金をはたくことになる。
「番号が書いてありますね」
檻の入り口には木札が吊るされている。番号はどれもばらばらだが、魔獣の名前と番号が書かれていた。
檻に近付くと、ひどく血生臭い。地面は血に染まり、こびり付いて固まっていた。随分古い血もある。魔獣は、ずっと檻の中で閉じ込められているようだ。
「何をしていたんでしょうね。魔獣同士を戦わせて、数を減らしているようでした」
「そうですね。餌を与えず、魔獣を与えたように見えました」
殺気立っていたのは、腹が減っていたからだろう。檻を重ねて魔獣を合わせることで、わざと戦わせて、食事にさせていたようだ。
「まるで、強い魔獣を残すような」
シェラは言うと、檻の木札を確認する。魔獣の名前と番号。それは3であったり、8であったり、13であったり様々だ。同じ番号もあるが、同じ魔獣の種類で、同じ番号はない。
「ああ、そうかもしれない。モストフ、そちらの魔獣の番号を言ってくれる?」
シェラはモストフに木札の番号を確認させた。モストフは並べられた同じ種類の魔獣の木札を見ていく。
「3、4、8、13、16、20、23、26……」
確かに同じ番号はない。フィリィが見ても、同じ番号が見られなかった。
「同じ種類で、一番強いものを残している?」
「そのようですね。恐らく、最後に残った魔獣が必要なんでしょう」
最後とまではいかずとも、三位くらいまでは残すのだろう。
これは実験だ。そうして、残った魔獣に薬を与えるに違いない。こんなところで魔獣を集めていたようだ。しかも、強力な魔獣を。
「何か、思い当たりますか?」
フィリィが眉を顰めているのを見て、シェラがこちらを見つめた。のんびりした雰囲気を持っているくせに、魔導士の力を持つ男。調べていることは同じだろうか。
「強力な魔獣を使って、何かしたいみたいですね。その内、どこかに運ぶんじゃないかな」
「どこか、ですか」
「先ほどの男たちに、着いて行ってみるしかありません」
これならば、ヨシュアを連れてくるのだった。ヨシュアはニュアオーマについて、彼との伝言係をやってくれている。今は、ルヴィアーレがどう動くのかを、ヨシュアに見てもらっているのだ。
『あいつら、小型艇で行っちゃったわ。方角は東だけど、どこに戻るかは分からない』
ここから東に行くのならば、海に回って山を越えるだろう。ダリュンベリに行くのか、近くの領地に移動するのか、何とも言えない。しかし、恐らくは関わりのあることだ。
ラータニアを襲撃する、別の用意をしているのだろう。
「しかし、よくこれだけ魔獣を集めたものですね。同じ種類を何匹も生け捕りにするのは大変でしょうに。それが、何種類も」
シェラの言葉に、ため息をつきそうになる。この辺りには見当たらない魔獣を捕らえて、わざわざこの砦に連れてきたのだ。
魔獣を捕獲して、生き残った魔獣に薬を投与する。それを、ラグアルガの谷で行うのか、それとも、別のどこかに放つのか。
ここは、リンカーネに調べてもらうしかないだろう。一度戻り、これについて伝えるしかない。
「それにしても、魔鉱石を惜しげも無く使うものですね。最近では手に入りにくいと言うのに。城でも良く使用されているとは聞きますが」
シェラは溜め息混じりだ。グロウベルの輸入品を買いに来たら、買い占められていたのか、買えなかったらしい。グロウベルに直接行った方がいいですかねえ。とぶつぶつ呟いた。
ダリュンベリでもカサダリアでも、魔鉱石を使った移動式通路などは多い。城を作った当時は、魔鉱石が多く採れたのだろう。贅沢に使うからこそ、魔鉱石が枯渇しはじめた。それは、現王が精霊の声を聞けないせいでもあるが。
「質が良いものは高級品だ。これを使っている者はそれだけの財力があるのでしょうね」
「そうですね……」
多くは言わず、フィリィは口を閉じる。王の手が、状況を疑ってシェラたちを動かしている可能性も、なきにしもあらずだ。ここは、さっさと退散しよう。シェラたちが、ここで何かをするわけではなさそうだ。
「そうですね。興味がありますから」
フィリィが問えば、当然のように答える。にっこり笑顔が余裕だ。
魔導士として腕はいい、モストフも剣の技がある。王の手でない場合どんな輩なのか。反王派ならば、大抵の者たちは知っているつもりだが、まだ隠れている者たちがいてもおかしくない。
ここは、ついて行った方が良さそうだ。彼らが何をするか、知っておいた方がいい。
「地下にいる者たちと、戦う気はありません」
「僕たちも同じ気持ちですよ」
見付からないように調べるだけだと念を押して、フィリィはモストフを見上げた。身長が高く、がたいがいいので、地下への道を歩んだら気付かれる気がする。
「出来るだけ使うつもりはありませんが、もしもの時は、幻術を使います」
フィリィの視線に、シェラが神妙に言った。地下にいる者が、魔導力のある者でなければいいのだが。シェラの言葉に返事はせず、フィリィは足音を立てないように、地下へと進んだ。
地下への階段は、螺旋階段で幅が狭い。足元も綺麗に成形されたものではなく、ごつごつとして歩きにくい。
ここで、足音を消すのは難しいか。
困ったね。一人ならば魔導でも使うが、今ここで自分が何をできるか、シェラたちに知られたくない。
エレディナの案内で、進むしかないだろう。
『さっきの男は奥へ入ったわよ。別の通路に入りましょ。直接行くより、回って行った方が安全だわ』
そうだね。ここの地下は入り組んでいるわけだし、見つかりにくい道から行こうか。
フィリィはシェラたちを振り返りつつ、音を立てないように階段を降りると、壁に背をつけながら周囲を確認する。すると、奥から魔獣の悲鳴が聞こえた。つんざくような響きが、通路にこだまする。
「魔獣が出たのでしょうか」
「倒したような悲鳴でしたね……」
断末魔の叫びのように、魔獣の鳴き声が通路にこだまし、しんと静まりかえる。何かを引きずるような金属音がすると、再び魔獣の唸り声や、吠える声が聞こえた。
「とにかく、進みましょう」
地下の通路は、洞窟を利用しているだけあって岩場があり、地面や天井から、石が飛び出したままになっている。削るのが面倒だったのか、岩がせり出た状態の通路だ。通路の幅も統一されておらず、広がった通路に扉を作り、部屋にしている場所もあった。
道はいくつか分岐されているが、全て同じ道に戻るようになっているようだ。どの道を進んでも、奥の広場には繋がるようで、進み続けると、暗がりに小さな明かりが見えた。
通路が途切れる先、広間になっているか、男たちの話し声が響く。その中に、獣の鳴き声も混じった。
洞窟を削った広間で、天井が高い。そこに、仕切られた檻がいくつも並んだ。その中に一匹ずつ、小型の魔獣が閉じ込められている。
シェラが隣で、フィリィの頭の上から覗いた。一瞬、フィリィの手の甲が滲んだが、すぐにそれをマントで隠す。
「戦わせているんでしょうか」
光には気付かなかっただろう、シェラがぽそりと呟いた。
視線の先には、魔導士らしき男がおり、魔導士はただ立って、様子を見ているだけ。動いているのは兵士だ。檻と檻を移動させて、魔獣同士を戦わせている。
ぎゃんっ、と首元を掻き切られた魔獣が、地面に飛ばされた。魔獣の種類は同じで、倒した方の魔獣が、倒れた魔獣を餌にしている。
「随分と、殺気立った魔獣たちですね」
魔獣は檻の中をうろうろし、檻に体でぶつかっては、檻に噛み付いている。空の檻もいくつかあったが、檻の中にいる魔獣は、種類別に並べられていた。
「共食いを、させているようですが」
シェラの言葉に、フィリィも頷く。魔導士は何かを紙に書いて、その様子を眺めた。
男たちは、何度か檻と檻を繋いで、魔獣同士を戦わせた。檻は動きやすいように滑車がついており、最初から移動させやすくされたものになっている。どこから連れてきたのか、この辺りでは見ない魔獣もいた。
しばらくして戦いも飽きたのか、殺気立っていた魔獣たちが大人しくなる。男たちは何か相談しながら、やることは終えたのか、何も持たず、広場を後にした。
残ったのは、檻に入った魔獣だけ。燃やした明かりはそのままで、男たちは出て行ってしまった。
『確認するわ』
エレディナが男たちの跡を追う。このまま戻って来ないのか、確認するのだ。
シェラは男たちの足音が消えるのを確認して、広場へと入っていく。お腹いっぱいになったのか、魔獣たちは寝転がって、ゆっくりとしていた。先ほどの殺伐とした雰囲気は、まるでない。
「何の、匂いでしょうか」
シェラが鼻をすんすん鳴らしながら言った。廊下にいた時には気付かなかったが、仄かに甘い香りがする。血生臭さすぎて分かりにくいが、別の匂いがどこからか漂ってきていた。
どこから漂っているのか、シェラの隣で、モストフも匂いの元を探そうとする。しかし、血生臭さに混じって、辿れないようだ。
匂いを感じながら、フィリィは檻に近付いた。中にいる魔獣は、すやすやと眠っている。
「魔鉱石?」
檻の一部に、青白く鈍い光を放っている箇所がある。魔獣の檻は魔導で強化されているか、一つの檻に一つの魔鉱石がはめられていた。
魔獣を留めるために、随分と手の凝った真似をしている。シェラも同じことを思ったか、檻の下の隅にはめられた魔鉱石を見遣って、顔を上げた。
「魔鉱石など使わなくても、この檻ならば、逃げたりしないでしょうに」
檻は頑丈に作られていて、中で暴れても簡単に壊れそうにない。わざわざ魔鉱石を使ってまで、強化するほどではなかった。小さな魔鉱石一粒だが、全ての檻に使えば、結構な大金をはたくことになる。
「番号が書いてありますね」
檻の入り口には木札が吊るされている。番号はどれもばらばらだが、魔獣の名前と番号が書かれていた。
檻に近付くと、ひどく血生臭い。地面は血に染まり、こびり付いて固まっていた。随分古い血もある。魔獣は、ずっと檻の中で閉じ込められているようだ。
「何をしていたんでしょうね。魔獣同士を戦わせて、数を減らしているようでした」
「そうですね。餌を与えず、魔獣を与えたように見えました」
殺気立っていたのは、腹が減っていたからだろう。檻を重ねて魔獣を合わせることで、わざと戦わせて、食事にさせていたようだ。
「まるで、強い魔獣を残すような」
シェラは言うと、檻の木札を確認する。魔獣の名前と番号。それは3であったり、8であったり、13であったり様々だ。同じ番号もあるが、同じ魔獣の種類で、同じ番号はない。
「ああ、そうかもしれない。モストフ、そちらの魔獣の番号を言ってくれる?」
シェラはモストフに木札の番号を確認させた。モストフは並べられた同じ種類の魔獣の木札を見ていく。
「3、4、8、13、16、20、23、26……」
確かに同じ番号はない。フィリィが見ても、同じ番号が見られなかった。
「同じ種類で、一番強いものを残している?」
「そのようですね。恐らく、最後に残った魔獣が必要なんでしょう」
最後とまではいかずとも、三位くらいまでは残すのだろう。
これは実験だ。そうして、残った魔獣に薬を与えるに違いない。こんなところで魔獣を集めていたようだ。しかも、強力な魔獣を。
「何か、思い当たりますか?」
フィリィが眉を顰めているのを見て、シェラがこちらを見つめた。のんびりした雰囲気を持っているくせに、魔導士の力を持つ男。調べていることは同じだろうか。
「強力な魔獣を使って、何かしたいみたいですね。その内、どこかに運ぶんじゃないかな」
「どこか、ですか」
「先ほどの男たちに、着いて行ってみるしかありません」
これならば、ヨシュアを連れてくるのだった。ヨシュアはニュアオーマについて、彼との伝言係をやってくれている。今は、ルヴィアーレがどう動くのかを、ヨシュアに見てもらっているのだ。
『あいつら、小型艇で行っちゃったわ。方角は東だけど、どこに戻るかは分からない』
ここから東に行くのならば、海に回って山を越えるだろう。ダリュンベリに行くのか、近くの領地に移動するのか、何とも言えない。しかし、恐らくは関わりのあることだ。
ラータニアを襲撃する、別の用意をしているのだろう。
「しかし、よくこれだけ魔獣を集めたものですね。同じ種類を何匹も生け捕りにするのは大変でしょうに。それが、何種類も」
シェラの言葉に、ため息をつきそうになる。この辺りには見当たらない魔獣を捕らえて、わざわざこの砦に連れてきたのだ。
魔獣を捕獲して、生き残った魔獣に薬を投与する。それを、ラグアルガの谷で行うのか、それとも、別のどこかに放つのか。
ここは、リンカーネに調べてもらうしかないだろう。一度戻り、これについて伝えるしかない。
「それにしても、魔鉱石を惜しげも無く使うものですね。最近では手に入りにくいと言うのに。城でも良く使用されているとは聞きますが」
シェラは溜め息混じりだ。グロウベルの輸入品を買いに来たら、買い占められていたのか、買えなかったらしい。グロウベルに直接行った方がいいですかねえ。とぶつぶつ呟いた。
ダリュンベリでもカサダリアでも、魔鉱石を使った移動式通路などは多い。城を作った当時は、魔鉱石が多く採れたのだろう。贅沢に使うからこそ、魔鉱石が枯渇しはじめた。それは、現王が精霊の声を聞けないせいでもあるが。
「質が良いものは高級品だ。これを使っている者はそれだけの財力があるのでしょうね」
「そうですね……」
多くは言わず、フィリィは口を閉じる。王の手が、状況を疑ってシェラたちを動かしている可能性も、なきにしもあらずだ。ここは、さっさと退散しよう。シェラたちが、ここで何かをするわけではなさそうだ。
15
お気に入りに追加
195
あなたにおすすめの小説

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる