96 / 316
学び
しおりを挟む
「何書いてるんだ、カノイ」
「んー。子供に勉強を教えるのに、何が必要か」
「何でそんなの考えてるんだ?」
「姉さんの子供が、頭悪くて」
「へー、大変だな」
そんなこと姉に言ったら、殺されるけどね。これは姉の子供のためのものじゃないよ。姫様が子供たちのためにつくる、聖堂の学び舎での話なんだよね。
フィルリーネが色々考えている中で、現実的に政務官が考えたらどうなるの?と問われ、予算的にどこまでできるかを確認している。
カサダリアの聖堂を借りる気らしく、それは案外簡単にいきそうだとか。子供たちを集めるのは、フィルリーネができるが、では、どうやって資金繰りするの? というところで、現在カサダリアにいる服宰相ガルネーゼと話を詰めているそうだ。
そこで、自分の計算能力が頼みにされたのである。
姫様、できても、暇ないんだろうなあ。
婚姻が半年後に決まったせいで、婚姻の衣装の仮縫いがあったらしく、すっごい顔して、鼻息荒く嫌がっていた。作るだけ勿体無い。と言いながら。
フィルリーネは自分で物を作る人だからか、その考え方が王女目線ではなく、職人目線である。
何に使うの!?って、婚姻でしょう、って言う。
今日のフィルリーネは、政務はさぼりだ。最近さぼりまくっているが、ルヴィアーレに会いたくない、一心らしい。
毎朝、会うだけで、胃がキリキリするんだって。婚約者との会話がうまくいかないからって悩んじゃうなんて、姫様、意外と繊細だった。
フィルリーネから聞いた、学び舎で考えていることを木札に書き付けていると、ルヴィアーレがやってきた。そこにいた政務官たちは一斉に立ち上がり、ルヴィアーレが席に着くまで待つ。
フィルリーネが言っていたが、ルヴィアーレはフィルリーネと違い、本当に真面目だから、政務はちゃんとやってくれるだろうとのことである。本当にそうなったので、フィルリーネはルヴィアーレに政務を任せるつもりだ。
ついでに、ラータニアの街の人間に対しての教育をどうやってるか聞いておけ。とのことである。自分で聞ければ良いのだが、馬鹿王女だと、そんな話もできないのだ。大変だなあ。
「本日の書類です」
ルヴィアーレに書類を渡すが、怪しいのは既に確認済みだ。フィルリーネからもらった不正入れ箱はもう満杯で、これ以上増やしたくないなあ。と思っていたが、ルヴィアーレが手伝うようになってから、あまり増えなくなった。
相手も考えているようだ。
ルヴィアーレは席に着くと、すぐに仕事を始める。
確かに真面目だよね。不平不満を言うことは、全くない。まあ、言うわけないだろうけど、精霊を軽んじると、顔に出るって言ってた。へええ。って感じ。
高めの魔導を持っていると精霊が見えるらしいが、自分にはエレディナを見る機会があるかないかくらいだった。
この城にいて、そんな雰囲気を感じたことなんて、一度もない。地方にいた方が、精霊に感謝をする機会は多いのだろう。この城で大切なのは魔鉱石で、魔鉱石がないと城の至る所で不具合が起きる。魔導機械化が進んでいるから、魔鉱石がなくなると、王の棟に行けなくなるくらいだ。
「この書類ですが」
ルヴィアーレは気になるところがあると、すぐに聞いてくる。
ルヴィアーレは国を乗っ取るための布石を置くだろう。とフィルリーネは警戒している。あの王にあの王女だったら、ルヴィアーレに票が集まるのは当然だろう。うん、それは否定できない。
僕はルヴィアーレ様に近いところにいるから、むしろ積極的に取り入れというお達しがありました。姫様、僕をこき使うね。
立場を利用しろ。フィルリーネは、それを最大限に利用している人だ。
「ラータニアでは、街の人々への学びなどを行なっていますか?」
「国として積極的に行なっていることはありませんが、街自体が行なっている学びに、援助金を送っています」
サラディカは、グングナルドで何かを行うのですか? と問うてきた。
政務が終わると、サラディカは手伝いと称して、政務室まで書類運びを率先して行なってくれている。
行きはカノイと一緒で、帰りは一人になった。
その帰りのついでに何かをしているのか、それとも政務室の様子を見ているのか、それは分からない。フィルリーネにそれについて話せば、好きにさせろと言うことなので、好きにしてもらっている。
ただし、何を話したかは全て記憶しとけと言われた。
僕、忘れちゃうから、サラディカ日記書いてるよ。
「実は、第二都市カサダリアで、貧民で子供を預けないと働けない親たちのために、子供たちを街の聖堂で預かって、学びを行いたいという計画が、街から出ているんです。それにどんな学びを入れるのか、今考えているところでして」
カサダリアの商人をまとめている、豪商の娘からの提案という話になっているが、もちろんこれはフィルリーネの提案だ。その豪商の娘から、街の代表である長へ許可を経て、街にある聖堂の一部を使用できる体制を整えている。
その話が、貴族から副宰相ガルネーゼの耳に入った体だ。疑問に思われるような形でガルネーゼが関わるわけではないので、名は出していいそうだ。
ルヴィアーレに伝える話としては、カサダリアの友人から相談されていて、考えている。という細かい設定までもらっている。その友人も決まっていて、フィルリーネの抜け目のない設定力に、感心してしまう。
ただ王都で話す場合はできるだけそれは伏せ、ルヴィアーレ関係者にだけそれを話すように言われた。王都にバレてもいい話だが、詰める前に口を出されても面倒だそうだ。誰も興味持たないと思っていても、念の為らしい。
「預かることが目的で、そのついでに学ばせるつもりなのでしょうか?」
「どっちともですね。貧民街の子供たちは、親の手伝いを小さな頃からやらされるので、単純作業ばかりの仕事に就きやすくなるそうです。そのせいで貧困から抜け出せないので、それを防ぐためにも、子供に食事を与え、預かると称して学ばせるんです」
貧民街の事情なんて、良く手に入れてくるよね。むしろ僕は、街にそんな学校がないことに驚いたよ。
貴族は王都だろうが地方だろうが、みんな学校に入れられる。王都に住んでいると、城に隣接された学校があるので、そこで七年間過ごした。それは街の人間も同じだと思っていたが、そんな学校なんてないらしい。
個人的に子供を集めて授業を行なっている人はいるらしいが、それもお金がかかるため、学べるのはお金持ちばかり。もっとも、お金持ちは直接教師を雇うことがあって、それも稀。
お金のない人たちに、慈善事業で無償で行う人がいても、貧民街では幼くても働きに行かされるので、そんなところに学びに行くはずがなかった。
だから、フィルリーネは、昼食やおやつを用意して、子供たちを集めることにした。ご飯が食べられれば、食費を浮かせるために訪れるだろう。たまにお土産を渡し、親にもあげられれば、更に預ける気になるはずだ。
国が関わる事業ではないから、出費はフィルリーネ持ちにする気だったようだ。玩具の売り上げで賄うつもりだったようだ。
姫様、どれだけ自分の商品売ってるんだろう。
けれど、そこでガルネーゼ副宰相が待ったをかけて、何とかカサダリアの予算から捻出しようとしてくれたようだ。
その計算を今行なっている。街の聖堂の一角であれば無料で使えそうだとか。必要なのは、教える人の人件費と、食事代。授業で使う用具くらいだ。
玩具は姫様が手作りするって言ってたけど、あの人、そんな暇あるの?
「子供を預かって学ばせ、食事をさせて帰らせるのが理想かなって。大体の人数は分かっているので、そうなると、どれくらいの費用が必要か計算するつもりなんですけれど、ラータニアでもそんな取り組みはないか、気になりまして。幼児ぐらいの子供に、どう教えていくかも考えているんです」
まるで、全部僕が考えているみたいに聞こえるけど、姫様がそう話せって言うんだもん。
今決まっていることや、どんなことを考えているかなど、フィルリーネは事細かに教えてくれた。聞いているとこちらも質問が出てくるし、話していると問題点とか出てきて、助かると言ってくれる。
手伝わせているけれど、手伝ってもらっている。って勘違いさせるんだ。姫様は、人使うのうまいよね。褒め方もあるかな。
「その話は、興味深いですね。ラータニアでも、そこまで街の人々への学びを重視しているわけではありませんが、ラータニア王は融資を決めて、街の人々の学びを推進させていました」
「へえ、そうなんですか。そうですよね、国のためだと考えてくれると嬉しいんですけどね。グングナルドではそういう考え方がないので、だから、カサダリアからって。まあ、向こうの方が、何かを始めるのは障害が少ないんですよ」
ついでに、ちょっと王に対して不信を持っていることを出しなさいよ。だって。姫様、僕そんなにたくさん言われても、簡単に出てこないよ。こんな感じで言うので合ってるかな。
サラディカは、そうですか。と穏やかに返してくる。
王の文句をあまりしつこく言いすぎると、信用されないため、小耳に挟んだ程度で自分の話をしろというお達しだ。文句ばかり言う奴は、信用されない。
だから、僕はこれ以上言わないよ。
あくまで、子供たちのために何かできないか。が今回の主題だ。
「ラータニアで何か取り組みをされていれば、と思ったんです。僕も、今回の計画に協力できることは考えたいので」
「成る程。素晴らしい志ですね」
「いえ、そんな」
なんて。それ考えたの、全部馬鹿王女だからね。もう言いたいよ。姫様がどれだけ頑張ってるか、お前ら分かるかー! って。ラータニアの人に言っても、仕方がないけれど。
「よろしければ、ルヴィアーレ様を交えてお話はできないでしょうか。ルヴィアーレ様も興味を持たれると思います」
「え、いいんですか?」
姫様、もう釣れたよ! 本当に真面目なんだね。びっくりした。この国の王なんて、聞く耳も持たないのに。
「ぜひ、お願いします。ルヴィアーレ様の意見を聞けたら、助かります」
そんなことを笑顔で言いながら、ルヴィアーレとの面会を約束した。
姫様、褒めて。
「んー。子供に勉強を教えるのに、何が必要か」
「何でそんなの考えてるんだ?」
「姉さんの子供が、頭悪くて」
「へー、大変だな」
そんなこと姉に言ったら、殺されるけどね。これは姉の子供のためのものじゃないよ。姫様が子供たちのためにつくる、聖堂の学び舎での話なんだよね。
フィルリーネが色々考えている中で、現実的に政務官が考えたらどうなるの?と問われ、予算的にどこまでできるかを確認している。
カサダリアの聖堂を借りる気らしく、それは案外簡単にいきそうだとか。子供たちを集めるのは、フィルリーネができるが、では、どうやって資金繰りするの? というところで、現在カサダリアにいる服宰相ガルネーゼと話を詰めているそうだ。
そこで、自分の計算能力が頼みにされたのである。
姫様、できても、暇ないんだろうなあ。
婚姻が半年後に決まったせいで、婚姻の衣装の仮縫いがあったらしく、すっごい顔して、鼻息荒く嫌がっていた。作るだけ勿体無い。と言いながら。
フィルリーネは自分で物を作る人だからか、その考え方が王女目線ではなく、職人目線である。
何に使うの!?って、婚姻でしょう、って言う。
今日のフィルリーネは、政務はさぼりだ。最近さぼりまくっているが、ルヴィアーレに会いたくない、一心らしい。
毎朝、会うだけで、胃がキリキリするんだって。婚約者との会話がうまくいかないからって悩んじゃうなんて、姫様、意外と繊細だった。
フィルリーネから聞いた、学び舎で考えていることを木札に書き付けていると、ルヴィアーレがやってきた。そこにいた政務官たちは一斉に立ち上がり、ルヴィアーレが席に着くまで待つ。
フィルリーネが言っていたが、ルヴィアーレはフィルリーネと違い、本当に真面目だから、政務はちゃんとやってくれるだろうとのことである。本当にそうなったので、フィルリーネはルヴィアーレに政務を任せるつもりだ。
ついでに、ラータニアの街の人間に対しての教育をどうやってるか聞いておけ。とのことである。自分で聞ければ良いのだが、馬鹿王女だと、そんな話もできないのだ。大変だなあ。
「本日の書類です」
ルヴィアーレに書類を渡すが、怪しいのは既に確認済みだ。フィルリーネからもらった不正入れ箱はもう満杯で、これ以上増やしたくないなあ。と思っていたが、ルヴィアーレが手伝うようになってから、あまり増えなくなった。
相手も考えているようだ。
ルヴィアーレは席に着くと、すぐに仕事を始める。
確かに真面目だよね。不平不満を言うことは、全くない。まあ、言うわけないだろうけど、精霊を軽んじると、顔に出るって言ってた。へええ。って感じ。
高めの魔導を持っていると精霊が見えるらしいが、自分にはエレディナを見る機会があるかないかくらいだった。
この城にいて、そんな雰囲気を感じたことなんて、一度もない。地方にいた方が、精霊に感謝をする機会は多いのだろう。この城で大切なのは魔鉱石で、魔鉱石がないと城の至る所で不具合が起きる。魔導機械化が進んでいるから、魔鉱石がなくなると、王の棟に行けなくなるくらいだ。
「この書類ですが」
ルヴィアーレは気になるところがあると、すぐに聞いてくる。
ルヴィアーレは国を乗っ取るための布石を置くだろう。とフィルリーネは警戒している。あの王にあの王女だったら、ルヴィアーレに票が集まるのは当然だろう。うん、それは否定できない。
僕はルヴィアーレ様に近いところにいるから、むしろ積極的に取り入れというお達しがありました。姫様、僕をこき使うね。
立場を利用しろ。フィルリーネは、それを最大限に利用している人だ。
「ラータニアでは、街の人々への学びなどを行なっていますか?」
「国として積極的に行なっていることはありませんが、街自体が行なっている学びに、援助金を送っています」
サラディカは、グングナルドで何かを行うのですか? と問うてきた。
政務が終わると、サラディカは手伝いと称して、政務室まで書類運びを率先して行なってくれている。
行きはカノイと一緒で、帰りは一人になった。
その帰りのついでに何かをしているのか、それとも政務室の様子を見ているのか、それは分からない。フィルリーネにそれについて話せば、好きにさせろと言うことなので、好きにしてもらっている。
ただし、何を話したかは全て記憶しとけと言われた。
僕、忘れちゃうから、サラディカ日記書いてるよ。
「実は、第二都市カサダリアで、貧民で子供を預けないと働けない親たちのために、子供たちを街の聖堂で預かって、学びを行いたいという計画が、街から出ているんです。それにどんな学びを入れるのか、今考えているところでして」
カサダリアの商人をまとめている、豪商の娘からの提案という話になっているが、もちろんこれはフィルリーネの提案だ。その豪商の娘から、街の代表である長へ許可を経て、街にある聖堂の一部を使用できる体制を整えている。
その話が、貴族から副宰相ガルネーゼの耳に入った体だ。疑問に思われるような形でガルネーゼが関わるわけではないので、名は出していいそうだ。
ルヴィアーレに伝える話としては、カサダリアの友人から相談されていて、考えている。という細かい設定までもらっている。その友人も決まっていて、フィルリーネの抜け目のない設定力に、感心してしまう。
ただ王都で話す場合はできるだけそれは伏せ、ルヴィアーレ関係者にだけそれを話すように言われた。王都にバレてもいい話だが、詰める前に口を出されても面倒だそうだ。誰も興味持たないと思っていても、念の為らしい。
「預かることが目的で、そのついでに学ばせるつもりなのでしょうか?」
「どっちともですね。貧民街の子供たちは、親の手伝いを小さな頃からやらされるので、単純作業ばかりの仕事に就きやすくなるそうです。そのせいで貧困から抜け出せないので、それを防ぐためにも、子供に食事を与え、預かると称して学ばせるんです」
貧民街の事情なんて、良く手に入れてくるよね。むしろ僕は、街にそんな学校がないことに驚いたよ。
貴族は王都だろうが地方だろうが、みんな学校に入れられる。王都に住んでいると、城に隣接された学校があるので、そこで七年間過ごした。それは街の人間も同じだと思っていたが、そんな学校なんてないらしい。
個人的に子供を集めて授業を行なっている人はいるらしいが、それもお金がかかるため、学べるのはお金持ちばかり。もっとも、お金持ちは直接教師を雇うことがあって、それも稀。
お金のない人たちに、慈善事業で無償で行う人がいても、貧民街では幼くても働きに行かされるので、そんなところに学びに行くはずがなかった。
だから、フィルリーネは、昼食やおやつを用意して、子供たちを集めることにした。ご飯が食べられれば、食費を浮かせるために訪れるだろう。たまにお土産を渡し、親にもあげられれば、更に預ける気になるはずだ。
国が関わる事業ではないから、出費はフィルリーネ持ちにする気だったようだ。玩具の売り上げで賄うつもりだったようだ。
姫様、どれだけ自分の商品売ってるんだろう。
けれど、そこでガルネーゼ副宰相が待ったをかけて、何とかカサダリアの予算から捻出しようとしてくれたようだ。
その計算を今行なっている。街の聖堂の一角であれば無料で使えそうだとか。必要なのは、教える人の人件費と、食事代。授業で使う用具くらいだ。
玩具は姫様が手作りするって言ってたけど、あの人、そんな暇あるの?
「子供を預かって学ばせ、食事をさせて帰らせるのが理想かなって。大体の人数は分かっているので、そうなると、どれくらいの費用が必要か計算するつもりなんですけれど、ラータニアでもそんな取り組みはないか、気になりまして。幼児ぐらいの子供に、どう教えていくかも考えているんです」
まるで、全部僕が考えているみたいに聞こえるけど、姫様がそう話せって言うんだもん。
今決まっていることや、どんなことを考えているかなど、フィルリーネは事細かに教えてくれた。聞いているとこちらも質問が出てくるし、話していると問題点とか出てきて、助かると言ってくれる。
手伝わせているけれど、手伝ってもらっている。って勘違いさせるんだ。姫様は、人使うのうまいよね。褒め方もあるかな。
「その話は、興味深いですね。ラータニアでも、そこまで街の人々への学びを重視しているわけではありませんが、ラータニア王は融資を決めて、街の人々の学びを推進させていました」
「へえ、そうなんですか。そうですよね、国のためだと考えてくれると嬉しいんですけどね。グングナルドではそういう考え方がないので、だから、カサダリアからって。まあ、向こうの方が、何かを始めるのは障害が少ないんですよ」
ついでに、ちょっと王に対して不信を持っていることを出しなさいよ。だって。姫様、僕そんなにたくさん言われても、簡単に出てこないよ。こんな感じで言うので合ってるかな。
サラディカは、そうですか。と穏やかに返してくる。
王の文句をあまりしつこく言いすぎると、信用されないため、小耳に挟んだ程度で自分の話をしろというお達しだ。文句ばかり言う奴は、信用されない。
だから、僕はこれ以上言わないよ。
あくまで、子供たちのために何かできないか。が今回の主題だ。
「ラータニアで何か取り組みをされていれば、と思ったんです。僕も、今回の計画に協力できることは考えたいので」
「成る程。素晴らしい志ですね」
「いえ、そんな」
なんて。それ考えたの、全部馬鹿王女だからね。もう言いたいよ。姫様がどれだけ頑張ってるか、お前ら分かるかー! って。ラータニアの人に言っても、仕方がないけれど。
「よろしければ、ルヴィアーレ様を交えてお話はできないでしょうか。ルヴィアーレ様も興味を持たれると思います」
「え、いいんですか?」
姫様、もう釣れたよ! 本当に真面目なんだね。びっくりした。この国の王なんて、聞く耳も持たないのに。
「ぜひ、お願いします。ルヴィアーレ様の意見を聞けたら、助かります」
そんなことを笑顔で言いながら、ルヴィアーレとの面会を約束した。
姫様、褒めて。
16
お気に入りに追加
195
あなたにおすすめの小説
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
【完結160万pt】王太子妃に決定している公爵令嬢の婚約者はまだ決まっておりません。王位継承権放棄を狙う王子はついでに側近を叩き直したい
宇水涼麻
恋愛
ピンク髪ピンク瞳の少女が王城の食堂で叫んだ。
「エーティル様っ! ラオルド様の自由にしてあげてくださいっ!」
呼び止められたエーティルは未来の王太子妃に決定している公爵令嬢である。
王太子と王太子妃となる令嬢の婚約は簡単に解消できるとは思えないが、エーティルはラオルドと婚姻しないことを軽く了承する。
その意味することとは?
慌てて現れたラオルド第一王子との関係は?
なぜこのような状況になったのだろうか?
ご指摘いただき一部変更いたしました。
みなさまのご指摘、誤字脱字修正で読みやすい小説になっていっております。
今後ともよろしくお願いします。
たくさんのお気に入り嬉しいです!
大変励みになります。
ありがとうございます。
おかげさまで160万pt達成!
↓これよりネタバレあらすじ
第一王子の婚約解消を高らかに願い出たピンクさんはムーガの部下であった。
親類から王太子になることを強要され辟易しているが非情になれないラオルドにエーティルとムーガが手を差し伸べて王太子権放棄をするために仕組んだのだ。
ただの作戦だと思っていたムーガであったがいつの間にかラオルドとピンクさんは心を通わせていた。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
転生した元悪役令嬢は地味な人生を望んでいる
花見 有
恋愛
前世、悪役令嬢だったカーラはその罪を償う為、処刑され人生を終えた。転生して中流貴族家の令嬢として生まれ変わったカーラは、今度は地味で穏やかな人生を過ごそうと思っているのに、そんなカーラの元に自国の王子、アーロンのお妃候補の話が来てしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる