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5 ー来訪ー
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「おいーっ、お前、外に兵士が来てたぞ!」
家に帰って勢い良く扉を開けて叫んだ言葉に、白豹は飛び上がった。
ロフトから顔を出すと、ロンを見てゆっくりと階段を下りてくる。
言葉が分かるなら、レノアの話も聞いていたわけだ。
今さら兵士がいたのを聞いて、驚く素振りはない。けれど、ロンは慌てふためいていた。
「最悪だ。よりによって、王都の兵士だったぞ。セウが出かけたばっかで良かったけどさ。一体何したんだよ、お前。あーの美人、豹を見なかったかって聞いてきて、俺のこと疑ったのか疑ってないのか、わっかんないけど、あっちの道は行き止まりだから、すぐにこっち来るだろうし。俺も奴等とやり合うのは避けたいんだよな…。しかも、身分高そうだったから、結構面倒ごとだろ…?」
天に向かって喘ぐと、ロンは窓の外を見て一瞬で顔が青ざめた。
あの三人が、こちらの方向へ真直ぐ歩いてくる。
山道から外れた小道の行き止まりにあるこの家は、周りに他の家はない。
彼等の目的は、この家に訪れることだ。
だがそれはまだいい、それよりも、リングの前を拳程の緑色の物体が三匹、ちょこちょこと動いている。
その姿はまるで蟹だが、丸い物体から長い触手が二本うねっていた。
「ロフトに上がって、奥に隠れてろ!」
白豹はロンの切羽詰まった小声に、急いで駆け上がった。
ロンは棚から小瓶を取り出すと、扉めがけて小瓶の中に入った粉をぶちまけた。
黒色の粉はぱらぱらと散らばったが、ロンは瓶を放り投げてその粉を踏み付ける。すると粉は見る見る内に板にしみ込んで、ぽこり、と気泡を出した。
それが部屋中に充満したが、霧がかかったようになっただけで、一瞬で消えた。
「誰か、いるか!」
そのすぐ後、先程聞いた、いきり立った声が言った。
扉の小窓からカーテンを開いて覗くと、家の向こうの柵の前で三人が門を開いて入ってきた。
いませんと言ったら、帰ってくれるかどうか。
息をついて返事をして、扉を開けると、ロンの足元で小動物のかん高い声が騒ぎ出した。
扉の入り口で、丸い緑色の蟹がギーギー叫んで、短い足を使い飛び跳ねているのだ。
ロンは唾を飲みこみそうになった。
目の前に立つ、麗しい顔を持った男は、その様を見てロンを真直ぐ見つめたからだ。
「さっきの…」
下手な演技だったろうか。ロンは驚いたように言ってみせた。
相手の男、リングは再びちらりと足元を見て、もう一度ロンを真直ぐ見つめる。
「蟲除けを、やっているのだな。この家は」
まるで、水のようだと思った。
するりと耳に入る声は、流れるように届いてくる。声を聞いているだけで寒気がした。
リングに取り巻く、他とは違う雰囲気に呑まれそうになって、それを何とか持ちこたえようとした。
蟹がギーギー鳴いてくれたおかげだ。
足元の蟹は入り口から中に入れないと、扉の外で暴れている。
それを放置しながら、能面のまま見つめるリングに、ロンは軽く笑い流した。
「…今、チトリのリースがなくてね、即席だよ。仕事が忙しくて、作ってる暇がなくてさ」
「チトリの薬としては、強力な物だな。そこの薬草を散らばせておけば済むことだろう」
リングは静かに言うと、ロンの後ろのテーブルにある薬草に視線を変えて言った。
テーブルの上には、先程レノアに作ったリースの材料がそのまま残っている。帰ってきてからチトリのリースを作るつもりだったので、そのままにしておいたのだ。
目ざとい男だ。ロンは舌打ちしそうになったのを何とか堪える。
「ああ、あれ?さっき客に頼まれてリースを作ったんだよ。これからあれを使って、うちのリースも作ろうと思っててさ。ところで、うちに何か用?」
リングはほんの少しだけ目を眇めた。
身長はロンより高いが、セウより若干低い。顔を上げてリングの顔を見つめ返してやったが、美麗な顔立ちに目を泳がせたくなった。
「血の匂いを辿ってきたのだが、庭先で乱闘でも?」
「うちは薬売りだからね。怪我人の一人や二人、転がったかもね」
「そうか。部屋に入れたりもするわけか」
「勿論、手当てもするからね。怪我人なら入ってく?茶ぐらい出すよ?随分遠くから来たんだろ?」
「…王都エンリルから来た…」
伏せた目蓋はひどく美しくて、鏡を見ないでも自分の顔が耳まで真っ赤になっていくのが分かった。
見とれるなと言われても無理だ。こんな至近距離で見るなと言われても困る。
そんなロンの心理を消すかのごとく、足元の蟹がギーギーを更に増やした。
三匹いる蟹は、ぐるぐる回ってはお互いのとげのついた触手をぶつけて転がっている。
それをリングが足の爪先で小突いた。すると、小突かれた一匹が庭を抜けて、道に踊りながら走りだしたのだ。
「向こうへ行ったぞ。お前達で追うんだな」
兵士二人は、言われて急いで蟹の後を追った。
蟹は小さな二本足を素早く動かして山林に入ってしまい、二人はためらいながらも木々の隙間へ追いかけた。
リングは二人の姿が消えると、もう一度向き直ってロンを見やった。
玄関先から退く気はなく、中に入る気もないようだ。
残った二匹の蟹はまだ足元で叫びっぱなしで、それと対照的にリングは囁くように言葉を綴った。
「家の中で、蟲除けをやるのも珍しい。普通は家の外でやるものだろう?家の中に入り込んだ蟲を駆除するのでは、庭先で食われてしまうかもしれない」
「外で気泡を作っても、風で流されちゃうだろ。夜になるまでには、リースを作り終えるつもりだったからね」
「そうか。…中々、腕がいいようだな」
何が?とは聞かなかった。
微かに笑ったように見えたが、この顔に惚けてはいられない。
「あんたこそ、物騒なの使ってるね。吸血根かい?そんなの操るなんて、すごい薬師だね」
「吸血根除けの薬を調合できる薬師も、昨今ではあまり見ないがな。この辺りに、吸血根でも自生しているのか?」
「吸血根は自生しないよ。自然の生き物じゃないからね。分かってて聞いてるの?」
睨み付けたロンに、リングは静かに微笑んだ。
その顔だけで、身体の芯が抜け出るかと思った。
「失礼する。二度もすまなかったな」
リングは踵を返すと、足元の蟹達もそれにならった。
庭を出て兵士達の後を追うのかと思ったら、村へ行く道へ下りていった。兵士達の手助けは終えたというわけか。
完全に姿が見えなくなって、ロンはやっと扉を閉めた。閉めた途端に膝ががくがくして、とうとう座りこんでしまった。
「はあーっ。なんって、やっかいな奴に追われてんだよ」
しかも、話すのにもどきどきしっぱなしで、油断していると鋭い質問がとんでくるときた。
最後の笑顔には射抜かれそうになってしまった。
あんなべっぴん、間近で見たことなんてないのだから、いたいけな子供の心を無闇にかき混ぜないでほしい。
「すんげー、美人なんだもん。俺、まいったー。なーんで、あんな美人に追われてんだよお前。美人なくせに、あの男、かなりヤバい薬師だぞ」
ロフトから下りてきた白豹は、ちょこんとロンの前に座った。
綺麗に拭いてやったので、もう身体に血の色は残っていない。色だけだ。匂いは微かでも部屋に残っているだろう。
「吸血根は、チトリの品種改良なんだよ。食虫どころか食人にした、吸血植物。山一つ離れてても、血の匂いを追いかけられるって言われてる。手負いの賊を追いかける為に作られた古い品種だけど、吸血根を作るにはかなり面倒な製法と緻密な調合が必要なんだ。しかもそれを小突いたくらいで操れるようにするには、もっと材料を厳選して、時間を使わなけりゃできない。それを三匹も従えてるなんて、相当な薬師だぞ」
大きなため息をついて、ロンは座ったまま扉の鍵を閉めた。
考えている余裕がなかったので吸血根除けの薬をぶちまけたが、部屋に入らない吸血根を見てすぐに蟲除けの薬だと気付いたのも侮れない。
「さっき会った時はあんなのいなかったのに。保存した瓶を持っててそれで放ったとしても、あんなに従順にさせる力はかなりすごいぞ」
もうため息しか出ない。ロンはいつのまにかかいていた額の汗を拭った。
「血の匂いを追わせたら、こっちに来たんだろうな。捕らえるのが目的っぽかったけど、怪我させてるってことは、お前の命さえあれば何でもしてくるかもなあ。でもあの薬師、わざと兵士を他の場所に誘導してた。あの分じゃお前がここにいること分かってるぜ。捕まえる気がなかったのか、それとも…」
白豹は、背筋を伸ばしたまま静かに耳を傾けている。
問いかけに答えはしないが、どうするべきか考えているのかもしれない。
今ここで出ていけば、血の匂いに気付かれてまた追いかけられるだろう。だが、怪我を直さなければふりだしに戻るだけだ。
「最初っからお前を捜すのは仕事じゃないって言ってたから、あの薬師が動く気がないのなら、ここにいても大丈夫だろうけど。でも、目はつけられたよな」
ただの豹だとは思わなかったが、まさか王都の兵士に追われているとは。
人の言葉を理解するだけあって、色々と事情がありそうだ。
拾ったからには助けてやりたいが、王都の人間と争うのは避けたいのが心情だった。
家に帰って勢い良く扉を開けて叫んだ言葉に、白豹は飛び上がった。
ロフトから顔を出すと、ロンを見てゆっくりと階段を下りてくる。
言葉が分かるなら、レノアの話も聞いていたわけだ。
今さら兵士がいたのを聞いて、驚く素振りはない。けれど、ロンは慌てふためいていた。
「最悪だ。よりによって、王都の兵士だったぞ。セウが出かけたばっかで良かったけどさ。一体何したんだよ、お前。あーの美人、豹を見なかったかって聞いてきて、俺のこと疑ったのか疑ってないのか、わっかんないけど、あっちの道は行き止まりだから、すぐにこっち来るだろうし。俺も奴等とやり合うのは避けたいんだよな…。しかも、身分高そうだったから、結構面倒ごとだろ…?」
天に向かって喘ぐと、ロンは窓の外を見て一瞬で顔が青ざめた。
あの三人が、こちらの方向へ真直ぐ歩いてくる。
山道から外れた小道の行き止まりにあるこの家は、周りに他の家はない。
彼等の目的は、この家に訪れることだ。
だがそれはまだいい、それよりも、リングの前を拳程の緑色の物体が三匹、ちょこちょこと動いている。
その姿はまるで蟹だが、丸い物体から長い触手が二本うねっていた。
「ロフトに上がって、奥に隠れてろ!」
白豹はロンの切羽詰まった小声に、急いで駆け上がった。
ロンは棚から小瓶を取り出すと、扉めがけて小瓶の中に入った粉をぶちまけた。
黒色の粉はぱらぱらと散らばったが、ロンは瓶を放り投げてその粉を踏み付ける。すると粉は見る見る内に板にしみ込んで、ぽこり、と気泡を出した。
それが部屋中に充満したが、霧がかかったようになっただけで、一瞬で消えた。
「誰か、いるか!」
そのすぐ後、先程聞いた、いきり立った声が言った。
扉の小窓からカーテンを開いて覗くと、家の向こうの柵の前で三人が門を開いて入ってきた。
いませんと言ったら、帰ってくれるかどうか。
息をついて返事をして、扉を開けると、ロンの足元で小動物のかん高い声が騒ぎ出した。
扉の入り口で、丸い緑色の蟹がギーギー叫んで、短い足を使い飛び跳ねているのだ。
ロンは唾を飲みこみそうになった。
目の前に立つ、麗しい顔を持った男は、その様を見てロンを真直ぐ見つめたからだ。
「さっきの…」
下手な演技だったろうか。ロンは驚いたように言ってみせた。
相手の男、リングは再びちらりと足元を見て、もう一度ロンを真直ぐ見つめる。
「蟲除けを、やっているのだな。この家は」
まるで、水のようだと思った。
するりと耳に入る声は、流れるように届いてくる。声を聞いているだけで寒気がした。
リングに取り巻く、他とは違う雰囲気に呑まれそうになって、それを何とか持ちこたえようとした。
蟹がギーギー鳴いてくれたおかげだ。
足元の蟹は入り口から中に入れないと、扉の外で暴れている。
それを放置しながら、能面のまま見つめるリングに、ロンは軽く笑い流した。
「…今、チトリのリースがなくてね、即席だよ。仕事が忙しくて、作ってる暇がなくてさ」
「チトリの薬としては、強力な物だな。そこの薬草を散らばせておけば済むことだろう」
リングは静かに言うと、ロンの後ろのテーブルにある薬草に視線を変えて言った。
テーブルの上には、先程レノアに作ったリースの材料がそのまま残っている。帰ってきてからチトリのリースを作るつもりだったので、そのままにしておいたのだ。
目ざとい男だ。ロンは舌打ちしそうになったのを何とか堪える。
「ああ、あれ?さっき客に頼まれてリースを作ったんだよ。これからあれを使って、うちのリースも作ろうと思っててさ。ところで、うちに何か用?」
リングはほんの少しだけ目を眇めた。
身長はロンより高いが、セウより若干低い。顔を上げてリングの顔を見つめ返してやったが、美麗な顔立ちに目を泳がせたくなった。
「血の匂いを辿ってきたのだが、庭先で乱闘でも?」
「うちは薬売りだからね。怪我人の一人や二人、転がったかもね」
「そうか。部屋に入れたりもするわけか」
「勿論、手当てもするからね。怪我人なら入ってく?茶ぐらい出すよ?随分遠くから来たんだろ?」
「…王都エンリルから来た…」
伏せた目蓋はひどく美しくて、鏡を見ないでも自分の顔が耳まで真っ赤になっていくのが分かった。
見とれるなと言われても無理だ。こんな至近距離で見るなと言われても困る。
そんなロンの心理を消すかのごとく、足元の蟹がギーギーを更に増やした。
三匹いる蟹は、ぐるぐる回ってはお互いのとげのついた触手をぶつけて転がっている。
それをリングが足の爪先で小突いた。すると、小突かれた一匹が庭を抜けて、道に踊りながら走りだしたのだ。
「向こうへ行ったぞ。お前達で追うんだな」
兵士二人は、言われて急いで蟹の後を追った。
蟹は小さな二本足を素早く動かして山林に入ってしまい、二人はためらいながらも木々の隙間へ追いかけた。
リングは二人の姿が消えると、もう一度向き直ってロンを見やった。
玄関先から退く気はなく、中に入る気もないようだ。
残った二匹の蟹はまだ足元で叫びっぱなしで、それと対照的にリングは囁くように言葉を綴った。
「家の中で、蟲除けをやるのも珍しい。普通は家の外でやるものだろう?家の中に入り込んだ蟲を駆除するのでは、庭先で食われてしまうかもしれない」
「外で気泡を作っても、風で流されちゃうだろ。夜になるまでには、リースを作り終えるつもりだったからね」
「そうか。…中々、腕がいいようだな」
何が?とは聞かなかった。
微かに笑ったように見えたが、この顔に惚けてはいられない。
「あんたこそ、物騒なの使ってるね。吸血根かい?そんなの操るなんて、すごい薬師だね」
「吸血根除けの薬を調合できる薬師も、昨今ではあまり見ないがな。この辺りに、吸血根でも自生しているのか?」
「吸血根は自生しないよ。自然の生き物じゃないからね。分かってて聞いてるの?」
睨み付けたロンに、リングは静かに微笑んだ。
その顔だけで、身体の芯が抜け出るかと思った。
「失礼する。二度もすまなかったな」
リングは踵を返すと、足元の蟹達もそれにならった。
庭を出て兵士達の後を追うのかと思ったら、村へ行く道へ下りていった。兵士達の手助けは終えたというわけか。
完全に姿が見えなくなって、ロンはやっと扉を閉めた。閉めた途端に膝ががくがくして、とうとう座りこんでしまった。
「はあーっ。なんって、やっかいな奴に追われてんだよ」
しかも、話すのにもどきどきしっぱなしで、油断していると鋭い質問がとんでくるときた。
最後の笑顔には射抜かれそうになってしまった。
あんなべっぴん、間近で見たことなんてないのだから、いたいけな子供の心を無闇にかき混ぜないでほしい。
「すんげー、美人なんだもん。俺、まいったー。なーんで、あんな美人に追われてんだよお前。美人なくせに、あの男、かなりヤバい薬師だぞ」
ロフトから下りてきた白豹は、ちょこんとロンの前に座った。
綺麗に拭いてやったので、もう身体に血の色は残っていない。色だけだ。匂いは微かでも部屋に残っているだろう。
「吸血根は、チトリの品種改良なんだよ。食虫どころか食人にした、吸血植物。山一つ離れてても、血の匂いを追いかけられるって言われてる。手負いの賊を追いかける為に作られた古い品種だけど、吸血根を作るにはかなり面倒な製法と緻密な調合が必要なんだ。しかもそれを小突いたくらいで操れるようにするには、もっと材料を厳選して、時間を使わなけりゃできない。それを三匹も従えてるなんて、相当な薬師だぞ」
大きなため息をついて、ロンは座ったまま扉の鍵を閉めた。
考えている余裕がなかったので吸血根除けの薬をぶちまけたが、部屋に入らない吸血根を見てすぐに蟲除けの薬だと気付いたのも侮れない。
「さっき会った時はあんなのいなかったのに。保存した瓶を持っててそれで放ったとしても、あんなに従順にさせる力はかなりすごいぞ」
もうため息しか出ない。ロンはいつのまにかかいていた額の汗を拭った。
「血の匂いを追わせたら、こっちに来たんだろうな。捕らえるのが目的っぽかったけど、怪我させてるってことは、お前の命さえあれば何でもしてくるかもなあ。でもあの薬師、わざと兵士を他の場所に誘導してた。あの分じゃお前がここにいること分かってるぜ。捕まえる気がなかったのか、それとも…」
白豹は、背筋を伸ばしたまま静かに耳を傾けている。
問いかけに答えはしないが、どうするべきか考えているのかもしれない。
今ここで出ていけば、血の匂いに気付かれてまた追いかけられるだろう。だが、怪我を直さなければふりだしに戻るだけだ。
「最初っからお前を捜すのは仕事じゃないって言ってたから、あの薬師が動く気がないのなら、ここにいても大丈夫だろうけど。でも、目はつけられたよな」
ただの豹だとは思わなかったが、まさか王都の兵士に追われているとは。
人の言葉を理解するだけあって、色々と事情がありそうだ。
拾ったからには助けてやりたいが、王都の人間と争うのは避けたいのが心情だった。
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