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34 ー謝罪ー
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王都へ戻ってそれから。
結局、前のように地区に閉じ込められ、数日が経ってしまった。
「ああ、やっぱり、戻って来たのが悪かったかな」
いつも通りの四阿で一人。
椅子を背もたれにして、理音は空を眺めながら呟いた。
王都に戻ってきてから、フォーエンは一度もこの場所に姿を現していない。
「誘拐は自作?いらないから捨てちゃえ。な。わけないか。フォーエンだったら普通に斬り捨てそう」
呟いて、空にため息を吐く。
帰ってきた、その瞬間は歓迎されたような気がしたのだが、どうも勘違いだったらしい。
全く姿を見せないフォーエンは、理音がどうしていなくなったのか、どうやって帰ってきたかについても問うことはしていない。
会っていないので、問われるわけがないのだが。
コウユウもツワも、理音と会話をしようとはしない。
何かをするに辺り、指示をしたりはするが、理音についての何かを聞くことはなかった。
フォーエンだけが、理音の言葉を聞き、わからなければ尋ねてくる。
帰ってきてからというもの授業は行われ、誘拐されたことなどなかったように言葉を学んだ。あの部屋には行くが、教えるのはツワで、フォーエンではない。
フォーエンは王都に帰ってきてるよな。と問いたくなるくらい、彼の姿を見なかった。
「あっちの部屋に行っても、来ないしな」
いつもならば、たまに顔を出してくるのに、それすらもない。
「帰ってこなきゃ、良かったかなー」
けれど、自分は一人で生きることができず、戻ってくるしかなかった。
まあ、廓にでもなれば生きていけるだろうが、それをするぐらいなら別の方法を考える。
「ここにいる意味か。…ないからな」
早く言葉を覚えて、この状況から出るべきだろう。置いてもらえている間に早く。
ため息をついて、またため息。
それと、あの男は無事に逃げただろうか。
助けてもらった礼を言っていない。
案内してくれてありがとう。とせめて一言。とは言え、あまりに怪しい男であったが。
実際、あの男が暗殺者であれば、大問題である。
たやすく城に中に入れて、王の入る建物内に侵入できてしまうのだから。
安全なんてどこの話であろうか。だからこそか、理音があっさりと誘拐されたわけでもある。
「セキュリティ、がばがばすぎ…」
城の搬入口から入り込んだわけだが、その後も案外楽に入り込めた。それを考えると、何警備してるんだ。というレベルである。そのおかげで入り込めたわけだけれども。
まさかこの王都のこの城も、あのレベルじゃないだろうな。と一抹の不安を感じる。実際、暗殺者は理音のいるこの地区に出ているのだから。
「あのレベルか…」
協力者でもいれば、楽に入り込めることだろう。服でも変えれば、大勢の中の一人に入り込んでしまえば、存外楽に入り込めるのかもしれない。
そう思いながらタブレットを広げた。
庭に置いておいたタブレットやスマフォはしっかりとしまわれていて、リュックと共に無事だった。
録画していた星も綺麗にうつり、バッテリーが終わるまで、空を撮り続けていた。
早送りをすれば月が動いていく。美しく弧を描く軌道が、はっきりと映っている。
ただ、おかしなものも映り込んでいたのだが。
「これ、フォーエン、見たかなあ」
かなり最後の方に映っていたわけだが。
木々の隙間から、何かが飛び移る。一度動きを止めてタブレットを注視するが、何事もないと認識したか、そのまま同じ方向へ飛び姿を消した。
「人だわ。しかも、前の暗殺者みたいな服」
この時間は、理音が誘拐され終えている時間である。それなのに、暗殺者が庭をうろついている。
まさかのバッティングである。
誘拐犯が来ていなければ、最悪暗殺者に殺されていたかもしれないと言う事実。
自分がどれだけ狙われているのか、あまり知りたくない事実だ。
再びため息をつく。
「セキュリティ甘すぎだって」
理音は考えるのをやめて、庭を回ることにした。
荷物をリュックに詰め込んで、しっかりと背負う。
もう荷物と離れたくない。
この中には服もあるが、水の入ったペットボトルと、こっそりキープしたお菓子が入っている。
リュックごと誘拐されれば、あそこまで大変なことにはならなかったのに。などと都合のいいことを思う。
まあ、一日くらいどうにかできる荷物が入っているわけだ。
そして、これから武器も持つことにした。
遊郭から持ってきたかんざしは、いつもスマフォに刺しておくことにしたのだ。
念のためだ。
武器を持って警戒するとは、一体どんな女子高生である。
しかも、かんざしとは。
必殺的な時代劇か。内心笑って、理音は庭を散策した。
あまり奥まった場所への散歩は、危険だ。まあ、何が起こるかわからない、がばがばセキュリティ。警戒はしておきたい。
建物から見える場所に位置した小さな滝のそばでぼうっとすると、動物の鳴き声に気づいて頭を上げた。
木の上に、ちょろりと何かが走っていく。それと同じ何かがちょろりと降りてきて、草の中に姿を隠した。
リス。であろうか。
すぐに写真を撮ろうとしてしまう。スマフォをさっと構えて、草むらから出てくるのを待つ。
待ち構えたのがばれたか気配を消されて、待ちぼうけをした。
構えるのをやめると、その隙を狙って、小さなフサフサした丸いものが、ちょろろろと木の上に登って、幹の隙間に入ってしまった。
「やだ、かわいいっ」
リュックを下ろして庭石に足をかけると、そのまま片足を木にかけた。
バランスを崩せば転げそうになるが、そこを何とか耐える。スカートを履いているが何のその、大股にして木に体重をかけて、木の幹を覗き込んだ。
リスのような、尻尾がもふもふの動物が、ボリボリ実を食べている。
しかし、カメラを構えた瞬間、叫ばれた自分の名。
「へ?」
それが誰だかわかっていたが、何故そんな怒るように呼ばれたのかわからなかった。
けれど、すぐに気づいた。
何て格好をしているんだ、お前は。
である。
「おう」
急いで飛び降りて、何事もないように、笑って返してみる。
スカートも、意味もなく払ってみる。
フォーエンの眉間のシワは、最高潮である。後ろにいたツワも苦笑いだ。
久しぶりに見たフォーエンは、おかんむりになってしまった。
建物に戻るのに、ずっと怒っている。しかもお説教である。何言ってるのかわからないと知っていての、お説教である。
時折、聞いているのか!のような意味であろう、大声を出して睨みつけてくる。
いや、言ってることわからん。のだけれど。
またぶつぶつ何かを言って、理音を睨みつけては、また何かを大声で言った。
ごめん、全然わかんない。
その顔がまた腹立つと、舌打ちしそうな顔をしてきた。実際した。
王様が舌打ちである。
はい、以後気をつけます。
反省の色を出してみると、フォーエンは肺活量を駆使した、大きなため息をついてくれた。
久しぶりに会ったからこその呆れも最高潮である。
お変わりないようで、何よりだ。
木に登ろうとしていたわけではないのだが、足を大きく開いていたのが相当気に食わなかったようで、建物に戻ったらツワにすぐに着替えさせられた。
裾ずるずるの着物である。
足を絶対開くなという意思表示が、強硬手段である。
この服を着てても股ぐらい開けるのだが、それはやめておく。
着替え終えて部屋に入れば、フォーエンはまだいて、そしてまだ不機嫌だった。
もうしないよー。とは約束できない。気をつけてみるぐらいであるが、それは言えないのでよかった。
席に座ると、ツワがお茶を持ってきてくれた。可愛らしいお菓子の乗ったお皿も運ばれてきたので、気にせずいただく。
「おいしー」
砂糖の甘菓子だ。こんなものを毎日食べ続けて、ゴロゴロしていれば太るだろうな。けれど食べる。
おやつをいただいてご機嫌の理音に、フォーエンはやっぱりため息をついた。
内心、フォーエンはもうここには来ないと思っていた。
そう思うほど、長く会っていなかったように思える。
だから安心してしまったのか、ふにゃりと顔を崩した。
その顔を見て、再び深いため息をつかれたのだが。
相変わらずぴしりと背筋を伸ばしたフォーエンは、タブレットを出すように言った。筆記で、つまり絵を描いて話をするのが常なので、いつまでもお菓子を食べているな、と急かしてきたわけだ。
「あ、そーだ。フォーエンこれ見た?」
タブレットを出すついでに、エシカルのムービーを取り出す。暗殺者が映っているあれを、フォーエンが見たかどうか。
見せれば、ああ、と頷いた。
ああ、やっぱ知ってるか。でも、と思う。
「でもこれ、私誘拐したのとは別だよ?それは知ってるのかな」
説明が難しいが、何とか絵で表現してみる。
月を描いて部屋の中、頭を殴られて倒れた自分。女たちと同じ服装であるかは表現できないが、二人はいたことがわかるようにして描いた。
それから、月の移動したもっと後の時間、タブレットのある木の近くで、暗殺者が木々の隙間を飛び移る。
「誘拐犯と、暗殺者がいたわけなんだけど」
これには気づいていなかったようだ。
一瞬の驚き、そしてすぐにツワに何かを伝える。
ツワは部屋を出ていった。それを見送り彼は向き直ると、理音を真っ直ぐ見つめた。そしてそのまま、深々と頭を下げたのだ。
「え、何?」
教えてくれてありがとう。だろうか。それなら、ニーアルエでいいだろうが。
頭を下げてから、フォーエンは真剣な眼差しで理音を見つめた。
ありがとう。と言っているわけではない。
彼がその後言ったことは、シーラウン、ごめんなさい。だったのだ。
「何が?」
首を傾げると、やるせないように理音の頭を撫でて、もう一度同じ言葉を告げた。
結局、前のように地区に閉じ込められ、数日が経ってしまった。
「ああ、やっぱり、戻って来たのが悪かったかな」
いつも通りの四阿で一人。
椅子を背もたれにして、理音は空を眺めながら呟いた。
王都に戻ってきてから、フォーエンは一度もこの場所に姿を現していない。
「誘拐は自作?いらないから捨てちゃえ。な。わけないか。フォーエンだったら普通に斬り捨てそう」
呟いて、空にため息を吐く。
帰ってきた、その瞬間は歓迎されたような気がしたのだが、どうも勘違いだったらしい。
全く姿を見せないフォーエンは、理音がどうしていなくなったのか、どうやって帰ってきたかについても問うことはしていない。
会っていないので、問われるわけがないのだが。
コウユウもツワも、理音と会話をしようとはしない。
何かをするに辺り、指示をしたりはするが、理音についての何かを聞くことはなかった。
フォーエンだけが、理音の言葉を聞き、わからなければ尋ねてくる。
帰ってきてからというもの授業は行われ、誘拐されたことなどなかったように言葉を学んだ。あの部屋には行くが、教えるのはツワで、フォーエンではない。
フォーエンは王都に帰ってきてるよな。と問いたくなるくらい、彼の姿を見なかった。
「あっちの部屋に行っても、来ないしな」
いつもならば、たまに顔を出してくるのに、それすらもない。
「帰ってこなきゃ、良かったかなー」
けれど、自分は一人で生きることができず、戻ってくるしかなかった。
まあ、廓にでもなれば生きていけるだろうが、それをするぐらいなら別の方法を考える。
「ここにいる意味か。…ないからな」
早く言葉を覚えて、この状況から出るべきだろう。置いてもらえている間に早く。
ため息をついて、またため息。
それと、あの男は無事に逃げただろうか。
助けてもらった礼を言っていない。
案内してくれてありがとう。とせめて一言。とは言え、あまりに怪しい男であったが。
実際、あの男が暗殺者であれば、大問題である。
たやすく城に中に入れて、王の入る建物内に侵入できてしまうのだから。
安全なんてどこの話であろうか。だからこそか、理音があっさりと誘拐されたわけでもある。
「セキュリティ、がばがばすぎ…」
城の搬入口から入り込んだわけだが、その後も案外楽に入り込めた。それを考えると、何警備してるんだ。というレベルである。そのおかげで入り込めたわけだけれども。
まさかこの王都のこの城も、あのレベルじゃないだろうな。と一抹の不安を感じる。実際、暗殺者は理音のいるこの地区に出ているのだから。
「あのレベルか…」
協力者でもいれば、楽に入り込めることだろう。服でも変えれば、大勢の中の一人に入り込んでしまえば、存外楽に入り込めるのかもしれない。
そう思いながらタブレットを広げた。
庭に置いておいたタブレットやスマフォはしっかりとしまわれていて、リュックと共に無事だった。
録画していた星も綺麗にうつり、バッテリーが終わるまで、空を撮り続けていた。
早送りをすれば月が動いていく。美しく弧を描く軌道が、はっきりと映っている。
ただ、おかしなものも映り込んでいたのだが。
「これ、フォーエン、見たかなあ」
かなり最後の方に映っていたわけだが。
木々の隙間から、何かが飛び移る。一度動きを止めてタブレットを注視するが、何事もないと認識したか、そのまま同じ方向へ飛び姿を消した。
「人だわ。しかも、前の暗殺者みたいな服」
この時間は、理音が誘拐され終えている時間である。それなのに、暗殺者が庭をうろついている。
まさかのバッティングである。
誘拐犯が来ていなければ、最悪暗殺者に殺されていたかもしれないと言う事実。
自分がどれだけ狙われているのか、あまり知りたくない事実だ。
再びため息をつく。
「セキュリティ甘すぎだって」
理音は考えるのをやめて、庭を回ることにした。
荷物をリュックに詰め込んで、しっかりと背負う。
もう荷物と離れたくない。
この中には服もあるが、水の入ったペットボトルと、こっそりキープしたお菓子が入っている。
リュックごと誘拐されれば、あそこまで大変なことにはならなかったのに。などと都合のいいことを思う。
まあ、一日くらいどうにかできる荷物が入っているわけだ。
そして、これから武器も持つことにした。
遊郭から持ってきたかんざしは、いつもスマフォに刺しておくことにしたのだ。
念のためだ。
武器を持って警戒するとは、一体どんな女子高生である。
しかも、かんざしとは。
必殺的な時代劇か。内心笑って、理音は庭を散策した。
あまり奥まった場所への散歩は、危険だ。まあ、何が起こるかわからない、がばがばセキュリティ。警戒はしておきたい。
建物から見える場所に位置した小さな滝のそばでぼうっとすると、動物の鳴き声に気づいて頭を上げた。
木の上に、ちょろりと何かが走っていく。それと同じ何かがちょろりと降りてきて、草の中に姿を隠した。
リス。であろうか。
すぐに写真を撮ろうとしてしまう。スマフォをさっと構えて、草むらから出てくるのを待つ。
待ち構えたのがばれたか気配を消されて、待ちぼうけをした。
構えるのをやめると、その隙を狙って、小さなフサフサした丸いものが、ちょろろろと木の上に登って、幹の隙間に入ってしまった。
「やだ、かわいいっ」
リュックを下ろして庭石に足をかけると、そのまま片足を木にかけた。
バランスを崩せば転げそうになるが、そこを何とか耐える。スカートを履いているが何のその、大股にして木に体重をかけて、木の幹を覗き込んだ。
リスのような、尻尾がもふもふの動物が、ボリボリ実を食べている。
しかし、カメラを構えた瞬間、叫ばれた自分の名。
「へ?」
それが誰だかわかっていたが、何故そんな怒るように呼ばれたのかわからなかった。
けれど、すぐに気づいた。
何て格好をしているんだ、お前は。
である。
「おう」
急いで飛び降りて、何事もないように、笑って返してみる。
スカートも、意味もなく払ってみる。
フォーエンの眉間のシワは、最高潮である。後ろにいたツワも苦笑いだ。
久しぶりに見たフォーエンは、おかんむりになってしまった。
建物に戻るのに、ずっと怒っている。しかもお説教である。何言ってるのかわからないと知っていての、お説教である。
時折、聞いているのか!のような意味であろう、大声を出して睨みつけてくる。
いや、言ってることわからん。のだけれど。
またぶつぶつ何かを言って、理音を睨みつけては、また何かを大声で言った。
ごめん、全然わかんない。
その顔がまた腹立つと、舌打ちしそうな顔をしてきた。実際した。
王様が舌打ちである。
はい、以後気をつけます。
反省の色を出してみると、フォーエンは肺活量を駆使した、大きなため息をついてくれた。
久しぶりに会ったからこその呆れも最高潮である。
お変わりないようで、何よりだ。
木に登ろうとしていたわけではないのだが、足を大きく開いていたのが相当気に食わなかったようで、建物に戻ったらツワにすぐに着替えさせられた。
裾ずるずるの着物である。
足を絶対開くなという意思表示が、強硬手段である。
この服を着てても股ぐらい開けるのだが、それはやめておく。
着替え終えて部屋に入れば、フォーエンはまだいて、そしてまだ不機嫌だった。
もうしないよー。とは約束できない。気をつけてみるぐらいであるが、それは言えないのでよかった。
席に座ると、ツワがお茶を持ってきてくれた。可愛らしいお菓子の乗ったお皿も運ばれてきたので、気にせずいただく。
「おいしー」
砂糖の甘菓子だ。こんなものを毎日食べ続けて、ゴロゴロしていれば太るだろうな。けれど食べる。
おやつをいただいてご機嫌の理音に、フォーエンはやっぱりため息をついた。
内心、フォーエンはもうここには来ないと思っていた。
そう思うほど、長く会っていなかったように思える。
だから安心してしまったのか、ふにゃりと顔を崩した。
その顔を見て、再び深いため息をつかれたのだが。
相変わらずぴしりと背筋を伸ばしたフォーエンは、タブレットを出すように言った。筆記で、つまり絵を描いて話をするのが常なので、いつまでもお菓子を食べているな、と急かしてきたわけだ。
「あ、そーだ。フォーエンこれ見た?」
タブレットを出すついでに、エシカルのムービーを取り出す。暗殺者が映っているあれを、フォーエンが見たかどうか。
見せれば、ああ、と頷いた。
ああ、やっぱ知ってるか。でも、と思う。
「でもこれ、私誘拐したのとは別だよ?それは知ってるのかな」
説明が難しいが、何とか絵で表現してみる。
月を描いて部屋の中、頭を殴られて倒れた自分。女たちと同じ服装であるかは表現できないが、二人はいたことがわかるようにして描いた。
それから、月の移動したもっと後の時間、タブレットのある木の近くで、暗殺者が木々の隙間を飛び移る。
「誘拐犯と、暗殺者がいたわけなんだけど」
これには気づいていなかったようだ。
一瞬の驚き、そしてすぐにツワに何かを伝える。
ツワは部屋を出ていった。それを見送り彼は向き直ると、理音を真っ直ぐ見つめた。そしてそのまま、深々と頭を下げたのだ。
「え、何?」
教えてくれてありがとう。だろうか。それなら、ニーアルエでいいだろうが。
頭を下げてから、フォーエンは真剣な眼差しで理音を見つめた。
ありがとう。と言っているわけではない。
彼がその後言ったことは、シーラウン、ごめんなさい。だったのだ。
「何が?」
首を傾げると、やるせないように理音の頭を撫でて、もう一度同じ言葉を告げた。
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