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パラサイト豚ねぎそば

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21.月の裏側

4.長すぎるエントランス

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 シキが弾かれるように扉を見た。アストロとコストイラがシキに近づき、計画を練る。

「アイツ、中に入ったわね」
「オレ達も入るか?」
「もう少し様子見をした方がいいかしらね?」
「もう入った方がいい。たぶんついていった方が得」
「よし、それ採用」

 シキの意見を採用して、7人は扉の前に立つ。

「よし、行くぜ」

 コストイラが扉を開けると、中にディーノイがいなかった。というか、何もない。

 中はいきなり広くなっていた。グレートドラゴンがいても余裕があるだろう。なぜ中が広いにもかかわらず、扉が人間サイズなのだろうか? もしかして、何かを閉じ込めている?

「ま、考えても仕方ねェや。行くしかねェ」

 結局道は一本しかない。コストイラを先頭にして歩くが、5分経っても横道すら出てこない。そこで、いったん止まる。

「ここまで何も出ないなんて不安しかないんだけど」
「魔物が出てこないのはいいことではないですか?」
「それはそうかもしれねェけどよ、廊下にも変化がねェじゃねェかよ。この先だって500m先が真っ暗で見えねェ。しかも、オレ達は目印かって聞きたくなるような灯だって焚いているんだぜ。何も出やがらねェのはおかしいだろ」
「そんなこと思いながら灯していたの?」

 コストイラの文句に、アストロが呆れた声を出す。

「それに、ディーノイはどこだよ。入っただろ? ここに! 戦闘音も、足音も、何も聞こえてきやしねェ」
「それは……」

 コストイラの勢いに、アストロが負けてしまい何も言い返せなくなる。その点はアストロも疑問に思っていたところだ。しかも、感じ取れる魔力は澱みなく歩いている。むしろ、そんな歩き方だから足音が聞こえないのか。

 不思議なことを論争しながら歩くと、いつの間にか扉に辿り着いていた。

「マジで何もなかったな」
「魔物に出会わないのはいいことのはずなのに、どうしてこんなに不安な気持ちにならなければいけないのでしょう」
「絶対何かいると思ったのに。いや、この先にも不安があるんだけどね」

 アストロが扉をみてげんなりしている。扉が少しだけ空いている。何か誘っているような雰囲気があるが、ここに入る以外の選択肢がない。

「中にいんの?」
「めっちゃ観察してそう」

 コストイラが僅かな隙間から中を窺い、危険がないか確認する。何もないことを視認して、扉を開け放ち、前転しながら突入する。
 コストイラが360度見渡すが、何もない。

「あっ!? 何もなさすぎだろ」

 コストイラ達の知らない間に、コストイラ達は屋敷に入っていた。









『すまんな。私は足音を癖で消してしまうんだ。それに、私の戦いは音を出さないようにもなっているのだ。すまん』
『誰に謝っているのですか?』

 ディーノイが片手を額に当て、何かを謝った。目の前で立っているタジャンクは、怪訝な視線を向けていた。

 タジャンクは金仮面をつけているにもかかわらず、ディーノイはなぜか視線を感じる。マントでくるまれた体は、ディーノイ以上に肌の露出がない。皆無と言っていいだろう。

『それで、天下の隊長様が何の用ですかな?』

 タジャンクが立っているのはディーノイの方が立場上上だからだ。ディーノイの方が上だとは、心の中では認めていない。何か機会があれば自分が上になってやろうと、様子を窺っている状態だ。

『本当は来る予定ああったわけではないが、近くに来たついでに話さなければいけないことを話しに来たのだよ』
『そんなもの、心当たりがありませんな』
『タジャンク。君は地上に魔物を流しているね』
『は? 何を言っているのです? なぜ私がそのようなことをする必要があるのです?』

 タジャンクが何も焦ることなく、ディーノイに返した。ディーノイもそれが予想できていたのか、証拠を次々と並べ始めた。
 タジャンクが反論しようとするそばから、それを潰す証拠が置かれる。

 タジャンクがプルプルと震えることしかできなくなる。金の仮面の下はきっと真っ赤になっていることだろう。

『何かあるか?』
『たまたま立ち寄ったってのは嘘だろう?』

 タジャンクは唐突に動いた。目の前の敵を完全に殺す気だ。
 しかし、ディーノイは何も驚くことなく、その顔を蹴飛ばした。
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