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幼少期編
剣士としての第一歩と新たなる出会い
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翌日からの剣術の稽古、アスラはいつもより張り切っているように見えた。
ストレッチと基礎訓練のあと、
「いいか、真剣を授けた以上お前たちは見習いとはいえ剣士だ。今日からは模擬戦も訓練に追加する」
というお達しがあったのだ。
さっそくアスラから木刀を受け取り対峙した。
アスラ一人にこっちはユイと二人。
構えた瞬間、アスラから隙が消えた。
どこから打ち込んでもすべて返されそうに感じる。
「こい!」
だがしかし!!!
こっちは二人がかりだ。
チラッとユイと目を合わすと頷いた。
左右から同時に切りかかる!
上段から斜めに振り下ろしたが手ごたえがない。
見るとアスラは一歩下がって同時攻撃を回避、間をおかず今度は横なぎ一閃。
ギリギリ剣を戻して受け止めた。
そこを見計らってユイが突きを入れる、が空振り。
アスラはもうすでに一歩下がってユイの攻撃を回避、直後攻撃に転じている。
ならばユイに攻撃している最中に今度はこっちから!
今までさんざんやってきた素振りと同じ、上段から振り下ろす!
「あまい!」
ってちょい待って。今ユイに向って攻撃しようとしてたじゃん。
なんでこっちに……回避……無理間に合わないぃ!
グギッ!
お腹に激痛が……あ、突きを食らったのか。
あまりの痛みにその場に倒れこんでしまった。
見るとユイも同じ状態。 最後は二段突きだったのか。
何とか痛みを堪えて【小回復】を使う。
「はぁ……はぁ……」
わずかな打ち合いにもかかわらず、すごい体力を消費した。
対してアスラは涼しい顔だ。
「流石双子、いいコンビネーションだ。それに初めてにしてはいい打ち込みだったぞ」
めっちゃ手加減されてるのが分かるのに掠らせる事すらできなかった。
まるで大人と子供だ。
まるでもなにも、大人と子供だけどさ。
「神明流の剣術は簡単に言えば速さに特化しているんだ。間合いに入る速度、剣を振る速度、回避して間合いから出る速度。つまりしっかりと足腰を鍛える必要がある。というわけで、基礎訓練本日2回目だ。開始!」
父親の威厳を見せつけてしたり顔のアスラ。
ここまで手が出ないと悔しいを通り過ぎていっそ痛快だ。
「「は、はい!」」
こうして、5歳になってから午前中の剣術訓練には一度だけ手合わせが追加され、その後基礎訓練をもう一度する形になった。
最後に足運びや体重移動の訓練といくつかの型を教わった。単純に訓練量2倍以上ですよ。終わるころにはもうクタクタ。
クタクタになっても腹は減る。昼食もしっかりいただきました。
そしていつもより少し遅くなったけど、午後からは村のはずれにある一本杉を目指す。
昼食で体力も回復したので少しでも身体つくりの為ジョギングしながら向かう。
アスラの速さに追いつくためには結局足腰鍛えるしかないっぽいのだからこれも訓練。
ジョギングのおかげでいつもより移動時間が短縮されて到着した。すると一本杉の根元に一人の子供が座って塞ぎ込んでる。
「誰だろ」
「わかんない」
俺が知らないことはユイも知らない。ユイが知らないことは俺も知らない。ずっと一緒だから当然だ。
「「こんにちわ」」
「ッ!」
声をかけるとやっと俺たちに気づいた。
顔を見て驚いた。なんて美少女なんだ。いや髪短いし美少年か?どっちか分からないけどもう超可愛いの。
ぎ、銀髪!?白髪じゃない銀髪ってすげーキレイ。
耳が尖ってる……これが(主に前世のゲーム内で)噂に聞くエルフか!
急に話しかけられて戸惑っているのか、それとも俺たちが同じ顔だから戸惑っているのか、或いは両方か。
「はじめまして、僕はケン。こっちはユイ。君は?」
紳士な俺は自ら名乗る。
「……ライカ」
「いくつ?」
「5歳」
「お!同い年だね」
「そうなんだ」
「ここで何してるの?」
「別に」
うーん、何だか落ち込んでるのかな?
「君たちは?」
「俺たちいつもここで大人に見つからないように魔法実験してるんだけど……」
「魔法? 人族の子供なのに?」
お?なんか魔法に興味持ったのかな?
「そうだよ。変かな?」
「わかんないけど、人族は大人しか魔法使ってるのみたことないから」
なんだろ、人族とか言ってるしエルフって人族と仲悪いのかな?
「君、エルフかな?」
「ッ!……だったらなに? 君たちもボクがハーフエルフだからって苛めに来たの?」
やっぱりそうだ。いや、ハーフエルフ?まぁいいか。
「いやー、はじめて見たよ!すっごい可愛いんだね」
「ッ!」
あれ?おかしなこと言ったかな?
あ、ボクとか言ってるから男の子だったのかな。
でもちょっと怒りつつも赤くなってるのは照れてるのか。
「同じ年頃の子供ってはじめてだ。ねぇ、友達になろうよ」
「ハーフエルフだよ? いいの?」
「ハーフエルフの何がいけないの?」
というと、何だか驚かれた。
「分かった、いいよ! 魔法使うんだったっけ? 教えてあげようか?」
なんだか急に元気になったな。
「んとね、普通の魔法じゃなくて初級魔法を組み合わせて便利な魔法を作ったりしてるんだ」
「どういうこと?」
「そうだね、例えば……」
そこで土魔法で1メートルほどの細い棒を作ってその周辺に光魔法で輝くようにして、あと微妙に色付けてっと。
ででん!
「らーいーとーせーばー!」
どーよ?
ぶぅぉおん!とかって効果音はないけど。
「え? そんな魔法知らない……」
ちなみに俺はちょっと赤っぽい光でユイはちょっと青っぽい光のライトセーバーだ。
「そりゃそーよ、この前僕たちが考えたもの」
「す、すごい! ねえ、それどうやるの? なんて詠唱すればいいの?」
「えっとね、まず土魔術で棒を作ってね」
「棒を作る魔法? なんて魔法? どんな詠唱すればいいの?」
「あーそっか。詠唱しないで魔法使える?」
「え……むり」
「魔力の流れって分かる?」
「……わかんない」
ふむ、そっからか。
やっぱり無詠唱って珍しいんだな。予想はしてたけど。
「じゃあまずは魔力の流れを感じるところからやってみようか」
「どうすればいいの?」
「手を出して」
右手を俺が握る。んで左手はユイが握る
「じゃあ俺が魔力を送ってユイがその魔力を引っ張り上げるね」
「え?」
「いくよ! ほい!」
魔力をライカの右手からどんどん送り込む。
送り込んだ魔力はもともとライカの体を流れる魔力と合わさって体中をめぐる。
ユイが左手から送り込んだ分の魔力をどんどん引っ張り上げる。
「どお、体中に魔力が流れてるのがわかる?」
「え? あ? すごい! わかる! なにこれ! 魔力ってこんなふうに流れてるんだ!」
「じゃあ手を放すよ」
言い終わる前に俺もユイも手を放す
「え? ちょっと、これどうすればいいの?」
「流れる魔力を手の先に集めて、体から出た魔力を土でできた棒を作るようにイメージするんだ」
「う、うん」
ゆっくりライカの手の先から土の棒がちょっとずつでき始めている。
「そうそう、その調子。ゆっくりでいいからちょっとずつ長さを伸ばしていくんだ。そうそう、その調子」
最初10センチほどだった棒はちょっとずつ伸びて50センチくらいになった。
「ちょっと時間はかかったけど、十分じゃないか!」
「で、できたぁ」
超笑顔! かわいいのぉ!!
あ、俺はロリショタ属性なんて持ってないからね。
それでもこの笑顔、守りたい!(笑)
「次はその棒に光魔法の【照光】をくっつけるんだよ」
と説明すると急に暗い顔になった。
「光魔法? 使えない……」
ああ、さっそく守れなかった……笑顔……
「あ、そうなの? じゃあつけてあげるよ」
俺はライカの持っている棒に向って【照光】を張り付けた。
まあ、俺が赤でユイが青だから黄色っぽく色付けて。
「わああ! すごーい」
復活した、守りたい笑顔(笑)
「それで! それで!? これ使ってなにするの??」
興味深々じゃねーか。
「ぐへへ……決まっているじゃろ……このなんでも切り裂くライトセーバーでお主を真っ二つにしてくれるー!」
といいつつ、ちょっとゆっくりめに大きく振りかぶってライカのほうに切りかかる
「えええええーーーー!」
ガキンッ!
「なにっ!」
ライカと俺の間にユイが割って入り、俺の一撃を止めてやがる
「しまった! そのポジションは俺が入りたかったー!」
あ、つい本音が声にでちゃった!?
そしてはじまるユイとのチャンバラ!
剣術を習い始めたとはいえまだまだ素人。
とはいえ相手がユイだと実力が同じだけあってなかなか勝負が決まらない。
ちょっとムキになって本気で切り合い始めたとき、足元に黄色いライトセーバー?
「あっ!」
気づいた時にはこっそりライカが近づいてきて足元に切りかかってきていた
ガンッ!
直後に走る向う脛に痛み。
「ギャアーーー」
痛みでバランスを崩しライカとユイを巻き込んで盛大に転んだ。
「いててててて……」×3
ユイとライカを見ると泥まみれで変な顔になってる
「プププププ……あっははははは! ユイもライカも変な顔ー!」
「ケンだって変な顔になってる! あっははははは」
ひとしきり笑い合うと、泥まみれになった服が気になった。
「さすがにこのまま帰ったら怒られそうだよね」
「だねぇ、ちょっと洗って帰ろうか」
「え? どうするの?」
「3人分まとめて洗うから、ほれ、脱いじゃって」
腰ひもを外し村人基本服装の袖付きワンピースを脱ぐ。
俺が土魔法でタライ的なサイズの入れ物を作るとユイが水魔法で水をいっぱいにした。じゃぶじゃぶと何度か洗って洗濯終了。
今度は土魔法で物干しざお的な棒を作って三人の服を干す。といっても、乾くまで時間がかかりそうだったので風魔法と火魔法を融合して温風を作り出す。特大ドライヤーみたいなもんだ。
ブーツに褌姿で物干しざおを高く持って、T.M革命さんみたいに向かい風に耐える姿はちょっと面白かった。
そんなことをしてるとそこそこ時間が経っていたようで陽が傾いてきていた。
「じゃあ今日はそろそろ帰ろうか」
「そうだね」
「あ、そうだ。魔法の実験は大人には内緒だからな」
別にこれっぽっちも内緒にする必要なんてないんだけど、秘密を共有するってのは友達っぽいでしょ。
「わかった」
嬉しそうに頷いていた。
途中まで同じ方向に向かって帰っていたが、分かれ道までくると
「ねぇ、また会える?」
ちょっと不安そうなライカ。
「おう! 午前中は父さまにしごかれてるけど、午後からはよくあの一本杉広場にいるからライカもいつでもおいでよ」
「お父様にいじめられてるの?」
「いじめられてるっていうか、剣術の特訓だよ。はじめたばっかりだけど見たろ、俺たちの剣術の腕を!」
「ボクが一本とったけどね」
「なに? あれで一本になるのか? みんなですっ転んだだけじゃんか」
「転ぶ前にケンに綺麗な一本を決めたのはボクだよ」
「わかったよ、もうそれでいいよ。じゃあまたな!」
「うん、またね」
最後はいつもの笑顔になっていた。
ライカと別れたあとはジョギングしながら帰宅した。
ストレッチと基礎訓練のあと、
「いいか、真剣を授けた以上お前たちは見習いとはいえ剣士だ。今日からは模擬戦も訓練に追加する」
というお達しがあったのだ。
さっそくアスラから木刀を受け取り対峙した。
アスラ一人にこっちはユイと二人。
構えた瞬間、アスラから隙が消えた。
どこから打ち込んでもすべて返されそうに感じる。
「こい!」
だがしかし!!!
こっちは二人がかりだ。
チラッとユイと目を合わすと頷いた。
左右から同時に切りかかる!
上段から斜めに振り下ろしたが手ごたえがない。
見るとアスラは一歩下がって同時攻撃を回避、間をおかず今度は横なぎ一閃。
ギリギリ剣を戻して受け止めた。
そこを見計らってユイが突きを入れる、が空振り。
アスラはもうすでに一歩下がってユイの攻撃を回避、直後攻撃に転じている。
ならばユイに攻撃している最中に今度はこっちから!
今までさんざんやってきた素振りと同じ、上段から振り下ろす!
「あまい!」
ってちょい待って。今ユイに向って攻撃しようとしてたじゃん。
なんでこっちに……回避……無理間に合わないぃ!
グギッ!
お腹に激痛が……あ、突きを食らったのか。
あまりの痛みにその場に倒れこんでしまった。
見るとユイも同じ状態。 最後は二段突きだったのか。
何とか痛みを堪えて【小回復】を使う。
「はぁ……はぁ……」
わずかな打ち合いにもかかわらず、すごい体力を消費した。
対してアスラは涼しい顔だ。
「流石双子、いいコンビネーションだ。それに初めてにしてはいい打ち込みだったぞ」
めっちゃ手加減されてるのが分かるのに掠らせる事すらできなかった。
まるで大人と子供だ。
まるでもなにも、大人と子供だけどさ。
「神明流の剣術は簡単に言えば速さに特化しているんだ。間合いに入る速度、剣を振る速度、回避して間合いから出る速度。つまりしっかりと足腰を鍛える必要がある。というわけで、基礎訓練本日2回目だ。開始!」
父親の威厳を見せつけてしたり顔のアスラ。
ここまで手が出ないと悔しいを通り過ぎていっそ痛快だ。
「「は、はい!」」
こうして、5歳になってから午前中の剣術訓練には一度だけ手合わせが追加され、その後基礎訓練をもう一度する形になった。
最後に足運びや体重移動の訓練といくつかの型を教わった。単純に訓練量2倍以上ですよ。終わるころにはもうクタクタ。
クタクタになっても腹は減る。昼食もしっかりいただきました。
そしていつもより少し遅くなったけど、午後からは村のはずれにある一本杉を目指す。
昼食で体力も回復したので少しでも身体つくりの為ジョギングしながら向かう。
アスラの速さに追いつくためには結局足腰鍛えるしかないっぽいのだからこれも訓練。
ジョギングのおかげでいつもより移動時間が短縮されて到着した。すると一本杉の根元に一人の子供が座って塞ぎ込んでる。
「誰だろ」
「わかんない」
俺が知らないことはユイも知らない。ユイが知らないことは俺も知らない。ずっと一緒だから当然だ。
「「こんにちわ」」
「ッ!」
声をかけるとやっと俺たちに気づいた。
顔を見て驚いた。なんて美少女なんだ。いや髪短いし美少年か?どっちか分からないけどもう超可愛いの。
ぎ、銀髪!?白髪じゃない銀髪ってすげーキレイ。
耳が尖ってる……これが(主に前世のゲーム内で)噂に聞くエルフか!
急に話しかけられて戸惑っているのか、それとも俺たちが同じ顔だから戸惑っているのか、或いは両方か。
「はじめまして、僕はケン。こっちはユイ。君は?」
紳士な俺は自ら名乗る。
「……ライカ」
「いくつ?」
「5歳」
「お!同い年だね」
「そうなんだ」
「ここで何してるの?」
「別に」
うーん、何だか落ち込んでるのかな?
「君たちは?」
「俺たちいつもここで大人に見つからないように魔法実験してるんだけど……」
「魔法? 人族の子供なのに?」
お?なんか魔法に興味持ったのかな?
「そうだよ。変かな?」
「わかんないけど、人族は大人しか魔法使ってるのみたことないから」
なんだろ、人族とか言ってるしエルフって人族と仲悪いのかな?
「君、エルフかな?」
「ッ!……だったらなに? 君たちもボクがハーフエルフだからって苛めに来たの?」
やっぱりそうだ。いや、ハーフエルフ?まぁいいか。
「いやー、はじめて見たよ!すっごい可愛いんだね」
「ッ!」
あれ?おかしなこと言ったかな?
あ、ボクとか言ってるから男の子だったのかな。
でもちょっと怒りつつも赤くなってるのは照れてるのか。
「同じ年頃の子供ってはじめてだ。ねぇ、友達になろうよ」
「ハーフエルフだよ? いいの?」
「ハーフエルフの何がいけないの?」
というと、何だか驚かれた。
「分かった、いいよ! 魔法使うんだったっけ? 教えてあげようか?」
なんだか急に元気になったな。
「んとね、普通の魔法じゃなくて初級魔法を組み合わせて便利な魔法を作ったりしてるんだ」
「どういうこと?」
「そうだね、例えば……」
そこで土魔法で1メートルほどの細い棒を作ってその周辺に光魔法で輝くようにして、あと微妙に色付けてっと。
ででん!
「らーいーとーせーばー!」
どーよ?
ぶぅぉおん!とかって効果音はないけど。
「え? そんな魔法知らない……」
ちなみに俺はちょっと赤っぽい光でユイはちょっと青っぽい光のライトセーバーだ。
「そりゃそーよ、この前僕たちが考えたもの」
「す、すごい! ねえ、それどうやるの? なんて詠唱すればいいの?」
「えっとね、まず土魔術で棒を作ってね」
「棒を作る魔法? なんて魔法? どんな詠唱すればいいの?」
「あーそっか。詠唱しないで魔法使える?」
「え……むり」
「魔力の流れって分かる?」
「……わかんない」
ふむ、そっからか。
やっぱり無詠唱って珍しいんだな。予想はしてたけど。
「じゃあまずは魔力の流れを感じるところからやってみようか」
「どうすればいいの?」
「手を出して」
右手を俺が握る。んで左手はユイが握る
「じゃあ俺が魔力を送ってユイがその魔力を引っ張り上げるね」
「え?」
「いくよ! ほい!」
魔力をライカの右手からどんどん送り込む。
送り込んだ魔力はもともとライカの体を流れる魔力と合わさって体中をめぐる。
ユイが左手から送り込んだ分の魔力をどんどん引っ張り上げる。
「どお、体中に魔力が流れてるのがわかる?」
「え? あ? すごい! わかる! なにこれ! 魔力ってこんなふうに流れてるんだ!」
「じゃあ手を放すよ」
言い終わる前に俺もユイも手を放す
「え? ちょっと、これどうすればいいの?」
「流れる魔力を手の先に集めて、体から出た魔力を土でできた棒を作るようにイメージするんだ」
「う、うん」
ゆっくりライカの手の先から土の棒がちょっとずつでき始めている。
「そうそう、その調子。ゆっくりでいいからちょっとずつ長さを伸ばしていくんだ。そうそう、その調子」
最初10センチほどだった棒はちょっとずつ伸びて50センチくらいになった。
「ちょっと時間はかかったけど、十分じゃないか!」
「で、できたぁ」
超笑顔! かわいいのぉ!!
あ、俺はロリショタ属性なんて持ってないからね。
それでもこの笑顔、守りたい!(笑)
「次はその棒に光魔法の【照光】をくっつけるんだよ」
と説明すると急に暗い顔になった。
「光魔法? 使えない……」
ああ、さっそく守れなかった……笑顔……
「あ、そうなの? じゃあつけてあげるよ」
俺はライカの持っている棒に向って【照光】を張り付けた。
まあ、俺が赤でユイが青だから黄色っぽく色付けて。
「わああ! すごーい」
復活した、守りたい笑顔(笑)
「それで! それで!? これ使ってなにするの??」
興味深々じゃねーか。
「ぐへへ……決まっているじゃろ……このなんでも切り裂くライトセーバーでお主を真っ二つにしてくれるー!」
といいつつ、ちょっとゆっくりめに大きく振りかぶってライカのほうに切りかかる
「えええええーーーー!」
ガキンッ!
「なにっ!」
ライカと俺の間にユイが割って入り、俺の一撃を止めてやがる
「しまった! そのポジションは俺が入りたかったー!」
あ、つい本音が声にでちゃった!?
そしてはじまるユイとのチャンバラ!
剣術を習い始めたとはいえまだまだ素人。
とはいえ相手がユイだと実力が同じだけあってなかなか勝負が決まらない。
ちょっとムキになって本気で切り合い始めたとき、足元に黄色いライトセーバー?
「あっ!」
気づいた時にはこっそりライカが近づいてきて足元に切りかかってきていた
ガンッ!
直後に走る向う脛に痛み。
「ギャアーーー」
痛みでバランスを崩しライカとユイを巻き込んで盛大に転んだ。
「いててててて……」×3
ユイとライカを見ると泥まみれで変な顔になってる
「プププププ……あっははははは! ユイもライカも変な顔ー!」
「ケンだって変な顔になってる! あっははははは」
ひとしきり笑い合うと、泥まみれになった服が気になった。
「さすがにこのまま帰ったら怒られそうだよね」
「だねぇ、ちょっと洗って帰ろうか」
「え? どうするの?」
「3人分まとめて洗うから、ほれ、脱いじゃって」
腰ひもを外し村人基本服装の袖付きワンピースを脱ぐ。
俺が土魔法でタライ的なサイズの入れ物を作るとユイが水魔法で水をいっぱいにした。じゃぶじゃぶと何度か洗って洗濯終了。
今度は土魔法で物干しざお的な棒を作って三人の服を干す。といっても、乾くまで時間がかかりそうだったので風魔法と火魔法を融合して温風を作り出す。特大ドライヤーみたいなもんだ。
ブーツに褌姿で物干しざおを高く持って、T.M革命さんみたいに向かい風に耐える姿はちょっと面白かった。
そんなことをしてるとそこそこ時間が経っていたようで陽が傾いてきていた。
「じゃあ今日はそろそろ帰ろうか」
「そうだね」
「あ、そうだ。魔法の実験は大人には内緒だからな」
別にこれっぽっちも内緒にする必要なんてないんだけど、秘密を共有するってのは友達っぽいでしょ。
「わかった」
嬉しそうに頷いていた。
途中まで同じ方向に向かって帰っていたが、分かれ道までくると
「ねぇ、また会える?」
ちょっと不安そうなライカ。
「おう! 午前中は父さまにしごかれてるけど、午後からはよくあの一本杉広場にいるからライカもいつでもおいでよ」
「お父様にいじめられてるの?」
「いじめられてるっていうか、剣術の特訓だよ。はじめたばっかりだけど見たろ、俺たちの剣術の腕を!」
「ボクが一本とったけどね」
「なに? あれで一本になるのか? みんなですっ転んだだけじゃんか」
「転ぶ前にケンに綺麗な一本を決めたのはボクだよ」
「わかったよ、もうそれでいいよ。じゃあまたな!」
「うん、またね」
最後はいつもの笑顔になっていた。
ライカと別れたあとはジョギングしながら帰宅した。
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