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35 病
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「救護所にひどい病の者がやってきて、聖女たちではどうにもできないと」
馬車の中でシモンは現状を教えてくれる。都の北にある居住区に、治療のための救護所が作られていた。そこにやってきた患者の容態が思わしくなく、都の聖女では治療が不可能ということだった。
馬車に乗っていてもわかる。橋を渡り、北地区に進んでいくと、馬車の窓からよどみが目に入った。黒いもやがもっとはっきりしたものだ。霧のように地面近くを漂っている。病であったり、良くない気だったり、悪霊だったりする、不浄の集まりだ。あのよどみが見える時は、多くの患者がいる。
救護所にたどり着けば、むせるようなよどみに顔をしかめそうになった。まるで煙のようだ。入り口からもやが溢れ出している。
「エングブロウ侯爵、あなたは入らない方がいいわ。花を持ってきてくれる?」
「……わかりました。すぐにお持ちします」
間違って病がうつっては困る。シモンは眉を下げてエヴリーヌを見送った。扉を開けていると、もやで一瞬前が見えなくなるほどだ。シモンは入らない方がいい。
部屋にはベッドが並び、患者たちが眠っている。聖女もいるが、部屋全体がもやにかかっていて、かろうじて聖女の手の中が光るだけ。
「エヴリーヌ様。いらしてくださったのですね!」
「代わるから、少し休んだ方がいいわ」
「ありがとうございます。あの、奥に、重症者が」
一番奥のベッドに苦しみながら眠っている女性がいる。このもやの原因だろう。胸の中や喉のあたりに濃いもやが見える。息をするたびに、そのもやを吐き出していた。まるでタバコの煙だ。
救護所は穢れを消すために軽い結界を張っているものだが、それでも追いつかなかないほどのよどみが集まっている。
先に建物全体に癒しをかける。治療にかかっていた聖女が声を上げた。空気が澄んだからだ。しかし、奥に眠っている女性からはまだもやが残った。女性の胸に手をかざし、不浄を取り除く。女性が苦しそうに咳を吐き出すが、そこからもやが溢れ出て、周囲にこびりつくように増えていく。ただの風邪ではない。彼女を治療しないと、他の人にもうつるだろう。だが、消せない不浄でもない。
「せいじょ、さま?」
「大丈夫よ。すぐに治るから」
強い光を与えれば、女性からもやが薄まっていく。吐く息からもそれは見られない。何度か瞬きして、女性はゆっくりと起き上がった。胸を押さえて、いきがしっかりできることを確認すれば、女性はしっかりと瞼を開けて、エヴリーヌに笑顔を見せた。
「聖女様、あ、ありがとうございます!」
「症状が他の人たちよりひどかったけれど、なにか原因は思いつくかしら?」
明らかに他の者たちとは症状が違う。重症だからと思ったが、気になる点があった。
「私は、聖女様ほどの力はありませんが、町で癒しを行なっている者です。今は違いますが、前は平民が聖女様の治療を受けることは難しかったので」
それでも神殿に行かない者はいる。まだ神殿への信頼がないのだろう。下町では特に、今まで治療をしてくれた癒しの力を持つ者に癒しを求める者がいる。
「知り合いの、癒しの力を持つ占い師がひどい病になって、その人を癒していたんです。でも、なかなか治らなくて、何度か通って治療していました」
その占い師だけでなく、他にも体調を悪くする者がいて、治療を行っていたそうだ。
「近くで苦しんでいた人を見かけて、自分が癒しを施せる者だと伝えたら、いきなり。腕を掴まれてーーーー」
『そんなもの必要ない』
「癒しを断られたの?」
「そう言われたんです。フードをかぶっていたので性別はなんとも言えないんですけれど、老婆のような、小柄な人で。でも、あの人に触れられてから、体が重くなって。もしかしたら、その人にうつされたのではないかと」
下町には聖女を嫌がる者もいる。そのせいで聖女と思われて突っぱねられたのかもしれない。
そんな人が多いと、病がはびこっても仕方がない。それが現状だと女性は嘆いた。
「その占い師さんは、大丈夫なのかしら? はやっている場所は?」
「ここに救護所ができたので、こちらに行くよう伝えてくれてるはずです。聖女様たちが回ってくださっていますから」
「それならいいのだけれど。体力が落ちているから、あとで薬湯をもらいましょうね」
話を終えれば、シモンが扉の外で待っていた。腕いっぱいに花を持って、待機している。
「エヴリーヌ聖女様! 花をお持ちしました」
「ありがとう、エングブロウ侯爵。病の原因かはわからないけれど、彼女のはただの病じゃないわ」
「それは、つまり?」
「呪いの可能性があるの」
「呪い、ですか?」
「この場所に呪いが入らないように、結界を張りましょう。お花をくれる?」
「どうぞ、こちらを!」
シモンから手渡された花を一輪ずつ、建物の周囲に置く。この狭さならば長く持つだろう。
魔力を流し結界を張れば、皆が感嘆の声を上げた。
「体が軽くなったわ」
「こんな簡単に結界が張れるの?」
「これでしばらく外からの呪いに影響を受けることはないわ。患者が入っても消えることはないから安心して。エングブロウ侯爵?」
シモンが空色の瞳を瞬かせる。その顔は、ひざまずく一歩手前だ。
「ひざまずかないように!」
「あなたと出会えたことを神に感謝したいほどです。エヴリーヌ聖女様」
そんなしみじみ言わなくていい。崇拝するようにされと、困ってしまう。カリスといい、シモンといい、大げさなのだ。恥ずかしいのでそんな目で見ないでほしい。居心地が悪い。
「それよりも、彼女が言っていた老婆のような人というのが気になるわ。そこで呪いをもらったのかも」
「こちらで調べさせます。呪いの媒介になっているのかもしれないんですね。すぐに探させましょう」
シモンは警備をしていた騎士に命令する。神殿から連れてきているのだろう。魔物がいるわけではないので、ただの騎士だ。
「それと、この花を皆に配ってくれるかしら? 浄化の効果があるから」
「わかりました。エヴリーヌ聖女様の力が入った花ですね。この周囲に住む者たちに配らせておきます」
周囲に影響がないようにという意図はわかっていると、シモンは花束を受け取って、一本だけ抜くと自分の胸元に差した。愛しそうに花を見てから、エヴリーヌの瞳を見つめてくる。その視線がやけに熱っぽく、エヴリーヌはつい視線を逸らした。
シモンの視線は敬っているのか、別の意味なのかわかりづらい。
「魔石は設置してあるんですが、用をなしていないようですね。魔力が足りていないようです」
「治療に忙しいから、魔力を入れる余裕がないのでしょうね。そちらも私がやっておくわ」
これで少しは救護所も落ち着くだろう。少しでも病にかかる者が減ればいいのだが。
「代用品で花を使われるのはよくやられるんですか?」
帰り際。馬車に乗ってシモンが質問してくる。胸にある花に手を添えて、愛しい物にでも触れるように、色っぽく瞼を下す。その仕草を見てはいけない気がした。シモンから言われたことに対して、どう答えればいいかもわかっていない。
(私って、だめだめじゃない? 気持ちの整理がこんなにできないなんて)
嫌いなものには近寄らない。子供の頃はそう思っていた。嫌なことがあれば関わらなければいい。ただそれだけ。それで自分を守れるのだから。文句を言われても気にならなくなったのは、深く考えないようにしたからだ。二度と関わらなければ気にする必要などない。避けることを覚えれば、あとは簡単だった。
エヴリーヌの世界は神殿と外にいる患者だけ。あとは魔物と動物。好意を聞くのは聖女を崇めるだけの声。
異性からの行為は友達のそれ。それ以外は知らない。
だから、正直なところ、よくわからない。好意を向けられて、どうすればいいのかが。
ふと、何かを感じて顔を上げた。シモンと目が合って、微笑まれる。
「お疲れですよね。公爵家に着きましたよ」
「あ、ありがとう。送っていただいて」
シモンは先に出て手を差し伸べる。それを受けて馬車を降りると、カリスが迎えに出てきてくれていた。
「カリス、ただいま帰り、」
そう言ってシモンの手を離そうとしたのに、触れた手が離れずに引っ張られて、エヴリーヌは何事かとその手を確認した。シモンはエヴリーヌの手を握ったまま微笑むと、そっと手の甲に口付けた。
「お礼申し上げます。僕の女神。それでは、また」
「ええ、はい」
口付けはかろうじて息が振れる程度。いつも通りの挨拶だ。なのに、シモンの笑みは男性なのに艶めいて見えた。色っぽく見えるその笑みは、エヴリーヌの背後に向くと、急に毒を含んだような笑みになる。そしてそのまま馬車に乗って去っていった。今、あの微笑みは後ろにいるカリスに向けたのだろうか。振り向けば、カリスは笑っていたが、どこか寒気を感じる笑顔に見えた。
「あの、カリス?」
「お帰り。大変だったな」
なぜだろう。笑顔の中に、どこか暗澹たる雰囲気を感じて、気のせいか背筋が寒くなった。
馬車の中でシモンは現状を教えてくれる。都の北にある居住区に、治療のための救護所が作られていた。そこにやってきた患者の容態が思わしくなく、都の聖女では治療が不可能ということだった。
馬車に乗っていてもわかる。橋を渡り、北地区に進んでいくと、馬車の窓からよどみが目に入った。黒いもやがもっとはっきりしたものだ。霧のように地面近くを漂っている。病であったり、良くない気だったり、悪霊だったりする、不浄の集まりだ。あのよどみが見える時は、多くの患者がいる。
救護所にたどり着けば、むせるようなよどみに顔をしかめそうになった。まるで煙のようだ。入り口からもやが溢れ出している。
「エングブロウ侯爵、あなたは入らない方がいいわ。花を持ってきてくれる?」
「……わかりました。すぐにお持ちします」
間違って病がうつっては困る。シモンは眉を下げてエヴリーヌを見送った。扉を開けていると、もやで一瞬前が見えなくなるほどだ。シモンは入らない方がいい。
部屋にはベッドが並び、患者たちが眠っている。聖女もいるが、部屋全体がもやにかかっていて、かろうじて聖女の手の中が光るだけ。
「エヴリーヌ様。いらしてくださったのですね!」
「代わるから、少し休んだ方がいいわ」
「ありがとうございます。あの、奥に、重症者が」
一番奥のベッドに苦しみながら眠っている女性がいる。このもやの原因だろう。胸の中や喉のあたりに濃いもやが見える。息をするたびに、そのもやを吐き出していた。まるでタバコの煙だ。
救護所は穢れを消すために軽い結界を張っているものだが、それでも追いつかなかないほどのよどみが集まっている。
先に建物全体に癒しをかける。治療にかかっていた聖女が声を上げた。空気が澄んだからだ。しかし、奥に眠っている女性からはまだもやが残った。女性の胸に手をかざし、不浄を取り除く。女性が苦しそうに咳を吐き出すが、そこからもやが溢れ出て、周囲にこびりつくように増えていく。ただの風邪ではない。彼女を治療しないと、他の人にもうつるだろう。だが、消せない不浄でもない。
「せいじょ、さま?」
「大丈夫よ。すぐに治るから」
強い光を与えれば、女性からもやが薄まっていく。吐く息からもそれは見られない。何度か瞬きして、女性はゆっくりと起き上がった。胸を押さえて、いきがしっかりできることを確認すれば、女性はしっかりと瞼を開けて、エヴリーヌに笑顔を見せた。
「聖女様、あ、ありがとうございます!」
「症状が他の人たちよりひどかったけれど、なにか原因は思いつくかしら?」
明らかに他の者たちとは症状が違う。重症だからと思ったが、気になる点があった。
「私は、聖女様ほどの力はありませんが、町で癒しを行なっている者です。今は違いますが、前は平民が聖女様の治療を受けることは難しかったので」
それでも神殿に行かない者はいる。まだ神殿への信頼がないのだろう。下町では特に、今まで治療をしてくれた癒しの力を持つ者に癒しを求める者がいる。
「知り合いの、癒しの力を持つ占い師がひどい病になって、その人を癒していたんです。でも、なかなか治らなくて、何度か通って治療していました」
その占い師だけでなく、他にも体調を悪くする者がいて、治療を行っていたそうだ。
「近くで苦しんでいた人を見かけて、自分が癒しを施せる者だと伝えたら、いきなり。腕を掴まれてーーーー」
『そんなもの必要ない』
「癒しを断られたの?」
「そう言われたんです。フードをかぶっていたので性別はなんとも言えないんですけれど、老婆のような、小柄な人で。でも、あの人に触れられてから、体が重くなって。もしかしたら、その人にうつされたのではないかと」
下町には聖女を嫌がる者もいる。そのせいで聖女と思われて突っぱねられたのかもしれない。
そんな人が多いと、病がはびこっても仕方がない。それが現状だと女性は嘆いた。
「その占い師さんは、大丈夫なのかしら? はやっている場所は?」
「ここに救護所ができたので、こちらに行くよう伝えてくれてるはずです。聖女様たちが回ってくださっていますから」
「それならいいのだけれど。体力が落ちているから、あとで薬湯をもらいましょうね」
話を終えれば、シモンが扉の外で待っていた。腕いっぱいに花を持って、待機している。
「エヴリーヌ聖女様! 花をお持ちしました」
「ありがとう、エングブロウ侯爵。病の原因かはわからないけれど、彼女のはただの病じゃないわ」
「それは、つまり?」
「呪いの可能性があるの」
「呪い、ですか?」
「この場所に呪いが入らないように、結界を張りましょう。お花をくれる?」
「どうぞ、こちらを!」
シモンから手渡された花を一輪ずつ、建物の周囲に置く。この狭さならば長く持つだろう。
魔力を流し結界を張れば、皆が感嘆の声を上げた。
「体が軽くなったわ」
「こんな簡単に結界が張れるの?」
「これでしばらく外からの呪いに影響を受けることはないわ。患者が入っても消えることはないから安心して。エングブロウ侯爵?」
シモンが空色の瞳を瞬かせる。その顔は、ひざまずく一歩手前だ。
「ひざまずかないように!」
「あなたと出会えたことを神に感謝したいほどです。エヴリーヌ聖女様」
そんなしみじみ言わなくていい。崇拝するようにされと、困ってしまう。カリスといい、シモンといい、大げさなのだ。恥ずかしいのでそんな目で見ないでほしい。居心地が悪い。
「それよりも、彼女が言っていた老婆のような人というのが気になるわ。そこで呪いをもらったのかも」
「こちらで調べさせます。呪いの媒介になっているのかもしれないんですね。すぐに探させましょう」
シモンは警備をしていた騎士に命令する。神殿から連れてきているのだろう。魔物がいるわけではないので、ただの騎士だ。
「それと、この花を皆に配ってくれるかしら? 浄化の効果があるから」
「わかりました。エヴリーヌ聖女様の力が入った花ですね。この周囲に住む者たちに配らせておきます」
周囲に影響がないようにという意図はわかっていると、シモンは花束を受け取って、一本だけ抜くと自分の胸元に差した。愛しそうに花を見てから、エヴリーヌの瞳を見つめてくる。その視線がやけに熱っぽく、エヴリーヌはつい視線を逸らした。
シモンの視線は敬っているのか、別の意味なのかわかりづらい。
「魔石は設置してあるんですが、用をなしていないようですね。魔力が足りていないようです」
「治療に忙しいから、魔力を入れる余裕がないのでしょうね。そちらも私がやっておくわ」
これで少しは救護所も落ち着くだろう。少しでも病にかかる者が減ればいいのだが。
「代用品で花を使われるのはよくやられるんですか?」
帰り際。馬車に乗ってシモンが質問してくる。胸にある花に手を添えて、愛しい物にでも触れるように、色っぽく瞼を下す。その仕草を見てはいけない気がした。シモンから言われたことに対して、どう答えればいいかもわかっていない。
(私って、だめだめじゃない? 気持ちの整理がこんなにできないなんて)
嫌いなものには近寄らない。子供の頃はそう思っていた。嫌なことがあれば関わらなければいい。ただそれだけ。それで自分を守れるのだから。文句を言われても気にならなくなったのは、深く考えないようにしたからだ。二度と関わらなければ気にする必要などない。避けることを覚えれば、あとは簡単だった。
エヴリーヌの世界は神殿と外にいる患者だけ。あとは魔物と動物。好意を聞くのは聖女を崇めるだけの声。
異性からの行為は友達のそれ。それ以外は知らない。
だから、正直なところ、よくわからない。好意を向けられて、どうすればいいのかが。
ふと、何かを感じて顔を上げた。シモンと目が合って、微笑まれる。
「お疲れですよね。公爵家に着きましたよ」
「あ、ありがとう。送っていただいて」
シモンは先に出て手を差し伸べる。それを受けて馬車を降りると、カリスが迎えに出てきてくれていた。
「カリス、ただいま帰り、」
そう言ってシモンの手を離そうとしたのに、触れた手が離れずに引っ張られて、エヴリーヌは何事かとその手を確認した。シモンはエヴリーヌの手を握ったまま微笑むと、そっと手の甲に口付けた。
「お礼申し上げます。僕の女神。それでは、また」
「ええ、はい」
口付けはかろうじて息が振れる程度。いつも通りの挨拶だ。なのに、シモンの笑みは男性なのに艶めいて見えた。色っぽく見えるその笑みは、エヴリーヌの背後に向くと、急に毒を含んだような笑みになる。そしてそのまま馬車に乗って去っていった。今、あの微笑みは後ろにいるカリスに向けたのだろうか。振り向けば、カリスは笑っていたが、どこか寒気を感じる笑顔に見えた。
「あの、カリス?」
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