頭脳派脳筋の異世界転生

気まぐれ八咫烏

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転生者

第63話

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ゲンスイ脳内会議中


天使ゲンスイA「仲間との約束は守らないとダメですよ」

 そうかもしれないが、だからと言って放置するのは違うくないか?

悪魔ゲンスイA「とりあえずもう一回自警団モブAを殴っとこうぜ」

 お、おう。

天使ゲンスイB「待ちなさい。殴って何になるのですか。中で二人の貞操の危機!今こそ助けに行かなくては!」

 だよな!

悪魔ゲンスイB「シェリーの胸に顔を埋めれるならお前も何か盗んじゃえよ」

 ば、バカ言うな。別に羨ましくなんかないんだからねっ!

天使ゲンスイA「待ちなさい。そんなくだら無い事をして仲間の信頼を裏切ってはいけません。約束を守ることも大切な仲間との信頼です」

 そうだよな。危ない危ない、流石天使だ。


悪魔ゲンスイA「ほら、既に一回殴ってるんだからもう一回殴っても不自然じゃないぜ」

 お、おう。

天使ゲンスイB「ですから殴って何になるのですか。そんな時間があるのなら急ぎなさい。あんな奇声が取調中に聞こえるはずないでしょう。助けに行くのです」

 やっぱりそうだよな。分かった、俺は助けに行くぜ!


悪魔ゲンスイB「お、盗みに行くんだな。でも気を付けろよ、盗むだけじゃダメだぜ? 不確定な証拠を残さないとお前が疑われて自白させるためのエロ拷問受けれないぞ」

 そうか。俺が盗んだ可能性があるっていうレベルの物的証拠を残しつつ、盗みを働かないといけないのか。

天使ゲンスイC「盗みなんてダメに決まっているでしょう。そんな事よりも、この世界にかつ丼が無い事が問題なのです。急ぎかつ丼を開発して布教していきましょう!」

悪魔ゲンスイC「かつ丼なんてどっちでもいいだろ。そんな事よりヤマトを……」




プスプスプスプス……





 うるせーーー!!!


 天使も悪魔も一回ストップだ!

 なんなんだお前等!
 だいたいこういう場合天使と悪魔が一人ずつだろ!?天使や悪魔の単位が人かどうかはこの際置いとく!

 そして天使が勝って結論が出るもんだろ。登場人物多すぎ!

 天使AとB!お前等はちょっと待ってろ。


 悪魔Aちょっと来い!
 とりあえず殴っとこう、じゃねーよ!今関係ないから消えろ!

 「えー」
と不満気ながらも消えていった。


 次悪魔Bちょっと来い!
 何お前俺に盗みを働かそうとしてるんだ。関係ないじゃないか!消えろ!

「あの胸に顔を埋めるチャンスなのにー」
と心残りな感じで消えていった。

 次天使Cちょっと来い!
 お前かつ丼布教とか言ってんじゃねーぞ?その気持ちは分かるけど今関係ないから消えろ!

「あぁ~かつ丼がぁ~」
と未練がましく消えていった。


 次悪魔Cちょっと来い!
 お前ヤマトに何考えた? いや聞きたくもないわ。消えろ!

「ちょっとした出来心だったのにー」
と言い訳しながら消えていった。


よし、これでスッキリしたな。


天使AとB、お前等だけでいいんだよ。ちょっと来い!

仲間との約束は大事だ。だが、場合による。
よって、俺は助けにいくぜ!

「仲間の信頼を裏切るなんてー」
「よっしゃ!俺の勝ちだな!」
片方は残念そうに、片方は勝ち誇ったように消えていった。


 以上でゲンスイ会議を終了する!!





 結論は出た。俺は助けに行くぜ。

 どのくらいの時間、俺がフリーズしていたのかは分からないが、もはや一刻の猶予も無いと考えるべきだ。自警団の制止を振り切り取調室のドアを開けようとした時だった。

 ガチャっとドアのほうから開いてきたのだ。

 驚く間もなく、中からシェリーさんとサラが出て来たのだ。


 見た所、シェリーさんはいつも通りではある。が、サラはどことなく……というかあきらかに俺と目を合わせないし微妙な表情。


 時すでに遅し……か?


 状況から考えてシェリーさんがサラを犠牲にして色仕掛けをしたと考えるのが妥当。となると俺に出来るのは傷心のサラをどうやって慰めていくかという事だけになる。

「全部うまくいったわ~、さっそくだけど~話があるわ~」

 俺が空気を読んでいる間も相変わらずのシェリーさんが主導して話はじめた。

「盗賊は4人組だったみたいよ~。でも残念ながら合流出来ない場合は~残ったメンバーで落合い、逃走先を変更するみたいだから~追跡はできそうもないわ~」


 それじゃサラを犠牲にしてまで得た情報としてつり合いが取れないのでは!?

「盗まれた物を運ぶのは別のメンバーで~、こいつは残念ながら~……のようね~。聞き出せたのはこれだけよ~。後の処理は衛兵さんにお願いするわね~」

 盗まれたものはかえって来ない、追いかけることも出来ない、八方ふさがりじゃないか。

「ん? 後の処理ってなんだ?」

「それがね~、仲間を売る事になるのをよしとしなかったみたいで~、もうあの人は~」


 色仕掛けでしゃべってしまったけど仲間を裏切ったことになり良心の呵責で自害、か。盗賊にしておくのは勿体ない仲間思いのヤツだったんだな。

 

 その後、処理の仕方などを衛兵さんへ話を通したシェリーさんと、相変わらず微妙な表情のままのサラと一緒に宿に戻り一泊したのである。


 翌朝、朝食の席では俺、サラ、シェリーさん、ヤマト、うるさいヤツと全員が顔を揃えた。そして一度おさの所に顔を出して欲しいという伝言を貰ったので行くとして、その後の方針について話し合っていた。

 俺達としてはアダマンタイトにより装備の強化及びその研究をしばらくしたかったのだが、肝心のアダマンタイトが無くなったので一度拠点に戻ろうかと思う旨で話を進めていたのだが、そこに異を唱えたのはやっぱりヴァングルだった。

 ヴァングル曰く、一度王都に行くのを提案してきた。何故ならばヤマトの無事をせめて近しい人達にだけでも報告したいと。

 正直母親には伝える事ができているし、立場上王都では無事な姿を目撃されないほうがいい場面もありそうだ。なので反対しようとしたのだが。


「いいんじゃないかしら~。アダマンタイトが無い以上~私も王都でいろいろ買い出ししたかったのよね~」

 とヴァングルの意見にシェリーさんが乗っかったのだ。


 結局両方の意見を取り入れ、一旦王都に寄り用事を済ませてから拠点へと戻る話になり朝食後みんなでおさの所へと行ったのだ。




 そこでは予想外な事に……???
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