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154 ー大会ー
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イケメン怖い。
何だあれ。簡単に頰にちゅーとか、しないから、普通。
レイシュンは結局、宴の部屋から理音の部屋まで、お姫様抱っこで運んでくれた。
その距離何メートルって、わからないぐらい長距離である。フォーエンだったら輿に乗ってるわ。
その間の気まずさよ。察しているくせに笑ってからかうのだから、たちが悪いなんてものではない。
「今日は、こちらをお召しください」
朝目覚めて、侍女が持ってきた着物に、理音は首を左右に振った。
合わせにアクセサリーや靴、髪飾りまである。一体何がどうした、レイシュン。昨日の冗談はまだ続いているようで、侍女はいくつかの着物を理音に合わせた。
「もっと地味なのでいいですよ」
ため息混じりに理音が言うと、侍女は大きく首を横に振る。
「いいえ、レイシュン様よりの贈り物です。ぜひ、美しく装っていただかないと」
美しくって、着物に負けるのが目に見えてるだろう。
一体全体、どうしてレイシュンは、そんな態度に出たのだろうか。
やはり何かの囮にするつもりなのか。そうとしか思えない。
囮なら理解しないでもない。むしろそれの方が納得がいく。囮をしろと暗に言ってきたのかもしれないな。と考えを改める。
とりあえずそう思うしかない。
レイシュンはこの城で起こっている件に関して聞かれたくないこともあるのだろう。結局、詳しい説明もないのだから。
「お綺麗ですよ」
「ありがとう、ございます…」
侍女たちの努力の賜物、フォーエンの隣に座るのとは別の、普段友人たちが化粧をしてくれるよりずっと清楚でおとなし目の化粧を施された。
薄い桜色の紅は黙っていればいいとこのお嬢さんに見える、かもしれない。
少し女らしさを学ぶべきかという装いだ。話し方気を付けよう。
しかし、鏡で見る限りそこそこ大人っぽくなってはいると思うが、いかんせん時間がかかり過ぎる。
着物を着るのも時間はかかるし、髪を結うのも化粧もするのも、アクセリーをどれにするかなど選ぶにも時間がかかる。こんなおしゃれして何をすると言うのか。
どこに出かけられるでもなく部屋に閉じこもり中なので、役立たず感半端ない。せめて足がしっかり動いて働きでもすれば、まだ気の持ちようがあるのに。
窓を開けてもらうと、少し冷たい風が流れてくる。どうも秋を感じると言うより、冬に近付いている感じがする。ほんの少し開けてもらっただけだったが、思ったより寒いので、侍女たちはくすくす笑いながら窓を閉めた。
「本日は天気がいいんですが、風が冷えておりますね。厚めの羽織もご用意しておりますし、ひざ掛けもございますから、ご安心ください」
ご安心って何だろう。寒かったらお布団にでもくるまるが、今部屋に人が多くいるせいで若干暑いくらいだ。そこまで寒くはならないだろうに。
侍女たちは薄紅色の、花々が大きく刺繍された羽織を理音の肩にかけた。
「外は少し寒うございます。こちらを召しませ。長く外におりますと、芯から冷えますから」
侍女たちの言葉がわかるのはすぐ後だった。
「武道大会て…」
間違いない。囮にされると考えていいだろう。
広場の中心をあけて、ぐるりと一周。人々が見学のために自分たちの席に腰を下ろす。始まる前の簡単な踊りや音楽は、こちらではデフォルトだ。
円形の舞台に、階段席。まるでコロシアム。
各部族から数人、州からも数人、トーナメント形式での戦い。武器は剣で、当たったら普通に怪我をする、まさかの真剣。
こっちの人のモラルとか倫理とか、ほんとどうなってるんだろう。
当たったら痛いじゃん。とかは、こちらでは通じない。
そんなの見て楽しいのかなあ。痛くて目を背けてしまう。
そしてデジャヴだ。
フォーエンが狙われた、あの事件を思い出す。
「リオンちゃん、寒くない?」
寒かったら帰っていいだろうか。そんな返答したら、怒るかな。レイシュンは膝掛けをよこしながら、どさくさに紛れて背中に手を回す。
セクハラ続行中です。
「寒くないです。あったかい羽織ももらったので」
ぐいぐい胸を押して離れてもらおうとしているが、びくともしない。しかも笑顔で腰に手を巻きつかせる。
「じゃあ、くっついていればいいかな」
って、こいつめ。経験ないと思って、遠慮のない。赤面すれば、それを嬉しそうに眺めてくる。
「昨日より明るいから、周りの顔も良く見えるでしょう」
それは理音のことも含んでいるだろう。
赤く染まった頰をこすると、理音はあたりを見回した。
一般人もいるか、立ち見もあり、座って固まっている者たちもいる。部族たちだろう。
こちらが彼らを見れるように、彼らからもこちらはよく見えている。
見えてどうする。いや、囮だからいいのか。自分がレイシュンの隣にいて、何の囮になるかはわからないが、部族の顔を見るのはいい機会だった。隣にいるのはかぼちゃかじゃがいもだと思って、我慢するしかない。
香水か、甘くも爽やかな香りが気になるが、そこも我慢である。ふんわりと香って、時折耳元もこそばゆい。レイシュンの息がかかって、声を上げそうになった。
「節度ある距離を!」
やはり我慢できん!
理音はNOの形でレイシュンを押しやった。そんなことをしても笑ってはぐらかすのが憎らしい。
「さあ、始まるよ。剣技は見る機会ある?」
「…いえ」
本戦なら何度も見たが、言うことではない。
何度戦いを見て、命を落とす者たちを見たことか。
「これは簡単な息抜きなんだよ。部族同士恨んでいる輩は多い。適度に戦わせて、うさを晴らす。無論、負けることによって晴らすうさが溜まることもあるけれどね。それでも、年に一度力を試し戦いに勝てるのならば、気も軽くなるだろう」
そんなものだろうか。確かに娯楽を与えて問題から意識を逸らすのは定石だが、そんな単純でもないだろう。
「ちなみに賭けも行われてる」
「納得です」
どちらかと言うとそちらの方が重要なのだろう。舞台袖に建てられた看板には選手の名前と番号が書かれている板が掛けられている。どちらの番号にかけるか、辺りは相談しあっていた。
部族同士なのだから、自分の部族に賭けるのだろう。部族に関係ない者にも賭けているだろうが、戦いに勝てばその部族に金が入るのかもしれない。
軽い資金源にはなるわけである。そこも考えているのだろうか。
「部族の方以外は、どなたが戦いに出るんですか?」
「うちからは、そこそこ強いやつかな」
「そこそこ」
「そ。そこそこ」
手を抜くのは、部族に花を持たせるためだろうか。この祭りは根底が部族同士の不満を減らすためのものだ。
「部族の人たちは、強い人を出すんでしょうね」
「部族長を出すところもあるよ。バラク族とかね」
指さされた先、舞台には浅黒い肌をした男が立っている。遠目からでもわかる、がっしりとした体つき。毛皮のベストを脱いでいるので、胸板の厚さが着物を着ていてもわかった。身長も高いか、相手の男より頭一つ分大きい。
黒髪はざんばらで、後ろで縛り背中まで流している。眉はきりりと伸びて、眼光のある目をしていた。持っている剣は曲線を描いており、他の部族とは違ったものだ。
古い物語に出てくる山賊のようだ。ただし、小物感は全くない。しかも上背があるので、映画に出てくる敵のボスのようだった。
バラク族の中でも存在感のある男だ。
あれが不当に金を集めている部族の長。
迫力のある雰囲気からは、ただ金儲けに不正を働き、貴族に媚びるようなイメージはない。
「不正を行って貴族にお金を渡してるのは、貴族の力がほしいからとかですか?」
理音の問いにレイシュンは一度静止した。質問が突然すぎたか。
「貴族とかを、足で使いそうな顔しているので」
「リオンちゃんは、面白いことを考えるね」
感心するというより、レイシュンは面白いものを見るように笑った。いたずらな笑い。
自分が唐突な質問をすると、レイシュンはそんな顔をする。
変に思われるよな。でも相関図はしっかり頭に入れたい。
それがどんな意図で問うているかは、フォーエンの隣にいる者と気付かれない限りわからない話だ。だから気にせずレイシュンに問うた。ただの興味本位だと言って。
「そうだな。お互い利用していると言ったところだろうね。ほら、見えるかな。黄と赤の旗が三つ並ぶ、その手前に短い白ひげを蓄えた、白髪混じりの男がいるだろう」
レイシュンは目線だけで男を指した。屋根のある、舞台に近い特等席。風除けに布を垂らして、左右の視線を遮る場所にいる。
「リ・シンカ。この辺りの商人とも付き合いがあってね。バラク族の長、セオビとは、昔ながらの付き合いかな。商人を通して販売元を牛耳ったり、嫌がらせしたり。役人の手の届かない小さな村を襲ったり。碌なことをしていないね」
「それで捕まらないのは…」
わかっているのに捕えられないと言うのならば、証拠がないとか、法が確立されていないのか。
「やり方がうまいもんでね。賄賂で揉消すこともあるし、殺したりもするし?証拠がないなら捕えられない」
この国の倫理って…。
セオビの相手の男は萎縮しているか、ちらちらとセオビを見てばかりだ。試合はまだ始まらないのだから落ち着けばいいものを。
試合を始める前に男たちは何かを盃で飲んだ。それを放ると、試合が始まったのだ。
「今の、何飲んだんですか?」
「草の根を煎じた茶だよ。精神を安定させる効果がある」
「興奮剤じゃなくてですか?」
「興奮させたら、殺してしまうかもしれないからね」
真剣だから興奮すれば止められなくなる可能性があるのだ。それはわかる。
けれども、内容よりも、レイシュンの言葉が耳に残った。
何て、感情のない声を発するのだろう。
寒気を感じて、理音はレイシュンの顔を見上げた。理音の視線に気付くと、柔らかく微笑む。
先ほどの雰囲気を消すと、食べ物や飲み物を進めた。寒くないように、暖かいものを運ばせる。
警戒したのに気付いてそれを解くかのようだ。
そう思うのは自分の心がすさんできているからだろうか。
感化されてきて嫌になる。深く考えたって何が正解かわからないのに。
「ああ、終わってしまったね」
気付けばセオビは相手を打ち負かしていた。相手の剣が舞台から落ちており、セオビの剣の切っ先が相手の男に向いて目の前で止まっていた。
血が出ている感じはない。手を抜いていたようだ。
わっと歓声が沸き起こり、女性たちからは拍手が送られた。余裕の笑みでそれを返し、舞台を降りていく。
「リ・シンカもセオビに賭けただろうね。強い相手には毒でも盛りそうで、心配だよ」
ため息混じりだが、それが行われたこともあったらしく、笑えない話だとか。
道徳心とか、皆無なんだろうな。そんなのが部族長。そして貴族。頭の痛い話だ。
セオビは自分の席に戻る前に、もう一度手を上げた。パフォーマンスも慣れたものである。女性たちの人気もあって悲鳴に近い歓声も上がった。
それを目で追っていくと、見たことのある少年が目に入った。
ジャカだ。お酒でも持っているのか、器を持っている者に注いで、歩き出す。そして声を掛けられたらまた何かを注いだ。
給仕もやっているようだ。女性には花を差し出している。受け取った女性は嬉しそうにそれを嗅いだ。
「ジャカは、ああいった手伝いも好んでやるんだよ。働いている方が落ち着くそうだ」
理音の視線の先に気付いて、レイシュンは説明する。気の利く優しい子だから、そんな仕事ばかり好むのだと。
レイシュンからすればもっと能力を上げるような仕事を渡したいのだろう。学べるならば早めに学ばしたいが、本人が謙虚すぎてそうもいかないのだ。
足が治っていれば、自分もあれくらいの仕事ならばできるのに。
それを思ってもである。何かしないと本当に食っちゃ寝、豚さんまっしぐら。
「席外します」
トイレついでに散歩を決め込むことにした。やはり真剣でのチャンバラを見るのは好みではない。鮮血のほとばしる戦い。それに興奮して歓声をあげる観客たち。
命に関わるほどではないのかもしれないが、倒れ込んで呻き動けなくなる者もいた。医者もおりすぐに手当を施してはいるが、治るのにどの程度時間がかかるのか疑問だ。
娯楽が少ないのだろうなとは思う。あとは部族間の諍いのせいか、もしくは民族的な思考の違いか。感覚が違うのは確かだ。
武道大会は余程人気のある項目なのか、広場に入られない民衆がタイムラグありの戦いの様子を外で聞いている。話のうまい者が中で起きたことを演劇風に伝えていた。
あれも娯楽か、子供まで食い入るように聞いていた。
武道大会は城壁内の広場で行われているが、囲われた中であり、その途中の道までは民衆も入られる。しかし、武道大会自体には選ばれた者しか入られない。そもそも入る道が分けられていた。
今理音とは違う道を歩いている彼らは、武道大会の会場に続く建物には入られないのだ。その広場までの道は出店があり、祭りのように賑わっている。そこで祭り気分を味わえる。
理音は建物の二階の外廊下からそれを眺めた。
道を歩いていれば、この城の中に入られる者か、そうでない者かが一目でわかる。
だから、レイシュンも理音が一人で城内をうろつくことを、気にも留めないと思ったのだが。
後ろから侍女が一人と兵士二人がついてきていることに、理音は気付いていた。
囮であれば、兵士が二人は当然だな。
そもそも信頼されてはいないのだから、誰かがついてくるのもいつも通りである。気にせず建物内を散歩すると、人気のない中庭に入った。
少し風が冷たく感じる。確かに季節は冬に向かっているのだろう。雪が降る前にここを出て行きたいものだが、手足の怪我は未だ完治しなかった。歩けるとは言え、のんびりスピードである。早足で歩くことも、長く歩き続けることも難しい。ついでに背中の痛みが未だ消えない。身体をねじれば鋭い痛みが走る時がある。背中に残るだろうと言われている傷だけあって、治りが遅い。
この身体ではここから王都まで帰るのに、馬もなく歩いて戻るのは無理があるのだ。レイシュンが馬を出してくれない限り。
助けは来ないだろう。
それは何となく感じていた。
もし本当にコウユウが自分の命を狙ったとあれば、間違いなくフォーエンの命令があっても理音を救出しには来ないのだ。そうであれば、誰がここまで来るのか。
敵はここに自分がいることを、いつ知るだろうか。
ガバガバセキュリティ。ここもきっと安心できなくなる。
「あとは、レイシュンさんがハク大輔に連絡してくれるかを祈るしか…。ん?」
中庭に誰かいる。若干猫背で浅黒い肌を持つ男、リンネだ。背負った鍬と籠を持ってうろうろしている。
また何か植えるのか、肥料でもあげているのか、地面を見ながら歩いているので前を見ていない。だから二階にいる理音には気付く様子はなかった。
庭師の男、ジャカは給仕を手伝うが、さすがにリンネはそんな真似はしないようだ。接客には向いていなそうなので、やらせられないのかもしれないが。
中庭には一般人ではないが部族や貴族など、武道会の客も入り込んでいる。珍しい庭木も多いのだろう、実をつけた植木を眺めている者もいた。
そんな客たちの声を聞くと、リンネはさっと木陰に入って気配を消す。どうやら人間不信か、コミュニケーションをとるのは好きではないらしい。
会った時にやけに怯えるように逃げていったが、レイシュンの客だからと逃げたわけではなさそうだ。
「やあ、やっと見つけた」
「レイシュンさん」
外廊下でのんびり人間ウォッチを決め込んでいた理音に、レイシュンが爽やかに声を掛けてきた。後ろにいたはずの侍女や兵士が一定の距離をあけて離れる。会話は聞こえない距離だ。
何だかんだでよく躾けられているよな、と感心する。ツワもそうだが、主人やその客に対しての態度が一貫している。お高いホテルの接客を受けているようだ。
無論、信頼している者を近くに置くのは、こちらでは常識だ。そうでなければ命がいくつあっても足りない。
「中々帰ってこないから、体調でも悪いのかと心配しちゃった」
そんなに離れていたか、レイシュンは持っていたショールを理音の肩にかけた。
「身体、冷え切ってるよ。ここでは風があるだろう」
「ありがとうございます」
確かに肩が冷えていて、肌触りの柔らかいショールを首に巻くとほんのりと暖かくなった。わざわざショールを持ってくる辺り、さすがと言うか何というかである。戻って来なくても何の問題もないだろうに。
そんなに長くいたつもりはないが、思ったより時間が経っていたらしい。
何を見ているかと問われて、理音はリンネを見やった。丁度誰かに話し掛けられている。
「ウルバスだ。珍しいのが話し掛けているな」
リンネに話し掛けていたのは、二十代半ばくらいの男で、一つに結ばれたふわふわの金髪が背中で風に揺れていた。タレ目で人好きのする顔をしていたが、リンネは明らかにビクついて対応している。やはり人と接するのは苦手のようだ。
「ウルバスは貴族の一人で、リンネと親しくするはずないなんだけれどな。庭に興味を持つような男ではないし。何でリンネに話し掛けているやら」
「あんまり印象良くない人ですか?」
「何でそう思うの?」
何でって、レイシュンの言い方がそうではないか。リンネに話し掛けてるなんてどうしてだろう。って、曇った顔で話し掛けては悪いみたいな言い方をするのに、疑問に思うのは当然だと思うのだが。それを言うと、レイシュンは嬉しそうに笑った。
この人の気にしているポイント、全くわからないんだが。
「ウルバスはね、父親が能力のある武官なんだけれど、本人は文も武も才がなくて、父親の武功で生きているような男なんだ。やる事と言ったら、擦り寄って他人のおこぼれをもらうくらいかな」
そんな男が庭師のリンネに話し掛けている。バカにでもしてウサを晴らしているのだろうか。見た感じウルバスが親しげに話して、リンネは居心地悪そうにしていた。そうしている内にリンネはウルバスを背にして歩き出した。ウルバスはその後をついていく。どこかに案内するようだ。
「道に迷ったとか」
「城にいる者がどこに行くのに迷うの」
では何だろう。リンネについてどんな得が得られるのか。レイシュンは兵士に追わせるような真似はしなかったが、どこか冷めた瞳で眺めていた。ウルバスという男には、やはりいい印象がないようだ。
「食料がないことがあってはと、何かの苗木を欲しがっているとか?」
レイシュンは曖昧な頷きでその話をすごす。 考えているならば、追いかければいいのに。それを言えばレイシュンは緩やかに笑った。
「リオンちゃんは、やっぱり面白いね」
この人の琴線に触れるポイント、ほんとわからない。ただそう思った。
何だあれ。簡単に頰にちゅーとか、しないから、普通。
レイシュンは結局、宴の部屋から理音の部屋まで、お姫様抱っこで運んでくれた。
その距離何メートルって、わからないぐらい長距離である。フォーエンだったら輿に乗ってるわ。
その間の気まずさよ。察しているくせに笑ってからかうのだから、たちが悪いなんてものではない。
「今日は、こちらをお召しください」
朝目覚めて、侍女が持ってきた着物に、理音は首を左右に振った。
合わせにアクセサリーや靴、髪飾りまである。一体何がどうした、レイシュン。昨日の冗談はまだ続いているようで、侍女はいくつかの着物を理音に合わせた。
「もっと地味なのでいいですよ」
ため息混じりに理音が言うと、侍女は大きく首を横に振る。
「いいえ、レイシュン様よりの贈り物です。ぜひ、美しく装っていただかないと」
美しくって、着物に負けるのが目に見えてるだろう。
一体全体、どうしてレイシュンは、そんな態度に出たのだろうか。
やはり何かの囮にするつもりなのか。そうとしか思えない。
囮なら理解しないでもない。むしろそれの方が納得がいく。囮をしろと暗に言ってきたのかもしれないな。と考えを改める。
とりあえずそう思うしかない。
レイシュンはこの城で起こっている件に関して聞かれたくないこともあるのだろう。結局、詳しい説明もないのだから。
「お綺麗ですよ」
「ありがとう、ございます…」
侍女たちの努力の賜物、フォーエンの隣に座るのとは別の、普段友人たちが化粧をしてくれるよりずっと清楚でおとなし目の化粧を施された。
薄い桜色の紅は黙っていればいいとこのお嬢さんに見える、かもしれない。
少し女らしさを学ぶべきかという装いだ。話し方気を付けよう。
しかし、鏡で見る限りそこそこ大人っぽくなってはいると思うが、いかんせん時間がかかり過ぎる。
着物を着るのも時間はかかるし、髪を結うのも化粧もするのも、アクセリーをどれにするかなど選ぶにも時間がかかる。こんなおしゃれして何をすると言うのか。
どこに出かけられるでもなく部屋に閉じこもり中なので、役立たず感半端ない。せめて足がしっかり動いて働きでもすれば、まだ気の持ちようがあるのに。
窓を開けてもらうと、少し冷たい風が流れてくる。どうも秋を感じると言うより、冬に近付いている感じがする。ほんの少し開けてもらっただけだったが、思ったより寒いので、侍女たちはくすくす笑いながら窓を閉めた。
「本日は天気がいいんですが、風が冷えておりますね。厚めの羽織もご用意しておりますし、ひざ掛けもございますから、ご安心ください」
ご安心って何だろう。寒かったらお布団にでもくるまるが、今部屋に人が多くいるせいで若干暑いくらいだ。そこまで寒くはならないだろうに。
侍女たちは薄紅色の、花々が大きく刺繍された羽織を理音の肩にかけた。
「外は少し寒うございます。こちらを召しませ。長く外におりますと、芯から冷えますから」
侍女たちの言葉がわかるのはすぐ後だった。
「武道大会て…」
間違いない。囮にされると考えていいだろう。
広場の中心をあけて、ぐるりと一周。人々が見学のために自分たちの席に腰を下ろす。始まる前の簡単な踊りや音楽は、こちらではデフォルトだ。
円形の舞台に、階段席。まるでコロシアム。
各部族から数人、州からも数人、トーナメント形式での戦い。武器は剣で、当たったら普通に怪我をする、まさかの真剣。
こっちの人のモラルとか倫理とか、ほんとどうなってるんだろう。
当たったら痛いじゃん。とかは、こちらでは通じない。
そんなの見て楽しいのかなあ。痛くて目を背けてしまう。
そしてデジャヴだ。
フォーエンが狙われた、あの事件を思い出す。
「リオンちゃん、寒くない?」
寒かったら帰っていいだろうか。そんな返答したら、怒るかな。レイシュンは膝掛けをよこしながら、どさくさに紛れて背中に手を回す。
セクハラ続行中です。
「寒くないです。あったかい羽織ももらったので」
ぐいぐい胸を押して離れてもらおうとしているが、びくともしない。しかも笑顔で腰に手を巻きつかせる。
「じゃあ、くっついていればいいかな」
って、こいつめ。経験ないと思って、遠慮のない。赤面すれば、それを嬉しそうに眺めてくる。
「昨日より明るいから、周りの顔も良く見えるでしょう」
それは理音のことも含んでいるだろう。
赤く染まった頰をこすると、理音はあたりを見回した。
一般人もいるか、立ち見もあり、座って固まっている者たちもいる。部族たちだろう。
こちらが彼らを見れるように、彼らからもこちらはよく見えている。
見えてどうする。いや、囮だからいいのか。自分がレイシュンの隣にいて、何の囮になるかはわからないが、部族の顔を見るのはいい機会だった。隣にいるのはかぼちゃかじゃがいもだと思って、我慢するしかない。
香水か、甘くも爽やかな香りが気になるが、そこも我慢である。ふんわりと香って、時折耳元もこそばゆい。レイシュンの息がかかって、声を上げそうになった。
「節度ある距離を!」
やはり我慢できん!
理音はNOの形でレイシュンを押しやった。そんなことをしても笑ってはぐらかすのが憎らしい。
「さあ、始まるよ。剣技は見る機会ある?」
「…いえ」
本戦なら何度も見たが、言うことではない。
何度戦いを見て、命を落とす者たちを見たことか。
「これは簡単な息抜きなんだよ。部族同士恨んでいる輩は多い。適度に戦わせて、うさを晴らす。無論、負けることによって晴らすうさが溜まることもあるけれどね。それでも、年に一度力を試し戦いに勝てるのならば、気も軽くなるだろう」
そんなものだろうか。確かに娯楽を与えて問題から意識を逸らすのは定石だが、そんな単純でもないだろう。
「ちなみに賭けも行われてる」
「納得です」
どちらかと言うとそちらの方が重要なのだろう。舞台袖に建てられた看板には選手の名前と番号が書かれている板が掛けられている。どちらの番号にかけるか、辺りは相談しあっていた。
部族同士なのだから、自分の部族に賭けるのだろう。部族に関係ない者にも賭けているだろうが、戦いに勝てばその部族に金が入るのかもしれない。
軽い資金源にはなるわけである。そこも考えているのだろうか。
「部族の方以外は、どなたが戦いに出るんですか?」
「うちからは、そこそこ強いやつかな」
「そこそこ」
「そ。そこそこ」
手を抜くのは、部族に花を持たせるためだろうか。この祭りは根底が部族同士の不満を減らすためのものだ。
「部族の人たちは、強い人を出すんでしょうね」
「部族長を出すところもあるよ。バラク族とかね」
指さされた先、舞台には浅黒い肌をした男が立っている。遠目からでもわかる、がっしりとした体つき。毛皮のベストを脱いでいるので、胸板の厚さが着物を着ていてもわかった。身長も高いか、相手の男より頭一つ分大きい。
黒髪はざんばらで、後ろで縛り背中まで流している。眉はきりりと伸びて、眼光のある目をしていた。持っている剣は曲線を描いており、他の部族とは違ったものだ。
古い物語に出てくる山賊のようだ。ただし、小物感は全くない。しかも上背があるので、映画に出てくる敵のボスのようだった。
バラク族の中でも存在感のある男だ。
あれが不当に金を集めている部族の長。
迫力のある雰囲気からは、ただ金儲けに不正を働き、貴族に媚びるようなイメージはない。
「不正を行って貴族にお金を渡してるのは、貴族の力がほしいからとかですか?」
理音の問いにレイシュンは一度静止した。質問が突然すぎたか。
「貴族とかを、足で使いそうな顔しているので」
「リオンちゃんは、面白いことを考えるね」
感心するというより、レイシュンは面白いものを見るように笑った。いたずらな笑い。
自分が唐突な質問をすると、レイシュンはそんな顔をする。
変に思われるよな。でも相関図はしっかり頭に入れたい。
それがどんな意図で問うているかは、フォーエンの隣にいる者と気付かれない限りわからない話だ。だから気にせずレイシュンに問うた。ただの興味本位だと言って。
「そうだな。お互い利用していると言ったところだろうね。ほら、見えるかな。黄と赤の旗が三つ並ぶ、その手前に短い白ひげを蓄えた、白髪混じりの男がいるだろう」
レイシュンは目線だけで男を指した。屋根のある、舞台に近い特等席。風除けに布を垂らして、左右の視線を遮る場所にいる。
「リ・シンカ。この辺りの商人とも付き合いがあってね。バラク族の長、セオビとは、昔ながらの付き合いかな。商人を通して販売元を牛耳ったり、嫌がらせしたり。役人の手の届かない小さな村を襲ったり。碌なことをしていないね」
「それで捕まらないのは…」
わかっているのに捕えられないと言うのならば、証拠がないとか、法が確立されていないのか。
「やり方がうまいもんでね。賄賂で揉消すこともあるし、殺したりもするし?証拠がないなら捕えられない」
この国の倫理って…。
セオビの相手の男は萎縮しているか、ちらちらとセオビを見てばかりだ。試合はまだ始まらないのだから落ち着けばいいものを。
試合を始める前に男たちは何かを盃で飲んだ。それを放ると、試合が始まったのだ。
「今の、何飲んだんですか?」
「草の根を煎じた茶だよ。精神を安定させる効果がある」
「興奮剤じゃなくてですか?」
「興奮させたら、殺してしまうかもしれないからね」
真剣だから興奮すれば止められなくなる可能性があるのだ。それはわかる。
けれども、内容よりも、レイシュンの言葉が耳に残った。
何て、感情のない声を発するのだろう。
寒気を感じて、理音はレイシュンの顔を見上げた。理音の視線に気付くと、柔らかく微笑む。
先ほどの雰囲気を消すと、食べ物や飲み物を進めた。寒くないように、暖かいものを運ばせる。
警戒したのに気付いてそれを解くかのようだ。
そう思うのは自分の心がすさんできているからだろうか。
感化されてきて嫌になる。深く考えたって何が正解かわからないのに。
「ああ、終わってしまったね」
気付けばセオビは相手を打ち負かしていた。相手の剣が舞台から落ちており、セオビの剣の切っ先が相手の男に向いて目の前で止まっていた。
血が出ている感じはない。手を抜いていたようだ。
わっと歓声が沸き起こり、女性たちからは拍手が送られた。余裕の笑みでそれを返し、舞台を降りていく。
「リ・シンカもセオビに賭けただろうね。強い相手には毒でも盛りそうで、心配だよ」
ため息混じりだが、それが行われたこともあったらしく、笑えない話だとか。
道徳心とか、皆無なんだろうな。そんなのが部族長。そして貴族。頭の痛い話だ。
セオビは自分の席に戻る前に、もう一度手を上げた。パフォーマンスも慣れたものである。女性たちの人気もあって悲鳴に近い歓声も上がった。
それを目で追っていくと、見たことのある少年が目に入った。
ジャカだ。お酒でも持っているのか、器を持っている者に注いで、歩き出す。そして声を掛けられたらまた何かを注いだ。
給仕もやっているようだ。女性には花を差し出している。受け取った女性は嬉しそうにそれを嗅いだ。
「ジャカは、ああいった手伝いも好んでやるんだよ。働いている方が落ち着くそうだ」
理音の視線の先に気付いて、レイシュンは説明する。気の利く優しい子だから、そんな仕事ばかり好むのだと。
レイシュンからすればもっと能力を上げるような仕事を渡したいのだろう。学べるならば早めに学ばしたいが、本人が謙虚すぎてそうもいかないのだ。
足が治っていれば、自分もあれくらいの仕事ならばできるのに。
それを思ってもである。何かしないと本当に食っちゃ寝、豚さんまっしぐら。
「席外します」
トイレついでに散歩を決め込むことにした。やはり真剣でのチャンバラを見るのは好みではない。鮮血のほとばしる戦い。それに興奮して歓声をあげる観客たち。
命に関わるほどではないのかもしれないが、倒れ込んで呻き動けなくなる者もいた。医者もおりすぐに手当を施してはいるが、治るのにどの程度時間がかかるのか疑問だ。
娯楽が少ないのだろうなとは思う。あとは部族間の諍いのせいか、もしくは民族的な思考の違いか。感覚が違うのは確かだ。
武道大会は余程人気のある項目なのか、広場に入られない民衆がタイムラグありの戦いの様子を外で聞いている。話のうまい者が中で起きたことを演劇風に伝えていた。
あれも娯楽か、子供まで食い入るように聞いていた。
武道大会は城壁内の広場で行われているが、囲われた中であり、その途中の道までは民衆も入られる。しかし、武道大会自体には選ばれた者しか入られない。そもそも入る道が分けられていた。
今理音とは違う道を歩いている彼らは、武道大会の会場に続く建物には入られないのだ。その広場までの道は出店があり、祭りのように賑わっている。そこで祭り気分を味わえる。
理音は建物の二階の外廊下からそれを眺めた。
道を歩いていれば、この城の中に入られる者か、そうでない者かが一目でわかる。
だから、レイシュンも理音が一人で城内をうろつくことを、気にも留めないと思ったのだが。
後ろから侍女が一人と兵士二人がついてきていることに、理音は気付いていた。
囮であれば、兵士が二人は当然だな。
そもそも信頼されてはいないのだから、誰かがついてくるのもいつも通りである。気にせず建物内を散歩すると、人気のない中庭に入った。
少し風が冷たく感じる。確かに季節は冬に向かっているのだろう。雪が降る前にここを出て行きたいものだが、手足の怪我は未だ完治しなかった。歩けるとは言え、のんびりスピードである。早足で歩くことも、長く歩き続けることも難しい。ついでに背中の痛みが未だ消えない。身体をねじれば鋭い痛みが走る時がある。背中に残るだろうと言われている傷だけあって、治りが遅い。
この身体ではここから王都まで帰るのに、馬もなく歩いて戻るのは無理があるのだ。レイシュンが馬を出してくれない限り。
助けは来ないだろう。
それは何となく感じていた。
もし本当にコウユウが自分の命を狙ったとあれば、間違いなくフォーエンの命令があっても理音を救出しには来ないのだ。そうであれば、誰がここまで来るのか。
敵はここに自分がいることを、いつ知るだろうか。
ガバガバセキュリティ。ここもきっと安心できなくなる。
「あとは、レイシュンさんがハク大輔に連絡してくれるかを祈るしか…。ん?」
中庭に誰かいる。若干猫背で浅黒い肌を持つ男、リンネだ。背負った鍬と籠を持ってうろうろしている。
また何か植えるのか、肥料でもあげているのか、地面を見ながら歩いているので前を見ていない。だから二階にいる理音には気付く様子はなかった。
庭師の男、ジャカは給仕を手伝うが、さすがにリンネはそんな真似はしないようだ。接客には向いていなそうなので、やらせられないのかもしれないが。
中庭には一般人ではないが部族や貴族など、武道会の客も入り込んでいる。珍しい庭木も多いのだろう、実をつけた植木を眺めている者もいた。
そんな客たちの声を聞くと、リンネはさっと木陰に入って気配を消す。どうやら人間不信か、コミュニケーションをとるのは好きではないらしい。
会った時にやけに怯えるように逃げていったが、レイシュンの客だからと逃げたわけではなさそうだ。
「やあ、やっと見つけた」
「レイシュンさん」
外廊下でのんびり人間ウォッチを決め込んでいた理音に、レイシュンが爽やかに声を掛けてきた。後ろにいたはずの侍女や兵士が一定の距離をあけて離れる。会話は聞こえない距離だ。
何だかんだでよく躾けられているよな、と感心する。ツワもそうだが、主人やその客に対しての態度が一貫している。お高いホテルの接客を受けているようだ。
無論、信頼している者を近くに置くのは、こちらでは常識だ。そうでなければ命がいくつあっても足りない。
「中々帰ってこないから、体調でも悪いのかと心配しちゃった」
そんなに離れていたか、レイシュンは持っていたショールを理音の肩にかけた。
「身体、冷え切ってるよ。ここでは風があるだろう」
「ありがとうございます」
確かに肩が冷えていて、肌触りの柔らかいショールを首に巻くとほんのりと暖かくなった。わざわざショールを持ってくる辺り、さすがと言うか何というかである。戻って来なくても何の問題もないだろうに。
そんなに長くいたつもりはないが、思ったより時間が経っていたらしい。
何を見ているかと問われて、理音はリンネを見やった。丁度誰かに話し掛けられている。
「ウルバスだ。珍しいのが話し掛けているな」
リンネに話し掛けていたのは、二十代半ばくらいの男で、一つに結ばれたふわふわの金髪が背中で風に揺れていた。タレ目で人好きのする顔をしていたが、リンネは明らかにビクついて対応している。やはり人と接するのは苦手のようだ。
「ウルバスは貴族の一人で、リンネと親しくするはずないなんだけれどな。庭に興味を持つような男ではないし。何でリンネに話し掛けているやら」
「あんまり印象良くない人ですか?」
「何でそう思うの?」
何でって、レイシュンの言い方がそうではないか。リンネに話し掛けてるなんてどうしてだろう。って、曇った顔で話し掛けては悪いみたいな言い方をするのに、疑問に思うのは当然だと思うのだが。それを言うと、レイシュンは嬉しそうに笑った。
この人の気にしているポイント、全くわからないんだが。
「ウルバスはね、父親が能力のある武官なんだけれど、本人は文も武も才がなくて、父親の武功で生きているような男なんだ。やる事と言ったら、擦り寄って他人のおこぼれをもらうくらいかな」
そんな男が庭師のリンネに話し掛けている。バカにでもしてウサを晴らしているのだろうか。見た感じウルバスが親しげに話して、リンネは居心地悪そうにしていた。そうしている内にリンネはウルバスを背にして歩き出した。ウルバスはその後をついていく。どこかに案内するようだ。
「道に迷ったとか」
「城にいる者がどこに行くのに迷うの」
では何だろう。リンネについてどんな得が得られるのか。レイシュンは兵士に追わせるような真似はしなかったが、どこか冷めた瞳で眺めていた。ウルバスという男には、やはりいい印象がないようだ。
「食料がないことがあってはと、何かの苗木を欲しがっているとか?」
レイシュンは曖昧な頷きでその話をすごす。 考えているならば、追いかければいいのに。それを言えばレイシュンは緩やかに笑った。
「リオンちゃんは、やっぱり面白いね」
この人の琴線に触れるポイント、ほんとわからない。ただそう思った。
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