メグルユメ

パラサイト豚ねぎそば

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17.彼岸

11.不思議な大輪

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「あ? もう終わってんじゃん」

 森の中から声がした。紛れもないコストイラだ。血を流しながら出てきたコストイラが髪を掻き上げる。ちょこちょことエンドローゼが近づき、回復を始める。

「遅いわよ。何してたの?」
「太陽の塔に潰されてた」
「う、う、腕が折れてます」
「え、マジで?」

 エンドローゼから告げられる怪我の具合に、コストイラが心底驚いた顔を見せる。
 アシドはアストロから水を出してもらい、体を洗っている。ヘドロを拭い取れたようだが、臭いまでは取り切れないようだ。

「……どう?」
「…………臭う」

 顔を近づけることなく、シキが顔を振った。アシドは自身の腕の臭いを嗅ぐが、鼻が馬鹿になっており、全く分からない。
 臭いと言われて首を折り、更に鼻が馬鹿になっていることにも肩を落とした。

「臭い消す方法、知ってたりしない?」
「……お茶をかけたり、レモン汁をかけたり」
「ここにないなァ」

 暗殺者として、身を隠す手段として臭い消しの知識を披露するが、どれも役に立たない。

「とりあえず、先に進もう」

 コストイラは治された腕でエンドローゼの頭を撫で、森に向かった。エンドローゼは撫でられた頭に触れ、不思議そうに眉を顰めた。






 先頭を歩くコストイラが鬱陶しそうに視界を塞ぐ枝葉を払う。

「アンタって、切るの最低限で済まそうとするわよね。しかも、森の中で火を使っても火事にさせないし」
「昔、怖~い姐さんに怒られたことがあってな。今でも染みついてるんだよ」

 アストロの純粋な疑問に、コストイラも素直に応える。

「うべ!?」

 エンドローゼが枝に顔をぶつけ、蹲る。

「最低限?」
「悪かったよ」

 コストイラは居心地悪そうにエンドローゼの手を握り、引っ張り上げて立たせた。

「ふわぁ」

 立ち上がったエンドローゼが声を出しながら目を丸くした。釣られるようにしてコストイラ達もエンドローゼの視線の先を見る。
 綺麗な二輪の花が咲いていた。近くに咲いている二輪がまるで夫婦かカップルのようで、エンドローゼが目を輝かせている。
 エンドローゼが近づこうとした時、花が蠢き、動き始めた。

「うぇ?」

 近づく動きを止め、花に見入る。花の下からボゴリと頭が出現する。この時点でエンドローゼを含めた全員が理解した。

 こいつ魔物だ。
 それが分かった瞬間、森の中だというのに平然と炎を放つ。

『アアアアアア!?』

 クイーンアルラウネが燃える頭の炎を消しながら現れる。クイーンアルラウネが信じられないものを見るような視線を向けてくる。

「消しやがって。次は全焼だ」
「燃やしてやる。私の怒りと共に」

 なぜか2人ともキレている。何故なのかをアレンが察することができない。エンドローゼも目を白黒させている。

「えっと、何であの2人がキレているのか分かりますか?」
「わ、分からん。さっきまで和やかな雰囲気だと思ったのだが」

 レイドも首を傾げている。

「オレがハチの巣にしてやるぜ、ヒャッハー!」

 アシドが槍をぶん回し、世紀末覇者のようなことを口走りながら参戦した。唯一理由が分かりそうなアシドがいなくなってしまった。分からないと思いながら、シキにも聞いてみる。

「何ででしょうね」
「…………ずっと戦ってる」
「………………成る程」

 理由を知ったら、アレンもふつふつと怒りが湧いてきた。そういえばずっと戦っているな。これが神のシナリオだとするならば、神に怒りが湧いてくる。

 よくもこんなに戦わせてくれるな。
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