12 / 50
水の精霊編
冒険者ギルド登録
しおりを挟む
バリの港に着くと、以前より銀のプレートメイルを着た憲兵らしき人が多くいたような気がした。
港で何かあったのかもしれない。
が、俺達は何事もなく船を降り次の目的地であるギルドに向かった。
ギルドに入るとアスラが受付に行き、しばらくして2階の部屋へ案内された。
「デンゼルさん、こんにちわ」
「やぁやぁよく来たね!まぁ座って座って」
席を勧められたので座った。
「で、冒険者になるお告げだったんだろ?」
「ははは、、まぁ、、そういう感じです」
完全に決めつけられていたが、まぁほぼ当たった形だ。
ウィンデーネのその方が都合いいでしょ!の一言で冒険者になることは内緒にしとこう。
「じゃあ早速登録手続きだな!おーい!」
デンゼルさんは部屋の外にいるギルド職員を呼ぶとすぐに入ってきた。
「じゃあこの子達の冒険者ギルド登録の手続きと試験を頼むよ!」
デンゼルは職員に告げると俺達には職員に付いていくよう手を差し出した。
「さて、アスラ。実は相談があるんだが……」
俺達が出ていく時にはもう既にいないものとして話が始まっていた。
ギルドマスター自らアスラに相談ってなんだろう。
いや、今はそれよりも、だ。
手続きってなんか署名すればいいだけじゃないの?
気のせいかな……試験って聞こえたような?
「ではこちらが冒険者ギルドの登録申請用紙です。字の読み書きはできますか?」
子供だからって舐めているわけじゃない。この世界の識字率は全体で5割程度なんだそう。
申請用紙には名前と年齢、性別と職業を記載。そのあとずらーーーとギルド規則みたいなものが記載されていて
問題なければ最後に署名する形になっていた。
ギルド規則を要約すると以下の通りだった。
1、冒険者ギルドに登録すると、世界中の冒険者ギルドにて各種サービスを受けることが出来る。更新は3年に1回。
2、冒険者ギルドのサービスとは、仕事の仲介、報酬の受け渡し、素材の買い取り、パーティーの登録、情報の共有および売買。
3、登録した情報は冒険者ギルドカードにて自分で管理すること。また、紛失等の再発行は可能だがペナルティーあり。
4、滞在国の法令違反行為、ギルドの品位を貶める行為、他冒険者の依頼妨害行為、依頼の売買行為、ギルド建物内での攻撃スキルの使用、以上を禁止行為とする。禁止行為が認められた場合、ギルドマスターの判断により脱退処置が科せられる。
5、冒険者ギルドに申し出ることで脱退は可能。ただし再登録はペナルティーがある。
6、冒険者はFからAまでの6段階のランクに分類される。(Aの上にSランクも存在する)ランクの移行は別途規約による。冒険者は自分の上下1ランクしか依頼を受けることが出来ない。
7、ギルドが緊急事態となった場合、その時点で滞在しているギルドの命令に従う義務がある。
8、常日頃から冒険者はギルドに貢献する努力を怠らないこと。
以上が記載されていた内容だ。
「ところで、この情報の共有ってなんですか?」
「それはギルド間で行うことが出来る転移盤の使用ですね。転移盤では文字を他ギルドの転移盤へ写すことができます。これを利用して遠方へ手紙を送ったりすることも可能です。有料ですけどね」
ファックスみたいなものか。
「なるほど。それと、ペナルティーがあるってのは?」
「ほとんどが罰金です。重大な違反行為で脱退した場合は罰金だけではなく再登録禁止措置などもあります」
「では、ランク移行についての別途規約というのは?」
「こちらです。確認しますか?」
奥からタウンページみたいなのを出してきた。
いや、それを読むのはちょっとご勘弁願いたい。
「えーと、僕読むの苦手だから簡単に教えてほしいなーなんて……」
苦笑いと共に子供特権発動!!
「簡単に言うと、登録時は試験で試験官が決めて、それ以降は依頼をこなした数や内容によって決まりますが最終的にはそれらを評価するのは各ギルドのサブマスター以上が判断することになります」
「わかりました」
言いながら、最後の部分に署名する。
「これでいいでしょうか?」
「はい、大丈夫ですよ。では試験を行いますので地下1階試験の間へ行きましょう」
俺達3人が申請用紙を渡すとそのまま地下へ案内してくれた。
地下には扉が二つ。
そのうち一つを開けると、中に入るよう促す。
俺達が入ると、中には高齢の髭を蓄えた男性が一人いた。職員はその男に申請用紙を渡すと出て行った。
「ホホホ、新規登録者が3人か。そう緊張せんでもええ。試験と言っても簡単なものじゃ」
部屋は広く、大きな魔法陣のようなものが床と四方の壁に描かれている空間だった。部屋の中央には謎の大きな岩。部屋の隅に申し訳程度に事務用の机が置かれている。
「よろしくお願いします」
「登録時の試験は簡単じゃ。この岩に攻撃するだけじゃからな」
見ると部屋の隅に置かれた幅、高さ、奥行きが約1,5メートル程のほぼ正四面体の岩があり、その裏面には魔法陣がびっしり。
「剣士なら剣撃で、魔術師なら魔法をこいつにぶつけるんじゃ。こいつは周りは柔らかいが中心に行くほど硬くなっておる。仮にA級の攻撃でも真っ二つにはできんようになっちょる。お前たちのようなひよっこでも多少は攻撃が通るから安心せい」
なるほど。そういう試験なのね。いきなり対人戦とかじゃなくてよかった。
「さて、誰からでもええぞ」
職員から受け取った申請用紙をペラペラと見ると、
「ケン=アーノルド。お前さんからやってみるか」
「はい」
名前を呼ばれて前に出る。
「職業は……魔法剣士か。なかなか難しい職業を希望しとるの。では剣でも魔法でも得意なのでその岩を攻撃してみなさい」
「では」
俺は改めて岩の前に立つと、手を差し出した。
「火の精よ、我に力を!【火球】」
俺は岩に向けて放った
岩に命中した火の玉は少しだけめり込んで消えた。
ちなみに、魔法は詠唱したために威力も消費魔力も普通の人が使うのと同様レベルだった。
なぜ詠唱したかというと。。。
まぁ、この世界で無詠唱ってのがかなり特殊なことは分かっているからね。無駄に目立つ必要もないと考えたわけ。
ちなみに命中した岩はしばらくすると元の形に戻っていた。
自動修復だろうか・・・。
髭のついた白い機械人形の一部だったりして。
「では続いてユイ=アーノルド。やってみなさい」
ユイは俺と全く同じ事をして同じ結果だった。
「続いてライカ。職業は魔術師か。やってみなさい」
ライカも俺達と同じことをして同じ結果だった。
「みな同じくらいの力ということじゃな。ふむ……妙じゃの?」
な、なんでせう?
俺達の顔を順番にじーーーーーくりと見られる。
「ふぉふぉふぉ、まぁよいじゃろ。では冒険者として認めよう」
冒険者登録申請書に何か書き込んでいく。
部屋の隅に置いてあったテーブルに行くと、その上にある魔法陣付きの箱の中に申請書を入れた。
「こっちに来て、ここに手を置きなさい」
促されたまま、俺は箱の上に手のひらを乗せた。すると箱のの横に開いた隙間からカードが出てきた。
「これがお前さんの冒険者ギルドカードじゃ」
手渡されたのはグレーのカードだった。受け取ってみると、前世の記憶にあるカードと同じサイズ。
なんだろう、統一規格でもあんのかよ。
そして冒険者ギルドカードと書かれており名前と階級が記載されていた。
「そのカードは身分証としても機能する。紛失した場合は有料で再発行可能じゃが、盗難等によりそのカードを悪用された場合はお前さんにもペナルティーが科せられることもある。よって、カードをしっかり管理することが冒険者としての最初の仕事となる」
なるほど。盗難には気を付けよう。
「なにはともあれ、我々冒険者ギルドはお前さんたちを歓迎する!偉大な先人達のおかげでギルドは世界中で信頼を得ておる。今後はお前さん達もギルドに貢献できる冒険者になることを期待するぞ」
「がんばります!」
真面目な顔から一転、ほころんだ笑顔はしわが目立っていた。
いいおじいちゃんじゃないか。
「ふぉふぉふぉ、そう硬くならんでもよい。新人ルーキーなんじゃから失敗を恐れずにどんどんぶつかっていくもんじゃ!」
「はい、ありがとうございました」
そうして俺達は冒険者となった。
部屋を出ると階段をのぼりながらライカが聞いてきた。
「どうして詠唱してしかも初級魔法だったの?」
「だって、無詠唱とか目立つじゃん。変に目を付けられて厄介事なんて御免だよ。それに……」
「それに?」
「せっかくの冒険者なんだ。全部のランクをじっくり楽しもうよ」
これが本音だった。
せっかくの異世界ファンタジー。今まではレベルを上げることに時間を費やしてきたが、これからは冒険者としていろんなことができる。
となれば、いろいろ経験してみたいと思うじゃない。大抵のことはなんとなくなんとかなるもんだしね。
「そっか、そうだよね。うん。ボクも楽しむようにする!」
あら、ライカさん。いい笑顔。
キャッチフレーズ。守りたい、その笑顔。
コンコン
「どうぞ」
「失礼します」
ギルドマスターの部屋に入ると、アスラとデンゼルは世間話をしていた。なにやら真面目な話は終わっていたようだ。
「父さま、冒険者ギルドへの登録手続きが終わりました」
「そうか、おつかれさん。ちょっと見せてみろ」
「はい。これです」
「グレー、ということはFランクか。意外だな」
「君たちがFランク? そんなバカな!ロイゼルじいさん耄碌したか?」
あのおじいちゃん、ロイゼルさんっていうのか。そういえばちゃんと名乗ってなかったな。
「いえいえ、そんなことは無いですよ。冒険者としての心構えなど教えて頂きました」
「5歳で賞金首を捕まえる子たちにFランクはない。そろそろサブマスターも引退か……」
あのおじいちゃんがサブマスターだったんだ。
「いえいえ、ですから大丈夫ですよ!僕たちはまだ子供ですし、Fランクから頑張ります!」
「むう……君たちがそういうならそうしておくが……」
そうです。
それでいいんですよ。
「そういえば、コスィーから聞いたよ!灯台の話。おかげで毎日魔法陣を起動する作業が無くなったんだ。大体はコスィーが担当していたが不在の時は誰かを用意しなきゃならなかったのが手間だったしね。向こう1年位は光続けるんだろ? あの煩わしさが1年もなくなると考えると嬉しいねぇ」
「実はどのくらい光続けるのかは僕たちでも分からないんです」
「そうなのかい? まぁそれでも光が強くなってより遠くからでも港へ戻ってこれるようになったと船乗りたちからも好評だよ」
「あれだけ光ってたら当然だよなー」
アスラは魔法を使った時のことを思い出しているのだろう
「そこで報酬なんだが、申し訳ないが実はまだ決めかねていてね。というのもどのくらい光続けるのかが検討つかなくてね。それでどうするかということで話し合っているんだが結論が出ていないんだ。本当に申し訳ない」
なんてこった。逆に都合がいいパティーンじゃないか。
これ以上現金を持ち歩くのは正直怖いと考えていた小市民ですから。
「いえ、先日頂いた報酬もありますし急いでいませんので大丈夫です」
「結論が出たらすぐに知らせるからね」
「はい、わかりました」
「ではデンゼルさん、我々は村に戻ります。何かありましたら連絡いただければ駆けつけます」
「そうかい、頼むよ」
アスラといえば今は田舎の村で警備隊をやっているが、もともとは上級ランクの冒険者。たまにデンゼルさんにたのまれてお助けマンとして活動していたりする。
たぶん、その事があるからこそアスラの発言になると思うんだけどもしかしたら俺達が登録手続きをしている時にしていた相談事と関係があるのかも?
「さようなら、デンゼルさん」
「はい、さようなら。気を付けて帰るんだよ」
俺達は部屋を出て1階にあるロビーに戻ってきた。
「父さま、せっかく冒険者になったので依頼とかも見てみたいのですが少し時間いいですか?」
「ああ、そこに掲示板があるだろう?それを見て受付に伝えれば依頼を受けることができるんだ」
俺達は掲示板までいくとたくさん貼り出している依頼を見てみた。
近場の採取とか村の中でも雑用、近場の町までの配達クエストがFランクから、近場のモンスター討伐はEランクから、護衛とかがDランクからある感じか。
今受けることができるのはEランクまで。
その範囲で出来そうなのは……
近場のモンスター討伐かな、やっぱり。
「父さま、この依頼受けてみてもいいですか?
「どれどれ。ああ、これは常時出ている依頼だな。かまわないぞ。町が依頼主で周辺の魔物討伐を行うものだ。討伐する魔物はなんでもいいが、依頼達成確認方法が魔石だから回収を忘れずにな。ここに依頼番号があるだろう。この番号をそこの受付で伝えると依頼受注できるからやってみなさい」
なるほど、そういうシステムなんだね。
だいたいゲームと一緒だね。
俺達はアスラに案内された受付に行った。
「あの、この依頼を受けたいのですが」
さっそく受付のおばちゃんに声をかけた。
「はいはい、ああこれね。ギルドカードを出してちょうだい」
俺は先ほど出来たばかりのギルドカードを差し出す。
受け取った受付職員は依頼票を箱の中に入れるとその上に俺のギルドカードを置いた。
「ん? 坊やひとりでやるのかい? パーティー登録はどうする?」
「それもお願いします。俺とユイとライカの3人で!」
「そうだね、Eランクの依頼とはいえ新人ルーキーが一人でいくのは危険だからそれがいいよ。じゃあそっちの坊やもギルドカードを出して」
うむ、ユイは見事に俺と同じ見た目だから仕方がないかもしれない。しかしライカは可愛さそのまま育っているんだ。坊やは失礼じゃないか?まぁ確かに髪は短いままだが。。。
しかし二人とも全く気にしない様子でギルドカードを差し出す。
「あ、そうそう。パーティー名はどうするんだい?」
あら、そういうの決めないといけないのね。
「どうしよっか?」
二人に相談してみた。
「ボクはなんでもいいよ」
「うーん。こういう場合大体が厨ニ病的なのが付けられているよな……」
ライカの答えを聞いて結局自分で考えないといけないと分かると独り言を呟いた。
厨二病的な名前となると、漆黒の翼とかそういう系統だろ?
どうしよう。俺達っぽさも入れるとなると……
「半身の堕天使でお願いします」
「……ハーフォ? ……ああ、若い子にはそういうのが流行っているのね。わかったよ、ちょっと待ってね」
受付のおばちゃんにポカンとされた。
ライカにはキョトンとしてた。
あれ?そういうのがお決まりじゃないの?
「あ、すみません。今の無しで。みなさんはどういう名前を付けてるんですか?」
「そうだねぇ……例えばアスラだと、アスラ隊だったね。でもま、名前は自由だからね。このまま登録しとくよ!」
受付のおばちゃんはそのまま登録してしまった。
「えええ……」
やっちまった……。
恥ずかしいパーティー名になってしもた。。。
どうも、ハーフフォーリンエンジェルのケンです。
今後はこんな自己紹介になるのか。
初対面の人にそんなこと言われたら俺なら笑うね。
今度シーマでジーナ達をパーティーに入れるときに改名しよう。
それまでに普通の名前考えておこう。
「はい、じゃあ依頼受領はこれで完了だよ!達成期限もない新人ルーキー向けの依頼だから無理せずに頑張りな!」
「あ、はい」
俺達はアスラのところに戻ると、一緒にギルドを後にした。
ギルド近くの食堂に場所を移すと、今日の予定の話になった。
「今から村に帰ってもいいが、到着するのは夜になってしまう。だから今日はここで一泊して明日の朝帰ろうと思うがどうだ?」
「うん、賛成!」
「そうか、じゃあ町の近くでさっき受けた依頼の魔物討伐をやってみるか?」
「やったー!」
意外にもライカが喜んでいた。
好戦的な子じゃなかったはずだけど。まぁ俺達もスライム退治位なら余裕だろうし問題ない。
ちなみに、昼食はブレインポークと野菜ををビネガー系でサッと炒めたものにサラダとスープと黒パンだった。この世界に食用油はあるのに揚げ物という概念がないからね。この世界流の酢豚定食なんだろうね。
「そういえば父さま、冒険者は長期間町を離れる時食事はどうするんですか?」
「ん?そうだな。数日位なら干し肉と水を持って行くが、それ以上となると旅をしながら動物や魔物を狩ったり、野草を採取したりだな。そういえば、お前たちは動物の解体はできたっけ?」
「解体しているところを見たことはありますがやったことはありません」
「ま、そうだろうな。俺も冒険者になりたての頃は出来なかったしな」
「どうやって覚えたんですか?」
「生きるために必要に迫られて覚えたんだよ。最初は解体なんて上等なモンじゃなかったけどな。まぁ冒険者なら通る道だからお前たちも早めに覚えるといいぞ」
パーティーメンバーに料理人とか欲しいな。せめて解体とか魔物じゃなくて動物でもできればやりたくないしな。
前世日本人の俺からすると、あまりグロいのはお断りしたい。が、美味しいものは食べたい。一日の食事が干し肉だけなんて耐えれるのかな。
前世が豊な国だっただけに、そのあたりは適応するのに時間がかかりそうだ。
なんて考えていると食事は終わっていた。
俺達は町の西口に来ていた。
町の北は港、南はサイージョ村方向。
西にある平原から森に入ってあまり強くない魔物を討伐、その後東にある山岳地帯でもう少し強い魔物を討伐するってのがこのあたりの新人冒険者の通る道なんだそうだ。
「それじゃあ気を付けて行ってくるんだぞ。夜は想定外のことが起こりやすいから日暮れまでには戻ってきなさい」
今回アスラ町で待っていることになった。魔物狩りのいい練習だから自分たちだけでやれって言われた。
「はい、行ってきます」
アスラの見送りを受けて、俺達は出発した。
小一時間平原を歩き続けたが、魔物なんて全く見かけなかった。
そして森に行きついたので入ってみることにした。
森では、スライムやゴブリンなど見たことのある魔物の他、一角兎という食材では見たことのあるやつ、ポイズンスパイダーという体長1メートルサイズの毒蜘蛛、あとはジャイアントボアという体長2メートルサイズのイノシシみたいなやつがいた。
もうオッコトヌシ様かと思ったね。なにやら大群でいたし。
ちなみに俺達の戦い方は基本、遠距離から魔法攻撃。
火属性は使わず、今回は水属性だけで戦った。
あまり強い魔物はいないみたいだったので弱点属性とか考えず速度優先で見つけたら撃つ!近づいて魔石拾って索敵。
という流れだった。
ちなみに【索敵】はベンさんから教わって習得済みです。
ということで魔物討伐の結果。
スライムの魔石×6
ゴブリンの魔石×5
一角兎の魔石×6
ポイズンスパイダーの魔石×3
ジャイアントボアの魔石×41
一角兎の肉×1
という感じに終わった。
一角兎の肉は解体練習用として拾った。
まず威力を抑えた【水球】で頭部だけぶっ飛ばして倒す。
そのあと逆さ吊りにして血抜きをして毛皮をむしり取る。
お腹を開いて内臓を取り出し、肉と骨だけになったところに氷を詰め込んで布で包み紐で縛っておいた。
とりあえず低温状態にしとけば腐ったりしないだろうと。
こんなことやったのは初めてでなかなかグロかった。
一角兎は中型犬サイズだから結構デカい。
持っていたカバンは魔石でいっぱいになったので、土魔法で作った棒の先に付けて肩に担いで移動した。
小型の魔物は魔法でバラバラになったが、ジャイアントボアだけは死体が残ったので最後まとめて大きな穴を掘って火葬しておいた。
なんとなくだけど、ゾンビになって徘徊されても嫌だしね。
森を出るとすでに日暮れになっていた。
「少し急ごうか。ライカ、魔力は大丈夫?」
「【身体機能強化】ならもうしばらくいけるよ」
「じゃライカ先頭で、俺達はそれに合わせるよ」
というわけでライカのペースに合わせて町まで戻った。
ちなみにライカもこの5年で魔力は結構増えた。俺達ほどじゃないにしても、たぶんこの世界ではかなり多い方だと思う。
町に戻るとギルドにやってきた。
受付に行くと依頼達成報告と証拠の魔石を出した。
また、素材の買い取りということで一角兎も出した。
スライムの魔石は銅貨1枚×6=銅貨6枚
ゴブリンの魔石も銅貨1枚×5=銅貨5枚
一角兎の魔石は銅貨2枚×6=銅貨12枚
ポイズンスパイダーの魔石も銅貨2枚×3=銅貨6枚
ジャイアントボアの魔石は銅貨8枚×41=銅貨328枚
一角兎の肉は銅貨3枚×1=銅貨3枚
以上合計で金貨3枚銀貨6枚という結果になった。
新人ルーキーが初めての討伐でこんなに魔石を持って帰ることはまずないそうだ。よく頑張って、俺達の戦果からジャイアントボアを引いた分くらいだそうで。
受付の人にはそんなことを言われたがだって仕方ないじゃない。
オッコトヌシ様は群れでいたし。聞く耳持たないんだもの。
ちなみにそのジャイアントボアは食材として、ポインズスパイダーは薬の材料として買い取り対象だったそうだ。
しかしあんなでかいの、1体運ぶだけで大変だ。
クエスト報酬を受け取るとアスラと合流し宿にて一泊した。
港で何かあったのかもしれない。
が、俺達は何事もなく船を降り次の目的地であるギルドに向かった。
ギルドに入るとアスラが受付に行き、しばらくして2階の部屋へ案内された。
「デンゼルさん、こんにちわ」
「やぁやぁよく来たね!まぁ座って座って」
席を勧められたので座った。
「で、冒険者になるお告げだったんだろ?」
「ははは、、まぁ、、そういう感じです」
完全に決めつけられていたが、まぁほぼ当たった形だ。
ウィンデーネのその方が都合いいでしょ!の一言で冒険者になることは内緒にしとこう。
「じゃあ早速登録手続きだな!おーい!」
デンゼルさんは部屋の外にいるギルド職員を呼ぶとすぐに入ってきた。
「じゃあこの子達の冒険者ギルド登録の手続きと試験を頼むよ!」
デンゼルは職員に告げると俺達には職員に付いていくよう手を差し出した。
「さて、アスラ。実は相談があるんだが……」
俺達が出ていく時にはもう既にいないものとして話が始まっていた。
ギルドマスター自らアスラに相談ってなんだろう。
いや、今はそれよりも、だ。
手続きってなんか署名すればいいだけじゃないの?
気のせいかな……試験って聞こえたような?
「ではこちらが冒険者ギルドの登録申請用紙です。字の読み書きはできますか?」
子供だからって舐めているわけじゃない。この世界の識字率は全体で5割程度なんだそう。
申請用紙には名前と年齢、性別と職業を記載。そのあとずらーーーとギルド規則みたいなものが記載されていて
問題なければ最後に署名する形になっていた。
ギルド規則を要約すると以下の通りだった。
1、冒険者ギルドに登録すると、世界中の冒険者ギルドにて各種サービスを受けることが出来る。更新は3年に1回。
2、冒険者ギルドのサービスとは、仕事の仲介、報酬の受け渡し、素材の買い取り、パーティーの登録、情報の共有および売買。
3、登録した情報は冒険者ギルドカードにて自分で管理すること。また、紛失等の再発行は可能だがペナルティーあり。
4、滞在国の法令違反行為、ギルドの品位を貶める行為、他冒険者の依頼妨害行為、依頼の売買行為、ギルド建物内での攻撃スキルの使用、以上を禁止行為とする。禁止行為が認められた場合、ギルドマスターの判断により脱退処置が科せられる。
5、冒険者ギルドに申し出ることで脱退は可能。ただし再登録はペナルティーがある。
6、冒険者はFからAまでの6段階のランクに分類される。(Aの上にSランクも存在する)ランクの移行は別途規約による。冒険者は自分の上下1ランクしか依頼を受けることが出来ない。
7、ギルドが緊急事態となった場合、その時点で滞在しているギルドの命令に従う義務がある。
8、常日頃から冒険者はギルドに貢献する努力を怠らないこと。
以上が記載されていた内容だ。
「ところで、この情報の共有ってなんですか?」
「それはギルド間で行うことが出来る転移盤の使用ですね。転移盤では文字を他ギルドの転移盤へ写すことができます。これを利用して遠方へ手紙を送ったりすることも可能です。有料ですけどね」
ファックスみたいなものか。
「なるほど。それと、ペナルティーがあるってのは?」
「ほとんどが罰金です。重大な違反行為で脱退した場合は罰金だけではなく再登録禁止措置などもあります」
「では、ランク移行についての別途規約というのは?」
「こちらです。確認しますか?」
奥からタウンページみたいなのを出してきた。
いや、それを読むのはちょっとご勘弁願いたい。
「えーと、僕読むの苦手だから簡単に教えてほしいなーなんて……」
苦笑いと共に子供特権発動!!
「簡単に言うと、登録時は試験で試験官が決めて、それ以降は依頼をこなした数や内容によって決まりますが最終的にはそれらを評価するのは各ギルドのサブマスター以上が判断することになります」
「わかりました」
言いながら、最後の部分に署名する。
「これでいいでしょうか?」
「はい、大丈夫ですよ。では試験を行いますので地下1階試験の間へ行きましょう」
俺達3人が申請用紙を渡すとそのまま地下へ案内してくれた。
地下には扉が二つ。
そのうち一つを開けると、中に入るよう促す。
俺達が入ると、中には高齢の髭を蓄えた男性が一人いた。職員はその男に申請用紙を渡すと出て行った。
「ホホホ、新規登録者が3人か。そう緊張せんでもええ。試験と言っても簡単なものじゃ」
部屋は広く、大きな魔法陣のようなものが床と四方の壁に描かれている空間だった。部屋の中央には謎の大きな岩。部屋の隅に申し訳程度に事務用の机が置かれている。
「よろしくお願いします」
「登録時の試験は簡単じゃ。この岩に攻撃するだけじゃからな」
見ると部屋の隅に置かれた幅、高さ、奥行きが約1,5メートル程のほぼ正四面体の岩があり、その裏面には魔法陣がびっしり。
「剣士なら剣撃で、魔術師なら魔法をこいつにぶつけるんじゃ。こいつは周りは柔らかいが中心に行くほど硬くなっておる。仮にA級の攻撃でも真っ二つにはできんようになっちょる。お前たちのようなひよっこでも多少は攻撃が通るから安心せい」
なるほど。そういう試験なのね。いきなり対人戦とかじゃなくてよかった。
「さて、誰からでもええぞ」
職員から受け取った申請用紙をペラペラと見ると、
「ケン=アーノルド。お前さんからやってみるか」
「はい」
名前を呼ばれて前に出る。
「職業は……魔法剣士か。なかなか難しい職業を希望しとるの。では剣でも魔法でも得意なのでその岩を攻撃してみなさい」
「では」
俺は改めて岩の前に立つと、手を差し出した。
「火の精よ、我に力を!【火球】」
俺は岩に向けて放った
岩に命中した火の玉は少しだけめり込んで消えた。
ちなみに、魔法は詠唱したために威力も消費魔力も普通の人が使うのと同様レベルだった。
なぜ詠唱したかというと。。。
まぁ、この世界で無詠唱ってのがかなり特殊なことは分かっているからね。無駄に目立つ必要もないと考えたわけ。
ちなみに命中した岩はしばらくすると元の形に戻っていた。
自動修復だろうか・・・。
髭のついた白い機械人形の一部だったりして。
「では続いてユイ=アーノルド。やってみなさい」
ユイは俺と全く同じ事をして同じ結果だった。
「続いてライカ。職業は魔術師か。やってみなさい」
ライカも俺達と同じことをして同じ結果だった。
「みな同じくらいの力ということじゃな。ふむ……妙じゃの?」
な、なんでせう?
俺達の顔を順番にじーーーーーくりと見られる。
「ふぉふぉふぉ、まぁよいじゃろ。では冒険者として認めよう」
冒険者登録申請書に何か書き込んでいく。
部屋の隅に置いてあったテーブルに行くと、その上にある魔法陣付きの箱の中に申請書を入れた。
「こっちに来て、ここに手を置きなさい」
促されたまま、俺は箱の上に手のひらを乗せた。すると箱のの横に開いた隙間からカードが出てきた。
「これがお前さんの冒険者ギルドカードじゃ」
手渡されたのはグレーのカードだった。受け取ってみると、前世の記憶にあるカードと同じサイズ。
なんだろう、統一規格でもあんのかよ。
そして冒険者ギルドカードと書かれており名前と階級が記載されていた。
「そのカードは身分証としても機能する。紛失した場合は有料で再発行可能じゃが、盗難等によりそのカードを悪用された場合はお前さんにもペナルティーが科せられることもある。よって、カードをしっかり管理することが冒険者としての最初の仕事となる」
なるほど。盗難には気を付けよう。
「なにはともあれ、我々冒険者ギルドはお前さんたちを歓迎する!偉大な先人達のおかげでギルドは世界中で信頼を得ておる。今後はお前さん達もギルドに貢献できる冒険者になることを期待するぞ」
「がんばります!」
真面目な顔から一転、ほころんだ笑顔はしわが目立っていた。
いいおじいちゃんじゃないか。
「ふぉふぉふぉ、そう硬くならんでもよい。新人ルーキーなんじゃから失敗を恐れずにどんどんぶつかっていくもんじゃ!」
「はい、ありがとうございました」
そうして俺達は冒険者となった。
部屋を出ると階段をのぼりながらライカが聞いてきた。
「どうして詠唱してしかも初級魔法だったの?」
「だって、無詠唱とか目立つじゃん。変に目を付けられて厄介事なんて御免だよ。それに……」
「それに?」
「せっかくの冒険者なんだ。全部のランクをじっくり楽しもうよ」
これが本音だった。
せっかくの異世界ファンタジー。今まではレベルを上げることに時間を費やしてきたが、これからは冒険者としていろんなことができる。
となれば、いろいろ経験してみたいと思うじゃない。大抵のことはなんとなくなんとかなるもんだしね。
「そっか、そうだよね。うん。ボクも楽しむようにする!」
あら、ライカさん。いい笑顔。
キャッチフレーズ。守りたい、その笑顔。
コンコン
「どうぞ」
「失礼します」
ギルドマスターの部屋に入ると、アスラとデンゼルは世間話をしていた。なにやら真面目な話は終わっていたようだ。
「父さま、冒険者ギルドへの登録手続きが終わりました」
「そうか、おつかれさん。ちょっと見せてみろ」
「はい。これです」
「グレー、ということはFランクか。意外だな」
「君たちがFランク? そんなバカな!ロイゼルじいさん耄碌したか?」
あのおじいちゃん、ロイゼルさんっていうのか。そういえばちゃんと名乗ってなかったな。
「いえいえ、そんなことは無いですよ。冒険者としての心構えなど教えて頂きました」
「5歳で賞金首を捕まえる子たちにFランクはない。そろそろサブマスターも引退か……」
あのおじいちゃんがサブマスターだったんだ。
「いえいえ、ですから大丈夫ですよ!僕たちはまだ子供ですし、Fランクから頑張ります!」
「むう……君たちがそういうならそうしておくが……」
そうです。
それでいいんですよ。
「そういえば、コスィーから聞いたよ!灯台の話。おかげで毎日魔法陣を起動する作業が無くなったんだ。大体はコスィーが担当していたが不在の時は誰かを用意しなきゃならなかったのが手間だったしね。向こう1年位は光続けるんだろ? あの煩わしさが1年もなくなると考えると嬉しいねぇ」
「実はどのくらい光続けるのかは僕たちでも分からないんです」
「そうなのかい? まぁそれでも光が強くなってより遠くからでも港へ戻ってこれるようになったと船乗りたちからも好評だよ」
「あれだけ光ってたら当然だよなー」
アスラは魔法を使った時のことを思い出しているのだろう
「そこで報酬なんだが、申し訳ないが実はまだ決めかねていてね。というのもどのくらい光続けるのかが検討つかなくてね。それでどうするかということで話し合っているんだが結論が出ていないんだ。本当に申し訳ない」
なんてこった。逆に都合がいいパティーンじゃないか。
これ以上現金を持ち歩くのは正直怖いと考えていた小市民ですから。
「いえ、先日頂いた報酬もありますし急いでいませんので大丈夫です」
「結論が出たらすぐに知らせるからね」
「はい、わかりました」
「ではデンゼルさん、我々は村に戻ります。何かありましたら連絡いただければ駆けつけます」
「そうかい、頼むよ」
アスラといえば今は田舎の村で警備隊をやっているが、もともとは上級ランクの冒険者。たまにデンゼルさんにたのまれてお助けマンとして活動していたりする。
たぶん、その事があるからこそアスラの発言になると思うんだけどもしかしたら俺達が登録手続きをしている時にしていた相談事と関係があるのかも?
「さようなら、デンゼルさん」
「はい、さようなら。気を付けて帰るんだよ」
俺達は部屋を出て1階にあるロビーに戻ってきた。
「父さま、せっかく冒険者になったので依頼とかも見てみたいのですが少し時間いいですか?」
「ああ、そこに掲示板があるだろう?それを見て受付に伝えれば依頼を受けることができるんだ」
俺達は掲示板までいくとたくさん貼り出している依頼を見てみた。
近場の採取とか村の中でも雑用、近場の町までの配達クエストがFランクから、近場のモンスター討伐はEランクから、護衛とかがDランクからある感じか。
今受けることができるのはEランクまで。
その範囲で出来そうなのは……
近場のモンスター討伐かな、やっぱり。
「父さま、この依頼受けてみてもいいですか?
「どれどれ。ああ、これは常時出ている依頼だな。かまわないぞ。町が依頼主で周辺の魔物討伐を行うものだ。討伐する魔物はなんでもいいが、依頼達成確認方法が魔石だから回収を忘れずにな。ここに依頼番号があるだろう。この番号をそこの受付で伝えると依頼受注できるからやってみなさい」
なるほど、そういうシステムなんだね。
だいたいゲームと一緒だね。
俺達はアスラに案内された受付に行った。
「あの、この依頼を受けたいのですが」
さっそく受付のおばちゃんに声をかけた。
「はいはい、ああこれね。ギルドカードを出してちょうだい」
俺は先ほど出来たばかりのギルドカードを差し出す。
受け取った受付職員は依頼票を箱の中に入れるとその上に俺のギルドカードを置いた。
「ん? 坊やひとりでやるのかい? パーティー登録はどうする?」
「それもお願いします。俺とユイとライカの3人で!」
「そうだね、Eランクの依頼とはいえ新人ルーキーが一人でいくのは危険だからそれがいいよ。じゃあそっちの坊やもギルドカードを出して」
うむ、ユイは見事に俺と同じ見た目だから仕方がないかもしれない。しかしライカは可愛さそのまま育っているんだ。坊やは失礼じゃないか?まぁ確かに髪は短いままだが。。。
しかし二人とも全く気にしない様子でギルドカードを差し出す。
「あ、そうそう。パーティー名はどうするんだい?」
あら、そういうの決めないといけないのね。
「どうしよっか?」
二人に相談してみた。
「ボクはなんでもいいよ」
「うーん。こういう場合大体が厨ニ病的なのが付けられているよな……」
ライカの答えを聞いて結局自分で考えないといけないと分かると独り言を呟いた。
厨二病的な名前となると、漆黒の翼とかそういう系統だろ?
どうしよう。俺達っぽさも入れるとなると……
「半身の堕天使でお願いします」
「……ハーフォ? ……ああ、若い子にはそういうのが流行っているのね。わかったよ、ちょっと待ってね」
受付のおばちゃんにポカンとされた。
ライカにはキョトンとしてた。
あれ?そういうのがお決まりじゃないの?
「あ、すみません。今の無しで。みなさんはどういう名前を付けてるんですか?」
「そうだねぇ……例えばアスラだと、アスラ隊だったね。でもま、名前は自由だからね。このまま登録しとくよ!」
受付のおばちゃんはそのまま登録してしまった。
「えええ……」
やっちまった……。
恥ずかしいパーティー名になってしもた。。。
どうも、ハーフフォーリンエンジェルのケンです。
今後はこんな自己紹介になるのか。
初対面の人にそんなこと言われたら俺なら笑うね。
今度シーマでジーナ達をパーティーに入れるときに改名しよう。
それまでに普通の名前考えておこう。
「はい、じゃあ依頼受領はこれで完了だよ!達成期限もない新人ルーキー向けの依頼だから無理せずに頑張りな!」
「あ、はい」
俺達はアスラのところに戻ると、一緒にギルドを後にした。
ギルド近くの食堂に場所を移すと、今日の予定の話になった。
「今から村に帰ってもいいが、到着するのは夜になってしまう。だから今日はここで一泊して明日の朝帰ろうと思うがどうだ?」
「うん、賛成!」
「そうか、じゃあ町の近くでさっき受けた依頼の魔物討伐をやってみるか?」
「やったー!」
意外にもライカが喜んでいた。
好戦的な子じゃなかったはずだけど。まぁ俺達もスライム退治位なら余裕だろうし問題ない。
ちなみに、昼食はブレインポークと野菜ををビネガー系でサッと炒めたものにサラダとスープと黒パンだった。この世界に食用油はあるのに揚げ物という概念がないからね。この世界流の酢豚定食なんだろうね。
「そういえば父さま、冒険者は長期間町を離れる時食事はどうするんですか?」
「ん?そうだな。数日位なら干し肉と水を持って行くが、それ以上となると旅をしながら動物や魔物を狩ったり、野草を採取したりだな。そういえば、お前たちは動物の解体はできたっけ?」
「解体しているところを見たことはありますがやったことはありません」
「ま、そうだろうな。俺も冒険者になりたての頃は出来なかったしな」
「どうやって覚えたんですか?」
「生きるために必要に迫られて覚えたんだよ。最初は解体なんて上等なモンじゃなかったけどな。まぁ冒険者なら通る道だからお前たちも早めに覚えるといいぞ」
パーティーメンバーに料理人とか欲しいな。せめて解体とか魔物じゃなくて動物でもできればやりたくないしな。
前世日本人の俺からすると、あまりグロいのはお断りしたい。が、美味しいものは食べたい。一日の食事が干し肉だけなんて耐えれるのかな。
前世が豊な国だっただけに、そのあたりは適応するのに時間がかかりそうだ。
なんて考えていると食事は終わっていた。
俺達は町の西口に来ていた。
町の北は港、南はサイージョ村方向。
西にある平原から森に入ってあまり強くない魔物を討伐、その後東にある山岳地帯でもう少し強い魔物を討伐するってのがこのあたりの新人冒険者の通る道なんだそうだ。
「それじゃあ気を付けて行ってくるんだぞ。夜は想定外のことが起こりやすいから日暮れまでには戻ってきなさい」
今回アスラ町で待っていることになった。魔物狩りのいい練習だから自分たちだけでやれって言われた。
「はい、行ってきます」
アスラの見送りを受けて、俺達は出発した。
小一時間平原を歩き続けたが、魔物なんて全く見かけなかった。
そして森に行きついたので入ってみることにした。
森では、スライムやゴブリンなど見たことのある魔物の他、一角兎という食材では見たことのあるやつ、ポイズンスパイダーという体長1メートルサイズの毒蜘蛛、あとはジャイアントボアという体長2メートルサイズのイノシシみたいなやつがいた。
もうオッコトヌシ様かと思ったね。なにやら大群でいたし。
ちなみに俺達の戦い方は基本、遠距離から魔法攻撃。
火属性は使わず、今回は水属性だけで戦った。
あまり強い魔物はいないみたいだったので弱点属性とか考えず速度優先で見つけたら撃つ!近づいて魔石拾って索敵。
という流れだった。
ちなみに【索敵】はベンさんから教わって習得済みです。
ということで魔物討伐の結果。
スライムの魔石×6
ゴブリンの魔石×5
一角兎の魔石×6
ポイズンスパイダーの魔石×3
ジャイアントボアの魔石×41
一角兎の肉×1
という感じに終わった。
一角兎の肉は解体練習用として拾った。
まず威力を抑えた【水球】で頭部だけぶっ飛ばして倒す。
そのあと逆さ吊りにして血抜きをして毛皮をむしり取る。
お腹を開いて内臓を取り出し、肉と骨だけになったところに氷を詰め込んで布で包み紐で縛っておいた。
とりあえず低温状態にしとけば腐ったりしないだろうと。
こんなことやったのは初めてでなかなかグロかった。
一角兎は中型犬サイズだから結構デカい。
持っていたカバンは魔石でいっぱいになったので、土魔法で作った棒の先に付けて肩に担いで移動した。
小型の魔物は魔法でバラバラになったが、ジャイアントボアだけは死体が残ったので最後まとめて大きな穴を掘って火葬しておいた。
なんとなくだけど、ゾンビになって徘徊されても嫌だしね。
森を出るとすでに日暮れになっていた。
「少し急ごうか。ライカ、魔力は大丈夫?」
「【身体機能強化】ならもうしばらくいけるよ」
「じゃライカ先頭で、俺達はそれに合わせるよ」
というわけでライカのペースに合わせて町まで戻った。
ちなみにライカもこの5年で魔力は結構増えた。俺達ほどじゃないにしても、たぶんこの世界ではかなり多い方だと思う。
町に戻るとギルドにやってきた。
受付に行くと依頼達成報告と証拠の魔石を出した。
また、素材の買い取りということで一角兎も出した。
スライムの魔石は銅貨1枚×6=銅貨6枚
ゴブリンの魔石も銅貨1枚×5=銅貨5枚
一角兎の魔石は銅貨2枚×6=銅貨12枚
ポイズンスパイダーの魔石も銅貨2枚×3=銅貨6枚
ジャイアントボアの魔石は銅貨8枚×41=銅貨328枚
一角兎の肉は銅貨3枚×1=銅貨3枚
以上合計で金貨3枚銀貨6枚という結果になった。
新人ルーキーが初めての討伐でこんなに魔石を持って帰ることはまずないそうだ。よく頑張って、俺達の戦果からジャイアントボアを引いた分くらいだそうで。
受付の人にはそんなことを言われたがだって仕方ないじゃない。
オッコトヌシ様は群れでいたし。聞く耳持たないんだもの。
ちなみにそのジャイアントボアは食材として、ポインズスパイダーは薬の材料として買い取り対象だったそうだ。
しかしあんなでかいの、1体運ぶだけで大変だ。
クエスト報酬を受け取るとアスラと合流し宿にて一泊した。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
お気に入り・感想、宜しくお願いします。
【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?
山咲莉亜
ファンタジー
ある日、高校二年生だった桜井渚は魔法を扱うことができ、世界最強とされる精霊王に転生した。家族で海に遊びに行ったが遊んでいる最中に溺れた幼い弟を助け、代わりに自分が死んでしまったのだ。
だけど正直、俺は精霊王の立場に興味はない。精霊らしく、のんびり気楽に生きてみせるよ。
趣味の寝ることと読書だけをしてマイペースに生きるつもりだったナギサだが、優しく仲間思いな性格が災いして次々とトラブルに巻き込まれていく。果たしてナギサはそれらを乗り越えていくことができるのか。そして彼の行動原理とは……?
ロマンス、コメディ、シリアス───これは物語が進むにつれて露わになるナギサの闇やトラブルを共に乗り越えていく仲間達の物語。
※HOT男性ランキング最高6位でした。ありがとうございました!
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる