頭脳派脳筋の異世界転生

気まぐれ八咫烏

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転生者

第5話

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「ハァ…ハァ…ハァ…つっかれたーーー!!」



 俺は気合でこの難局を乗り切ったのだ。

 体中傷だらけだしスタミナも尽きたし回復薬も使い切った。もうこの先自然回復だけで乗り切るしかない。

 このダンジョンが階段フロア安地システムでよかった。



 スタミナが回復するまでしばらく動けそうにないので収納庫インベントリから水と簡易食料を取り出して補給を開始する。



「水うめぇええええ」



 しかしよく考えたらほとんどストーンゴーレムの素材回収できなかったな。スタミナ回復したらちょっと回収していこうかな。

 安地フロアから今通って来た場所を見ていると、遥か遠く、地下4階に降りて来た一つの人影があった。



 今なら俺がかなりの数倒したしまだ全部は復活していないから俺よりは多少楽に通れるかもな。なーんて観戦者モードで座ってみていたら、その人影は驚く動きをした。





 人影をよく見ると、向こうの階段フロアから走り出し、手に持っている長い棒を地面につけると棒高跳びのように一気に浮上し飛んだ!





 ……そしてフロア真ん中あたりに落ちた。







「おい、全然届いてないじゃねーか!」



 死んだか?

 思い落ちた辺りを見るとストーンゴーレムが激しく戦っているところを見えたので、とりあえず無事らしい。





頑張って戦っているようだが……。





 これは助けるべきか?いや、数が減っているとはいえこれだけの数のストーンゴーレムがいるのは見たら分かる。そこに一人で突っ込んでいくなんて自殺志願者としか思えない!こういうアホな手合いは放置に限る。





 フロアの半分ほどまで飛んできて距離が縮まったので多少姿が見えそうだ。



 きっとかなりの間抜け面なんだろうな。


 ちょっと興味本位で見ているとストーンゴーレムの隙間からチラッと見えるその姿は……。





「今助けるぞー!!!」





 大声を上げながら俺は再びストーンゴーレムの海へと自ら飛び込んで行ったのだった。





 一応さっき少し休んだので体は動く。それに俺の声が届いたのかあちらの戦場もどうやらこちらを目指して来ているようだ。少しずつその距離は縮まり間にいた最後の一体のストーンゴーレムを殴り飛ばす。





そこには――





 黒い髪、白い長い耳、細身の腕、白い肌、慎ましくも存在を主張する胸、縊れたウエスト、動くたびに揺れ動くミニスカート、ニーハイブーツとその間にある絶対領域!

 やや幼く見えるが十分に、いや十二分に可愛い顔!



……惚れた。



「こんにちは!僕ゲンスイって言います15歳です。いい天気ですね!こんな所で会うなんて奇遇ですがきっと運命ですよ!どうですか?ちょっとそこに安地があるので一緒にそこでお話しませんか?スキンシップなら得意なんです何も怖くないですよしっかりリードしますので二人の愛の結晶を作りませんか?」



 相変わらず少し早口になってしまったが挨拶から無難な天気の話題、さり気ないジョークを挟みつつ愛を囁く。我ながら完璧な口説き文句に100点をあげたい!100点満点をあげちゃいたい!!



「ちょっ!!あんたアホですかー!?」

 俺の口説き文句に堕ちた少女は照れ隠しによく分からない事を叫んでいた。



 必死で叫ぶ姿も可愛い……


「うしろ!!しむら!!うしろーーー!!!」

 直後、俺は愛の衝撃が全身に走る。

 まるで真後ろにいたストーンゴーレムの一撃を無防備な背後にくらったような衝撃だった。





 いつも以上にビビッときたー!!!!っていうか、周りがうるさいな!



「お前ら邪魔じゃーーーー!!!」





 目の前にいる嫁との逢瀬を邪魔する不届きものを殴って殴って蹴りまくって殴った。











 30分後、俺達はなんとか安地まで辿り着くことが出来た。俺はもう体力もスタミナもスッカラカンだったが倒れるわけにはいかなかった。これから大人による大人の為の、大人になる為のでもある夜の戦いがあるのだから!



「ハァ…ハァ…ハァ…助かりました」

 息を乱している姿も可愛ぇ~。



「君みたいな可愛い子が一人で危ないじゃないか。たまたま、俺がいたのは運命だったのだろうけど君の命は君だけの物じゃないんだ。気を付けないと!」



「そうですね、すみません。ありがとうございます」



「少し休もうか」



「そう……ですね」



 俺は大人の戦いを前に休憩を提案したところ受け入れてもらえた。



 俺が倒れそうなのは事実だが、この少女もまた体力の限界っぽいのだ。大人の戦いの最中で戦線離脱されるわけにもいかない。



まずは彼女の体力を回復させなくては。



「お名前聞いてもいいですか?」

 少女の顔をまっすぐ見つめ、努めて紳士に名前を聞くと少し照れたように、でも笑顔で答えてくれた。



「サラよ。よろしくね、ゲンスイさん」



 ……惚れた。



 あれ?違うな。惚れなおした、も違う。惚れ惚れした。





 俺達は休憩しつつもお互いの話をした。







――そして衝撃の事実が!!
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