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水の精霊編
深夜の訪問者(エロくないよ!)
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俺達は部屋にあった大きめのベッドに川の字に並んで寝た。
寝た・・・というか、寝ようとした。
が、しばらくすると股間に違和感が・・・。
!!!
「おいレン!何してるんだ?」
レンはいつの間にか布団に潜り込んで俺の股間をサワサワしてる。
「え? 性奴隷ですからご主人様にご奉仕しようかと」
「まて」
「はい?」
「やはり勘違いしているようだからハッキリ言っておくが、俺はお前を性奴隷と見てはいない。というか、俺達はまだ10歳だぞ? 性欲もなにもない体なんだ」
「ええ? そうなのですか?」
なぜ驚く。
「私が10歳のころにはもう十分な性欲がありましたよ?」
「まぁ、こういうのは個人差があるんだろう。少なくとも今の俺にはない」
そうなのだ。悲しいことにこの体はまだ性的なものを受け付けるだけの成長をしていないのだ。
「そうですか……。ではケン様にはサキュバスを、ライカ様にはインキュバスを召喚しますのでお早い成長を……」
何だかよからぬ魔力を感じる。
「まてーーーい!」
「はい?」
「だから、やめろと言っているんだ。ライカもいるんだし教育上よろしくありません!!」
チラッとライカを見ると、ポカンとしていた。
よかった、何の話をしているのか理解してなさそうだ。
「しかし、幼いうちからこれらに触れておくことでより成長を促せるという研究結果が……」
「要りません。もう俺の許可なくそれらの召喚魔法は禁止する! いいな!」
「……はい」
俺がピシャリと言い切ったため反論をあきらめたようだ。
「もう寝るぞ」
「わかりました。おやすみなさいませご主人様、ライカ様」
「うん、おやすみ」
「おやすみ」
やっと平穏な世界が訪れた。
これでゆっくり眠れそうだ。
コンコン
ん?
コンコン
ドアをノックする音か。
「誰だこんな時間に?」
俺はこの町に知り合いなんていないぞ?
コンコンッ
「ライカ、レン、一応身構えておけ。俺が出てみる」(小声)
「うん、わかった。気をつけてね」(小声)
「わかりました」(小声)
俺は一人ドアの前まで移動した。
コンコン
「誰だ?」
「た、たすけて……ください」
ん?子供の声だ。しかもなんか弱弱しい。
しかし、それで油断させるってこともありえるか。
「誰だ?」
ガタッ
え?ドアの前で倒れた??
ガチャッ
俺はそっと扉を開け、周りの様子を見る。
ドアの前には村人基本服装の子供が一人倒れていた。そして周りには人の気配はなかった。
「お、おい、大丈夫か?」
よく見ると、あちこちにケガをしているようだ。
熱でもあるのか顔が赤くなっており、意識レベルも低そうだ。
「おい、しっかりしろ!」
俺はこの子供を抱きかかえるととりあえず部屋に入れた。
ライカとレンが俺の動きから手伝いに来てくれた。
「わ! この子、すごい熱だよ」
おでこに手を当てていたライカ。
「ああ、それにあちこちにケガもしているみたいだ」
「まずは治療だね。【小回復】」
ライカは手をかざしたまま回復魔法をかける。
すると、見る見るうちに苦しそうな呼吸が楽そうな呼吸になりただ眠っているだけになった。
「あちこちケガをしているみたいだったけど、そこが炎症を起こして熱まで出ていたっぽいね」
「ケン様は医療学の知識をお持ちなのですか?」
そんなもの、持ち合わせておりません。
「いや、それっぽいことを言ってみただけだ」
ごまかしてみたが、たぶん合ってるんだと思う。
「しかし、かなり体が汚れているな。お湯でふき取っておくか」
「分かりました」
レンはそういうと魔法でお湯を作り出し桶に入れた。
そして子供の服を脱がすと手ぬぐいで汚れを拭いていった
「この服もかなり汚れていますのでついでに洗っておきますね」
体を拭き終わると桶に服を入れて石鹸をつけて洗った。まぁ、汚い汚い。ケガをしていたときの血がついてるだけではなく、泥汚れがこびりついてなかなか泡立たないから4回ほど洗って、やっと泡立つようになった。5回目でとりあえず汚れは落ちたっぽいから洗うのをやめて絞り、温風を出して乾かした。
血汚れを落とすときはお湯を使わないで洗っていたのでレンの家事スキルもなかなか……いやどうでもいいか。
すっかりキレイになったので服を着せて再度ベッドに寝かせた。
回復魔法でケガなんかは治っているだろうけど、体力までは回復できないからこればかりは仕方ない。
起きるのを待つか。
「それにしても一晩で二人も怪我人を治療することになるとはな」
「ホントだね。でもさ、よく見るとこの子、最初にケガを治した子と似てない?」
似てると言われれば似てるような気もする。でもま、子供ってだいたいこんな顔じゃないか?
と思ったが、それは言わない。
「でも、この子よりもう少し大きかったよね」
前世基準で言うと、最初の子は中学生くらい、この子はどう見ても小学生くらいだ。
しばらくすると、目が覚めたらしい。
「う……うん……ここは??」
「大丈夫かい? ここは宿の一室だよ。君、自分でここに来たの覚えてる?」
しばらく呆けているような顔だったが、だんだん意識が戻ってきたのか真面目な顔になった。
そして、上体を起こすと自分のケガが無い事や服がきれいになっていることにも気づいたようだ。
「君、部屋の前でケガして倒れたんだよ。とりあえず介抱して、服も洗っておいた」
「あ、ありがとうございます!助けてもらった上にこんなこと言いにくいのですが、助けてください!」
「ん? まだどっか痛いの?」
ライカが念のため手を差し伸べた。
「いえ、僕じゃなくて弟を助けてもらえませんか」
「ふむ、何やら切羽詰まった状態らしいが俺達には何が起こっているのかさっぱり分からん」
「最初から、お話してくれるかな? まず、お名前教えてくれる?」
関係ないけどこういう時、やっぱり女の子の方が優しく話せるんだなぁと実感してみたり。
「あ、はい。僕はカイロスです」
「そっか、カイロス君だね。それでどうしてここに来たの?」
「兄ちゃんを助けてくれているのを見て、同じように弟を助けてほしくて……」
「お兄ちゃんっていうのは、この近くの裏道で倒れてた子かな?」
「はい。兄ちゃんはみなさんに関わっちゃいけないって言ってたけど、弟も俺達と同じようにケガをしてて」
同じ位のケガをしているなら、ほっとけばヤバイかもしれない。
「その弟がいる場所は近いのか?」
カイロスとライカの会話に割って入る。
「はい、少し歩きますが近くです」
「わかった、じゃあ行きながら詳しい話は聞こう。まずはそこに案内してくれ」
「あ、ありがとうございます!」
そういって立ち上がった。
宿を出るとこの裏通りからさらに横道に入っていきどんどん進むが俺達は暗がりの中、逸れないように付いて行った。
15分位歩いただろうか。
町の中にある川、というか用水路に降りて行った。
かろうじて水が流れるところよりも高いところにメンテナンス用の通路があるため水に濡れる事はなかった。ほぼ、汚水が流れているからできれば触りたくない。
しばらく川に沿って、というか川の中?を進んでいくと、トンネルがあった。
身をかがめるとその中に入るとさらに進む。
これはスラムの子供っていうか、ホームレス的ポジションじゃないだろうか。
暗いトンネルの中でもヒカリゴケが少し生えているため、辛うじて視界を確保できた。
トンネルに入って5分程進むと少しだけ足場が広い部分があった。
そしてそこには木と布で作られた家?的なものがあった。
段ボールハウスみたいなもんか。
「兄ちゃん! 戻ったよ!」
そういうとカイロスは家の中に入っていった。
といっても、大きさは2畳程度だし高さも1メートル位なので屈んで入ってまだ足は出ている。
「カイロス! よかった無事だったんだな! ここに戻ってきてないから心配したんだぞ!」
「うん、僕は大丈夫。それより兄ちゃん、フィルは大丈夫? 助けを呼んできたよ!」
「助けだと? まさか。バカヤロウ! なんで助けなんて呼ぶんだ! ダメだって言ったじゃないか」
「だって、フィルが……このままだとフィルが……」
「くそう。フィルのためだ。仕方ない。入ってもらえ」
そういうと、カイロスが出て来た。
「こちらです。どうぞ」
俺とライカが家の中に入ってみる。
暗い。
「【照光】」
天井が近いのでかなり弱めに魔法を使った
「うわっ!」
驚いた少年が声を上げた。
入ってみて分かったが、奥にカイロスより少し小さな子供が寝ていて、その横に路地で助けた少年が座っていた。つまり、俺達が入る余裕がほとんどないのだ。
「この子が弟のフィル君か」
様子を見ると、路地で助けた少年やカイロスと同様に体中あちこちにケガをしているようだった。
それにすでに意識を失っているようで苦しそうな呼吸をしていた。やはりこの子も炎症を起こして熱があるようだ。
「大変!すぐ治してあげるね!【小回復】」
ライカはケガをしている子を見るやすぐに手を差し伸べ、回復魔法を使った
するとケガがどんどん治っていった。呼吸も落ち着いてきたようだ。
しかし意識はないままだ。
「ふぅ。これでケガは治ったと思うけど、かなり体力が落ちていたみたいだからしばらく寝かせてあげなきゃね。けど、その前に……」
そこまで言うとライカはフィルの服を脱がせた。
「こんなに汚いままだと体に良くないから、きれいにしてあげなきゃね」
フィルもケガで血が滲んでいたり泥汚れで汚かった。
俺は土魔法で桶を、水魔法で温水を作るとフィルの横に置いた。
ライカが布でフィルの体を清めて行く。
「じゃあ俺達は外で服を洗おうか。そっちの君、えーと?」
「スピカ」
「じゃあスピカ君も脱いじゃいな。一緒に洗うから」
「お、俺はいいよ……」
ん?
ははーん、そういう事か。俺はピンときた。
少年は、ライカのほうを意識しながら顔を赤くしてやがる。女の子の前で脱ぐのが恥ずかしいのか。
「じゃあ、フィルはライカに任せて俺と一緒に服を洗うのを手伝ってくれ」
といいながら少年を引っ張り出した。
家の中は光源を確保したが、出るとヒカリゴケだけでは暗い。
「【照光】」
俺は外にも光源を確保すると土魔法で桶、水魔法でお湯を作った。
「服を洗えばいいのですね、私がやります」
「いや、レン。構わない。これは俺とこの子で洗うから」
そういうと引っ張り出した少年にも手伝わせて洗う。
といっても一着の子供服を二人で洗うとなると洗いにくい。
俺は洗う素振りをしながらわざと少年にお湯をかけた。
ビシャッ!
「うわっ」
「ああ、ごめんごめん」
「なんにすんだ」
「ごめんって。わざとじゃないよ! ホントだよ! でもそのままじゃ風邪をひいちゃうね! 仕方ないから一緒に洗っちゃおう!」
俺は棒読みでそれだけ伝えると、少年の服を脱がせお湯の中にツッコんだ。
服を脱がされた少年は恥ずかしそうに股間を隠して後ろを向いている。
俺は魔法の石鹸を取り出すと、2着の服に石鹸をつけて洗う。すすぐ。洗う。すすぐ。
やっぱり5回程洗い続けてやっとキレイになった。
少年は恥ずかしそうに後ろを向いているがこちらが気になるのか首だけで振り返ってちらちら見ている。
「こっちは体をキレイに出来たよ。そっち手伝おうか?」
家の中からライカの声がする。
少年はビクッとしておろおろしている様子が可愛い。
が、助けてやるか。
「いや、こっちは大丈夫だ。もうしばらくそっちを見ていてあげてくれるかな」
「わかった」
ライカの返事を聞いて少年はホッとしていた。
そうこうしている間に魔法で温風を作り服を乾かしていく。
乾かしている間、少年を見るとやっぱりこの子も汚れている。
俺は桶に綺麗なお湯を作ると、布を少年に渡した。
「これで今の内に綺麗にしとくといいよ」
ライカがすぐに出てこないことが分かった少年は素直に俺の指示に従ってお湯で体を拭きはじめた。
俺は服が乾いたのを確認し少年に渡してあげると、すぐに服を着た。
そしてもう一つの服を持って家に入ると、ライカと一緒に寝ているフィルに着せてあげたて家を出た。
「よし、これでいいだろう。とりあえずケガも治ったし汚れも取れたしな」
「あ、ありがとう。あんた達余所者だろ? なんで俺達にここまでしてくれるんだ?」
「あれ? 完璧に町人に成りすましていたのになんで余所者って分かった?」
「俺達のようなホームレスに関わるヤツなんてこの町にはいないからな。それに魔法を使った」
「この町にだって魔法を使える人くらいいるだろう?」
まぁ、確かに詠唱はしてないからその点を突かれると弱いかも。
「魔法を使える人はいるけど、回復魔法を使える人はいないんだ」
「どういう事だ? この町にだって治療院くらいあるだろう? それに冒険者だったら回復魔法を使える人だっているだろうし」
「いない。みんな兵隊が連れて行ってしまうから」
「なんで?」
「知らない。でも領主の家が緊急事態だからって言って連れて行ってしまうんだ。だからこの町に回復魔法を使える人はいない」
「緊急事態ってやつか。で、領主の家では何があったんだ?」
そもそも俺達が潜入なんて真似をしなければいけないのもその緊急事態ってやつのせいだ。だが、詳しい内容は知らない。
「知らねーよ! あんな奴ら!」
あらら、この子達でも知らないのか。
「そっか。まぁ、それはおいといてーだ。君たち兄弟だろ? なんでそろいもそろってケガしてたんだ?」
「それは……いや、余所者のあんた達には関係ない」
そりゃまぁ、この状態を見ておいて3人そろって階段から落ちてケガしましたなんて事ではないことは分かる。それなりに理由があるんだろう?
「まぁ、内緒にしといてもらえると助かるが俺達はこの町の人間じゃない。だからこの町のルールとかいまいち分からないけどもしかしたら力になれるかもよ?」
「兄ちゃん、助けてもらったのにあんまりじゃ……」
「お前は黙ってろ」
うーん、お兄ちゃん強情ね。
俺はライカに目線を送った。ライカも分かってくれたみたいで、頷いた。
「ねぇスピカ君。ボク達の事がそんなに信用できないのかな?」
「ぅえ!? えと、信用できないわけじゃ……」
「だったら、なんで?」
ライカはスピカの正面から目を合わせて聞く。
「は、はひ……」
いっちょ前に顔を赤らめて目線は泳ぎまくっている。
こいつ、分かりやすすぎ。
確実に同年代の女の子と話したことがないな。そうじゃなくてもうちのライカちゃんは可愛いしな。
当のライカは色恋沙汰のお年頃ではないから君の思いは通じないが。
「兄ちゃん……」
そんな情けない兄を見てカイロスが呟いた。
「お、おいカイロス。お前はそろそろ仕事に行ってこい! 夜が明けたら仕事にならねーだろ」
「わ、わかったよ」
「くれぐれもあいつらには気をつけろよ」
「うん、じゃあ行ってくるね」
そう言ってカイロスは来た道を戻っていった。
「お仕事ってどんな事してるの? まさか、悪い事じゃないよね?」
「いや、食堂とかのごみ置き場から食料を調達してるだけでございますです」
言葉遣いおかしなことになってるよ? 分かるからいいけども。
いや、なんかその話し方を聞いているのが面倒だ。俺が聞こう。
「弟たちと一緒に生きていくためだからそういうのも仕方ないのかもしれないけど、ちゃんとしたお仕事は出来ないの?」
「もう少し大きくなったら俺が冒険者になってちゃんと稼ぐつもりだよ。去年冒険者ギルドに行った時はまだ子供だから駄目だって言われたんだ」
お?俺が聞いてもちゃんと答えてくれるようになったか。
「そうなの? スピカっていくつ?」
「今年で13だ」
それはおかしい。俺達は10歳で冒険者登録できたぞ。
「冒険者になるための条件って町によって違うのかな?ボク達は10歳で冒険者になったよ」
「そうなのでありますか?」
ライカが聞いた時だけ変な言葉遣いになるなって。
「ほら、これが俺の冒険者カードだ」
そういって俺の冒険者カードを見せてやった。
「ケン=アーノルド?」
「ああ、まだ名乗ってなかったな。気軽にケンって呼んでくれ。港にパーティーの他のメンバーもいるが、町に潜入してるのは俺達3人だ」
「本当に冒険者なんだ……」
「まぁ今度冒険者ギルドに行ってちゃんと話を聞いてみたらいいよ。10歳で冒険者登録した人もいるって言ってみたらどうかな」
「わかった、そうする」
「で?」
話が横道に逸れたが本題の続きを促す。
「実は――」
寝た・・・というか、寝ようとした。
が、しばらくすると股間に違和感が・・・。
!!!
「おいレン!何してるんだ?」
レンはいつの間にか布団に潜り込んで俺の股間をサワサワしてる。
「え? 性奴隷ですからご主人様にご奉仕しようかと」
「まて」
「はい?」
「やはり勘違いしているようだからハッキリ言っておくが、俺はお前を性奴隷と見てはいない。というか、俺達はまだ10歳だぞ? 性欲もなにもない体なんだ」
「ええ? そうなのですか?」
なぜ驚く。
「私が10歳のころにはもう十分な性欲がありましたよ?」
「まぁ、こういうのは個人差があるんだろう。少なくとも今の俺にはない」
そうなのだ。悲しいことにこの体はまだ性的なものを受け付けるだけの成長をしていないのだ。
「そうですか……。ではケン様にはサキュバスを、ライカ様にはインキュバスを召喚しますのでお早い成長を……」
何だかよからぬ魔力を感じる。
「まてーーーい!」
「はい?」
「だから、やめろと言っているんだ。ライカもいるんだし教育上よろしくありません!!」
チラッとライカを見ると、ポカンとしていた。
よかった、何の話をしているのか理解してなさそうだ。
「しかし、幼いうちからこれらに触れておくことでより成長を促せるという研究結果が……」
「要りません。もう俺の許可なくそれらの召喚魔法は禁止する! いいな!」
「……はい」
俺がピシャリと言い切ったため反論をあきらめたようだ。
「もう寝るぞ」
「わかりました。おやすみなさいませご主人様、ライカ様」
「うん、おやすみ」
「おやすみ」
やっと平穏な世界が訪れた。
これでゆっくり眠れそうだ。
コンコン
ん?
コンコン
ドアをノックする音か。
「誰だこんな時間に?」
俺はこの町に知り合いなんていないぞ?
コンコンッ
「ライカ、レン、一応身構えておけ。俺が出てみる」(小声)
「うん、わかった。気をつけてね」(小声)
「わかりました」(小声)
俺は一人ドアの前まで移動した。
コンコン
「誰だ?」
「た、たすけて……ください」
ん?子供の声だ。しかもなんか弱弱しい。
しかし、それで油断させるってこともありえるか。
「誰だ?」
ガタッ
え?ドアの前で倒れた??
ガチャッ
俺はそっと扉を開け、周りの様子を見る。
ドアの前には村人基本服装の子供が一人倒れていた。そして周りには人の気配はなかった。
「お、おい、大丈夫か?」
よく見ると、あちこちにケガをしているようだ。
熱でもあるのか顔が赤くなっており、意識レベルも低そうだ。
「おい、しっかりしろ!」
俺はこの子供を抱きかかえるととりあえず部屋に入れた。
ライカとレンが俺の動きから手伝いに来てくれた。
「わ! この子、すごい熱だよ」
おでこに手を当てていたライカ。
「ああ、それにあちこちにケガもしているみたいだ」
「まずは治療だね。【小回復】」
ライカは手をかざしたまま回復魔法をかける。
すると、見る見るうちに苦しそうな呼吸が楽そうな呼吸になりただ眠っているだけになった。
「あちこちケガをしているみたいだったけど、そこが炎症を起こして熱まで出ていたっぽいね」
「ケン様は医療学の知識をお持ちなのですか?」
そんなもの、持ち合わせておりません。
「いや、それっぽいことを言ってみただけだ」
ごまかしてみたが、たぶん合ってるんだと思う。
「しかし、かなり体が汚れているな。お湯でふき取っておくか」
「分かりました」
レンはそういうと魔法でお湯を作り出し桶に入れた。
そして子供の服を脱がすと手ぬぐいで汚れを拭いていった
「この服もかなり汚れていますのでついでに洗っておきますね」
体を拭き終わると桶に服を入れて石鹸をつけて洗った。まぁ、汚い汚い。ケガをしていたときの血がついてるだけではなく、泥汚れがこびりついてなかなか泡立たないから4回ほど洗って、やっと泡立つようになった。5回目でとりあえず汚れは落ちたっぽいから洗うのをやめて絞り、温風を出して乾かした。
血汚れを落とすときはお湯を使わないで洗っていたのでレンの家事スキルもなかなか……いやどうでもいいか。
すっかりキレイになったので服を着せて再度ベッドに寝かせた。
回復魔法でケガなんかは治っているだろうけど、体力までは回復できないからこればかりは仕方ない。
起きるのを待つか。
「それにしても一晩で二人も怪我人を治療することになるとはな」
「ホントだね。でもさ、よく見るとこの子、最初にケガを治した子と似てない?」
似てると言われれば似てるような気もする。でもま、子供ってだいたいこんな顔じゃないか?
と思ったが、それは言わない。
「でも、この子よりもう少し大きかったよね」
前世基準で言うと、最初の子は中学生くらい、この子はどう見ても小学生くらいだ。
しばらくすると、目が覚めたらしい。
「う……うん……ここは??」
「大丈夫かい? ここは宿の一室だよ。君、自分でここに来たの覚えてる?」
しばらく呆けているような顔だったが、だんだん意識が戻ってきたのか真面目な顔になった。
そして、上体を起こすと自分のケガが無い事や服がきれいになっていることにも気づいたようだ。
「君、部屋の前でケガして倒れたんだよ。とりあえず介抱して、服も洗っておいた」
「あ、ありがとうございます!助けてもらった上にこんなこと言いにくいのですが、助けてください!」
「ん? まだどっか痛いの?」
ライカが念のため手を差し伸べた。
「いえ、僕じゃなくて弟を助けてもらえませんか」
「ふむ、何やら切羽詰まった状態らしいが俺達には何が起こっているのかさっぱり分からん」
「最初から、お話してくれるかな? まず、お名前教えてくれる?」
関係ないけどこういう時、やっぱり女の子の方が優しく話せるんだなぁと実感してみたり。
「あ、はい。僕はカイロスです」
「そっか、カイロス君だね。それでどうしてここに来たの?」
「兄ちゃんを助けてくれているのを見て、同じように弟を助けてほしくて……」
「お兄ちゃんっていうのは、この近くの裏道で倒れてた子かな?」
「はい。兄ちゃんはみなさんに関わっちゃいけないって言ってたけど、弟も俺達と同じようにケガをしてて」
同じ位のケガをしているなら、ほっとけばヤバイかもしれない。
「その弟がいる場所は近いのか?」
カイロスとライカの会話に割って入る。
「はい、少し歩きますが近くです」
「わかった、じゃあ行きながら詳しい話は聞こう。まずはそこに案内してくれ」
「あ、ありがとうございます!」
そういって立ち上がった。
宿を出るとこの裏通りからさらに横道に入っていきどんどん進むが俺達は暗がりの中、逸れないように付いて行った。
15分位歩いただろうか。
町の中にある川、というか用水路に降りて行った。
かろうじて水が流れるところよりも高いところにメンテナンス用の通路があるため水に濡れる事はなかった。ほぼ、汚水が流れているからできれば触りたくない。
しばらく川に沿って、というか川の中?を進んでいくと、トンネルがあった。
身をかがめるとその中に入るとさらに進む。
これはスラムの子供っていうか、ホームレス的ポジションじゃないだろうか。
暗いトンネルの中でもヒカリゴケが少し生えているため、辛うじて視界を確保できた。
トンネルに入って5分程進むと少しだけ足場が広い部分があった。
そしてそこには木と布で作られた家?的なものがあった。
段ボールハウスみたいなもんか。
「兄ちゃん! 戻ったよ!」
そういうとカイロスは家の中に入っていった。
といっても、大きさは2畳程度だし高さも1メートル位なので屈んで入ってまだ足は出ている。
「カイロス! よかった無事だったんだな! ここに戻ってきてないから心配したんだぞ!」
「うん、僕は大丈夫。それより兄ちゃん、フィルは大丈夫? 助けを呼んできたよ!」
「助けだと? まさか。バカヤロウ! なんで助けなんて呼ぶんだ! ダメだって言ったじゃないか」
「だって、フィルが……このままだとフィルが……」
「くそう。フィルのためだ。仕方ない。入ってもらえ」
そういうと、カイロスが出て来た。
「こちらです。どうぞ」
俺とライカが家の中に入ってみる。
暗い。
「【照光】」
天井が近いのでかなり弱めに魔法を使った
「うわっ!」
驚いた少年が声を上げた。
入ってみて分かったが、奥にカイロスより少し小さな子供が寝ていて、その横に路地で助けた少年が座っていた。つまり、俺達が入る余裕がほとんどないのだ。
「この子が弟のフィル君か」
様子を見ると、路地で助けた少年やカイロスと同様に体中あちこちにケガをしているようだった。
それにすでに意識を失っているようで苦しそうな呼吸をしていた。やはりこの子も炎症を起こして熱があるようだ。
「大変!すぐ治してあげるね!【小回復】」
ライカはケガをしている子を見るやすぐに手を差し伸べ、回復魔法を使った
するとケガがどんどん治っていった。呼吸も落ち着いてきたようだ。
しかし意識はないままだ。
「ふぅ。これでケガは治ったと思うけど、かなり体力が落ちていたみたいだからしばらく寝かせてあげなきゃね。けど、その前に……」
そこまで言うとライカはフィルの服を脱がせた。
「こんなに汚いままだと体に良くないから、きれいにしてあげなきゃね」
フィルもケガで血が滲んでいたり泥汚れで汚かった。
俺は土魔法で桶を、水魔法で温水を作るとフィルの横に置いた。
ライカが布でフィルの体を清めて行く。
「じゃあ俺達は外で服を洗おうか。そっちの君、えーと?」
「スピカ」
「じゃあスピカ君も脱いじゃいな。一緒に洗うから」
「お、俺はいいよ……」
ん?
ははーん、そういう事か。俺はピンときた。
少年は、ライカのほうを意識しながら顔を赤くしてやがる。女の子の前で脱ぐのが恥ずかしいのか。
「じゃあ、フィルはライカに任せて俺と一緒に服を洗うのを手伝ってくれ」
といいながら少年を引っ張り出した。
家の中は光源を確保したが、出るとヒカリゴケだけでは暗い。
「【照光】」
俺は外にも光源を確保すると土魔法で桶、水魔法でお湯を作った。
「服を洗えばいいのですね、私がやります」
「いや、レン。構わない。これは俺とこの子で洗うから」
そういうと引っ張り出した少年にも手伝わせて洗う。
といっても一着の子供服を二人で洗うとなると洗いにくい。
俺は洗う素振りをしながらわざと少年にお湯をかけた。
ビシャッ!
「うわっ」
「ああ、ごめんごめん」
「なんにすんだ」
「ごめんって。わざとじゃないよ! ホントだよ! でもそのままじゃ風邪をひいちゃうね! 仕方ないから一緒に洗っちゃおう!」
俺は棒読みでそれだけ伝えると、少年の服を脱がせお湯の中にツッコんだ。
服を脱がされた少年は恥ずかしそうに股間を隠して後ろを向いている。
俺は魔法の石鹸を取り出すと、2着の服に石鹸をつけて洗う。すすぐ。洗う。すすぐ。
やっぱり5回程洗い続けてやっとキレイになった。
少年は恥ずかしそうに後ろを向いているがこちらが気になるのか首だけで振り返ってちらちら見ている。
「こっちは体をキレイに出来たよ。そっち手伝おうか?」
家の中からライカの声がする。
少年はビクッとしておろおろしている様子が可愛い。
が、助けてやるか。
「いや、こっちは大丈夫だ。もうしばらくそっちを見ていてあげてくれるかな」
「わかった」
ライカの返事を聞いて少年はホッとしていた。
そうこうしている間に魔法で温風を作り服を乾かしていく。
乾かしている間、少年を見るとやっぱりこの子も汚れている。
俺は桶に綺麗なお湯を作ると、布を少年に渡した。
「これで今の内に綺麗にしとくといいよ」
ライカがすぐに出てこないことが分かった少年は素直に俺の指示に従ってお湯で体を拭きはじめた。
俺は服が乾いたのを確認し少年に渡してあげると、すぐに服を着た。
そしてもう一つの服を持って家に入ると、ライカと一緒に寝ているフィルに着せてあげたて家を出た。
「よし、これでいいだろう。とりあえずケガも治ったし汚れも取れたしな」
「あ、ありがとう。あんた達余所者だろ? なんで俺達にここまでしてくれるんだ?」
「あれ? 完璧に町人に成りすましていたのになんで余所者って分かった?」
「俺達のようなホームレスに関わるヤツなんてこの町にはいないからな。それに魔法を使った」
「この町にだって魔法を使える人くらいいるだろう?」
まぁ、確かに詠唱はしてないからその点を突かれると弱いかも。
「魔法を使える人はいるけど、回復魔法を使える人はいないんだ」
「どういう事だ? この町にだって治療院くらいあるだろう? それに冒険者だったら回復魔法を使える人だっているだろうし」
「いない。みんな兵隊が連れて行ってしまうから」
「なんで?」
「知らない。でも領主の家が緊急事態だからって言って連れて行ってしまうんだ。だからこの町に回復魔法を使える人はいない」
「緊急事態ってやつか。で、領主の家では何があったんだ?」
そもそも俺達が潜入なんて真似をしなければいけないのもその緊急事態ってやつのせいだ。だが、詳しい内容は知らない。
「知らねーよ! あんな奴ら!」
あらら、この子達でも知らないのか。
「そっか。まぁ、それはおいといてーだ。君たち兄弟だろ? なんでそろいもそろってケガしてたんだ?」
「それは……いや、余所者のあんた達には関係ない」
そりゃまぁ、この状態を見ておいて3人そろって階段から落ちてケガしましたなんて事ではないことは分かる。それなりに理由があるんだろう?
「まぁ、内緒にしといてもらえると助かるが俺達はこの町の人間じゃない。だからこの町のルールとかいまいち分からないけどもしかしたら力になれるかもよ?」
「兄ちゃん、助けてもらったのにあんまりじゃ……」
「お前は黙ってろ」
うーん、お兄ちゃん強情ね。
俺はライカに目線を送った。ライカも分かってくれたみたいで、頷いた。
「ねぇスピカ君。ボク達の事がそんなに信用できないのかな?」
「ぅえ!? えと、信用できないわけじゃ……」
「だったら、なんで?」
ライカはスピカの正面から目を合わせて聞く。
「は、はひ……」
いっちょ前に顔を赤らめて目線は泳ぎまくっている。
こいつ、分かりやすすぎ。
確実に同年代の女の子と話したことがないな。そうじゃなくてもうちのライカちゃんは可愛いしな。
当のライカは色恋沙汰のお年頃ではないから君の思いは通じないが。
「兄ちゃん……」
そんな情けない兄を見てカイロスが呟いた。
「お、おいカイロス。お前はそろそろ仕事に行ってこい! 夜が明けたら仕事にならねーだろ」
「わ、わかったよ」
「くれぐれもあいつらには気をつけろよ」
「うん、じゃあ行ってくるね」
そう言ってカイロスは来た道を戻っていった。
「お仕事ってどんな事してるの? まさか、悪い事じゃないよね?」
「いや、食堂とかのごみ置き場から食料を調達してるだけでございますです」
言葉遣いおかしなことになってるよ? 分かるからいいけども。
いや、なんかその話し方を聞いているのが面倒だ。俺が聞こう。
「弟たちと一緒に生きていくためだからそういうのも仕方ないのかもしれないけど、ちゃんとしたお仕事は出来ないの?」
「もう少し大きくなったら俺が冒険者になってちゃんと稼ぐつもりだよ。去年冒険者ギルドに行った時はまだ子供だから駄目だって言われたんだ」
お?俺が聞いてもちゃんと答えてくれるようになったか。
「そうなの? スピカっていくつ?」
「今年で13だ」
それはおかしい。俺達は10歳で冒険者登録できたぞ。
「冒険者になるための条件って町によって違うのかな?ボク達は10歳で冒険者になったよ」
「そうなのでありますか?」
ライカが聞いた時だけ変な言葉遣いになるなって。
「ほら、これが俺の冒険者カードだ」
そういって俺の冒険者カードを見せてやった。
「ケン=アーノルド?」
「ああ、まだ名乗ってなかったな。気軽にケンって呼んでくれ。港にパーティーの他のメンバーもいるが、町に潜入してるのは俺達3人だ」
「本当に冒険者なんだ……」
「まぁ今度冒険者ギルドに行ってちゃんと話を聞いてみたらいいよ。10歳で冒険者登録した人もいるって言ってみたらどうかな」
「わかった、そうする」
「で?」
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