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2 結婚式
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「私には、愛する人がいます。結婚はしますが、その二年後、私と離縁してほしいのです」
カリスは、初めて会ったその日に、その言葉を口にした。
顔合わせの日、二人きりにされたらカリスが床に膝を突き、首を垂れて、エヴリーヌを見ることもなく苦しそうに告白したのだ。エヴリーヌは突然の告白に、間抜けな顔をしていたことだろう。
「私には愛する人がいて、その人以外、娶ることを考えたことがありません。王の命令で結婚が決まりましたが、二年経って子供ができなければ離縁が可能です。どうか、二年ほど我慢していただけないでしょうか」
結婚前に断ればいいだろう。と言いたいところだが、これは王命だ。聖女であるエヴリーヌが断ることができなければ、公爵子息も同じ。エヴリーヌが結婚相手を見つけて婚約でもしていれば断ることは可能だったかもしれないが、そんな相手はいない。そうであれば、結婚は決定だ。
「二年後離縁しても、あなたに不自由がないようにします。公爵家の土地や人だけでなく、生活に困らぬ金額もお渡しします。二年の間、恋人をつくっていただいても構わない。どうか、わがままを許してもらえないでしょうか」
やっと顔を上げたカリスは、コバルトブルーの瞳をエヴリーヌに向けた。
誠実に、そして切実に。二年後の離縁を懇願したのである。
高位貴族に嫁いだ聖女が離縁をした歴史は、ないわけではない。子供ができなければ、後継者がいなくなってしまう。第二夫人を持つことを許されない聖女との結婚だ。この場合のみ、離縁することができる。
カリスは二年後、子供ができないことを理由に離縁したいと言うのだ。その場合、聖女が不妊だと思われかねない。それはエヴリーヌに対する、大きな侮辱だった。
しかし、それすらも自分のせいと証言するまで約束した。その後の生活も保証するという。
そこまで怒りが湧かなかったのは、カリスが真剣そのものだったからだ。
これだけ愛される人は、なんて幸せなのだろうか。
「二年後、結婚される方はどなたなんですか」
せめて、それくらいは聞かせてほしい。今回の結婚はエヴリーヌも望んでいないが、カリスが惚れるような人がどんな女性なのか、愛される要素はなんなのか、聞いてみたかった。
しかし、カリスはゆるりと首を振った。
「私の片思いですので、結婚はしません。離縁した後も、結婚するつもりはありません。公爵家は継ぎますが、親戚の子でも養子にするつもりです」
片思いの女性を想うがあまり、他の女性と結婚する想像ができない。離婚後、カリスが他の誰かと結婚しないのならば、聖女の名誉は保たれるだろう。と申し訳なさそうに言った。エヴリーヌが不妊とは思われないようにもしてくれる。
貴族で、しかも公爵子息の中で、とても珍しい考え方の人だ。好きな人がいるから、その人以外添い遂げられないなど、どこの乙女。今時平民でも考えない。
だから尊重した。カリスの意見を。
「この結婚がお互いにとって幸せなものとなるよう」
(だったらよかったけれどね)
エヴリーヌは心の中で毒突いた。見慣れた白髪の神殿長は、エヴリーヌとアティを交互に見やって、涙目で口元を歪ませつつも微笑む。総神殿の中で能力の高い一、二位が貴族に奪われることを、恨みがましく思っているのだろう。
これからどうしよう。そんな声が漏れ聞こえる気がする。
公爵家の子息に嫁ぐ聖女二人を、突発的な事件に呼べるのか!? 心配事は尽きないはずだ。
選ばれるのならばアティだろうと予測していたのに、まさかのエヴリーヌもで、神殿長は真っ青な顔をしていた。本来ならば選ばれるのは一人のはずなのに。
(花形一人でいいじゃない。どうして私まで呼ばれたのかしら)
王の愚行が尾を引いて、王太子は王を引きずり下ろした。公爵子息二人に聖女をあてがったのは王太子の一存だ。この結婚式の前に、王太子は王となった。
神殿で一、二位を争う能力の高い聖女。それが二人も公爵子息に嫁ぐ。公爵家子息二人は、聖女のために公爵を継いだ。そこまでしたことを鑑みるに、王に対する国民の不満は相当なものだったのだろう。そんな話は耳にしていたが、ここまでとは思わなかった。
そのせいでいきなり結婚が決まった聖女。しかし、それは公爵子息たちも同じ。
(初めて会った人と結婚とか、貴族っぽいわあ。さすがにすぐ結婚なんてないけどねえ)
結婚話を説明されて、内心エヴリーヌも驚いていた。相手はあの、カリス・ヴォルテール公爵子息。社交界に出ず貴族に疎くなっていたエヴリーヌですら知っている。
カリスは元聖騎士で、都にある神殿に勤めていた。聖騎士だった頃にアティを知ったのだろうか。アティは地方の総神殿に住んでいたが、有事があると都に呼ばれた。都の神殿はあまり大きなものではないため、神殿内で顔を合わせることもあったかもしれない。
聖女からすれば、貴族との結婚はありがたい。しかも公爵家。子爵令嬢からすれば、運が良いなんてものではない。しかも正妻。子供を作る必要性もあって、蔑ろにできない。
(だって聖女蔑ろにしたら、ちゃんと仕事しないかもじゃない?)
公爵家に嫁いでも、聖女としての役目を行うことは、一応許されている。
だから、聖女(公爵夫人)という素晴らしい肩書きが得られるのである。
なんて幸せなことなのでしょう。
(なんてね。そんなことを思った私も、アホだなあって、思うわけよ)
民に手を振るアティを見つめて、相変わらず美しいわね。とぼんやり思う。
隣にいるカリスは無言でアティを見つめた。エヴリーヌの視線に気づくと、すぐに秀麗な笑顔を見せてくる。
(いいのよ、別に、無理に笑わなくても。あなたの好きな人はよくわかったから)
二年の我慢だ。そのあとは自由。
良い人が現れるはずだと断言してくれたカリスに問いたい。
(良い人ってどんな人なのかしら?)
カリスは、初めて会ったその日に、その言葉を口にした。
顔合わせの日、二人きりにされたらカリスが床に膝を突き、首を垂れて、エヴリーヌを見ることもなく苦しそうに告白したのだ。エヴリーヌは突然の告白に、間抜けな顔をしていたことだろう。
「私には愛する人がいて、その人以外、娶ることを考えたことがありません。王の命令で結婚が決まりましたが、二年経って子供ができなければ離縁が可能です。どうか、二年ほど我慢していただけないでしょうか」
結婚前に断ればいいだろう。と言いたいところだが、これは王命だ。聖女であるエヴリーヌが断ることができなければ、公爵子息も同じ。エヴリーヌが結婚相手を見つけて婚約でもしていれば断ることは可能だったかもしれないが、そんな相手はいない。そうであれば、結婚は決定だ。
「二年後離縁しても、あなたに不自由がないようにします。公爵家の土地や人だけでなく、生活に困らぬ金額もお渡しします。二年の間、恋人をつくっていただいても構わない。どうか、わがままを許してもらえないでしょうか」
やっと顔を上げたカリスは、コバルトブルーの瞳をエヴリーヌに向けた。
誠実に、そして切実に。二年後の離縁を懇願したのである。
高位貴族に嫁いだ聖女が離縁をした歴史は、ないわけではない。子供ができなければ、後継者がいなくなってしまう。第二夫人を持つことを許されない聖女との結婚だ。この場合のみ、離縁することができる。
カリスは二年後、子供ができないことを理由に離縁したいと言うのだ。その場合、聖女が不妊だと思われかねない。それはエヴリーヌに対する、大きな侮辱だった。
しかし、それすらも自分のせいと証言するまで約束した。その後の生活も保証するという。
そこまで怒りが湧かなかったのは、カリスが真剣そのものだったからだ。
これだけ愛される人は、なんて幸せなのだろうか。
「二年後、結婚される方はどなたなんですか」
せめて、それくらいは聞かせてほしい。今回の結婚はエヴリーヌも望んでいないが、カリスが惚れるような人がどんな女性なのか、愛される要素はなんなのか、聞いてみたかった。
しかし、カリスはゆるりと首を振った。
「私の片思いですので、結婚はしません。離縁した後も、結婚するつもりはありません。公爵家は継ぎますが、親戚の子でも養子にするつもりです」
片思いの女性を想うがあまり、他の女性と結婚する想像ができない。離婚後、カリスが他の誰かと結婚しないのならば、聖女の名誉は保たれるだろう。と申し訳なさそうに言った。エヴリーヌが不妊とは思われないようにもしてくれる。
貴族で、しかも公爵子息の中で、とても珍しい考え方の人だ。好きな人がいるから、その人以外添い遂げられないなど、どこの乙女。今時平民でも考えない。
だから尊重した。カリスの意見を。
「この結婚がお互いにとって幸せなものとなるよう」
(だったらよかったけれどね)
エヴリーヌは心の中で毒突いた。見慣れた白髪の神殿長は、エヴリーヌとアティを交互に見やって、涙目で口元を歪ませつつも微笑む。総神殿の中で能力の高い一、二位が貴族に奪われることを、恨みがましく思っているのだろう。
これからどうしよう。そんな声が漏れ聞こえる気がする。
公爵家の子息に嫁ぐ聖女二人を、突発的な事件に呼べるのか!? 心配事は尽きないはずだ。
選ばれるのならばアティだろうと予測していたのに、まさかのエヴリーヌもで、神殿長は真っ青な顔をしていた。本来ならば選ばれるのは一人のはずなのに。
(花形一人でいいじゃない。どうして私まで呼ばれたのかしら)
王の愚行が尾を引いて、王太子は王を引きずり下ろした。公爵子息二人に聖女をあてがったのは王太子の一存だ。この結婚式の前に、王太子は王となった。
神殿で一、二位を争う能力の高い聖女。それが二人も公爵子息に嫁ぐ。公爵家子息二人は、聖女のために公爵を継いだ。そこまでしたことを鑑みるに、王に対する国民の不満は相当なものだったのだろう。そんな話は耳にしていたが、ここまでとは思わなかった。
そのせいでいきなり結婚が決まった聖女。しかし、それは公爵子息たちも同じ。
(初めて会った人と結婚とか、貴族っぽいわあ。さすがにすぐ結婚なんてないけどねえ)
結婚話を説明されて、内心エヴリーヌも驚いていた。相手はあの、カリス・ヴォルテール公爵子息。社交界に出ず貴族に疎くなっていたエヴリーヌですら知っている。
カリスは元聖騎士で、都にある神殿に勤めていた。聖騎士だった頃にアティを知ったのだろうか。アティは地方の総神殿に住んでいたが、有事があると都に呼ばれた。都の神殿はあまり大きなものではないため、神殿内で顔を合わせることもあったかもしれない。
聖女からすれば、貴族との結婚はありがたい。しかも公爵家。子爵令嬢からすれば、運が良いなんてものではない。しかも正妻。子供を作る必要性もあって、蔑ろにできない。
(だって聖女蔑ろにしたら、ちゃんと仕事しないかもじゃない?)
公爵家に嫁いでも、聖女としての役目を行うことは、一応許されている。
だから、聖女(公爵夫人)という素晴らしい肩書きが得られるのである。
なんて幸せなことなのでしょう。
(なんてね。そんなことを思った私も、アホだなあって、思うわけよ)
民に手を振るアティを見つめて、相変わらず美しいわね。とぼんやり思う。
隣にいるカリスは無言でアティを見つめた。エヴリーヌの視線に気づくと、すぐに秀麗な笑顔を見せてくる。
(いいのよ、別に、無理に笑わなくても。あなたの好きな人はよくわかったから)
二年の我慢だ。そのあとは自由。
良い人が現れるはずだと断言してくれたカリスに問いたい。
(良い人ってどんな人なのかしら?)
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