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100 ーシヴァ少将ー
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先へ進む男はやけに小河原に似た顔をして、けれど知っている小河原ならば、着るはずのない高位の着物をまとっていた。
だから、違うのだとわかっていたのに、つい声を出して呼んでしまった。
小河原要。理音に告白してくれた、二面性を持つ男の子。
理音の前では照れて赤くなるばかりなのに、他の者たちの前では別人となり、理音の知らない顔を見せる。時折冷ややかで、笑顔でありながら心から笑わない。
きっと本性はかなり冷静で、それが表情に出るのならば、鋭い眼光を見せるだろう。
通り過ぎたその男が、ゆっくりと振り向いて、理音にその顔を向けた。
少し癖のある栗色の髪は首元で結ばれて、腰近くまで伸びている。背中にあるその髪の毛の長さが別人だが、彼の表情は小河原にそっくりだった。
むしろ、どこが違うか探せないほどに似ているのだ。
「シヴァ少将、何か?」
小河原に似た男の後ろを歩いていた男が声をかけると、小河原に似た男は何でもないと歩みを進めた。
シヴァ少将。確かフォーエンの従兄弟である。病弱で皇帝には向かないと言われていた男だ。
颯爽と歩く姿から見て病弱には見えなかったが、それにしても小河原によく似ている。
シヴァ少将はそのままお供の男たちを連れて進み、角を折れて見えなくなった。
「リオン、まだだよ。頭下げて」
セイリンがぼそりと耳打ちする。言われて理音はまたすぐ頭を下げた。次の高位の人間が歩んできたのだ。
次に歩んでくるのは、何とヘキ卿だった。宮廷で見るのは初めてのヘキ卿は、いつものだらけた格好を封印し、髪をまとめ上げ帯もしっかり締めていた。
元々チャラい、もとい、イケメン枠のヘキ卿がまともな格好をし、すっきりした髪型で、お供をつけながら頭を下げる者たちの前を通り抜けると、さすがに偉い人の雰囲気が溢れ出ていた。
格好をまともにしただけで、できる男に見える。まるでスーツマジック。など失礼なことを思いつつ頭を下げて、ヘキ卿が歩むのを待つ。過ぎればまた普通に仕事を始めるので、彼が通り過ぎた後は元の廊下に戻っていた。
ちゃんと仕事をしているようで、けれどどこか痩せたように見えたのは気のせいではないだろう。
謀反の片棒を担いでいたヘキ卿の妻は、すでに処分を受けている。子供やその他の関係者も同じく、同じ処分が行われたと聞いた。
謀反の協力者を捉えた功績で彼自身は不問に処されたわけだが、それでも周囲の者たちの目は優しいものではない。
その嫌味を大きく言っていた男に、理音は喧嘩を売りそうになった。セイリンが止めてくれた件だが。
体、壊してなければいいけど。
彼は今、別の屋敷に住んでいるらしい。ツワから聞いたのだが、そうなければつらいだろう。愛し合ったわけではないとはいえ、彼の幼い罪もない子供も殺されてしまったのだから。
目の前を通り過ぎて、さあ仕事に戻るぞと頭を上げたら、振り向いて珍獣でも見るような顔をしたヘキ卿と目が合った。
「リオン!?」
大声である。呼んですぐに駆け寄って来る辺り、フォーエンから何も聞かされてないのだと気づいた。何ともひどく驚いている。
「何しているの、こんなところで」
やはり何も知らないと、焦ったように理音の腕をとった。こんなものを着て、と無闇に引っ張ってくる驚きようだ。
「お仕事させてもらってて、配達員です」
「なぜそんな。この格好で?そんなことをお許しに?」
ヘキ卿はボリュームを落として耳元で囁いた。周りの者たちが注目しているのだ。人が多いのでこっちへおいでと、人気のない方に引っ張られる。
「暇なんで、頼んでみたらいいよって」
「いいよ、って。君は、大人しくなんてできないと思ったけれど」
さすがにヘキ卿も、理音の暇具合を理解してくれている。大人しくできるわけがないのだ。それを身を以て知っているだろう。
「でも、奥でじっとしてるよりいいんですよ。やることないから暇で仕方なくて、なので仕事くれって言ったら、ここ紹介してもらえました」
「本当に君は型破りだね。いや、お許しがあるのならいいんだよ。けれど、」
「けれど?」
「あまり、賛成されていはいないのではないの?目の届くような場所ではないのだし」
ヘキ卿は、フォーエンから自分の存在をどう聞いているのだろう。ふと思う。ただの囮なのに、まるでフォーエンが心配をしているかのように言う。
彼の心配は、ヘキ卿の思うような心配ではない。
知らないということは、知らせていないということ。ヘキ卿は、フォーエンから囮の件を聞いていないのだ。
それは黙っていなければならない。理音は笑ってごまかすことにした。
「条件つきですから。悪いことしたらすぐ戻ることに」
「そう。全く驚いたよ。似ているなと思ったら、本人なんだから。陛下の華が男の格好して宮廷にいるなんて、他の者が知ったら気を失う」
前も聞いた、陛下のはな。意味のわからない言葉だった。ヘキ卿はよくその言葉を使う。
「陛下のはなって、何ですか?」
「比喩で使っているだけだよ。大切な方の意味だ」
「ああー…」
聞いていて、何とも申し訳なさが募ってくる。
囮であることを、完全に知らない言葉だ。
「あの方が、君のような子を選ばれたことに、私は安心したんだよ。側に寄り添い、共に笑い過ごせる方を、お選びになられたのだと」
それは完全にヘキ卿の思い違いで、全くの誤解だ。
「何か困っていることがあったら、私の元においで。陛下には私から伝えておくから。何か起きてからでは遅いからね」
「あ、りがとう、ございます」
「それじゃあ。頑張って」
「ヘキ卿も、お身体気をつけて。ちゃんとご飯食べてくださいね」
待たせていた部下たちを引き連れて、ヘキ卿は去っていった。
柔らかい笑顔に元気がなかったが、ここに仕事をしに来るのだろう。理音を呼べる場所にいるのだ。
しかしそれにしても、ヘキ卿は見事囮を信じている。罪悪感を感じるほどに。
彼はフォーエンの味方なのだから、本当のことを伝えておいた方がいいのに。
「セイリン、ごめん、待たせて」
「平気だけど。リオン、ヘキ卿ともお知り合いなんだね」
手持ち無沙汰で待っていたセイリンは、理音に羨望の眼差しを向けた。
ハク大輔だけでなく、ヘキ卿まで。の目である。
「前に、ちょっとお世話になって」
「すごく気安かったし、驚いた。ハク大輔もヘキ卿も雲の上の方だよ。お言葉を頂けるなんて考えたことない」
「そこまで?」
「当然だよ。お二人とも次代と言われた方なんだから。皇帝陛下ももちろん雲の上の方だけれど、お二人もまた別の世界の方なんだ。リオンは本当は、どこかのやんごとない方の忘れ形見とかじゃないの?」
「やんごとないって、すごい笑える…。でも何か、そういうの多そうだよね。もう、私、誰がどう親戚なのか、頭こんがらがるもん。兄弟で孫で伯父でって、みんな親族だもんね。すごいよね」
フォーエンを取り巻く血族の相関図は、未だよくわかっていない。図にしないともう理解できなくなっている。
あれを考えれば、どこぞの落としだねとか、本当にありそうなのだ。実際あるのかもしれない。
セイリンは大仰にため息をついた。そんなことないんだろうな。と呟きながら。
「あるわけないじゃん。私はしばらくここで働かせてもらうって、ただそんだけ。それ以上はないよ。セイリンは、来年になったら卒業しちゃうんでしょ?そしたら、位とかもらえるの?」
「もらえないよ。まずは試験を受けて、受かってからだよ。それからどこに配属されるってなって。官位なんて、もっとずっと先になる」
つまり今はインターンみたいなもので、今後入社試験があるわけだ。十六歳からの入社試験。まるで高校受験である。
「姉が皇帝陛下に嫁がれて、僕が無位では恥ずかしいから。もちろん官位を目指すけれどね」
今、何か変なことを言った。
「お姉さん。嫁がれてる?皇帝陛下に?」
「うん。妃として後宮にはいるよ」
それではやはり、セイリンはいいところのお坊ちゃんである。皇帝に嫁げるならば、身分が高くなければならないだろう。
「妃って言っても、皇帝陛下は未だお相手をお選びになっていないから、父もやきもきしてるけれどね」
妃となっても夫が会いに来ない。シュンエイのように嫁いで一度会ったきり、それ以降全く会うこともなければ、そこにいるのが嫌にならないのだろうか。
「お妃から、皇帝陛下に会いに行けないの?」
「そんなことできるわけないよ。顔だって覚えられていないかもしれないのに」
「そこまで!?」
「当然だよ。多くの妃が後宮に入っているんだ。興味がなければ、顔だって覚えたりしないよ。さすがに父の身分があるから、拝顔は許されているし覚えていただけたかもしれない。でも、下位であれば当然のことだよ。後宮には百人以上の妃がいるわけだし」
フォーエンハーレムはあっても、まだ誰も選んでいない。囮を使って敵をおびき寄せている時点で選べない。選ぶことができない。選んで殺されては困るからだ。
それに安堵を感じて、心の中でかぶりを振った。自分は囮で選ばれる前に枠外である。
自分が用済みになった時、フォーエンはやっと本当の相手を選ぶのだ。
そこにはもう自分はおらず、彼が選んだ女性がいるのだろう。
「皇帝陛下を、ちゃんと想える人が選ばれればいいよね。あと、細かいこと気にしない人」
「何で?」
「皇帝陛下、細かそうだから」
フォーエンが、誰か選ぶのを見る前に帰りたい。改めて、そう思った。
だから、違うのだとわかっていたのに、つい声を出して呼んでしまった。
小河原要。理音に告白してくれた、二面性を持つ男の子。
理音の前では照れて赤くなるばかりなのに、他の者たちの前では別人となり、理音の知らない顔を見せる。時折冷ややかで、笑顔でありながら心から笑わない。
きっと本性はかなり冷静で、それが表情に出るのならば、鋭い眼光を見せるだろう。
通り過ぎたその男が、ゆっくりと振り向いて、理音にその顔を向けた。
少し癖のある栗色の髪は首元で結ばれて、腰近くまで伸びている。背中にあるその髪の毛の長さが別人だが、彼の表情は小河原にそっくりだった。
むしろ、どこが違うか探せないほどに似ているのだ。
「シヴァ少将、何か?」
小河原に似た男の後ろを歩いていた男が声をかけると、小河原に似た男は何でもないと歩みを進めた。
シヴァ少将。確かフォーエンの従兄弟である。病弱で皇帝には向かないと言われていた男だ。
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「リオン、まだだよ。頭下げて」
セイリンがぼそりと耳打ちする。言われて理音はまたすぐ頭を下げた。次の高位の人間が歩んできたのだ。
次に歩んでくるのは、何とヘキ卿だった。宮廷で見るのは初めてのヘキ卿は、いつものだらけた格好を封印し、髪をまとめ上げ帯もしっかり締めていた。
元々チャラい、もとい、イケメン枠のヘキ卿がまともな格好をし、すっきりした髪型で、お供をつけながら頭を下げる者たちの前を通り抜けると、さすがに偉い人の雰囲気が溢れ出ていた。
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ちゃんと仕事をしているようで、けれどどこか痩せたように見えたのは気のせいではないだろう。
謀反の片棒を担いでいたヘキ卿の妻は、すでに処分を受けている。子供やその他の関係者も同じく、同じ処分が行われたと聞いた。
謀反の協力者を捉えた功績で彼自身は不問に処されたわけだが、それでも周囲の者たちの目は優しいものではない。
その嫌味を大きく言っていた男に、理音は喧嘩を売りそうになった。セイリンが止めてくれた件だが。
体、壊してなければいいけど。
彼は今、別の屋敷に住んでいるらしい。ツワから聞いたのだが、そうなければつらいだろう。愛し合ったわけではないとはいえ、彼の幼い罪もない子供も殺されてしまったのだから。
目の前を通り過ぎて、さあ仕事に戻るぞと頭を上げたら、振り向いて珍獣でも見るような顔をしたヘキ卿と目が合った。
「リオン!?」
大声である。呼んですぐに駆け寄って来る辺り、フォーエンから何も聞かされてないのだと気づいた。何ともひどく驚いている。
「何しているの、こんなところで」
やはり何も知らないと、焦ったように理音の腕をとった。こんなものを着て、と無闇に引っ張ってくる驚きようだ。
「お仕事させてもらってて、配達員です」
「なぜそんな。この格好で?そんなことをお許しに?」
ヘキ卿はボリュームを落として耳元で囁いた。周りの者たちが注目しているのだ。人が多いのでこっちへおいでと、人気のない方に引っ張られる。
「暇なんで、頼んでみたらいいよって」
「いいよ、って。君は、大人しくなんてできないと思ったけれど」
さすがにヘキ卿も、理音の暇具合を理解してくれている。大人しくできるわけがないのだ。それを身を以て知っているだろう。
「でも、奥でじっとしてるよりいいんですよ。やることないから暇で仕方なくて、なので仕事くれって言ったら、ここ紹介してもらえました」
「本当に君は型破りだね。いや、お許しがあるのならいいんだよ。けれど、」
「けれど?」
「あまり、賛成されていはいないのではないの?目の届くような場所ではないのだし」
ヘキ卿は、フォーエンから自分の存在をどう聞いているのだろう。ふと思う。ただの囮なのに、まるでフォーエンが心配をしているかのように言う。
彼の心配は、ヘキ卿の思うような心配ではない。
知らないということは、知らせていないということ。ヘキ卿は、フォーエンから囮の件を聞いていないのだ。
それは黙っていなければならない。理音は笑ってごまかすことにした。
「条件つきですから。悪いことしたらすぐ戻ることに」
「そう。全く驚いたよ。似ているなと思ったら、本人なんだから。陛下の華が男の格好して宮廷にいるなんて、他の者が知ったら気を失う」
前も聞いた、陛下のはな。意味のわからない言葉だった。ヘキ卿はよくその言葉を使う。
「陛下のはなって、何ですか?」
「比喩で使っているだけだよ。大切な方の意味だ」
「ああー…」
聞いていて、何とも申し訳なさが募ってくる。
囮であることを、完全に知らない言葉だ。
「あの方が、君のような子を選ばれたことに、私は安心したんだよ。側に寄り添い、共に笑い過ごせる方を、お選びになられたのだと」
それは完全にヘキ卿の思い違いで、全くの誤解だ。
「何か困っていることがあったら、私の元においで。陛下には私から伝えておくから。何か起きてからでは遅いからね」
「あ、りがとう、ございます」
「それじゃあ。頑張って」
「ヘキ卿も、お身体気をつけて。ちゃんとご飯食べてくださいね」
待たせていた部下たちを引き連れて、ヘキ卿は去っていった。
柔らかい笑顔に元気がなかったが、ここに仕事をしに来るのだろう。理音を呼べる場所にいるのだ。
しかしそれにしても、ヘキ卿は見事囮を信じている。罪悪感を感じるほどに。
彼はフォーエンの味方なのだから、本当のことを伝えておいた方がいいのに。
「セイリン、ごめん、待たせて」
「平気だけど。リオン、ヘキ卿ともお知り合いなんだね」
手持ち無沙汰で待っていたセイリンは、理音に羨望の眼差しを向けた。
ハク大輔だけでなく、ヘキ卿まで。の目である。
「前に、ちょっとお世話になって」
「すごく気安かったし、驚いた。ハク大輔もヘキ卿も雲の上の方だよ。お言葉を頂けるなんて考えたことない」
「そこまで?」
「当然だよ。お二人とも次代と言われた方なんだから。皇帝陛下ももちろん雲の上の方だけれど、お二人もまた別の世界の方なんだ。リオンは本当は、どこかのやんごとない方の忘れ形見とかじゃないの?」
「やんごとないって、すごい笑える…。でも何か、そういうの多そうだよね。もう、私、誰がどう親戚なのか、頭こんがらがるもん。兄弟で孫で伯父でって、みんな親族だもんね。すごいよね」
フォーエンを取り巻く血族の相関図は、未だよくわかっていない。図にしないともう理解できなくなっている。
あれを考えれば、どこぞの落としだねとか、本当にありそうなのだ。実際あるのかもしれない。
セイリンは大仰にため息をついた。そんなことないんだろうな。と呟きながら。
「あるわけないじゃん。私はしばらくここで働かせてもらうって、ただそんだけ。それ以上はないよ。セイリンは、来年になったら卒業しちゃうんでしょ?そしたら、位とかもらえるの?」
「もらえないよ。まずは試験を受けて、受かってからだよ。それからどこに配属されるってなって。官位なんて、もっとずっと先になる」
つまり今はインターンみたいなもので、今後入社試験があるわけだ。十六歳からの入社試験。まるで高校受験である。
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今、何か変なことを言った。
「お姉さん。嫁がれてる?皇帝陛下に?」
「うん。妃として後宮にはいるよ」
それではやはり、セイリンはいいところのお坊ちゃんである。皇帝に嫁げるならば、身分が高くなければならないだろう。
「妃って言っても、皇帝陛下は未だお相手をお選びになっていないから、父もやきもきしてるけれどね」
妃となっても夫が会いに来ない。シュンエイのように嫁いで一度会ったきり、それ以降全く会うこともなければ、そこにいるのが嫌にならないのだろうか。
「お妃から、皇帝陛下に会いに行けないの?」
「そんなことできるわけないよ。顔だって覚えられていないかもしれないのに」
「そこまで!?」
「当然だよ。多くの妃が後宮に入っているんだ。興味がなければ、顔だって覚えたりしないよ。さすがに父の身分があるから、拝顔は許されているし覚えていただけたかもしれない。でも、下位であれば当然のことだよ。後宮には百人以上の妃がいるわけだし」
フォーエンハーレムはあっても、まだ誰も選んでいない。囮を使って敵をおびき寄せている時点で選べない。選ぶことができない。選んで殺されては困るからだ。
それに安堵を感じて、心の中でかぶりを振った。自分は囮で選ばれる前に枠外である。
自分が用済みになった時、フォーエンはやっと本当の相手を選ぶのだ。
そこにはもう自分はおらず、彼が選んだ女性がいるのだろう。
「皇帝陛下を、ちゃんと想える人が選ばれればいいよね。あと、細かいこと気にしない人」
「何で?」
「皇帝陛下、細かそうだから」
フォーエンが、誰か選ぶのを見る前に帰りたい。改めて、そう思った。
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