64 / 69
第7章 サウンド・ドラッグ
7-6 ファイル
しおりを挟む
目が醒めると、わたしはベッドの上で突っ伏していた。
体を起こして、辺りを見渡す。
病室はさっきと何も変わっていない。
無意味な文字列も、灰色のビルも、変な音もない。
ただ窓際のカーテンが、夏の日差しをたっぷり吸って輝いているだけ。
隣で横になっていたぽめ兄も、ゆっくり静かに目を開けた。
「なんだか、不思議な夢を見たよ」
「わ、わたしも!」
答え合わせをするように、わたしたちは夢の内容を細かに話した。
信じられないことに、音も光景も何もかも、ぴったり合致していた!
「じゃあ、ぽめ兄もあの音を聞いたの?」
「ああ、聞いたよ」
ぽめ兄は微笑んだ。
「面白い音だったね」
そのとき、ぴろんとスマホの通知音が鳴った。
ぽめ兄のDiscordに大量のファイルが届いていた。
なんとその数、30件以上!
「何、何?」
わたしも身を乗り出して画面を覗いた。
「面白い音、見つかりました」
「こういうイラスト、どうでしょう」
「フェイクのイメージを送ります!」
「新しいアニメーションを習得したんすよ」
「背景の色、参考までに」
「サンプリングを加工しておいたよ」
拓海、美咲、桃花、やぎすけ、それにさぼじろーとモラ。
みんなの思い描く「サウンド・ドラッグ」がチャット欄に並んでいた。
「これは、すごいや」
ぽめ兄がふにゃと笑った。
「サウンド・ドラッグが、完成できそうだ」
「うん」
わたしはドキドキした。
夢の中で見聞きした音楽が現実になったのか、現実の音楽を夢の中で見聞きしたのか。
答えのいらないワクワクが、無限に広がっていた。
体を起こして、辺りを見渡す。
病室はさっきと何も変わっていない。
無意味な文字列も、灰色のビルも、変な音もない。
ただ窓際のカーテンが、夏の日差しをたっぷり吸って輝いているだけ。
隣で横になっていたぽめ兄も、ゆっくり静かに目を開けた。
「なんだか、不思議な夢を見たよ」
「わ、わたしも!」
答え合わせをするように、わたしたちは夢の内容を細かに話した。
信じられないことに、音も光景も何もかも、ぴったり合致していた!
「じゃあ、ぽめ兄もあの音を聞いたの?」
「ああ、聞いたよ」
ぽめ兄は微笑んだ。
「面白い音だったね」
そのとき、ぴろんとスマホの通知音が鳴った。
ぽめ兄のDiscordに大量のファイルが届いていた。
なんとその数、30件以上!
「何、何?」
わたしも身を乗り出して画面を覗いた。
「面白い音、見つかりました」
「こういうイラスト、どうでしょう」
「フェイクのイメージを送ります!」
「新しいアニメーションを習得したんすよ」
「背景の色、参考までに」
「サンプリングを加工しておいたよ」
拓海、美咲、桃花、やぎすけ、それにさぼじろーとモラ。
みんなの思い描く「サウンド・ドラッグ」がチャット欄に並んでいた。
「これは、すごいや」
ぽめ兄がふにゃと笑った。
「サウンド・ドラッグが、完成できそうだ」
「うん」
わたしはドキドキした。
夢の中で見聞きした音楽が現実になったのか、現実の音楽を夢の中で見聞きしたのか。
答えのいらないワクワクが、無限に広がっていた。
3
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
坊主頭の絆:学校を変えた一歩【シリーズ】
S.H.L
青春
高校生のあかりとユイは、学校を襲う謎の病に立ち向かうため、伝説に基づく古い儀式に従い、坊主頭になる決断をします。この一見小さな行動は、学校全体に大きな影響を与え、生徒や教職員の間で新しい絆と理解を生み出します。
物語は、あかりとユイが学校の秘密を解き明かし、新しい伝統を築く過程を追いながら、彼女たちの内面の成長と変革の旅を描きます。彼女たちの行動は、生徒たちにインスピレーションを与え、更には教師にも影響を及ぼし、伝統的な教育コミュニティに新たな風を吹き込みます。
夏の決意
S.H.L
青春
主人公の遥(はるか)は高校3年生の女子バスケットボール部のキャプテン。部員たちとともに全国大会出場を目指して練習に励んでいたが、ある日、突然のアクシデントによりチームは崩壊の危機に瀕する。そんな中、遥は自らの決意を示すため、坊主頭になることを決意する。この決意はチームを再び一つにまとめるきっかけとなり、仲間たちとの絆を深め、成長していく青春ストーリー。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる