26 / 50
26 ーリングの許しー
しおりを挟む
ユタを襲っているのは、人間並の身長を持つ、棒。
薄茶色の棒だ。
しかもそれは地面を走らず、四つ足を使って壁を蜘蛛のように駆けてくる。
足の先が鋭いのか、壁に穴をあけて進んでくる姿が強烈だ。どこに目があるのか、手首くらいの太さの棒は一直線にユタへ近付いた。
壁をつたっていた棒が飛びかかってくる。その身体を袈裟懸けに振り抜くと、棒が前足を使って受け止めた。棒はその鋭い先をユタに串刺す。すぐに打ち付けて返すと、棒は中心の芯だけで身体を支え、後ろ足も使って攻撃をくり出してきた。反転してひっくり返ると、先程前足だったのが今度は地面に刺さり、後ろ足で手のように攻撃する。
いきなり現れた怪異に辺りは騒然とした。あちこちに悲鳴があがり、その中でユタは一人で応戦した。
あんな妙な怪異見たことがない。堅い皮に鋭い爪がつき、スピードもかなり早い。
ロンは鞄の中をあさったが何を出すべきか迷った。スピードが早いのでユタに当ててしまう可能性があったのだ。
しかし、ここでゆっくり考えている暇はない。
鞄から出した小瓶には赤い石が入っていた。ロンはそれを瓶ごと地面に叩き付けて割り、おもむろに割れた瓶で自分の手の平を切り裂くと、その手で赤い石を掴んで投げた。
「そこから飛んでっ!」
ロンの叫びにユタが反応した。後方へ飛び上がると、赤い石が落ちた地面が泥のようにぬかるんで、棒の足が埋まったのだ。
地面から生えた赤い色が棒に絡み動きを止めた。その瞬間、ユタは棒をまっ二つに斬り落とした。降り立った地面は既に固まり、ユタはもう一度棒を斬り付けた。
地面に転がった半身はぼろりと枯れて、腐葉土に包まれた小木のように脆く崩れ去って消えてしまった。
「大丈夫ですか!」
ロンが走りよると、ユタは地面に座り込んで、大きく空にため息をついた。
「たーすかったあ。ええーと、あーれ、こないだ会った…、子じゃないよな?双児?」
ロンは一瞬止まってしまった。ユタに出会った時は女の姿だ。今のロンは男で、あの時のロンとは違う。苦笑いをしてごまかしたが、叫んで近寄ってくる者がいた。振り向いて声を出す前に、ユタが反応した。
「てめっ!何でここにいんだーっ!」
「ユタ、何やってるんだ、お前」
「そりゃこっちの台詞だ!捜しに行ってやったのに、てめえはいねーし、帰ってきた途端変なのに襲われるしで、最悪なんだよっ!」
ユタの癇癪も気にせず、シェインは息をせりながら近付くと、有無を言わさずロンの血のついた手を引いた。長く捜していたのか、汗が額から流れている。
「悪いがお前と話している暇はない。ロン、店に戻るぞ」
そう言うと、ユタが問う間もなく、途端に走り出したのだ。
もつれる足に転びそうになったが、シェインの焦躁は尋常ではない。顔色を失ったままでその顔の理由を問う余裕を与えなかった。ロンも彼にならって走ると、後ろからユタも勢い良く走ってくる。
開いていた店の中の客を押し退け、酒くさい部屋をぬけて、さっきと同じように小部屋まで辿り着いてその扉を開いた。
息も切れ切れで辿り着いた先に待っていたのは、ティオとお付きの三人。
それから。
「セウッ!」
部屋の隅に置かれていたベッドに眠っているのは、セウで間違いなかった。
けれど、彼はロンの姿を見ても何も言わず、ただ早く短い呼吸を繰り返すだけで、その目蓋も閉じている。
上着に付着したどす黒い赤色は、頬にもついて、ベッドにもしみていた。
「何で…」
服の下は包帯で血止めされているが、顔色が悪すぎる。
黒く乾いた血は時間が経っていた。腹部の包帯の染みだけがまだ朱で、そこから血が流れているのが分かった。
「セウ、セウ?薬、薬は!」
シェインが手渡したロンの鞄をロンはひったくるように受け取ると、中の薬を探した。
「血止めをしたが、止まらないんだ」
知らない男が言った。この男も傷だらけで顔には固まった血がこびり付いている。
「怪我をしてからどれくらい?」
「一時は経っている」
「一時‥?長すぎる」
包帯をとれば血が流れ、ロンは瓶から液体を傷口にぶちまけてそれを拭きとった。まだ流れる血に何枚もの葉をのせて、茶色の液体をしみ込ませガーゼで押さえた。
「駄目、これじゃ、間に合わない」
体力を失いつつあるセウに、シェインに使った薬は使えない。もっと強力な、重病人を助ける薬がなければ。
ロンは思い立つとすぐに立ち上がってその部屋を飛び出した。肩で息をするユタとすれ違い、シェインが叫んで呼んでいても、振り返らずにロンは走った。
説明している暇はない。一刻も早くあの薬を調合して、セウに煎じて飲ませなければ。
客を押し退け外へ出ると全速力で足を動かした。水路にかかる橋を迂回せず、柵を跨いで水路を飛び越え階段を駆け下りた。
急がなければ。早くしなければ。
人気のない街灯に照らされた植物達。虫の音が聞こえるだけの静寂。道から下がった場所にあるそこに飛び込むと、あまりの高さに足に痛みが響いて、ロンは地面に手を着いた。
息を競りながらそれでも立ち上がって走りだすと、あの人の姿を捜した。
大きな木の隙間に白銀の髪が目に入り、ロンはそちらに走った。ロンに気付いたリングは、一度驚きに見張ったが、また元の無表情に戻り、冷静なままロンを見つめた。
「ここに入れば、警備を呼ぶと言った筈だ」
「お願い。レストリアの葉を分けて」
吐き出した息で言葉が掠れた。
「大切な人が、死にそうなの。お願い、あの葉を分けて。あの葉でなければあの人は死んでしまう。もう他に手がないの。時間がない。お願い」
懇願するだけで与えられる品ではない。レストリアは高額で、育てるにも根気のいる薬草だ。一年に一回も取れない場合だってある。時価で取り引きされる特別な薬草なのだ。頭を下げたくらいでもらえる物ではなかった。
分かってはいるけれども、この葉の力でなければセウの傷を塞げない。
「大切な人なの。助けて、お願い」
涙で溢れて、前が見えない。喉が詰まって咳き込んで、何度も大きく呼吸した。
「あの人が死んだら、私は、私は…」
嗚咽が混じって言葉が続かない。
大切な人なのだ。死んでほしくない。今まで育ててくれた分も、共に逃げてくれた分も、何も彼に返していない。貰ってばかりで何も返していないのだ。
「私はもう城へ戻る」
はいた自分の息で、リングの言葉は良く聞こえなかった。
「葉を数える者などいない。私が戻れば警備が来るぞ」
リングはそのままロンに背を向けると、手にしていた薬草を木箱に入れてロンを尻目に歩いていった。耳を疑ったが、潤んだ目をこすって大声で言った。
「あ、ありがとう」
ロンは急いで手の平大の葉を一枚千切った。
城へ向かうリングにもう一度大声で礼を言って、ロンは壁に向かって走りながら小瓶から小枝を出すと、それを壁へ放り投げた。小枝がはしごの形になると、それを上って元来た道を走った。
リングがその様を見つめ続けていても、振り返ることなく走り、痛む足と止まりそうな呼吸にむち打ってセウの元へ戻った。
薄茶色の棒だ。
しかもそれは地面を走らず、四つ足を使って壁を蜘蛛のように駆けてくる。
足の先が鋭いのか、壁に穴をあけて進んでくる姿が強烈だ。どこに目があるのか、手首くらいの太さの棒は一直線にユタへ近付いた。
壁をつたっていた棒が飛びかかってくる。その身体を袈裟懸けに振り抜くと、棒が前足を使って受け止めた。棒はその鋭い先をユタに串刺す。すぐに打ち付けて返すと、棒は中心の芯だけで身体を支え、後ろ足も使って攻撃をくり出してきた。反転してひっくり返ると、先程前足だったのが今度は地面に刺さり、後ろ足で手のように攻撃する。
いきなり現れた怪異に辺りは騒然とした。あちこちに悲鳴があがり、その中でユタは一人で応戦した。
あんな妙な怪異見たことがない。堅い皮に鋭い爪がつき、スピードもかなり早い。
ロンは鞄の中をあさったが何を出すべきか迷った。スピードが早いのでユタに当ててしまう可能性があったのだ。
しかし、ここでゆっくり考えている暇はない。
鞄から出した小瓶には赤い石が入っていた。ロンはそれを瓶ごと地面に叩き付けて割り、おもむろに割れた瓶で自分の手の平を切り裂くと、その手で赤い石を掴んで投げた。
「そこから飛んでっ!」
ロンの叫びにユタが反応した。後方へ飛び上がると、赤い石が落ちた地面が泥のようにぬかるんで、棒の足が埋まったのだ。
地面から生えた赤い色が棒に絡み動きを止めた。その瞬間、ユタは棒をまっ二つに斬り落とした。降り立った地面は既に固まり、ユタはもう一度棒を斬り付けた。
地面に転がった半身はぼろりと枯れて、腐葉土に包まれた小木のように脆く崩れ去って消えてしまった。
「大丈夫ですか!」
ロンが走りよると、ユタは地面に座り込んで、大きく空にため息をついた。
「たーすかったあ。ええーと、あーれ、こないだ会った…、子じゃないよな?双児?」
ロンは一瞬止まってしまった。ユタに出会った時は女の姿だ。今のロンは男で、あの時のロンとは違う。苦笑いをしてごまかしたが、叫んで近寄ってくる者がいた。振り向いて声を出す前に、ユタが反応した。
「てめっ!何でここにいんだーっ!」
「ユタ、何やってるんだ、お前」
「そりゃこっちの台詞だ!捜しに行ってやったのに、てめえはいねーし、帰ってきた途端変なのに襲われるしで、最悪なんだよっ!」
ユタの癇癪も気にせず、シェインは息をせりながら近付くと、有無を言わさずロンの血のついた手を引いた。長く捜していたのか、汗が額から流れている。
「悪いがお前と話している暇はない。ロン、店に戻るぞ」
そう言うと、ユタが問う間もなく、途端に走り出したのだ。
もつれる足に転びそうになったが、シェインの焦躁は尋常ではない。顔色を失ったままでその顔の理由を問う余裕を与えなかった。ロンも彼にならって走ると、後ろからユタも勢い良く走ってくる。
開いていた店の中の客を押し退け、酒くさい部屋をぬけて、さっきと同じように小部屋まで辿り着いてその扉を開いた。
息も切れ切れで辿り着いた先に待っていたのは、ティオとお付きの三人。
それから。
「セウッ!」
部屋の隅に置かれていたベッドに眠っているのは、セウで間違いなかった。
けれど、彼はロンの姿を見ても何も言わず、ただ早く短い呼吸を繰り返すだけで、その目蓋も閉じている。
上着に付着したどす黒い赤色は、頬にもついて、ベッドにもしみていた。
「何で…」
服の下は包帯で血止めされているが、顔色が悪すぎる。
黒く乾いた血は時間が経っていた。腹部の包帯の染みだけがまだ朱で、そこから血が流れているのが分かった。
「セウ、セウ?薬、薬は!」
シェインが手渡したロンの鞄をロンはひったくるように受け取ると、中の薬を探した。
「血止めをしたが、止まらないんだ」
知らない男が言った。この男も傷だらけで顔には固まった血がこびり付いている。
「怪我をしてからどれくらい?」
「一時は経っている」
「一時‥?長すぎる」
包帯をとれば血が流れ、ロンは瓶から液体を傷口にぶちまけてそれを拭きとった。まだ流れる血に何枚もの葉をのせて、茶色の液体をしみ込ませガーゼで押さえた。
「駄目、これじゃ、間に合わない」
体力を失いつつあるセウに、シェインに使った薬は使えない。もっと強力な、重病人を助ける薬がなければ。
ロンは思い立つとすぐに立ち上がってその部屋を飛び出した。肩で息をするユタとすれ違い、シェインが叫んで呼んでいても、振り返らずにロンは走った。
説明している暇はない。一刻も早くあの薬を調合して、セウに煎じて飲ませなければ。
客を押し退け外へ出ると全速力で足を動かした。水路にかかる橋を迂回せず、柵を跨いで水路を飛び越え階段を駆け下りた。
急がなければ。早くしなければ。
人気のない街灯に照らされた植物達。虫の音が聞こえるだけの静寂。道から下がった場所にあるそこに飛び込むと、あまりの高さに足に痛みが響いて、ロンは地面に手を着いた。
息を競りながらそれでも立ち上がって走りだすと、あの人の姿を捜した。
大きな木の隙間に白銀の髪が目に入り、ロンはそちらに走った。ロンに気付いたリングは、一度驚きに見張ったが、また元の無表情に戻り、冷静なままロンを見つめた。
「ここに入れば、警備を呼ぶと言った筈だ」
「お願い。レストリアの葉を分けて」
吐き出した息で言葉が掠れた。
「大切な人が、死にそうなの。お願い、あの葉を分けて。あの葉でなければあの人は死んでしまう。もう他に手がないの。時間がない。お願い」
懇願するだけで与えられる品ではない。レストリアは高額で、育てるにも根気のいる薬草だ。一年に一回も取れない場合だってある。時価で取り引きされる特別な薬草なのだ。頭を下げたくらいでもらえる物ではなかった。
分かってはいるけれども、この葉の力でなければセウの傷を塞げない。
「大切な人なの。助けて、お願い」
涙で溢れて、前が見えない。喉が詰まって咳き込んで、何度も大きく呼吸した。
「あの人が死んだら、私は、私は…」
嗚咽が混じって言葉が続かない。
大切な人なのだ。死んでほしくない。今まで育ててくれた分も、共に逃げてくれた分も、何も彼に返していない。貰ってばかりで何も返していないのだ。
「私はもう城へ戻る」
はいた自分の息で、リングの言葉は良く聞こえなかった。
「葉を数える者などいない。私が戻れば警備が来るぞ」
リングはそのままロンに背を向けると、手にしていた薬草を木箱に入れてロンを尻目に歩いていった。耳を疑ったが、潤んだ目をこすって大声で言った。
「あ、ありがとう」
ロンは急いで手の平大の葉を一枚千切った。
城へ向かうリングにもう一度大声で礼を言って、ロンは壁に向かって走りながら小瓶から小枝を出すと、それを壁へ放り投げた。小枝がはしごの形になると、それを上って元来た道を走った。
リングがその様を見つめ続けていても、振り返ることなく走り、痛む足と止まりそうな呼吸にむち打ってセウの元へ戻った。
21
お気に入りに追加
96
あなたにおすすめの小説
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
理不尽に抗議して逆ギレ婚約破棄されたら、高嶺の皇子様に超絶執着されています!?
鳴田るな
恋愛
男爵令嬢シャリーアンナは、格下であるため、婚約者の侯爵令息に長い間虐げられていた。
耐え続けていたが、ついには殺されかけ、黙ってやり過ごすだけな態度を改めることにする。
婚約者は逆ギレし、シャリーアンナに婚約破棄を言い放つ。
するとなぜか、隣国の皇子様に言い寄られるようになって!?
地味で平凡な令嬢(※ただし秘密持ち)が、婚約破棄されたら隣国からやってきた皇子殿下に猛烈アタックされてしまうようになる話。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
処刑された王女は隣国に転生して聖女となる
空飛ぶひよこ
恋愛
旧題:魔女として処刑された王女は、隣国に転生し聖女となる
生まれ持った「癒し」の力を、民の為に惜しみなく使って来た王女アシュリナ。
しかし、その人気を妬む腹違いの兄ルイスに疎まれ、彼が連れてきたアシュリナと同じ「癒し」の力を持つ聖女ユーリアの謀略により、魔女のレッテルを貼られ処刑されてしまう。
同じ力を持ったまま、隣国にディアナという名で転生した彼女は、6歳の頃に全てを思い出す。
「ーーこの力を、誰にも知られてはいけない」
しかし、森で倒れている王子を見過ごせずに、力を使って助けたことにより、ディアナの人生は一変する。
「どうか、この国で聖女になってくれませんか。貴女の力が必要なんです」
これは、理不尽に生涯を終わらされた一人の少女が、生まれ変わって幸福を掴む物語。
婚約破棄された地味姫令嬢は獣人騎士団のブラッシング係に任命される
安眠にどね
恋愛
社交界で『地味姫』と嘲笑されている主人公、オルテシア・ケルンベルマは、ある日婚約破棄をされたことによって前世の記憶を取り戻す。
婚約破棄をされた直後、王城内で一匹の虎に出会う。婚約破棄と前世の記憶と取り戻すという二つのショックで呆然としていたオルテシアは、虎の求めるままブラッシングをしていた。その虎は、実は獣人が獣の姿になった状態だったのだ。虎の獣人であるアルディ・ザルミールに気に入られて、オルテシアは獣人が多く所属する第二騎士団のブラッシング係として働くことになり――!?
【第16回恋愛小説大賞 奨励賞受賞。ありがとうございました!】
『夜はイケオジになる呪い』を掛けられた元聖女ですが、冷酷非情な辺境伯様に気に入られたようです。……夜(♂)の姿を。
ぽんぽこ@書籍発売中!!
恋愛
聖女である私の旅は終わったはずだった。なのに――。
「どうしてイケオジになる呪いなんて掛かっちゃったのよぉお!」
魔王討伐の旅の果てで、私は魔王に“とある呪い”を掛けられた。
それは夜になると、オジサンの姿になるというあまりにもフザケた呪いだった。
だけどその呪いのせいで、悠々自適な余生を過ごすはずだった私の人生プランは呆気なく崩壊。私は聖女の役目を外され、辺境の教会に左遷されてしまった。
すっかりやさぐれた私は、イケオジの姿で夜の街を毎晩のようにダラダラと過ごしていたんだけど……。
「やぁレイ。今日も良い夜ですね」
冷酷非情で有名な辺境伯様と、なぜか私は飲み友達になってしまった。
しかも私を完全に男だと勘違いしている彼は、どうにも距離感がバグっていて――。
酒の席での戯言ですのよ。
ぽんぽこ狸
恋愛
成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。
何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。
そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる