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C級の絶望(1-16)
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「じゃあ、そろそろ出発しようか?」
「はい。よろしくおねがいします。」
2人は焚き火の始末をして、川溜まりの方に目をやった。
「あー。シェリル。毒消し草と救援弾持ってる?」
フェリスは面倒臭そうに前髪をかきあげながら、シェリルに聞いた。
「毒消し草は持ってるには持ってますけど…。助けるんですか?」
カバンを押さえ、不服そうにするシェリル。
「一応ね。このままじゃ感染症の恐れがあるから、医院があるマウビルまでは徒歩だと死ぬ恐れもある。パーティ申請をしてるなら、シェリルには救護義務があるからね。放置して帰って、それが悪質と判断されれば、最悪、冒険者登録を抹消される可能性があるんだよ。どうしても許せないなら、一旦助けといて、その後、不敬罪を適用すれば死刑にすることも出来るし。」
「なるほど。一度助けといて、安心したところを…。それも悪くないですね。」
シェリルは不敵な笑みを浮かべた。
「それに、そのまま生かしたほうが地獄かも知れないよ?救助費や治療費はC級にはかなり高額で借金地獄な上、スナッピングタートルに噛まれたところは、最悪不能かも?」
「それ最高ですね。殺すのはやめておきます。毒消し草どうしたらいいですか?患部に塗るのは…。触りたくないんですけど…。」
「いや。細かく千切って、揉み込んでから、口に突っ込んどきゃいいよ。」
「わかりました。」
シェリルはフェリスに言われた通りにして、ランスの口に毒消し草を詰め込めるだけ詰め込んだ。
「毒を受けた訳じゃないのに、どうして毒消し草なんですか?」
「冒険者向けに売られてる毒消し草は、一般的な細菌にも効果があるものなんだよ。感染症や食中毒にも効果があるといわれててね。これで効かないなら薬師や医院に行けって言われる位なんだよ。」
「万能なんですね。」
「まぁ、薬やアイテム、魔法の方が速効性があるけど。駆け出しの冒険者じゃ手が出る額じゃないからね…。毒消し草でも血液中に菌が繁殖する前なら、それなりに予防効果があるからね。」
「へー。予防的に用いると効果が高いんですね。私、毒消し草もぱぁっと治っちゃうものかと思ってました。」
「草だからね。消化吸収に時間かかるし。本当は1時間以上煎じてエキスを抽出して、飲むのが効果が高いんだけど、なかなか具合悪い時に自分でって訳にはいかないから、直接噛んだりするんだよ。苦いけど。」
「ふふ。苦いんですね。」
心なしかランスの眉間に皺が寄ってる気がして、シェリルはしたり顔になった。
「で、救援弾は?」
「持ってません。」
「え!?なんで!?冒険者登録の時に配られるはずだけど?」
「冒険の持ち物は父の持ち物をすべて参考にしたので、父はそんなもの持っていませんでしたし…。それに、あの、父がいるので冒険のことはよくわかっているつもりで…。受付の方の説明も聞かずに、カードを奪って逃げてしまいました…。」
「…。シェリル…。」
フェリスは頭を抱えていた。
「A級の私達を参考にするのはダメだよ。まず実力が違い過ぎるからね。私達はいくらでも現地調達できるだけの実力があるからね。旅慣れてもいるし。それに、私達が救援弾を持つことがないのは、それ以上実力がある人間がいないからだよ?私達が命を落とす危険があるところに、自分達より格下の冒険者を呼ぶなんてあり得ないからね。」
「あの。でも最高ランクはS級なんじ ゃ?」
「今のS級は金で地位を買ったお飾りの貴族しかいないんだよ。昔色々あってね、多くの実力あるS級冒険者がS 級ライセンスを返納してA級になったんだよ。シェリルのお父さんもその1人。」
「じゃあ、フェリスさんも?」
「私だけ違う理由だけどね。本当に冒険者としてやって行きたいなら、冒険者アカデミーで修業を積むといいよ。王都にリン師匠の息子がやってるところがあるからそこに行くといい。」
フェリスは儚げに微笑むと、話を打ち切るように、指で銃の形を作って空に赤い煙を打ち上げた。
しばらくすると、応える様に東の方角から緑色の煙が上がった。
「そう遠くないところから、応答があったから、2.3時間で救助隊が来そう。じゃあ、そろそろ行こうか?」
「あ…。私、救護義務があるって…。救助隊に引き継ぎしたりしなくていいんでしょうか?」
「シェリルはまぁ、私が保護して回復したことにして、あいつは変態だったから、捨て置いて救助隊に任せたことにすればいいんじゃない?誰がどう見ても変態だとは疑いようがないし。」
「…それもそうですね。」
「それに、一緒に救助されたら、フローディア侯爵令嬢は変態プレイ趣味だと噂されかねないよ。実際、スナッピングタートルに噛ませたのはシェリルだし。」
「もう!フェリスさんっ!!」
シェリルは膨れてみせた。
「あはは。さぁ、行こうか?」
手を差し出すフェリス。
「はい。」
シェリルは笑顔で手を取った。
「はい。よろしくおねがいします。」
2人は焚き火の始末をして、川溜まりの方に目をやった。
「あー。シェリル。毒消し草と救援弾持ってる?」
フェリスは面倒臭そうに前髪をかきあげながら、シェリルに聞いた。
「毒消し草は持ってるには持ってますけど…。助けるんですか?」
カバンを押さえ、不服そうにするシェリル。
「一応ね。このままじゃ感染症の恐れがあるから、医院があるマウビルまでは徒歩だと死ぬ恐れもある。パーティ申請をしてるなら、シェリルには救護義務があるからね。放置して帰って、それが悪質と判断されれば、最悪、冒険者登録を抹消される可能性があるんだよ。どうしても許せないなら、一旦助けといて、その後、不敬罪を適用すれば死刑にすることも出来るし。」
「なるほど。一度助けといて、安心したところを…。それも悪くないですね。」
シェリルは不敵な笑みを浮かべた。
「それに、そのまま生かしたほうが地獄かも知れないよ?救助費や治療費はC級にはかなり高額で借金地獄な上、スナッピングタートルに噛まれたところは、最悪不能かも?」
「それ最高ですね。殺すのはやめておきます。毒消し草どうしたらいいですか?患部に塗るのは…。触りたくないんですけど…。」
「いや。細かく千切って、揉み込んでから、口に突っ込んどきゃいいよ。」
「わかりました。」
シェリルはフェリスに言われた通りにして、ランスの口に毒消し草を詰め込めるだけ詰め込んだ。
「毒を受けた訳じゃないのに、どうして毒消し草なんですか?」
「冒険者向けに売られてる毒消し草は、一般的な細菌にも効果があるものなんだよ。感染症や食中毒にも効果があるといわれててね。これで効かないなら薬師や医院に行けって言われる位なんだよ。」
「万能なんですね。」
「まぁ、薬やアイテム、魔法の方が速効性があるけど。駆け出しの冒険者じゃ手が出る額じゃないからね…。毒消し草でも血液中に菌が繁殖する前なら、それなりに予防効果があるからね。」
「へー。予防的に用いると効果が高いんですね。私、毒消し草もぱぁっと治っちゃうものかと思ってました。」
「草だからね。消化吸収に時間かかるし。本当は1時間以上煎じてエキスを抽出して、飲むのが効果が高いんだけど、なかなか具合悪い時に自分でって訳にはいかないから、直接噛んだりするんだよ。苦いけど。」
「ふふ。苦いんですね。」
心なしかランスの眉間に皺が寄ってる気がして、シェリルはしたり顔になった。
「で、救援弾は?」
「持ってません。」
「え!?なんで!?冒険者登録の時に配られるはずだけど?」
「冒険の持ち物は父の持ち物をすべて参考にしたので、父はそんなもの持っていませんでしたし…。それに、あの、父がいるので冒険のことはよくわかっているつもりで…。受付の方の説明も聞かずに、カードを奪って逃げてしまいました…。」
「…。シェリル…。」
フェリスは頭を抱えていた。
「A級の私達を参考にするのはダメだよ。まず実力が違い過ぎるからね。私達はいくらでも現地調達できるだけの実力があるからね。旅慣れてもいるし。それに、私達が救援弾を持つことがないのは、それ以上実力がある人間がいないからだよ?私達が命を落とす危険があるところに、自分達より格下の冒険者を呼ぶなんてあり得ないからね。」
「あの。でも最高ランクはS級なんじ ゃ?」
「今のS級は金で地位を買ったお飾りの貴族しかいないんだよ。昔色々あってね、多くの実力あるS級冒険者がS 級ライセンスを返納してA級になったんだよ。シェリルのお父さんもその1人。」
「じゃあ、フェリスさんも?」
「私だけ違う理由だけどね。本当に冒険者としてやって行きたいなら、冒険者アカデミーで修業を積むといいよ。王都にリン師匠の息子がやってるところがあるからそこに行くといい。」
フェリスは儚げに微笑むと、話を打ち切るように、指で銃の形を作って空に赤い煙を打ち上げた。
しばらくすると、応える様に東の方角から緑色の煙が上がった。
「そう遠くないところから、応答があったから、2.3時間で救助隊が来そう。じゃあ、そろそろ行こうか?」
「あ…。私、救護義務があるって…。救助隊に引き継ぎしたりしなくていいんでしょうか?」
「シェリルはまぁ、私が保護して回復したことにして、あいつは変態だったから、捨て置いて救助隊に任せたことにすればいいんじゃない?誰がどう見ても変態だとは疑いようがないし。」
「…それもそうですね。」
「それに、一緒に救助されたら、フローディア侯爵令嬢は変態プレイ趣味だと噂されかねないよ。実際、スナッピングタートルに噛ませたのはシェリルだし。」
「もう!フェリスさんっ!!」
シェリルは膨れてみせた。
「あはは。さぁ、行こうか?」
手を差し出すフェリス。
「はい。」
シェリルは笑顔で手を取った。
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