10 / 72
転生者
第9話
しおりを挟む
「間違いない、地下3階から地下4階に降りて来たフロアだ」
俺の目線の先にはストーンゴーレムの大群が迷宮を作って座っている光景が広がる。
「まさか隠し通路があったなんてね」
そうなのだ。ここの階段裏に分かりにくいが隠し通路があったのだ。
「どうしたの?顔色悪いわよ?」
「いや、何でもないよ。行こうか」
そう、俺はこの情報を知っていた。
いや、ただ知っていただけじゃない。買ったのだ。3倍の金額を吹っ掛けられて。
ただ、隠し通路があるというだけの情報だったが、よく考えたらあのストーンゴーレムがたくさんいるドデカいフロアで隠し通路なんて探せないだろう。
おそらく普通にここまで来てこのフロアを探索、そして見つけたんだろう。
俺は情報源について納得すると同時に情報戦で負けたような気持になっていた。
「でもよかったわ、帰りもあのストーンゴーレムの大群を相手にしないといけないと思っていたから助かったもの。もう回復薬とか使い切っていたのよね」
確かにそうなのだ。俺だって回復薬はもうない。今度は二人で挑めるとはいえ、ちょっと賭けになりそうではあったのだ。
「そうだね」
とだけ返事をして階段を上った。
帰り道はマッピングしていたこともあり迷うことは無かったし敵も脅威になるものはいなかった。そのためいろいろな事を考えてしまう。
あれこれ考えながら進んでいることはサラも感づいていただろうが、俺は研究者として思考を放棄できなかった。
そう、サラのことだ。
初めて会った時はストーンゴーレムの大群と戦闘中だった。
サラは主にその驚異的な素早さを生かして戦うタイプなので数による力押しは大変だったはずだ。だから無理な体制からの攻撃や回避も度々あった。それに地下5階ではアイアンゴーレム戦があった。十分とはいえないまでも戦うためのスペースが確保されている場所でサラは飛んだり跳ねたり走ったりかなり動き回っていたのだ。
なのに……
ミニスカートが捲れないのはなぜだ!!!?
素材が特殊……という線はなさそうだ。見た目、フィアールの街でもよく見かける素材だ。
それに普段歩く時だってその揺れ具合は普通の服だ。なのにあれだけ動き回って捲れないはずがない。そうだ、サラは戦闘中蹴りだってしていた。武器である如意棒を使わない時はむしろ蹴りが主体なのだ。
もちろん俺が蹴られるわけじゃないので角度的に中は見えないのだが。
ん?待てよ?蹴られる位置からなら流石に中が見えるんじゃないか?そりゃそうだろう。それで見えないのなら物理法則を改ざんでもしていることになるのだから。
だったら簡単だ。
やっと解決策が見つかった!
「なぁ、サラ。俺を蹴ってくれないか?」
「は?」
「いや、そんな難しい顔をしないでくれ。研究のため、引いては人類の為だ。お前も研究者なら分かるだろう?」
そう、これはあくまで、魔力筋がらみの研究ではないが、ミニスカートの研究だ。
知的好奇心に抗えないのは研究者として当然の話。
決して邪な気持ちで中が見たいわけじゃない!知っての通り俺は理性の塊だ。
そんな不埒な事はこれっぽっちも考えていないのだ。ただ、そのミニスカートの謎の為、ひいては人類の為だ!
最初は冷たい目で見られたような気もするが俺の研究熱意に負けたのか、ファイティングポーズを取ってくれた。
「よく分からないけど、蹴ればいいのね?」
サラの蹴りは驚くほど鋭い。そりゃ魔力筋を使っているのだ。獣人族の俺よりも速い蹴りを放つ。
だが俺が無策で危険を冒すと思うか?研究者は常に安全に留意して実験を行うものなのだよ。
つまり!顔を蹴るのであれば最初からガードしておけばいい。
どんなに強い蹴りであろうがガードする俺の腕にあるのもまた魔力筋を使った手甲なのだ。そして獣人族の身体能力の高さがあれば防御しておけばダメージも大したことは無い。
「ああ、手加減無用で頼む」
俺はボクサーのようにガードを固め、それでいて視線は観測対象である絶対領域の上、ミニスカートに釘付けになる。
「えいっ!」
サラの右足から放たれた常人では反応出来ないような蹴りが俺のガードの下、腹に突き刺さっていた。
そして蹴りの最中からその後までミニスカートの中は俺の視界に収まることもなく、意識を手放す羽目になったのだった。
◇
「気付いた?」
頭の後ろに柔らかい感触を味わいながら目を開けるとサラの顔が至近距離にあった。
これは……まさか膝枕!?
俺の記憶が正しければ膝枕とはファンタジー世界において稀によく発生するラッキーボーナス的な位置づけだったはずだ。
それが、今、俺の身に、起こっている!?
落ち着け。
そういえばここはまだダンジョン内だ。硬い地面に直接寝かせることも出来たはずなのにわざわざ俺を気遣ってくれたサラの事が更に愛おしくなって飛びついた!
「び、、びっくりするじゃない」
飛びついた俺の両手は見事に空を切りサラは飛びのいていた。
抱きしめる事が出来なかったのは非常に不本意ながら、現状を改めて確認すると腹の痛みが全くなかった。触ってみてもその痕跡もなかったのだ。
「あれ?」
「頼まれたとはいえケガさせたのは私だし、その、ちゃんと手当したから大丈夫だとは思うけど、その、ごめんね」
「回復魔法……か?」
「一応これでもエルフなのよ。一通りの魔法は使えるわ。近接戦闘中は無理だけど」
確かに、接近戦の最中に魔力を制御しつつイメージを整え対象と範囲と制限を決めながら行使するのは至難の業だ。それでも、エンカウントの可能性のあるダンジョンでこうして俺の為に回復魔法を使ってくれたことに感謝する。
「――ありがとう」
結局ミニスカートの謎は謎のままだが、膝枕というご褒美があったので今はお預けでいいと思えた。
「それで?研究とやらはどうだったの?」
「成功しなかった……」
「そうなの?もう一回する」
俺は先ほどの腹部の激痛を思い出し慌ててそれを断った。
サラの蹴りの威力は俺の魂に刻まれてしまったのだ……。
その後もどんな研究で何のために蹴りが必要だったのかしつこく聞かれたが曖昧に有耶無耶にフワッと暈して追及を逃れた。
◇
ちょっとトラブルもあったが俺達はダンジョンを抜ける事が出来た。
ダンジョンを出ると丁度朝日が昇っていた。俺達は長い間薄暗いダンジョンの中にいたのでその眩しさに目を細めた。
今回の探索はかなり有意義なものだったと言える。
「サラ、これからどうするんだ?」
「私はアインレーベを拠点にしているの。今回手に入れた素材はきっと研究をずっと進めるものになるわ」
そうだろう。俺もそう思う。だけどこのまま別れたくない。
「サラ、俺と一緒に住まないか?」
「!!!」
サラの反応は無言だった。あれ?ダメか?いやまぁその、言い方が悪かった?
「その、なんだ勘違いするなよ。俺はただその同じ転生者として一緒にいたほうが何かと都合もいいだろうし研究だってほら同じ内容の事をしているんだからお互いで協力すればその……」
なんだか普段女を口説く時にみたいに早口になっているような気がするが、何を言っているのか自分でもよく分からなくなってきた。
――そして考えるのをやめた。
「お前が好きだ!だから一緒にいよう!」
俺の目線の先にはストーンゴーレムの大群が迷宮を作って座っている光景が広がる。
「まさか隠し通路があったなんてね」
そうなのだ。ここの階段裏に分かりにくいが隠し通路があったのだ。
「どうしたの?顔色悪いわよ?」
「いや、何でもないよ。行こうか」
そう、俺はこの情報を知っていた。
いや、ただ知っていただけじゃない。買ったのだ。3倍の金額を吹っ掛けられて。
ただ、隠し通路があるというだけの情報だったが、よく考えたらあのストーンゴーレムがたくさんいるドデカいフロアで隠し通路なんて探せないだろう。
おそらく普通にここまで来てこのフロアを探索、そして見つけたんだろう。
俺は情報源について納得すると同時に情報戦で負けたような気持になっていた。
「でもよかったわ、帰りもあのストーンゴーレムの大群を相手にしないといけないと思っていたから助かったもの。もう回復薬とか使い切っていたのよね」
確かにそうなのだ。俺だって回復薬はもうない。今度は二人で挑めるとはいえ、ちょっと賭けになりそうではあったのだ。
「そうだね」
とだけ返事をして階段を上った。
帰り道はマッピングしていたこともあり迷うことは無かったし敵も脅威になるものはいなかった。そのためいろいろな事を考えてしまう。
あれこれ考えながら進んでいることはサラも感づいていただろうが、俺は研究者として思考を放棄できなかった。
そう、サラのことだ。
初めて会った時はストーンゴーレムの大群と戦闘中だった。
サラは主にその驚異的な素早さを生かして戦うタイプなので数による力押しは大変だったはずだ。だから無理な体制からの攻撃や回避も度々あった。それに地下5階ではアイアンゴーレム戦があった。十分とはいえないまでも戦うためのスペースが確保されている場所でサラは飛んだり跳ねたり走ったりかなり動き回っていたのだ。
なのに……
ミニスカートが捲れないのはなぜだ!!!?
素材が特殊……という線はなさそうだ。見た目、フィアールの街でもよく見かける素材だ。
それに普段歩く時だってその揺れ具合は普通の服だ。なのにあれだけ動き回って捲れないはずがない。そうだ、サラは戦闘中蹴りだってしていた。武器である如意棒を使わない時はむしろ蹴りが主体なのだ。
もちろん俺が蹴られるわけじゃないので角度的に中は見えないのだが。
ん?待てよ?蹴られる位置からなら流石に中が見えるんじゃないか?そりゃそうだろう。それで見えないのなら物理法則を改ざんでもしていることになるのだから。
だったら簡単だ。
やっと解決策が見つかった!
「なぁ、サラ。俺を蹴ってくれないか?」
「は?」
「いや、そんな難しい顔をしないでくれ。研究のため、引いては人類の為だ。お前も研究者なら分かるだろう?」
そう、これはあくまで、魔力筋がらみの研究ではないが、ミニスカートの研究だ。
知的好奇心に抗えないのは研究者として当然の話。
決して邪な気持ちで中が見たいわけじゃない!知っての通り俺は理性の塊だ。
そんな不埒な事はこれっぽっちも考えていないのだ。ただ、そのミニスカートの謎の為、ひいては人類の為だ!
最初は冷たい目で見られたような気もするが俺の研究熱意に負けたのか、ファイティングポーズを取ってくれた。
「よく分からないけど、蹴ればいいのね?」
サラの蹴りは驚くほど鋭い。そりゃ魔力筋を使っているのだ。獣人族の俺よりも速い蹴りを放つ。
だが俺が無策で危険を冒すと思うか?研究者は常に安全に留意して実験を行うものなのだよ。
つまり!顔を蹴るのであれば最初からガードしておけばいい。
どんなに強い蹴りであろうがガードする俺の腕にあるのもまた魔力筋を使った手甲なのだ。そして獣人族の身体能力の高さがあれば防御しておけばダメージも大したことは無い。
「ああ、手加減無用で頼む」
俺はボクサーのようにガードを固め、それでいて視線は観測対象である絶対領域の上、ミニスカートに釘付けになる。
「えいっ!」
サラの右足から放たれた常人では反応出来ないような蹴りが俺のガードの下、腹に突き刺さっていた。
そして蹴りの最中からその後までミニスカートの中は俺の視界に収まることもなく、意識を手放す羽目になったのだった。
◇
「気付いた?」
頭の後ろに柔らかい感触を味わいながら目を開けるとサラの顔が至近距離にあった。
これは……まさか膝枕!?
俺の記憶が正しければ膝枕とはファンタジー世界において稀によく発生するラッキーボーナス的な位置づけだったはずだ。
それが、今、俺の身に、起こっている!?
落ち着け。
そういえばここはまだダンジョン内だ。硬い地面に直接寝かせることも出来たはずなのにわざわざ俺を気遣ってくれたサラの事が更に愛おしくなって飛びついた!
「び、、びっくりするじゃない」
飛びついた俺の両手は見事に空を切りサラは飛びのいていた。
抱きしめる事が出来なかったのは非常に不本意ながら、現状を改めて確認すると腹の痛みが全くなかった。触ってみてもその痕跡もなかったのだ。
「あれ?」
「頼まれたとはいえケガさせたのは私だし、その、ちゃんと手当したから大丈夫だとは思うけど、その、ごめんね」
「回復魔法……か?」
「一応これでもエルフなのよ。一通りの魔法は使えるわ。近接戦闘中は無理だけど」
確かに、接近戦の最中に魔力を制御しつつイメージを整え対象と範囲と制限を決めながら行使するのは至難の業だ。それでも、エンカウントの可能性のあるダンジョンでこうして俺の為に回復魔法を使ってくれたことに感謝する。
「――ありがとう」
結局ミニスカートの謎は謎のままだが、膝枕というご褒美があったので今はお預けでいいと思えた。
「それで?研究とやらはどうだったの?」
「成功しなかった……」
「そうなの?もう一回する」
俺は先ほどの腹部の激痛を思い出し慌ててそれを断った。
サラの蹴りの威力は俺の魂に刻まれてしまったのだ……。
その後もどんな研究で何のために蹴りが必要だったのかしつこく聞かれたが曖昧に有耶無耶にフワッと暈して追及を逃れた。
◇
ちょっとトラブルもあったが俺達はダンジョンを抜ける事が出来た。
ダンジョンを出ると丁度朝日が昇っていた。俺達は長い間薄暗いダンジョンの中にいたのでその眩しさに目を細めた。
今回の探索はかなり有意義なものだったと言える。
「サラ、これからどうするんだ?」
「私はアインレーベを拠点にしているの。今回手に入れた素材はきっと研究をずっと進めるものになるわ」
そうだろう。俺もそう思う。だけどこのまま別れたくない。
「サラ、俺と一緒に住まないか?」
「!!!」
サラの反応は無言だった。あれ?ダメか?いやまぁその、言い方が悪かった?
「その、なんだ勘違いするなよ。俺はただその同じ転生者として一緒にいたほうが何かと都合もいいだろうし研究だってほら同じ内容の事をしているんだからお互いで協力すればその……」
なんだか普段女を口説く時にみたいに早口になっているような気がするが、何を言っているのか自分でもよく分からなくなってきた。
――そして考えるのをやめた。
「お前が好きだ!だから一緒にいよう!」
0
お気に入りに追加
113
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
【完結】結婚式前~婚約者の王太子に「最愛の女が別にいるので、お前を愛することはない」と言われました~
黒塔真実
恋愛
挙式が迫るなか婚約者の王太子に「結婚しても俺の最愛の女は別にいる。お前を愛することはない」とはっきり言い切られた公爵令嬢アデル。しかしどんなに婚約者としてないがしろにされても女性としての誇りを傷つけられても彼女は平気だった。なぜなら大切な「心の拠り所」があるから……。しかし、王立学園の卒業ダンスパーティーの夜、アデルはかつてない、世にも酷い仕打ちを受けるのだった―― ※神視点。■なろうにも別タイトルで重複投稿←【ジャンル日間4位】。
【R18】義弟ディルドで処女喪失したらブチギレた義弟に襲われました
春瀬湖子
恋愛
伯爵令嬢でありながら魔法研究室の研究員として日々魔道具を作っていたフラヴィの集大成。
大きく反り返り、凶悪なサイズと浮き出る血管。全てが想像以上だったその魔道具、名付けて『大好き義弟パトリスの魔道ディルド』を作り上げたフラヴィは、早速その魔道具でうきうきと処女を散らした。
――ことがディルドの大元、義弟のパトリスにバレちゃった!?
「その男のどこがいいんですか」
「どこって……おちんちん、かしら」
(だって貴方のモノだもの)
そんな会話をした晩、フラヴィの寝室へパトリスが夜這いにやってきて――!?
拗らせ義弟と魔道具で義弟のディルドを作って楽しんでいた義姉の両片想いラブコメです。
※他サイト様でも公開しております。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
妹に陥れられ処刑決定したのでブチギレることにします
リオール
恋愛
実の妹を殺そうとした罪で、私は処刑されることとなった。
違うと言っても、事実無根だとどれだけ訴えても。
真実を調べることもなく、私の処刑は決定となったのだ。
──あ、そう?じゃあもう我慢しなくていいですね。
大人しくしてたら随分なめられた事態になってしまったようで。
いいでしょう、それではご期待通りに悪女となってみせますよ!
淑女の時間は終わりました。
これからは──ブチギレタイムと致します!!
======
筆者定番の勢いだけで書いた小説。
主人公は大人しく、悲劇のヒロイン…ではありません。
処刑されたら時間が戻ってやり直し…なんて手間もかけません。とっととやっちゃいます。
矛盾点とか指摘したら負けです(?)
何でもオッケーな心の広い方向けです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる